「えー」笑〜からの電話にベルモは衝撃を受けました
もう日が回る寸前ぐらいに
笑〜からLINEが入り、今日はありがとう起きていてお疲れじゃないならお話があるの電話の録音もパソコンに今送ったんだけど、夜分遅くにごめんね。寝てたり、タイミング悪ければまた。。。と入ってきたので、
ベルモは寝住まいの離れをこそっと抜け出すと境内の蓮池のほとりで笑〜に電話をかけました。待ってましたかの様に笑〜が電話に出ると
「あのね。。。もしかしたら、あの白骨死体の男性の身元がわかったかもしれないの。あの電話は。。。お兄さんかもしれないの。、」と笑〜が言うので、ベルモは思わず
キョロキョロと辺りを見渡し、パッキンキンさんが居ないのを確かめると
「えーそれ本当」
「そうなの。。。それが。。。なんだけど、その人が言うには。。白骨死体は弟かもしれないって、でその弟の名前が吾朗太なんだって。。。吾朗太って。。。もしかしたら、私と葉月さんが緋夏さんの殺人未遂事件の拘置の審理の供述に立ち会った時に緋夏さんの元旦那さんが吾朗太って言うのを思い出したのよ。。。なかなかない名前だし、葉月さんとゴロウじゃないんだ、兄弟の五番目かしらとか適当に話していたの。年齢も東京出身も。。。手がつけようがないぐらい横着だったらしいのも。。。すっぽり当てはまってて。名前の漢字もやっぱり一緒なのよ。。。」
「えーな、なんですって。。純ちゃんから相談を受けた時。。どうも緋夏さんの前の旦那さんは暴力を振るったり働かないとか働いても詐欺みたいなヤバい男性だった可能性があると聞いて。。。そちらの娘かもしれないって悩んでいたけど。。」ベルモは以前純ちゃんから身の上相談を受けていました。
あの白骨死体。。パッキンキンさんが緋夏さんの前の旦那さん
「吾朗太さんって男性は家庭が複雑だったみたいで。かなりね。」
「家出少年とかそういうところかしら。。」「ウーン。。というか、家庭環境自体なかなか複雑な事情があるみたいで。」「まあっ、それじゃ、お兄さんってアレかな。あちら側の人。」ベルモは電話越しなのに頬をシュッと斜めに切るジェスチャーをしました。
「いや。全然違う、全然違うもう、ヤでもなくチンピラでもなく外務省の高級官僚みたいだよ。。後で紳士録調べてみて。三太夫って言う。。」「はか、官僚。。」ベルモは一瞬どういう事よ、と思ったものの。。。あっ、たまに、政治家の家系の人がどうしようもなくろくでもないにっちもさっちも行かない娘や息子に手を焼いてなんとかしてくれと木蓮寺に駆け込んできたり、高級官僚がどうしようもない息子を殺害したニュースが流れたりした。
まぁ、プルメリア警察署の人々は幸せに働いているけれど、離れた地方からわざわざ子どもがグレましたと助けを求めて木蓮寺に相談しにくる警察関係者も見てるし。聖職者や一流の家系にも影なる汚点と闇がある場合があり。。。ベルモからしたら、育てた方も方だし世間様への表向きの知らないドロドロした修羅場をお寺の相談に持ち込まれるのは日常事に過ぎないしエリート一家の異端児を見るのはそれほど珍しくない事だ。そつなく何でもできて当たり前の挫折を知らない親が子どもを産み育てても
必ずしも出来て当たり前というわけじゃないし。
グレた子どもの方も十ゼロで全面的に悪いわけじゃないとは思う。外面がいいわりに最後の砦である家庭で威張りチラシたり理不尽な物事を強制強要したり暴力を振るったりする父親や男性はいるのだ。勿論全部が全部じゃないにしろ、外面が良くて弱い人はストレスの我慢の限界を家庭で吐き出しているのです。温かな家庭を作るどころか、ストレスの発散場を家庭にしているのです。そんな全く自分に非がないと思い込んでいる親がくると
まずは、子どもより親を強引に
寺に放りこんで丸坊主にしてやり根性を叩きなおしてやりたい気持ちになります。
あー、そっか、あのパッキンキンさんは、もしかして家系の異端児って奴かなぁ。「じゃ。。。家を勘当でもされてたのかな。」「って。。。わけじゃないみたい。なんせその三太夫さんと弟さんは、そもそもはヤクザの組長の本妻じゃなくて愛人の子どもだったみたいで。剣崎組って言う。。東京のね。今はもう、組長も亡くなって組もないみたいなんだけど」
