アフィリエイト広告を利用しています

2024年09月12日

ことばの呼応とその機能を比較する−英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に3

1.2 動詞と引数の呼応

 言語が指示的な指標を指定する語彙の形式(例、動詞、形容詞、前置詞および限定詞)を持つ場合、こうした語彙の形式の屈折語尾の語形変化表は、異なる指標の呼応の条件を含むことになる。例えば、英語の人称と数に関する主語と動詞の呼応とか数に関する限定詞と名詞の呼応とかドイツ語の数と性に関する限定詞と名詞の呼応などが考えられる。
 特に、動詞が主語のNPのインデックスについて情報を指定するという立場を取ると、動詞形はこれらのインデックスと関連する特定の素性の指定に従って変化する。英語の主語と動詞の呼応とか世界の多くの言語に見られる直接及び間接目的語と動詞の呼応に関する論理的な根拠が得られるからである。この枠組みでは、三人称単数現在の英語の動詞形は(12)のように表すことができる。 

(12)≪CATEGORY[HEAD[VFORM fin],SUBCAT〈NPnom@[3rd,sing]〉], CONTENT[RELATIONrun, RUNNER@]≫

 三人称単数の動詞とは、主語と関連する指標に三人称単数の呼応を割り当てることである。英語の呼応のための屈折とは、屈折語尾の語形変化表の中に動詞の屈折形態と主語への呼応素性の割り当てが見出せるということをいう。
 英語の主語と動詞の呼応に関するその他の点は、動詞の主語のSUBCAT要素上のNUMBERの指定が主語の数の形態によって反映されることである。

花村嘉英(2018)「ことばの呼応とその機能を比較する−英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に」より
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/12701878
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
ファン
検索
<< 2024年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
花村嘉英さんの画像
花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
プロフィール