こんにちは。
旅行記「トリップ飛田」です。
今回は旅行に関する小ネタです。
神話の兎、伝説の鳥、ただのバカ。
■ おおきな袋を 肩にかけ…
今年は兎年なので「鉄の時代」と題した因幡の白兎が登場する漫画を描きました。
描く際には山陰を旅行した際に撮影した写真を資料にしていました。
山陰は因幡の白兎神話の舞台となった地域ですので、
大国主と白兎を題材にした像や図画が多く見られます。
撮り溜めた写真を見ていて気づいたことがありました。
多くの像で、大国主が白兎に右手を差し出す同じポーズをしているのです。
神話には大国主が赤裸の兎を助けたとの記述はありますが、
具体的に右手を差し出すとは書かれていないはずなのに、
異なる地域・媒体でも共通して同じポーズをしていることを
不思議に思いました。
これは、聖母子像において聖母マリアが幼子キリストを
身体の左側で抱きかかえている姿で表現されることが多いことと同じく、
人間の本能が反映された造形なのでは!?
(母が幼児を左側で抱くことは心臓の位置と関係している、らしい…)
こ、これは新発見かもしれない…。
では、撮影した写真で確認しましょう。
こちらは鳥取県の白兎神社の近くに設置された大国主と因幡の白兎の像です。
左手に袋を担ぎ、右手を兎に差し伸べる像です。
その近くの白兎海岸の案内看板のイラストです。
白兎海岸に面した道の駅「神話の里白うさぎ」の、
ペットボトルのキャップで描かれた壁画と
銘菓「因幡の白うさぎ」の顔はめ看板です。
顔はめ看板の方は、白兎から差し出されたお菓子を
大国主が手に取っているだけで差し伸べているとは違うかも…。
こちらは出雲大社の「ご自愛の御神像」と呼ばれる像です。
鳥取だけではなく島根でも同じポーズですね。
JR山陰線の荘原駅にある像です。
しゃがんで兎と目線をできるだけ同じにする、優しい大国主様。
同じくJR荘原駅にある説明看板です。
ひざのつき方は上の像と逆ですが、差し出す手は同じく右手です。
鳥取の道の駅で買ったラスクのパッケージです。
そしてこちらは鳥取駅南口にある像ですが…、
(明るい間に撮影しろ。)
右手で荷物を持っている!持説崩壊。
…これは、人間の本能的な行動云々とは関係なく、
単に利き手とは逆の手の左手に荷物を持って自由な状態の右手を差し出しているだけでは…。
でも、手を差し出すことによって全体が三角形を形作るので、
作り手が無意識に画面の調和をとった結果かもしれない…。
(レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザにも当てはまる、いわゆる三角構図?)
しかし、すべての像で、兎が左、大国主が右に位置していることは
何か意味があるような気がしてきました。
新たな研究の材料に…ならないですね。
■ ながながし夜を ひとりかも寝む
ある日、人通りも車通りもごくわずかの山道を歩いていると、
突然…
巨大な赤とんぼのような、尾の長い赤色の生物が目の前を横切りました。
古生代の巨大トンボが山奥で密かに生き残っていたのかと
驚きましたが、冷静になって
とIKKOさん調でただの見間違いと自分を納得させようとする。
しかし、姿は見せずとも枯葉の上をガサガサと歩く足音がするため
これは現実のものと思い直します。背負い投げ〜!
恐ろしくなり急いでその場を離れ駅に戻り、
先ほど遭遇した生物について考えを巡らせました。
空を飛んでいたので鳥類だろうと推測できるが、
赤い体に長い尾の派手で巨大な鳥が日本で生息しているのか…?
ペットで飼われていたアマゾンの鳥が逃げ出したか…?
キジが突然変異で真っ赤になった…?
もしかして、あの鳥は伝説の火の鳥、不死鳥だったのでは…!?
不死鳥の生き血を飲んだら不死身になれるとの伝説があるが、
永遠の命が欲しいとは思わないので、自分では飲まずに
捕まえて売れば大金が手に入る…?
…などと意地汚く考えながらネットで謎の大きな赤い鳥を検索したところ、
「ヤマドリ」という日本の固有種の鳥類だと判明しました。
大型で赤い体色、長い尻尾はまさしく遭遇したあの鳥です。
尻尾が縞模様なので、アキアカネに見えなくもない。
柿本人麻呂に詠まれた「あしびきの山鳥」とはあの鳥だったのか!
山に棲む鳥全般を「山鳥」と総称するのかと思っていた(教養がない)。
しかし、あの目立つ体で自然界で生き残れるのだろうか…と思いましたが、
攻撃性が強い鳥のようですし、あの巨体ですので心配は無用でした。
鋭い爪で人間すら攻撃してくることもあるそうです。
正体を突き止めるため写真を撮ろうとしてあの場に留まっていたら、
私も切り刻まれていたかもしれない。
思いがけず珍しくて美しい鳥を見ることができて、
心が洗われるような思いがしました。
…捕まえて生き血を売ることまで考えてたくせに。
■ 最後に
寒かった今年の冬の終わりを告げるような桜の便りも聞こえてきました。
皆様も旅行しやすいこの時期に旅に出てはいかがでしょうか。
面白い発見があるかもしれません。
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