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2024年09月12日

中国から日本に伝わったことばや文化について6

【火薬と羅針盤】
 印刷術は、火薬や羅針盤と並ぶルネサンス(14世紀前半)三大発明の一つでる。写本から活版印刷へ技術が進歩したため、文芸や自然科学の知識も瞬く間に一般大衆に普及した。現代のIT革命に匹敵するほどである。ドイツのマインツにあるグーテンベルクの博物館では、彼の活版印刷術が紹介されている。1455年に旧約・新約聖書(ラテン語版)が印刷された。聖書のドイツ語訳は、マルチン・ルター(1483−1546)によるものである。宗教改革(1525−1545頃)のためにヘブライ語及び古典ギリシア語から翻訳された。
火薬も羅針盤も中国での発明が西洋より早かった。火薬は、南宋の時代(1127−1279)に発明され、元寇の時(文永の役(1274)、弘安の役(1284))に日本の武士を驚かせた。元(1271−1368)は、日本との通交を求めるも失敗に終わった。火薬は、イスラム世界を経由してヨーロッパへも伝わり、欧州でも火薬を使う兵器が開発され戦力は増大した。
 羅針盤のおかげで航海術が発達し、明の時代(1363−1644)には永楽帝(1360−1424)が鄭和(1371−1434)を中心に南洋、例えば、東南アジア、インド、アラビア半島、アフリカへ朝貢を求めて1405年に船団を送った。朝貢とは、中国を中心とする貿易形態である。中国の皇帝に対して周辺国の君主が貢物を捧げ、これに対して皇帝側が恩寵を与えるという形式で成立する。鄭和の船は、70年後に訪れる大航海時代の5倍から10倍の大きさがあったといわれている。

花村嘉英(2018)「中国から日本に伝わったことばや文化について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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