アフィリエイト広告を利用しています

2024年09月12日

日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較8

3 日本語の文法関係の表示

3.1 対格型言語と従属部表示

 自動詞文と他動詞文の主語が同格で、同時に他動詞の目的語の格が異なる場合、その言語は対格型言語と呼ばれる。(ウィキペディア 言語類型論)

(4)一郎が勝つ。
(5)一郎が打球を追う。

 自動詞文にも他動詞文にも主語に「が」格が使われているため、日本語は対格型言語に属する。主要部と従属部の関係は、修飾と被修飾及び動詞と項の関係から見ることができる。日本語は文のレベルで見ると語順が自由であるが、下位にある語句について考えてみると、そこには一定の法則がある。つまり、形容詞と名詞からなる名詞句の場合、文法的にも意味的にもAがBに従属し、Aは必ずBに先行する。(表1参照)

(6)カメラの前で一郎は花子に黄色いリボンを付けさせた。

 ここで注目する語句は「黄色いリボン」である。この場合の「黄色い」の活用は連体形であり、「リボン」に形態的に従属し、さらに「黄色いリボン」は「リボン」の一種であって、「リボン」を具体的に説明している。つまり、日本語の名詞句は従属部により表示されている。 
 動詞と項の関係について見ると、項は名詞につく格助詞で示されるため、ここでも語句のレベルは従属部による表示と見なされる。

(7)明日の運動会には弁当を持参する。

 動詞句「弁当を持参する」の格助詞「を」が表示マーカーになり、「弁当を」という対格の項による従属部表示が見て取れる。

花村嘉英(2018)「日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較−言語類型論における普遍性を中心に」より
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/12702010
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
ファン
検索
<< 2024年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
花村嘉英さんの画像
花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
プロフィール