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2019年01月15日

DNAの構成単位

 生物個体の中にある何らかの物質が遺伝情報を担うことは遅くとも19世紀までには知られていたようであるが,その構造については近年になるまで解明されていなかった.その遺伝情報を担う物質の解明に大きな貢献をしたのがジェームズ・ワトソンフランシス・クリックであった.DNAの立体構造を広く世の中に知らしめたことでも有名である.二人はその功績を称えられ1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞した.

 水や塩といった自然界にある物質と同様に生命情報を担うDNAも元素という基本的な物質が合わさって出来た化合物である.DNA(デオキシリボ核酸)は同様の構造の繰り返しによる鎖のような形をしている.この繰り返しの基本単位をデオキシリボヌクレオチドという.デオキシリボヌクレオチドは更に3つの構成単位に分けられる.すなわち,核酸塩基(単に塩基とも呼ぶ),リン酸の3つである.糖の仲間にはショ糖などの甘い砂糖があるが,DNAに見られる糖はデオキシリボースと呼ばれ,5つの炭素から成る五炭糖(ペントース)である.また,核酸塩基とデオキシリボースの2つから成る化合物をデオキシリボヌクレオシドと呼ぶが,前出の化合物と名称が類似している.

 物理や化学などの理科系科目で馴染み深い周期表は自然界に存在する様々な元素を規則に従いまとめたものである.大まかに言って左上から右下にかけて元素の重さが重たく成るように書いてある.原子力発電所と関係のあるウランプルトニウムは比較的重い元素である.身近な金属類で言えば,アルミニウムニッケルと比べての方が重たいと体感したことはあるのではないだろうか.もちろん金属の純度や密度の違いによって実際は異なる場合もあるが,元素の重さを考える上では参考になる.

 DNAなどの生体分子も元素からなる化合物であるが,基本的な構造に使われている元素は比較的軽く種類が少ない.デオキシリボヌクレオチドは水素(H),窒素(N),炭素(C),酸素(O),リン(P)から成る.ちなみに元素名の後ろに書いた英字は元素記号と呼ばれ化合物の組成を表したりする時に用いられる.

 DNAはこれら基本単位であるデオキシリボヌクレオチドが重合して出来た化合物である.DNAは細長い鎖に例えられるが,このDNAの鎖状構造を形作っているのが五炭糖とリン酸である.遺伝情報を担当しているのが核酸塩基である.DNAではアデニン(A),グアニン(G),チミン(T),シトシン(C)という4種類の核酸塩基により構成されていると考えられている.ちなみに塩基名の後ろに書いた英字は塩基記号と呼ばれDNAの組成を表したりする時に用いられる.構造が似ているアデニンとグアニンの総称としてプリン(R)がある.同じく構造が似ているチミンとシトシンの総称としてピリミジン(Y)がある.痛風予防として一般的に摂取を控えるように言われるプリン体は,こういった化合物を含むものである.また,英語ではプリンをピュリン,チミンをサイミン,シトシンをサイトシンと呼ばれることもあり日本語訳と印象が異なるが,これには混同を避けようとした訳者の配慮が伺える.

dna-1903318_640.jpg






posted by Alice at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | DNA
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