その夜の電話: 今日も楽しく笑えてる？　< 肺がんになり10年 >

2019年06月29日

その夜の電話

　プー先生から渡された「原稿」を持って
　重い足取りで　アパートに帰宅した

　何だか　体に変な力が入ってしまって
　出廷を前に　変な緊張感が出て来てしまっていた

　食事・入浴を終えても　
　身体の緊張が解けない感覚が続いていて
　
　明日の仕事　休みたいな・・・
　などと考えていると　スマホが鳴った

　もう　夜の１０時もとうに過ぎていた頃だった

　次男からだった

　いつもとは全く違った　沈み込んだ声

　「お父さんに対して
　　電話でひどい言葉で罵ってしまった」と

　父が　相手方の証人になるということは
　娘に伝えた後に　息子達にも一応報告してはおいた

　次男の結婚式には　夫は出席を遠慮してほしいという
　相手方のご両親の申し出については　

　顔合わせの後に　私からメールで伝えておいた

　この頃は　夫の仕事が忙しく残業続きだったため
　なかなか直接会って話せなかったのだ

　それについて　夫からは
　" なぜ　父親なのに出席できないんだ！！！ " と
　やはり　メールで返信が来ていたが・・・

　次男は（他の子供達もだが）父が大好きだったので
　
　結婚式に呼べない状況を　彼なりに申し訳なく思い
　仕事帰りの道すがら　ご機嫌伺いがてら電話した、と
　（さすがに　帰宅してからの電話は無理と思ったらしい）

　すると夫は　" 父親に対して　どういうつもりでいるんだ？"
　と言うような事を　大声で言い出したらしい

　これには　さすがの次男も呆れてしまったらしく

　 " 父親のくせに　いい歳してお母さん困らせて何やってんだよ！＂
　と言ってしまったと

　それに対して　夫も　
　" それとこれとは話が違う　これまで育ててやったのに！＂と怒鳴ったと

　次男は　
　この状況を生み出している原因が自分なのに
　全くそれを認めない父に対して　相当な嫌悪感を抱いたらしい

　それで　とてつもなく酷い言葉で罵ったと言うのだ
　
　どんな言葉だったのかは　いまだに教えてくれないが・・・

　最後に　決め台詞のように

　「お母さんが　裁判まで持ち込んだのは　アンタのせいだからな！！
　　
　　病気のお母さんがいるのに　
　　相手方の証人になるなんて　最低の男だ！！！

　　でも　お母さんは　もっとすごい証拠を持ってるんだから
　　これ以上　嘘をつくのはやめろ！！！」

　
　と　夜の住宅地を歩きながら　電話口で怒鳴ったらしい（笑）

　
　これ以上の証拠？？？

　それについては　私にもまったく見当はつかなかったが（笑）

　次男からのその電話で　それまでの変な緊張感が
　体全体からスルスルと抜けていくのを感じた

　「ありがとう！！

　　お母さんには　君たちというこれ以上ない味方がいるんだよね

　　今日も先生とお話しして来た！

　　出廷に向けての　想定問答を読み込む宿題もいただいて来たよ

　　父に負けないように　母も頑張るね！！！

　　君も　そんなに気に病まないで　明日の仕事も頑張って！！」

　
　なんだかとってもスッキリして　
　改めて気合いを入れ直すことができた夜だった

　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　