2020年09月24日
訪問サポート
生きていると、なぜ今こんな仕事をしているのだろう?ということがあると思います。
私のように何度も仕事が変わった人間は特にそうです。ましてコールセンター業務が契約満了となり、無職になって今日でちょうど4ヶ月になりました。この無職というのも、特殊な期間だと思います。
ずっと定職に就いてきた方であっても途中、特殊なプロジェクトに配属された期間とか、とにかく人生で一つの業務しか経験のない人は少ないと思います。
私が田舎町で自営業をしていたとき、過疎化で顧客世代の人口流出が相次いで何か他の仕事を探さなくてはならない時期がやってきました。自営業だったから何をやっても良かったのです。
あのとき、1年半ほどやったのが訪問サポートでした。
訪問サポートというのは、ある会社で用意したインターネット上の仮想商店街に出店したお客様のカート設定を手伝う仕事でした。手伝うといっても、ほぼすべてをこっちでやってあげたのですけども。
具体的にはカート設定です。
ショッピングカートは誰もがご存知だと思います。
仮想商店街は、いまでいうブログのように何種類かのデザインの中から選び、定型化された商品一覧ページに商品画像を載せたり、単価を設定したりする作業です。また、特定商取引法に基づく表記のページも作ってあげます。食品を生産する店であれば、道の認可番号を記載します。
この作業をお客様の店まで訪問して行う仕事でした。
このサポートは、登録スタッフのエントリー制でした。
北海道は人口の多さでは札幌市が突出しています。札幌市は案件が多い分スタッフも多く、エントリーも高倍率でした。地方都市もありますが、北海道は広いため札幌市のスタッフは遠くの都市へ行きたがりません。
私は田舎に住んでいたため近くに案件はほぼなく、そのため移動距離の長さを覚悟して地方都市の仕事を請け負うようになっていました。
報酬は一件いくらです。
安いものだと、インターネットの開通で、一件1,500円というのがあったと思います。
でも私は1年半の中で地元が一件だけ。近くても50kmは走る必要があったので、一件いくらプラス、旅費(ガソリン代)と距離によっては宿泊費ももらうことになっていました。
とにかくお客様のところまで遠いので、多い時には1週間分の着替えを持って、一度に7〜8件回ってくることもありました。東横イン、ルートインなどビジネスホテルをハシゴします。
北海道は広いから、長く住んでいても北海道内すべての街へ行ったことのある人は少ないと思います。
私もすべてではありませんが、あの仕事をしたことで、地方都市はだいたい制覇したと思います。
はじめて走る道が多かったから、地図帳は手放せません。でも地図帳はいちいち車を止めて見る必要があります。さすがにカーナビを買いました。
訪問サポートは1件90分です。移動距離が長ければ1日1件のみという日があるわけですから、1日の大半は車で走っていたことになります。CDを聞いても飽きるから、もっぱらラジオでした。「テレフォン人生相談」はよく聞きました。(笑)
スピード違反で検挙されたこともありました。あのとき3万円の仕事だったのが、反則金15,000円を差し引いた15,000円の仕事になってしまいました。
不思議なのは、一度しか走ったことのない道でも忘れない光景があることです。
あれからもう15年くらい経ちますが、コールセンターで電話しているとき、ふと一度限りしか見ていない情景がフラッシュバックのように浮かぶことがあるのです。
最後の仕事は確か4月下旬。珍しく雪が積もりました。
客先で仕事を終え帰路につくと、道路わきに数台、車が落ちていました。
きっと吹雪で前が見えなくなったのでしょう。前が見えなくなっても普通、止まりません。
止まると後ろから追突される危険があるからです。
前を走る車が見えなくなるのが吹雪で、ワイパーも見えなくなるのが猛吹雪です。
間もなく雪はなくなりました。解けたのか、それとも積雪があったのは客先だけだったのか。
6時間くらいかけて家に着きました。最後の仕事は北海道をほぼ横断しました。
最終的に、仮想商店街を運営する会社の営業がお客様をほぼ回り切り、新規出店者が底をついたこと。さらには出店しても、あまり売り上げがなかったことから1年半で自然消滅するように業務はなくなりました。
私も、もう田舎町では商売が成り立たないと、札幌へ引っ越すことにしました。
あの1年半、自分にとっては特殊な時期でした。
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