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2020年05月21日

団体扱い


 私は田舎に住んでいた頃、24年間、副業で保険の代理店をしていました。
 ※代理店を廃業してからもう10数年も経つので、当時の時代設定でお話しします。

今日は21日です。
毎月、21日になると思い出すことがあります。

代理店を始めて若い頃、顧客募集を頑張りました。今では信じられないw
保険の団体扱いというのを聞いたことがあると思います。
人数をまとめることで割り引かれるもの。

といっても団体扱いそのものに割引はありません。

しかし団体扱いにすると、他のメリットがあります。
・給与天引きされる
・月々の分割払いでも10%割り増しにならない
・解約や保険料に異動があったとき、追徴や返戻金が月割計算される

たとえば団体扱い以外で解約した場合、年払いだと始期から3ヶ月まででも保険料が55%しか返戻されません(45%発生します)。
団体扱いなら9か月分戻ってきます、、というか、もともと月払いなので、3ヶ月分の保険料(= 3÷12 = 25%)だけ発生します。
もっとも、団体扱いでなくとも分割払いにすれば3ヶ月分だけの保険料ですが分割払いにしたことで、すでに10%割り増しです。

この団体扱いにするはいくつか条件があります。
・給与天引きできる組織である
・一年以内に20人以上の契約があること
・公務員でない

公務員でないというのは、〇〇市役所とは契約できないものの、〇〇市職員組合といった労組であれば大丈夫です。
また、一年以内に20人以上というのは、あとから10人に変更されました。

で、これに挑戦しました。
おもしろいもので、間もなく1年というとき、まだ19名でした。

ですが保険会社に前々から入れ知恵されていました。
20人目は自分がなれば良いと。

もちろん私はその組織の人間ではありませんでしたが、そこまで調べなかったんですね。
さらに、私は私で、すでに自分の車はきちんと保険に加入していました。
基本、1台の車に複数の保険を付けることはできません。

ではどうしたか。
存在しない架空の車を作ったのでした。
今ではできません。新規加入には車検証のコピーが必要です。

他にもありました。
車の保険には“等級”があります。
無事故であれば、上がっていく等級です。

等級が高いほど値引きが大きくなり、事故で保険金が支払われると大抵、等級は下がり翌年から保険料は上がります。

↓ ※これは昔の話です。

火災保険なら関係ありませんが自動車保険だと、新規のお客様には何らかの便宜を図りたいものです。

“特約”ってあります。
保険には約款があり、約款に基づいて運用されます。
約款はあの、小さな字で、読む気も失せるような回りくどい書き方のアレです。

“特約”は約款よりも優先されるものです。

自動車保険の特約に、「車対車+(危険限定担保特約)A」というのがあります。
これは、事故で自分の車に損害金が発生した場合、相手が車のときに限り保険金を払います。という“車対車”に、“物の飛来(飛び石など)”や“火災”、“落書き”といった、いうなれば自己責任でないものなら払いますという特約です。

この、「危険限定担保特約A」という特約だけ掛けることができる、いわば“裏ワザ”がありました。
まして、当時は車検証もいらない時代。“現車確認”がありませんでした。

昔乗っていた自分の車でも良いし、他人の車でも良い。とにかく保険会社に現存する契約の登録番号と重複しなければ、「危険限定担保特約A」だけの保険を、自分の名前で契約したのです。

保険料は1年で700円くらい。
存在しない車だから、事故が起こるわけありません。
だから年々、等級は上がっていきます。値引きが増えていくだけなのです。

これを4〜5台分、持っていました。
そして獲得したいお客様に、この値引きを斡旋しました。

 契約するときの名義は?

ちょっと手間がかかりますが、まずお客様の契約にするとき、私の苗字で下の名前は女性名にします。
数か月後、私の苗字をお客様のものにします。異動理由は婚姻による姓の変更です。
そしてまた数か月後、今度は下の名前もお客様のものにします。

これですっかり、お客様は値引きの大きな保険に新規加入できました。
そしてこれもまた保険会社の入れ知恵でした。

 話は戻り、私が初めて団体扱いの保険を持つとき、思いもよらない追い風が吹きました。
某公務員の職員組合です。公務員だから福利厚生が充実しており、自動車保険も共済がありました。
ところが当時、自動車保険は対人・対物が保険会社では“無制限”がスタンダードになろうとしていました。

共済ではまだ対人・対物が2千万円など。
そこでお客様はプラス保険といって、安価な保険料で対人を無制限にできるように、共済と保険と二つ加入している人が多くいました。

しかし事故が起こったらお客様は共済と保険会社、それぞれ別々に手続きをしなければなりません。
お互いに連携が取れていなかったんです。

ところがそこに、プラス保険には等級があったのです。
私が架空の特約を持っていなくても、正当に割り引かれる保険料です。
その等級を私が勧める保険会社で一本化すれば、団体扱いでもあってウィンウィンです。

某公務員の給料日は毎月21日。
21日が金融機関の定休日であれば直前の営業日。
毎月、21日になると私は職員組合まで保険料の集金に行きました。

私が代理店を廃業する頃にはキャッシュレス化が始まり、今では給与天引きされずカード払いが多くなっているでしょう。だから集金なんて必要ありません。

それでも毎月21日になると
「集金に行かなきゃ!」
そんな気持ちになることが未だに続いています。












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