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2019年03月10日

配偶子形成

 我々ヒトを含めて有性生殖(self reproduction)を行う生物は,その過程で卵と精子による受精が起こる.そのため,卵や精子を形成する過程である配偶子形成(gametogenesis)が起こる.配偶子形成について卵が出来上がる過程を特に卵形成(oogenesis)と言い,精子が出来上がる過程を特に精子形成(spermatogenesis)と言う.
 卵や精子の元となる始原生殖細胞は卵黄嚢(york sac)壁から発生して,発生第4週目までに胚の将来生殖器となる部分に移動して分化して卵原細胞(卵祖細胞; oogonia)となる.卵原細胞は体細胞分裂により卵巣に集積する.
 発生5ヶ月目までに卵原細胞から減数分裂により一次卵母細胞(primary oocyte)が形成される.一次卵母細胞は第1減数分裂前期で休眠状態となる.一方で全ての卵原細胞は出産までの間に認められなくなる.思春期になると一度の卵巣周期でおよそ10個前後の一次卵母細胞の減数分裂が再開する.第1減数分裂が完了すると二次卵母細胞(secondary oocyte)が現れ,第一極体が放出される.現在のところ極体は卵の成熟を助けるために自らは変性して消失するものと考えられている.
 二次卵母細胞は第2減数分裂へと進み卵が現れ,第二極体が放出される,尚,第一極体も分裂して2つの第二極体を生じる.すなわち,1つの卵原細胞から減数分裂により1つの卵と3つの極体が得られる.
 このように得られた卵そのうちおよそ1つだけが成熟して排卵される.しかし,排卵された卵も厳密には第2減数分裂中期で休止した状態であり,精子と受精することで減数分裂が完遂され成熟卵となる.その際に減数分裂の片割れとして第二極体が放出される.















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posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 発生学

2019年03月03日

急性放射線障害

 放射線はDNA損傷を引き起こすことで生体機能不全を引き起こす.特に細胞分裂が盛んに起こっており,未分化な組織において障害は強く現れる.組織によって放射線感受性が異なるため以下に示す.

    高い放射性感受性
リンパ球,赤芽球,精原細胞(精祖細胞)

    比較的高い放射性感受性
骨髄細胞,小腸陰窩細胞,表皮基底細胞

    中等度放射性感受性
骨芽細胞,軟骨芽細胞,精母細胞

    比較的低い放射性感受性
肝細胞,骨細胞,赤血球,顆粒球,精子

    低い放射性感受性
神経細胞,筋細胞



posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 放射線

2019年03月02日

放射線生物学

 放射線による健康被害ということが問題視されているが,生物学的にみると放射線(光子や素粒子)のエネルギーが生物の持つ組織に移ることで影響が発生するといった現象が現れる.エネルギーが身体に吸収されると様々な化学結合が阻害され組織に傷害が及ぶ可能性が考えられる.放射線の種類によって組織傷害程度も様々である.また,細胞分裂の活発な組織は一般的に放射線傷害を受けやすいと言われている.例外的に成熟したリンパ球も放射線感受性が高い.放射線には次のようなものがある.

    アルファ粒子


    ベータ粒子


    ガンマ線


    エックス線


電離放射線にはアルファ粒子,ベータ粒子,ガンマ線,エックス線,陽子,中性子などが含まれる.
質因子(quality factor)はアルファ粒子が20,陽子,中性子が10,ベータ粒子,ガンマ線,エックス線が01である.

 真核生物の細胞は細胞質などからできており,そのうち多細胞生物は核に含まれるDNAを複製して体細胞分裂を起こして身体を巨大化したり機能的にしたりしている.放射線はDNA損傷を引き起こし生物に影響を与える.特に,体細胞分裂の際に染色体(chromosome)は特に放射線感受性(放射線の影響の受けやすさ)が高い.

