コールセンターおじさんのブログ

　昨日は会社が倒産して自営業を始めたことを書きました。さて今日は。

会社が倒産するまでには様々なことが出てきます。当然ですが。
だから書きたくても書けないことが数多くあります。

その昔、取引先だった問屋のある札幌市に、いま私が住んでいます。
インターネットで、中には社員を顔写真付きで紹介している問屋もあります。

今でも続いているのかわかりません。昔は“見本市”といって、主に正月、問屋は扱っているメーカーの新製品を並べ、仕入れを促すイベントが各社で行われていました。歳末商戦後で小売業も潤っているシーズンです。

30年以上前になってしまいました。
私はその見本市へ出席するため札幌市へ。
見本市が終わると、夜は「接待」されるのです。

ススキノで。あっち方面へ行く人もいます。
私は、問屋の若手、二人に連れられ、とあるスナックへ行きました。
二人のうち一人は私のいた会社の担当者で、もう一人はその日、初めて会った人でした。

カラオケを歌おうとなって、私は深い意味も何もなく荒井由実さんの“ひこうき雲”を歌いました。
で、私がそんな上手に歌えたわけでもないのに、なぜか初めて会ったその人は泣き出したのです。

まだ若かった私は、泣いた理由というのを詳しく聞き出せる話術を持っていませんでした。
でも何の気なしに歌った歌で泣いてしまったというのは、いまだ私の中で大きな謎です。
私より5歳くらい年上だったと思いますが、ネットに顔写真付きで紹介されています。
いま、常務取締役です。

またそれから10年くらい過ぎた頃、若手の新人が私がいた会社の担当になりました。
当時はまだペイペイだったその担当も、顔写真付きで紹介されています。
顔が多少オッサンになっています。今は役職もあるでしょう。

その問屋は、ここ私の家から割と近いので、会いたいな。どうしているかな？と思います。
だけど会いには行けません。会社が倒産したとき、迷惑を掛けてしまったのですから。

　あと銀行。
小さな町だったので、主な取引先の銀行は2軒でした。
倒産したとき、私はもう30半ばだったので、債務も無傷というわけにはいきませんでした。

銀行1社は、私の債務を元金3年間据え置き。それまでは利息のみ返済と提案してきました。
経済的に持ち直すまで、猶予期間にしてくれたのでしょう。
しかしもう1社には、
割引いた約束手形が振り出されていました。

簡単にいうと、約束手形には支払期日があります。
普通は支払期日に銀行へ持っていくと、100万円の手形で100万円受け取れます。
でも支払期日は30日手形だったら30日後。90日手形は90日後とか、けっこう待たされます。だから手形です。

しかし手形で受け取った会社は資金繰りから、期日まで待っていられないかも知れません。
そこで割引手形といって、期日前の手形を担保に、期日までの利息を差し引いて現金化できるのです。

私のいた会社は、あるゼネコン企業から約束手形で支払いを受けていました。
しかし、そのゼネコン企業が私のいた会社と同時に倒産したのでした。
会社はすでにゼネコンから受け取った手形を割引いていました。

が、ゼネコンが倒産した以上、銀行に渡った割引手形はもう不渡り手形同然。
そのもう1社の銀行は、割引手形を会社に返して、その分、現金を回収しようと必死でした。
そこで、もう1社の銀行、支店長代理が会社まで来て、私もいる前で詐欺寸前の大嘘をついたのです。

結果、私はその手形分を返済するために個人的に別の債務を負うことになりました。

よく言いますね、借りた金は返さなければと。
それはわかります。

しかし私が新たに負った債務というのは、銀行に対する債務ではありません。
ゼネコンが倒産したことで、会社が負うはずだった債務を肩代わりさせられたのです。
もう倒産していた会社からは回収ができないであろう債務を、なんと私に被せてきたのでした。

銀行はその後、もとからあった私の、銀行に対する債務の返済を迫ってきました。が、私は新たな債務が負担だから今は返せないと、当分、返済をしませんでした。

やがて、一通の内容証明郵便が届きます。〇〇債権回収株式会社から。
債権回収会社は銀行から債権を譲渡されたといいます。何度か電話がきましたが、私はまだ返せないと話しているうち、連絡は来なくなりました。最後の請求から、もう5年の時効はとっくに過ぎています。

銀行は手形の回収を焦ったために、もっと大きな私の債務は回収できずじまいでした。あれ以来、私はその銀行とは一切取引をしていません。同時にあれ以来、銀行、そして代理店をしていた保険も業種として一切、信じられなくなりました。
また余談ですが、当時の支店長代理は風の噂にその後、関連会社へリストラされたと聞きました。

2社の銀行、そのやり方で私は1社には完済しましたし、もう1社は踏み倒しました（ことば悪いですが）。
でも完済できた銀行、据え置いてくれるなどの打ち合わせをしていた際、まだ私に次の仕事も見つかっていない中、
「新聞配達でもすれば、周りの同情を集めるよ。」
なんて、弱い立場の私に好き勝手を言っていました。