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2024年09月12日

日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較4

(2a)彼女にすぐ電話をかければよかった。(花村 2017)
(2b)彼女に電話をすぐかければよかった。
(2c)電話をすぐ彼女にかければよかった。
(2d)電話を彼女にすぐかければよかった。
(2e)すぐ電話を彼女にかければよかった。
(2f)すぐ彼女に電話をかければよかった。

 また、(2a)から(2 f)は、日本語の語順が自由であることを述べている。但し、単文レベルで語順が自由といっても、文脈の中に入れば、テーマ・レーマや代名詞による調節から語順が決まる。

表2 
言語 形態 語順の自由度 活用ありなし 活用の意味合い
中国語 孤立 固定なし 活用なし 語順で語と語の関係がわかる。
日本語 膠着語 高い あり 後続のことばに対応。
韓国語 膠着語 高い  あり 後続のことばに対応。
ドイツ語 屈折語 高い あり 人称の変化に対応。格の問題あり。
フランス語 屈折語 低い あり 人称の変化に対応。格の問題あり。
英語   屈折語 固定 あり 人称の変化に対応。格の問題あり。
ラテン語 屈折語 最高い あり 人称の変化に対応。格の問題あり。

 ゲルマン諸語は、従属文で動詞が後置されて枠構造を作るために、ドイツ語は、通時的に日本語と同じ語順のSOVと見なされていた。

(3a)Er geht sofort hinaus.
(3b)Seine Mutter sagt, daß er sofort hinausgeht.

 しかし、現代ドイツ語では、SVOを基本としている。従属節は、有標の従属接続詞(daß)を用いるため、主節に特殊な形態は現われない。そのため、通時的な古い語順は従属節に残るが、次第に基本語順SVOに推移したとされる。また、フランス語に比べて、ドイツ語は、修飾語が名詞の前に来るため、語順の自由度も高くなる。(ウェイリー 2006)

花村嘉英(2018)「日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較−言語類型論における普遍性を中心に」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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