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2020年07月16日

吹奏楽部@


 東京の小学校を卒業した春に北海道の田舎町へ移り住みました。

引越しは荷物を別便で送り、私たち家族は飛行機で羽田から千歳空港まで。千歳から札幌までどう移動したのか憶えていません。田舎町まで行く途中、札幌にある親戚の家で一泊しました。

小学校5・6年は毎晩、TBSラジオの「夜はともだち」を聞いていました。
「夜はともだち」パーソナリティは、小島一慶と林美雄。交代で務めていました。
月水金は小島一慶、火木は林美雄氏でした。が、もうどちらも亡くなってしまいましたね。

「夜は友だち」はパーソナリティが何年かごとに代わり、その「一慶・美雄の夜は友だち」は奇しくも、札幌で一泊した晩が最終回でした。小学5・6年の2年間。2年というのは今にしたらあっという間ですが、小学生にとってみれば、とても大きな2年間です。

その番組が終わってしまうのですから、私は買ってもらったばかりのラジカセで録音しました。
しかし東京の電波は札幌までうまく届きません。昼はまったく聞こえません。
AM放送は電離層(でんりそう)の影響を受けます。

電離層は夜になると上空に現れます。AM電波は基地局から放射状に発信されますが、夜になると電離層に阻まれ、電離層と地面との間を反射しながら、かろうじて札幌まで届くようになるのです。
そうして音の悪い状態で夜は友だちの最終回を録音しました。

親戚の家で従姉に言われました。
「札幌だからまだ良いものの、〇〇町だったらもっと悪いよ。」
って。
それを聞いて私は、これから行く北海道の田舎町というのは、いったいどんなところなのだろうと恐怖に襲われました。

また、春に北海道へ来たとき、私は半袖半ズボンでした。
別におかしくない格好だったはずです。でも北海道は違いました。
札幌で昼間、近所の店に買い物にいったとき初めて吹雪を体験しました。

雪が背中まで入ってくるなんて、思いもしませんでした。
次の日、田舎町まで移動する列車の中、半ズボンは好奇な視線を買いました。
そうして着いた田舎町。中学校の入学シーズンは、まだ寒いのです。4月というのに手袋です。

 入学した中学校は転校したも同然です。だから知り合いなどいません。
実際には初めて会う、同い年の又従弟はいました。その又従弟と「野球部に入ろうね」と言っていました。

しかし、

気付いたら吹奏楽部でした。
入学して間もなく、担任の先生から
「お前は吹奏楽部だからな。」

理由は簡単でした。
担任は吹奏楽部の顧問だったから。
ちなみに私はE組、又従弟はC組で野球部でした。

小学校では音楽は苦手でしたよ。
リコーダーなんて吹けない。音符なんか読めない。
そんな私がなぜ、どうして、吹奏楽をしなければならなくなったの?
毎晩聞いていたラジオも深夜にならなければ聞けない。そんな秘境のような町に来て。












タグ:吹奏楽
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posted by CSおじさん at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 随想
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