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2024年09月12日

中国から日本に伝わったことばや文化について12

5 医学

5.1 漢方

 漢方は中国伝統の薬学である。漢代にその基礎的な理論と方法論が確立し、その線に沿って中国の医学は進んでいきた。日本へは、小野妹子とともに遣唐使(630−894)として唐へ渡った留学生が、帰国時にたくさんの医学書を持ち帰った。このころから中国との交流が盛んになり、医学の情報もたくさん入るようになってきた。しかし、鎌倉時代までは、僧侶が祈祷を交えて医師として活躍した。室町時代(1338−1573)になると、実験的な治術が発達した。
 江戸時代になって、諸大名が自分の領内で漢方薬を研究し、次第に日本の風土や日本人の体質に合ったものに改良された。原料のほとんどが植物であるため、本草とも呼ばれている。鎖国中も長崎を中心にオランダ医学が紹介され(例えば、解体新書:ターヘルアナトミア)、中国でも日本でも知られていなかった神経やリンパ管が明らかになり、漢方も一段と進歩した。明治時代になって、軍人を対象とする軍事上の理由から外科が主流となり、西洋医学(ドイツ医学)が漢方医学にとって代わった。こうして漢方は、日本の医学の表舞台から姿を消していく。しかし、有効性は否定しがたい部分もあり、中国はもとより日本でも民間レベルで今でもかなり用いられている。

花村嘉英(2018)「中国から日本に伝わったことばや文化について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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