OADGは、The PC Open Architecture Developers' Group の頭文字で、PCオープン・アーキテクチャー推進協議会といいます。
日本IBMの働きかけで、富士通、日立、松下電器、東芝、シャープなどがOADGを組織して、NECのPC98に対抗できる、統一されたパーソナルコンピュータの規格作りが始まりました。
1991年のことです。
NEC PC98の牙城を崩したもの(中(前)編)にも書きました通り、当時NECのPC98シリーズは、漢字を表示できる機能をいち早く本体に内蔵していたことで、他社より優位にシェアを伸ばすことができました。
また当時は、メーカーごとにPCの設計がバラバラだったため、PCごとにそれぞれソフトが作られ、A社のソフトはB社のPCでは使えません。
ワープロソフト「一太郎」もNECのPCでは使えましたが、用意されていないメーカーのPCでは使えません。
「一太郎」が使えないメーカーのPCは販売台数が減るし、販売台数の少ないメーカーのために、開発元である「JUSTSYSTEM」もわざわざお金をかけて開発しようとは思いません。
「一太郎」のお陰で爆発的にシェアを伸ばしたNECは、他にもソフトが豊富に揃っていることから、ますます優位になっていったのですが、、、
そこへOADGの攻勢が始まりました。
当時、IBMのPC/AT互換機は、国内で云うNEC並みに世界でシェアを誇っていたものの、漢字機能を内蔵していませんでした。
しかし、当時はPCの性能も容量も、日に日に進歩していたときでした。「日進月歩」と呼ばれていた頃です。
すると
〜 DOS/Vの登場 〜
はじめはPCの仕組みで漢字を表示できていたのを、ソフトウェアで表示できるようにしてしまったのです。
OS、オペレーティングシステムに漢字表示機能を組み込んでいます。PCの起動時に漢字を読み込みます。
それがDOS/Vでした。「ドスブイ」と呼ばれたオペレーティングシステムです。
オペレーティングシステムとは、PCとソフトウェアの仲立ちをするソフトウェアです。
古くはCP/Mや、MS-DOS、BSD、UNIXなどがあり、Windowsもオペレーティングシステムです。
ソフトウェアは目的ごとに、ワープロであったり会計システムであったり、表計算ソフトであったりとそれぞれに開発されます。
しかし、どのソフトにも共通で使われる働きがあります。
例えば、
キーボードで「A」のキーを押せば、画面に「A」と表示される。
当たり前のことですが、これもいちいちソフト = プログラムを書かなくてはなりません。
印刷ボタンを押せば、プリンタから用紙に印刷され出てくる。
これら、共通の機能をワープロソフトでも会計ソフトでもその都度、書いていたら、開発に時間がかかるし、どのソフトにも同じプログラムをそれぞれ付けていたら、ソフトの容量も無駄になります。
まるで財布は一つで良いのに、仕事用の財布、買い物用の財布、レジャー用の財布と、それぞれ中のクレジットカードも財布の数だけ作るようなものです。
毎日の仕事でも買い物でも、どれもお金は必要ですが、財布は一つにまとめておきましょう的なものです。
これがオペレーティングシステムの働きです。
今まではPCの機能として漢字を表示する部品を造りPCに内蔵していたのを、オペレーティングシステムで実現できるようになったのです。
そんなオペレーティングシステム、DOS/Vを、PC/AT互換機用にIBMが発売したのでした。
世界標準のPC/AT互換機ですから、価格も手頃。
OADGとDOS/V。
さらにNECにとって不幸だったのが、皮肉にも「PC-98」という名称でした。
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