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2024年09月12日

日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較5

2 融合度と総合度

 アメリカの言語学者サピア(1884−1937)は、上述の形態の分類を融合度と総合度という目安に変えて、世界の言語を分類している。筆者もこれらの指標を用いて日本語とドイツ語の分類を試みたことがある。(花村 2015)
 諸言語を分類するために、世界中の言語の文法過程を研究し続けたサピアは、言語概念を次の4つに分類した。(T)根本概念、(U)派生概念、(V)具体的関係概念、(W)純粋関係概念。
 表3の縦の分類は、概念を言語記号に移すことに関わる問題である。一つは、語幹概念を純粋なまま保持しているかどうか、また一つは、基本的な関係概念に具体概念が混ざるかどうかにより、純粋関係言語(A単純とB複雑)と混合関係言語(C単純とD複雑)を区別する。前者はAとC対BとD、後者はAとB対CとDになる。
 一方、横の分類で(U)の派生概念は、語幹要素に非語幹要素を接辞して、語幹要素に特定の意義を添加する。例えば、英語のfarmerのerは、行為者を表す接尾辞のため、farmerという語は、特定の動詞の習慣的な主語になる。
(V)の具体的関係概念も語幹要素に非語幹要素を接辞することで表現されるが、派生概念より隔たりが大きい。(例、booksのsやdepthのth)
(W)の純粋関係概念は、命題中の具体的な要素を相互に関係づけて、明確な統語形式を与える。(例、数、性、格の照応)

花村嘉英(2018)「日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較−言語類型論における普遍性を中心に」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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