2007年12月22日
カモ大挙、餌取れず 富山・田尻池のオオハクチョウ、田んぼへ“避難”
カモ大挙、餌取れず 富山・田尻池のオオハクチョウ、田んぼへ“避難”
2007年12月21日
過ぎたるは、自然の秩序を、バランスを崩すんですね。
池から陸上に上がり、見物客に餌を求めるカモ類。オオハクチョウの姿はまばらだ=富山市山本の田尻池
オオハクチョウの越冬地として知られる富山市山本の田尻池で、オナガガモなどのカモ類が押し寄せ、居づらくなったオオハクチョウが日中、周辺の田んぼに避難≠オている可能性が高いことが、日本鳥類保護連盟県支部(支部長・湯浅純孝県自然博物園ねいの里館長)の調査で分かった。カモ類は見物客が与える餌を目当てに来ているとみられ、専門家は「生態系を守るため、無秩序に餌を与えないで」と呼び掛けている。 調査は九日午前九−十時、県内の飛来地で行われ、オオハクチョウを数えた。調査によると、県内の総飛来数は百十一羽。富山市婦中町河原町の四十六羽が最多で、氷見市十二町潟の十九羽、富山市江本の十六羽、田尻池の十五羽と続いた。
田尻池から南東に約四キロ離れた婦中町河原町の田んぼには、昨年初めてオオハクチョウが飛来。調査日は午前七時に六羽しかいなかったが、次第に増え、九時には四十六羽となった。
一方、田尻池では午前七時に六十二羽いたが、九時には十五羽に減った。田尻池白鳥愛好会(岡崎俊隆会長)の藤田之夫事務局長は「以前は一日を通じて数はほとんど変わらなかったが、昨年から毎朝三十−四十羽が飛び立ち、夕方戻ってくるようになった」と言う。
同支部はオオハクチョウの行動が変わった要因として、カモ類の急増による環境変化を挙げる。
県が毎年一月に行う調査によると、田尻池に昨年飛来したオナガガモは四百二十七羽で、平成十五年の約二・五倍に増えた。オナガガモは見物客が投げ込む餌を求め、オオハクチョウの越冬地に飛来する傾向があり、田尻池でも見物スペースそばに密集している。
湯浅支部長はオオハクチョウは素早い動きのオナガガモとは異なり、動きがゆっくりしているため「十分に餌が取れない」と推測。羽が触れ合うような密集した空間を嫌う習性もあり、日中は田んぼに移るとみている。
県は今月、見物客に餌やりの自粛を求める看板を設置。愛好会による定時の餌まきも今月から二カ所で行い、オオハクチョウが確実に餌を取れるようにしている。
湯浅支部長は「田尻池はオオハクチョウの集団越冬地としては日本の南限で貴重。無秩序な餌やりが続けば、生態系が崩れ、飛来しなくなる恐れもある」と話している。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image