 放射線によるDNA損傷には直接作用間接作用がある.直接作用は放射線の粒子が直接DNA鎖に衝突してDNA鎖を切断するというものでアルファ粒子,高速の電子,光子と電子の相互作用によるものが一般的である.間接作用は放射線が水分子に作用してフリーラジカルを発生させて,そのフリーラジカルによりDNA鎖が損傷するというものである.

 放射線の強さを表す単位に線エネルギー付与(LET; linear energy transfer)という単位がある.低線エネルギー付与では一般的に間接作用により一本鎖DNA切断が起こる.高線エネルギー付与では一般的に直接作用により二本鎖DNA切断(複数鎖DNA切断)が起こる.





 



posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | DNA修復

2019年03月01日

UVと原核細胞

 紫外線(UV)はDNAによく吸収されることが知られているが,同時にDNAに化学修飾が加えられることが知られている.化学修飾の最も破壊的なものがDNA損傷と呼ばれる.DNA損傷には様々な種類がある.核酸塩基が欠失したり,核酸塩基に何かしらの基質が結合して変化したりするといった比較的小さな損傷から,二本鎖DNAが切断されるといった大きな損傷まで幅広い種類のDNA損傷が知られている.

 1980年代にはUV照射によるDNA損傷とそれによるDNA複製の停止およびたくさんの関連タンパク質の産生が多くの細菌で知られてた.この反応はSOSという呼び名で知られており,recAタンパク質が制御因子の一つとして働いていることが解明された.recAはDNA二本鎖のうち特定の一本鎖にある塩基配列を認識して結合して反応を促進していることも分かった.

米国産婦人科疫学センターはリコピンを含むカロテノイドを十分に摂取することで閉経前の女性が卵巣がんになるリスクが低減することを発表.紫外線(UV)による活性酸素をリコピンは除去し、メラニンの生成を促す物質の発生を抑制するので美白効果も期待できる.







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posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | DNA修復

2019年02月12日

クラインフェルター症候群

 クラインフェルター症候群の核型47, XXY

トリバゴ






posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 染色体

2019年02月11日

ターナー症候群

 ターナー症候群(Turner syndrome)は核型(45,X)というモノソミーの一つである.



posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 染色体

2019年02月10日

モノソミー

 ヒトの常染色体は母父由来のそれぞれ相同染色体を2つ持っている.もし1つの場合には致死的で生存することは出来ない.しかし,性染色体の場合には2つ性染色体がない場合でも生存することが確認されている.核型として45 XO




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2019年02月09日

13トリソミー

 ヒトの13番染色体の重複は13トリソミー(trisomy 13)として知られている.核型は(47, XX, +13)または(47, XY, +13)と記載される.常染色体トリソミーの中ではダウン症候群,18トリソミーに次いで第3番目に多い頻度で認められる.10,000-15,000出生に1人程度の割合で発症する.生後1年以内に亡くなることが多く,1歳以上になるのは全出生の10%以下と言われている.

 13トリソミーに認められる臨床所見には重度の発達遅滞,腎異常,多核球異常がある.









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2019年02月08日

18トリソミー

 ヒトの18番染色体の重複は18トリソミー(trisomy 18)として知られている.核型は(47, XX, +18)または(47, XY, +18)と記載される.常染色体トリソミーの中ではダウン症候群に次いで頻度が多く認められる.5,000-10,000人に1人とも言われるが,95%以上の18トリソミーは妊娠初期に流産してしまう.出生できたとしても1年以上生き延びれるのはそのうち10%未満であり致死率の高い染色体異常と言える.

 臨床症状は数週の割に体が小さく未熟児様,眼瞼裂の狭小化,小さな鼻,鼻翼の低形成,後頭骨の突出,小顎,口唇口蓋裂などが認められる.先天性心疾患も認められる.心房中隔欠損(ASD), 心室中隔欠損(VSD), 動脈管開存症(PDA)などである.









posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 染色体
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