2024年01月18日
子供の声
私がまだ小さな頃、家族で青森から東京へ越したのが確か昭和44年でした。西暦だと1969年です。
当時はまだ今とはだいぶ時代が違っていて、町には砂利道が多く、トイレは汲み取り式。東京都でしたが周囲は田んぼだらけで、住所は東京都葛飾区水元飯塚612番地という、大変シンプルなものでした。
もちろん、とうの昔に地番変更がなされ、いまそんな住所は存在しません。
住んでた家は長屋でした。隣の家と屋根と外壁がつながっていたのです。外壁はトタン板だったと思います。私はそこで幼稚園に入園し、小学校1年生を終えるまで住んでいました。
当時はまだ近所付き合いがあったんですね。
通りを折れた袋小路に長屋が2軒と一軒家が2軒建っていて、私は他の家へ遊びに行ったし、他の家の子も私の家へ遊びに来ていました。
そこからまた引っ越したあと数年が経った頃、何かの用事で母に連れられ一度、再びその長屋へ行くことになったんです。
あのときまだ長屋は存在していました。そして住んでいた頃のまま、ご近所さんたちもいて、母が立ち話をしたんです。もちろん世間話程度だったでしょう。けど、その中で私たちがいなくなって寂しいとご近所さんは言っていました。
子供の声が聞こえるとつい、私たちがまだいるかのように思ってしまったと言っていました。
「だって子供の声って、みな同じでしょう。」
って。
確かにそうですよね。
今日もバスに乗っていると、小さな子供の声が聞こえてきました。泣いていてもかわいい声です。そしてあのとき、ご近所さんが言っていた通りに子供ってみな同じ声ですよね。
子供の声がみな同じって、
あれはご近所さんの何気ない言葉だったかも知れません。だけど間違いないことだし、なぜかわかりませんがずっと、私の中に残り続けている言葉なんです。
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