「へープルメリア島なんて。。スッゴく平和な島かと思ってたんだけど。。」キャッキャッリビングからにぎやかな声がします。
生放送、パーフェクト・サーズデイ。。あ、ああ、あの番組ね。
名古屋で、小料理屋蝶々の女将で、南風の母親の舞は、久しぶりに休暇を取って、お店を従業員に任すと、以前から約束していた
旦那さんの未森の会社の経営者関係者の表彰式とお昼のホテルのパーティーに付き添い、たったいま、十九時ごろ帰ってきたので、久しぶりにリビングで寛ろごうとすると。。。あらっ。。
近所に住む母親の峰がすでにやってきていて、娘のココアと一緒にTVを観ています。ビーフシチューの豊かな香りが鼻をくすぐります。。
ただいまと同時にあったかごはん。。。舞は。胸が痛く熱くなりました。
料理大好き舞の息子の十一歳の
ハリーが、キッチンでビーフシチューを煮込んでいます。いままでは、ほとんど週に5日以上。。土曜日すら、お受験の為に塾へ行っていたハリー。
シカシ、ハリーは、自分の敷かれているレールに嫌気がさして、塾をエスケープして、家出騒動を起こして神楽町の異父兄さんの喫茶店南風のマスターのグーと、神楽町の近くの憧れの島のプルメリア島へ。。。
ハリーは、プルメリア島への家出騒動から、ひとまわり自分が成長した気がします。父親の未森の会社の跡取りの為に、行きたくない塾へ行かされる日々。。妹のココアが、「お兄ちゃんてさ、別に無理して塾へ行く必要なくないアタシよりずっとずっと賢いし。。行かなくてもできるじゃん。」と言ったのを、未森の母親の天音に聞かれて、「まぁっ、なんて子なんだい舞さんそっくりの勉強嫌いの遊び人だよ。」と天音に言われたココアは、「パパの方のおばあちゃん嫌い」といつも言っているのでした。確かに、天音はハリーを跡取り、跡取りと可愛がってココアは女の子なのでどうでもいい扱い。、
ハリーが無事に戻ってきたあの日は、警察署に、舞と未森の両方ともの両親がそろったあの時、舞の実家の両親の峰と焔に、
未森の両親。。も警察署に駆けつけて。。というか、未森の父親のマサルは、なんにも言わずに、母親の天音が食ってかかったのでした。峰は、娘の旦那の未森に相当に良くして貰ってはいるものの、娘婿の母親の天音が、どうも初婚の東京の姑の志乃にそっくりなのでやっとあのBBAは死んだと思ったのに志乃の亡霊じゃあるまいしと腹が立って
ここぞとばかりに峰が、しゃしゃり出る天音を攻撃したのでした。峰らしくうまいやり方で、さも、孫のハリーを尊重しながら。。キツめに天音に注意します。
峰の旦那さんの焔は、娘婿アチラの実家が警察署に来るに決まってると分かっていたので、アチラの天音の気性もわかっていたので、舞と義実家がこじれる原因になるし、娘婿の未森にも嫌な思いをさせたくないので、
喧嘩好きの峰を引き止めようとしましたが、峰の、「アンタは、自分の可愛い孫が無事で帰ったのに婿の親が顔を出して、ウチが顔を出さないなんて。。情けないったらサッサと行くよ車をお出し」と、尻を叩いて旦那の焔を引きずり出しました。もともと幼なじみの焔は、峰が、資産家の娘で気が強く、庶民の自分ちとは家の身分が違うという名残が潜在的にあったし。小さな頃から周りの中心にならないと気が済まなくって言い出したら断固聞くわけない。。峰の尻に敷かれています。
確かに峰の言う通り、私たちも顔を出すべきなんだけど。ハリーが無事戻ってくれておめでたい席で、実家同士の揉め事なんて焔は心配しました
