2024年02月27日
6時間睡眠の脳は「2日徹夜」後と同じ!?
OECD調査によれば、日本人の平均睡眠時間は先進国の中で最短。睡眠を削って働いている姿が浮かび上がるが、睡眠には適切な質と量があり、6時間睡眠の人は、徹夜組と同じパフォーマンスしか発揮できない。生産性を上げるには、日本人はもっと寝るべきなのだ。1万人の脳を診た脳内科医が睡眠の改善法を提案する。本稿は、加藤俊徳『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』(アチーブメント出版)の一部を抜粋・編集したものとなります。
■世界一短い日本人の睡眠時間
日本人の勤勉さは世界にも知られるところです。「勤勉」をどう定義するのかという問題もありますが、やはりひとつには、仕事をする時間が長いということがあるでしょう。
残業や仕事の後の付き合い、子どもの塾や部活動の世話、そういった数々の用事で「忙しい」という日本人は多く、それは通常、悪い意味には使われにくいでしょう。忙しいとは「充実している」「会社や社会に必要とされている」というニュアンスを含むことが多々あります。これも中毒の一種と考えられます。
そんな日本人の睡眠時間は、世界一短いというデータがあります。経済協力開発機構(OECD)の2018年発表によると、日本人の平均睡眠時間は加盟30カ国の最下位です。
平均7時間22分で、OECD平均の8時間25分より1時間以上少なくなっています。
世界で一番眠らない国。それは世界一、睡眠に対する理解の遅れている国ということでもあります。日本は世界一の睡眠後進国なのです。
■6時間睡眠のパフォーマンスは徹夜の人と変わらないレベル
夕食をとって片づけを終えて9時すぎ。それからいろいろな家事をしたりテレビを見たりスマホをいじったりしながら風呂に入って布団に入ると11時を過ぎ、布団に入ってまたスマホをいじり、寝付く頃には12時……。
そんな人も多いのではないでしょうか。このような毎日を送っている人は、完全に不眠中毒です。睡眠時間を削ってまでするほど大切なことはありません。睡眠時間の確保が第一優先で、残りの時間を使ってほかのことをするのが正しい行動です。
明日テストだとしても、目を通しておきたい重要な仕事の資料があっても、起きる時間の7時間以上前に寝るべきです。1日6時間睡眠の人は、7時間睡眠の人に比べて1週間で7時間足りず、すでに1日分不足しているのです。ワシントン州立大学とペンシルベニア大学の研究チームが、「8時間睡眠」と「6時間睡眠」の2つのグループに分け、2週間にわたって実験を行いました。
その結果、6時間しか眠らなかった被験者たちの認知能力は、連続2日間徹夜した人たちと同レベルまで低下していました。
つまり、6時間程度の睡眠時間の人は、毎日徹夜している人と同じ程度のパフォーマンスしか発揮できていないということになります。パフォーマンスには、集中力や判断力、記憶力、論理的推論能力のほか、気分や感情などあらゆる脳機能が含まれます。
人に差をつけられたくなかったら、一番必要な明日の準備は寝ること。睡眠時間をしっかりとること。明日が大事な日ならなおさらです。夜の睡眠が、明日のあなたの一番の味方です。
■睡眠の問題を解決するのは難しいことではない
心身の健康にも日本経済にも大きなマイナスとなるのが睡眠不足です。気づかないうちに蝕まれ、寝不足が続くことでどんどん睡眠負債が溜まります。すると、睡眠不足に慣れ、これでいいのだという間違った認識が定着してしまいます。
睡眠不足は、自分自身を客観的に正しくみられない状態であり、自己管理能力の欠損といえます。それでも睡眠不足を続けていること自体が、自己認識力や自己管理能力の欠損を物語っています。
睡眠の問題を解決するのは難しいことではありません。時間が足りないなら、1日の時間を割り振ればいい。眠れない理由があるのなら解消すればいいだけです。
今では手軽に、睡眠中の状態を計測することができます。自分の睡眠をデータ化し、問題を解析することができます。睡眠に対する不満や問題に気づき、それを解決するだけです。
まとめ
自分の問題に向き合い、これまでの行動を変え、不眠中毒から抜け出す。それをするか、しないか、だけです。自分を変えられない人は、不眠を治せません。本来あなたが手にすべき能力や健康、充実感を得ることができないのです。詳しく内容が知りたい方は『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』 を読んでみるとよいでしょう。
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