2010年03月24日
落書き退治
道路施設の落書き退治 米粉とアルコール混合液で
岡大・武藤准教授ら新除去剤 安くて安全性アップ
米粉を使った除去剤を開発した武藤准教授と、塗料を半分消した鉄板(右) 歩道橋やガードレールなど道路施設へのスプレーによる落書きの除去に、食品にも使われている米粉と、工業用アルコールの一種の混合液が効果があることを、岡山大工学部の武藤明徳准教授(化学工学)らのグループが突き止めた。落書き除去剤は既製の製品もあるが、研究に協力した国土交通省中国地方整備局も「コストや安全性、作業時間が早いという点でも有効なのでは」とし、製品化に期待している。
同整備局は、道路施設への落書きがなくならないことに困り、2007年に同大学と包括的連携・協力協定を結び、安価で手軽に使え、効果のある除去剤の開発を持ちかけた。これに応え、武藤准教授らは安全性や短時間で除去できるという面からも材料を検討。工業用溶剤としてよく使われ、においも強くない、アルコールのイソプロパノールに注目した。
これに何らかの粒子を混ぜることで、施設の塗装面に吹き付けられたスプレーの溶解が進むと考え、小麦粉やアルミニウムなどの化合物など約10種類を試した。その結果、米粉とイソプロパノールを2対3の割合で混ぜた時に、最もよく消えることを突き止めた。
さらに、米粉をイソプロパノールに混ぜることで粘り気が出ることから、垂直な面でも使いやすいという利点も判明した。
研究グループと同整備局は、岡山市北区の交差点で、歩道橋や信号機の金属製の柱への落書き除去を実験。塗った後に、蒸発を防ぐためにラップを張って10分おき、ぬらしたペーパータオルで数回ふき取るだけで、元の塗装を傷めずに消すことができた。除去のメカニズムについては「緻密(ちみつ)に塗られた元の塗装には、除去剤が浸透せず、落書きだけを浮き上がらせているのでは」と推測している。
武藤准教授は、この除去剤と、除去方法の特許を出願しており、企業に製品化をアピールする。同整備局の野津善英・品質調査課長は「道路の維持作業の合間に、手早く除去できそう」と期待。武藤准教授は「落書きの放置は防犯上も良くない。この除去剤で、きれいで安全なまちづくりに貢献したい」と話している。
(2010年3月24日 読売新聞)
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