峰は、警察署に警官達がいるし、知人警官もいる今時理不尽な事を娘婿の実家が言っているので、足元を見てさも、正義感をふりかざして、「ハリーが無事で何よりじゃないですか。ハリーは道具ではありませんよ。ハリーは、命懸けで私たちにSOSを出したんです。ハリーの気持ちも聞いてあげましょうよ。」峰にしては、まともな話をすると、警察官達からも、そうですよー、そうだ、そうだと援護射撃が出て峰はそれも計算づくで、わざと乗り込むのでした。天音は、「しかしね、ウチは代々。。会社を。。。」と言いかけましたが、峰は、「代々と言っても、未森さんで3代目だとお聞きしましたよ。御子息が三代も素晴らしいですが、歴史がある大きな会社ほど、適材適所を考えるのです、そりゃ、お宅さまは優秀な方々が三代も続いた事は、素晴らしいです。でもね、ハリーも確かに優秀ですよ。ただ、ハリーは、会社経営より、それよりもっと適した素質があると思いますし、何より本人の意思が大切なんじゃないでしょうか。」峰流に、相手も相手で褒めといて、相手の非を指摘して、自分の意見を押し通す峰は相手が鼠なら猫になり、猫が相手ならライオンになればいいという考えで。
とにかく、うるさい奴は、言うと面倒だから黙っていた方がいいと言う人の気持ちがわかりません。
言われた天音は、「しかし、ウチはウチの事ですよ。舞さんは嫁いで来られ、ウチの嫁で、ハリーは、私たちの大事な内孫です。ハリーも、ウチの事業を継げばなによりも、将来的に安泰ですわ」天音は向こうっ気を出しましたが、
峰は熱くなったかと思えば今度は涼しい顔で、
「そうでしょうか、世の中何があるかわかりませんし。なによりも、本人の気持ちを尊重しないと。ハリーに限っては絶対無いと信じますけどね、例え裕福で優秀に産まれたとて、自分のやりたくない事を押し付けられて、自殺したり、病気になってしまう人だっているんですからね。」
天音は、「そんなこと、ハリーがあり得ないじゃないですか」とキレたものの、それを旦那のマサルが制して、「で、ハリーは、どうしたんだい。」と尋ねました。なにか横から、天音が口を挟もうとしましたが、しかし、いつも大人しいマサルが、キッとキツイ目で睨み、「大事な話しなんだ、黙りなさい」とピシャッと言ったので、普段から穏やかなマサルが。。。と、天音も息子の未森もボーゼンとしてしまいました。。。
ハリーの父親の未森は、どうしたらいいかわからず。。母親の舞も、ハリーは、大嫌いな未森の実家が贔屓して、女の子がどーしても欲しかったので、ハリーとは距離があり、どう接していいかと正直思っていましたが、、
舞も未森も夫婦して、生きていて無事でハリーが戻ってくれた事だけ良かっただけど、どうしたらいいか、オロオロ身体が動きませんでした。
あの日の出来事は、結果的にハリーの分岐点になりました。父親方の祖父のマサルが、もう私たちの時代じゃないし。薄々どこかで、ハリーにその気がないなら会社は、こちらでどうにかしないとと覚悟していた、と、言いました。私たちは、梨園でも皇族でもないんだよ。そんな大そうな家じゃない。
ハリーは、異父兄の南風のマスターのグーのアドバイス通りに。。
僕はどうしても料理界に進みたいし、それがだめなら三十歳までは自分のやりたい事をさせて欲しい。そっから会社を継ぐ事を考えるから。。。塾も、週に五日はキツイ受験もしたくないだから、僕は家を出たんだと、本音を言いました。
マサルは、峰に、「奥様ありがとうございます。奥様よく言ってくださいました。」
ハリーは、中学受験も辞めて、塾も行かなくても大丈夫なぐらいで行く必要がないので辞めてしまい、
舞は、あの時は、峰が輝いて見えた本音はきっと、気性が激しく思い通りにしないと気が済まない姑の天音を叩く事が目当てなんだろうけど。
峰は同族嫌悪で。自分と同じようなわがままで周りを振り回すものを潰しにかけるのが面白いのだ。
ハリーが、塾を辞めてから、だいたいはハリーが晩ごはんを作るようになったし。今日も、ハリーがビーフシチューを作ったので、峰に電話して、一緒に食べるか、仕事から帰った焔と一緒に持ち帰って食べて欲しいと言ったようだ。峰は、じゃあ、爺さん仕事が終わったら、舞んちに来いと電話したから、
と、峰は勝手に娘の舞の家に焔を呼ぶと言い出します。舞は、呆れながらもハリーの事で両親には恩もあるし。。なにより、ハリー自身が、祖母夫妻を喜んで招き生き生きしている。。ハリーが、一皮むけたような。。。
ハリーが塾や中学受験をしない事に対して
