ほんとは三つあるんですけど、過去に起こったことから二つ紹介します。
一つはお得意さん。
私が営業をしていたとき、かなりお世話になった人です。ある役所に出入りできるようになるきっかけを作ってくれたといって良い。その役所の職員でした。
しかし口の悪い人でした。
私が得意先回りで行くと、必ずある挨拶をしてきたんです。
「(私が)商人(あきんど)でおまんねんやろ?」
と。
それは商売人 = 営業職を蔑むことばに違いありませんでした。
それも何百回言われたかわかりません。よく飽きもせずに会うたび会うたび、言い続けられたと感心してしまいます。
ですがその人の父親は商売人でした。
おそらく商売で苦労をした人だったのでしょう。
商売をしていく上で蔑まれる場面も子供として見ていたのかも知れません。
そして商売人は低く見られるから、自分は役人になったんだと、ある意味どこか歪んだ心が生まれたんじゃないかと思っています。
もちろん、その人にはお世話になっていると思っていました。だけど毎回、いやなことばを投げかけられます。ならプラマイゼロか?そう思ってしまうくらいです。
ありませんか?そういうこと。
私が営業をやめたのは会社が倒産したためです。
確か営業職をやめた解放感からだったと記憶しているのですが、いちど言い返してみたかったんですね。
「公僕」って。
言ってみましたよ。
「〇〇さんは公僕ですよね?」
と。
その人との付き合いは、その瞬間に消滅してしまいました。
昨日見たYoutube動画で、ある欧米人が日本の嫌いなところと紹介していたのは、客が威張り散らすこと。
私もそれには同意見です。
日本ではお金を出す方が無意味に偉いんですよね。
そもそも商売というのは、イコールで成り立っていると思うんです。
モノを買う。サービスを受ける。その対価としてお金を払います。
日本独特の文化だと思いますが、「ありがとう」が前に出過ぎ。
「ウチから買ってくれてありがとう。」
せっかく対価としてお金をもらうなら、もっと自負があっても良いと思うんですけど。
「ウチはこれだけ良いモノを売っている。」
「ウチはこれだけサービスに特化している。」
って。
そして立場は対等であるべきだと思うんです。
もう一つは、あるイベントでの出来事でした。
昔私が住んでいた田舎町では観光に力を入れていました。
若者たちは仕事が終わってから集まって、仕事とは別にイベントを企画・実行していたんです。
観光業が潤えば、やがて自分に返ってくるという考えの下でした。
そしてクルージングを企画したんです。
船の上で夕陽を見ながら飲み食いしようって。
ラジオや新聞の媒体を使い、PRして集客しました。
小さなフェリーを借り切って、離島まで往復。
往路で夕陽を見ながら離島まで。離島でも宴会。そして帰ってくるスケジュールでした。
実行委員会ではキャラクター商品を作り、私はそれを販売する係だったんです。
その中にワインがありました。ワインといっても、確か函館ワインと提携し、函館ワインのボトルに私たちのラベルを貼って販売していました。
離島に着いて宴会している間、私たちも食事をしたんです。
その後、帰路に就くためフェリーに戻ると、、、
「あれ?ワインが少なくなっている。」
キャラクター商品はワゴンで販売していました。
離島で休憩している間、商品は一か所にまとめフェリーを降りたのですが、明らかに足りないんです。
誰かが盗んだ?
だとすれば我々が離島で休んでいる間です。
フェリーを降りている間、フェリーに残っていたのは乗組員たちです。
そこで黙っていれば私は「大人(オトナ)」だったのかも知れません。
でもそれはできませんでした。
窃盗なら、それを暴きたいという正義感と、ナメられた?というプライド。
私は同船していたフェリーの責任者に談判したんです。
考えると、まだ20代の兄ちゃんだった私が、フェリー会社の部長に反旗です。
部長は
「なんだ?俺を疑うのか?」
という面持ちです。
しかし、なかったことにはできませんでした。
部長は、
「なら船の中を見てみるか?」
と聞いてきました。
これは私を脅してきたんですね。
私にしてみれば、もうここまで来たら振り上げた手を下ろすことができませんでした。
案内されたのは、船員の休憩室や個室でした。ふだん乗客は入ることのできない領域です。
そしたらベッドの布団に隠してあったり、すでに栓を開けて飲まれていたり。
もちろん、船員が航海中に買ってくれたことはありませんでした。
ここまで窃盗は明白だったのに、私は栓の開いていないワインを回収できただけで船員から謝罪も何もありませんでした。
こういうことです。
実行委員会で企画したクルージングは私たちが勝手に行ったこと。
船員にしてみれば非番なのに余計な航海(仕事)を押し付けられた。
だったらワインの少しくらい、もらっても構わないだろう。
イベント全体で考えたら、ワインが何本か盗まれても、そう大したことではありません。
でも私にとってみれば商品を管理している以上、ワイン1本だって大切な在庫であり、商品です。
いま思うのは、あのとき実行委員会の上層部は私をまったくフォローしてくれなかった。
イベント全体で考えて、そう大したことのないことなら、そのようにアドバイスしてくれても良かったのに。
ただ、私が部長に談判するのを放っておいただけ。
またそれは小さい町ならではのことですが、上層部だって町の中で個々の個人的な付き合いがります。
いくら不正があったところで、フェリー会社の部長と争うことはしたくない。
まして自分が直接管理する部門でない限り、無関係といえば無関係。
つまりは自分のことしか考えていないんです。
その後、得意先でもあったフェリー会社からピタッと取引がなくなりました。
取引きが復活したのはあれから10年後のことでした。
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