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2024年09月12日

ことばの呼応とその機能を比較する−英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に4

1.3 限定詞と名詞の呼応

 名詞は限定詞を下位範疇化するため、NPの統語論と意味論の分析は名詞と限定詞間のインデックスの呼応を想定させる。everyのような量化の限定詞の場合は、限定詞により選択されたN’のCONTENT値〔INDEX|NUMBER plur〕が限定詞のCONTENTにあるRESTRICTED-INDEX値を指定するため単数名詞とのみ結合する。インデックスとアンカー上のNUMBERの指定間に制約を設けると、英語の場合は次のようになる。
 
(13)every man
(14)*every men
(15)*all man
(16)all men

 ここで、everyは非集合体の限定詞であり、allは集合体の限定詞となる。主語と動詞の呼応についても同じように考えることができる。

(17) Every student is/*are Chinese.
(18) All students *studies/study very hard.

 一方、theとnoのような限定詞は、NUMBER値を指定しない。

(19) No/The teacher writes reports.
(20) No/The teachers work very hard.

 VPとNPの呼応の素性は英語の場合、語彙の主要部の素性と呼応する。これを処理するために、ここでは呼応の素性を主要部の素性(Head Feature Principle)とはせず、代わりに異なる原理を設定することにする。意味の原理は、呼応の素性が属する意味内容を共有するようにNPに要求するため、NPは主要部の呼応を一緒に使用することになる。しかし、英語の場合は、動詞や動詞句の呼応が主語に相応するSUBCATの要素のインデックスに係るため、この要素がVPとその語彙の主要部(下位範疇化原理)により全体で共有される。

花村嘉英(2018)「ことばの呼応とその機能を比較する−英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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