天音は喚いていたが、いつも大人しいマサルが、ハリーの人生に変えられないだろと本気で怒り、これ以上我を通すなら離婚するぞ金はキチンと支払う、と言い出し、さすがの天音も真っ青になりました。
「お帰り、ママ見てみてー。凄いよー。プルメリア島の事件だってー。こないだママと行ったよね。」ココアが、舞に話しかけました。
ブラウン管からは、パーフェクト・サーズデイ。。司会のお笑いの大御所の月寒雪之丞を中心に、肯定派、否定派陣営の怒号が飛び交っています。
よく見ると、先日パーフェクト・サーズデイのスペシャルで、プルメリア島で白骨死体が発見されて。。あっ、そうだ、
あのスペシャルの生放送の時は、
舞は仕事の準備がてらに何気なく、いつもと違う時間帯の放送を、あっ、プルメリア島だわ。。ここへ、行ったわね。と、それに、美しいものを巡るシリーズだったし、舞は、小料理屋蝶々の女将として、インテリアや食器や着物など、美的センスを問うものに興味があるので、
美しいもの巡るシリーズが、スペシャルで日中放送でラッキーと、
観ていたら、急に、あの美術家のヴィーナスが、海中宮殿で白骨死体を発見したのでした。最初舞は、パーフェクト・サーズデイなので、サプライズやお笑いもあるのでドッキリかと思ったのですが、どうやら。。。生放送中の。。放送事故というか。。。
その時の白骨死体の生前を霊視すると言う霊能者が出演するらしい。。
しかしながら、舞は、「えーサムって。。霊視肯定派なの。う。。嘘だー、極悪ランドの北郷ジョージも。。。」毒舌のサムことアフリカ象の月寒雪之丞や、極悪俳優の事務所のリーダーのイノシシの北郷ジョージが。。
霊能力肯定派ですって
しかし、峰は、「別にいいじゃないか。こーゆー人たちこそヤラセはきかないし。」と峰が言ったので、舞はそれよりさらに驚きギョッとしてしまいました。
霊能力なんて、金儲けや慰め話しだろ、と子どもの頃から言っていた峰が。。
しかし、峰は。。不思議な夢を見たり、亡くなった一卵性双生児の姉さんの鷹の霊らしきものも確かに観た。。。
ブラウン管の向こう側で、いい歳をしたそうそうたる一線で活躍する有名著名人が、国会のヤジの様に怒号が飛び交って。。暫くすると。。。
うわぁ例の、噂の霊能者とやらが登場となり、ヴィーナスのイリュージョンがはじまる。。
最後、紫の霧がかかったかと思うと、紫が濃くなり、果ては闇夜に。。すると、舞台の中央が、キラキラ光りはじめ、太陽とも月とも、日食とも月食とも言えない。。。燃えるような輝きが。。
すると。。。
どからか、まるで、天使の様な透明な澄み渡った。。しかし、どこか艶やかで哀しいような。。鈴を鳴らす様に響く美しい声で、まだ姿は見えず。。奥のほうから。
皆さま、はじめまして。
わたしは、エミコ・デラックスです。今日は、皆さまにお会いできて光栄です。
はっ。。。今まで怒号が飛び交っていたかとは信じられないまるで、時が止まったかの様に。。その惚れ惚れする様な、とろける美声に。。
天使が現れたのか、それとも、女神が天女が、
声の主の姿が全く見えないにも関わらず、
スタジオの、あの高飛車の九尾小夜子が、ボー然と、「ちょっ、ちょ、こ、これは、ルール違反じゃないな、なんて。。なんて声。。」
その美声の感動のあまりに目に薄っすら涙を浮かべ。。ライバルの京風雅も、自分が、映画女優というのを忘れた様に圧倒され。。金魚の様にぽかーんと、口を開けて目を見開き、
さぁ、皆さまへ。。どうぞ、とまたあの幻の美しい声がしたかと思えば。。。
中央の輝きかの中心から、白鳥浮かんだと思えば。。。白鳥は、幸せの象徴の白い鳩となり、パーッとスタジオを舞い上がり消えていきました。。。
また、中央が、キラキラしはじめました。
スタジオ騒然。お茶の間も息を呑み多くの人が、美しい声や演出に釘付けです。。。
あっ。。。
再び、
紫の霧がかかったかと思えば、その中から奇妙なラベンダー色のヴェールを被った。。
謎の人物が現れました。
2020年09月23日
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