笑〜がそう言うとベルモは、小学生や四歳の幼児が愛人がとか、する会話じゃないわね。だから私は職業病で耳年増と呼ばれるんだわ。天国と地獄悲喜交交の参拝客と人生に疲れ果てた相談者が交差する木蓮寺育ちのベルモ酸いも甘いも噛みわけながら今から私はこれでいいのかしら。。
と思いつつも。。「で。。。環境はどうあれお兄さんはエリートで。。」
「子どもの頃から神童と呼ばれた三太夫さんは、ヤクザの道も愛人の子ども育ちにもしたくなかったみたいで。。。子どもの頃にしっかりした家に養子に出されたみたい。。。」親がヤクザでも子どもが可愛くて跡を継がすどころか絶対ヤクザにしたくない親は幾らでもいる。三太夫は子どもがいない大学教授の家庭に引き取られていきました。当時は養父は助教授でしたが。顔は可愛くて素直で聡明。。ヤクザの子どもだからのちのち面倒な事になるのかと心配がありましたが、そこはサッパリ無理な頼み事や貸し借りは一切しない、
とにかくヤクザの組長の三太夫の父親は、三太夫を闇社会や愛人の子どもから足を洗わせて
裕福なしっかりした家庭で将来的になんの差し支えもなく羽ばたいて欲しい。と言うお互いがお互い願ったり叶ったりの利害が一致します。
親が
反社会ではこれから進学や就職に大変な影響がでます。それに家にいてもいつさらわれたり命を狙われるかわかりません。
しかし、組長の本妻の要がこれを面白く思いません。要の息子たち太朗も次水も三太夫に比べて馬鹿だし手がつけようがないろくでなしに、三太夫の一つ歳下の四朗は真逆の臆病だし。
しかし。。。三太夫の父親、剣崎組の組長剣崎蓮気の言う事は絶対であり、本妻の要も愛人のなつめも息子たちも親分であり旦那様の蓮気には逆らえません。ヤクザは愛人がいて当たり前だと本妻は割り切ってはいたものの。。。跡取りを産んでいい気になっていた要すら、ヤクザの息子は外道、本家本元はそれでいいそれこそだと思い込もう思い込もうと頑張っても
どうにも優秀な愛人の子どもを表街道お天道様の元を歩ませ様とする三太夫をよそに手放しても
跡取りでなくても、本妻ははっきり言って面白くありません。また愛人のなつめに子どもができた事を察した本妻の要は。。。。
もしかしたら、なつめを毒殺した可能性がありますが、しかしながら、出産時亡くなったなつめのお腹の子どもの吾朗太だけは奇跡的に助かりました。
母親のなつめが亡くなった三太夫と吾朗太は
父親蓮気と本妻要に引き取られますが、三太夫が十歳、吾朗太が二歳の時に将来の為に三太夫は兼ねてからより話がついていた裕福な大学助教授夫婦に養子に出されます。
本当はヤクザの父親の蓮気だって寵愛していた愛人の子ども、聡明で優秀な三太夫が可愛いし、手元に残したい気持ちはやまやまなんだけど。。。いかんせんこの子は優秀すぎる、将来性がある。
忘れ形見と言ってはなんだけど、愛人なつめとの子どもはもう一人吾朗太がいるし。と蓮気は割り切りました。
幾ら三太夫が聡明で優秀で素直な自慢の息子だからと言って世間様はヤクザにそう甘くないんだ
組長蓮気は家にあまりいないし。本妻の要は子分や子分の奥さんに三太夫や吾朗太の世話を丸投げで。愛人の子どもで置いてもらうだけでもありがたいかもしれないけど、
冷たい本妻の要が心配になり、三太夫は弟の吾朗太も一緒に里子に出して欲しいと思ったものの。。。まだ子どもだったし。。父親の蓮気がいる。。。蓮気には本妻の要も逆らえないし。。
後ろ髪を引かれる思いで。。三太夫は里親のもとにいきました。
「ところが。。。組長の蓮気は抗争で吾朗太が小学生の頃に亡くなってしまったみたいで。剣崎組は他の幹部が引き継いだみたいなんだけど。。。四朗さんという本妻の三太夫さんの一つ下の息子さんが吾朗太をかばってきたものの、本妻の要やその長男次男は臆病な四朗さんと愛人の子の吾朗太にかなりきつく当たったみたい。。。蓮気が亡くなると三太夫さんはこっそりと吾朗太を心配して里親に内緒で連絡を取るんだけど、吾朗太はお前は俺を捨てたくせにとか、お前だけ堅気になりやがってと突っぱねたみたいで。吾朗太はもう小学校の頃からかなりぐれて少年院にも出入りしてたみたいなんだけどね。」
