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2017年10月05日

車?

保険の代理店をしていたときです。

お客様の車が道路脇に落ちて動けなくなりました。
田舎道だったので助けを求めるにもレッカー車は来てくれません。
車通りもほぼ、ありません。

たまたま近くに農家があったので、そこを尋ねたとのこと。
農家だったので、運良くトラクターで引っ張り上げてもらいました。

そこまでは良かったのですが。

お客様はもう車が道路に戻ったにもかかわらず、そのままバックしてトラクターに接触。
トラクターは無傷でしたが、車のバンパーが凹んでしまいました。

ここまでがお客様の報告です。

お客様は車両保険でバンパーを修理したいと言います。もっともです。
ただ、保険にもいろいろ条件があります。

まず心配だったのは、ぶつかった際、車は自走していたのか、それともトラクターの牽引で動いていたのかということです。
もしトラクターの牽引による動力だったなら、お客様の車両保険は使えません。
なぜならお客様の車両保険は車対車の限定特約付きだったからです。

「車対車限定特約」は、相手が車の場合にのみ、支払われる車両保険です。
その分、何でもありな「一般の車両保険」に比較して保険料は半分くらいです。
実際には「車対車限定特約」だけでなく、「車両危険限定担保特約A」もセットにされるのが普通です。
この「車両危険限定担保特約A」は車との接触以外にも、火災、爆発、盗難、洪水とか飛び石、落書きといった、第三者による損害も補償されます。

一般の車両保険なら問題ありません。
しかし車対車は、自車の動力でなければ運行していたとみなされないため、保険の支払い対象になりません。
近いもので車との接触は、相手を特定できなければならないといった制約があります。
身近に起こる危険として「当て逃げ」があります。支払われません。

もし動力がトラクターによるものだった場合、お客様ではなく、トラクター側に賠償責任が発生します。
しかし、、
頼んでせっかく牽引してもらったトラクター側に「賠償して!」なんて罰当たりなことは言えません。
もし百歩譲ったとして、トラクターが任意保険に加入しているとも考えられません。

ただ、この動力のことは、お客様の車はエンジンが回っていたので、接触のときは自走していたとも考えられます。
あくまでグレーです。グレーの場合、支払われることが多いです。

まだあります。

 トラクターは車か?

ということ。

保険の規定を見てみると「車」は何かと分類されています。
例えば貨物車とか、乗用車とか自動二輪とか。
分類の根拠はナンバープレートです。

気になり私もあとからトラクターを見に行きました。
しかし、主に私有地ばかり走るトラクターにナンバープレートはありませんでした。

ではトラクターは車として車対車特約が効くのか?

結果は保険金が支払われました。
ナンバーのないトラクターが車かどうか、結局は保険会社の裁量によるところなようです。




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