笑〜がそう言うのでベルモは、
「なんだか複雑よね。本当の親元にいない方が幸せって人も世の中には結構いるかもしれないって私も里親育ちだけど、木蓮寺の家族にならなければ僧侶になってないかと思うとゾッとするもん。考えられないわ。金星でノホホンと地球も日本も僧侶も知らない人生なんて。。。考えるだけで恐ろしいわ」と言うので、そんな若い女の子がちょっと考えられない感覚に笑〜はエッと驚き思いながらも、世の中には自分が理解できない性質の人もたくさんいるし。自分以外はみんな違う。。。こういう発想の人こそいち早く世の中のラットレースから抜け出せるんだわと大きく感心しながら
「まぁ、吾朗太さんて人は、父親がヤクザの組長の絶対家長権限で、兄の三太夫の事も自分がヤクザの愛人の子であることも、母親が亡くなり要は血が繋がりない事もはっきりと子どもの時から知らされてきたでしょうし。グレたくなるのもわかるけど、でも。。。吾朗太は、緋夏さんの元旦那さんの可能性が高いのよ。年齢的にも、珍しい名前にも、三太夫さんの話しだと東京出身って事もね。。白骨死体から血液型はB型だと判明してるんだけど、吾朗太もB型らしいし。。。」
「純ちゃんの父親かもしれないのね。。。純ちゃん。。。どちらかと言うと性格的に俊さんに似てると思うんだけど。。横着なんて考えられないし。。でも、、顔はどちらかと言うとこの吾朗太さんのモンタージュの方が似ているよね。。。」
「父親が俊さんが吾朗太さんかはどちらかはわからないみたい。。で。。。近いうちに有休を取り、三太夫さんがプルメリア警察署に来るみたい。もしもそうなったら、私と葉月さんも三太夫さんと面会するのよ。いまのところ、メトロポリタンチャンネルには、三太夫さんの情報はマスコミには流さない様に口止めしているわ。まだ三太夫さんとは電話で話したぐらいだし。」
「テレビで公開捜査したかいがあったのかな。でも。。。あの白骨死体の男性が。。もしも。。。緋夏さんの前の旦那さんとしたら。。。まさか。。。まさか。。。緋夏さんや俊さんが。。」
緋夏さんと俊さんが一緒になる為に。。吾朗太さんを。。。でも吾朗太さんは
ヤクザの子どもだし、グレーな生活を送ってきたようだしそっちに消された場合もある
事故や自殺だってある。。。
笑〜から夜も遅いのでまた詳細を追って連絡するからおやすみなさいと電話を切ると寝室の森沢宅の離れにもどりかけました。
はっきりするまでは、パッキンキンさんにあなたの正体がわかりかけたという事は黙っておこう。
パッキンキンさんが。。。緋夏さんの前の旦那さん。。もしかしたら、純ちゃんの父親
亡くなって幽霊になり生前の記憶が消えているパッキンキンさん。。。彼は例の吾朗太なのか
パッキンキンさん。。。三太夫さんという人の弟の吾朗太。。。。。はっ、
すると。。。パッキンキンさんが、ベルモの目の前にやってきます。明日早く起きれるかと共に
ちょうど吾朗太の事を考えていた
ベルモが虚をつかれたようにパッキンキンさんを思わず見つめると
「ガキは早く寝ろ景観が崩れる」ムカッ
どこからともなく帰ってきたパッキンキンさん
深夜いつも皆んなが寝静まり静寂な境内に今日は深夜すっかり眠ってるベルモが出ていてなんとなく縄張りを荒らされた気になったのでしょう。
居候のくせにどっちが邪魔ものよっベルモはムッとしました。。。
「な、なによもうっもう。。いろいろ教えてあげない」
「いろいろ教えてあげないだとテメー、デブ、なんかオレの事知ってんのか」
はっしまったー
2020年10月21日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10285345
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック