早速VW500ESの3D映像で届いたばかりの『ライフ・オブ・パイ』を観た。イベントでは嵐で貨物船が沈没するシーンやトビウオ襲来のシーンがお馴染みの作品だ。
英語音声は7.1ch DTS-HDマスター・オーディオ、日本語吹替は5.1ch DTSデジタル・サラウンドとなっている。これは3D/2D版とも同じ仕様だ。初回は画面に集中したいので吹替で観た。
貨物船沈没により少年パイがベンガルトラと一緒に救命ボートで227日間漂流するという話と知っていたが、冒頭30分ほどは幼いパイが宗教に夢中になる話が語られ正直退屈に思えてしまった。この時培われた宗教観がこの後の漂流時の各エピソードに繋がるのだが、無宗教の私には掴みが弱いシナリオ構成に思える。
漂流してからはパイがどうトラと折り合いをつけて生き残るのか興味が尽きず俄然面白くなるだけに、作家志望の男が大人になったパイの漂流話を聞きに来ると言う時系列通りの話の展開は凡庸だ。127分が長く感じる。
救出されたパイは最初保険会社の調査員にトラの話をするが、気に入ってもらえず救命ボートに乗り込んだ4人の生存者の顛末を語る。これを聞くとファンタジーに思えたトラとの漂流談が、実は生存者を動物に例えた過酷なサバイバル体験談と分かり、私の中でこの物語の解釈として腑に落ちた。
では死を覚悟したパイが漂着したミーアキャットの浮き島は何を意味しているのだろうか?絶望や死への誘惑だろうか。家族群で生活するミーアキャットを現代人と見ると、昼間は食料と水を与えながら夜は魚や動物を捕食する生きた浮き島は大都会を暗喩しているとも考えられる。なかなか面白い寓話だ。
映像に関しては、夜光虫で光る海、雷鳴轟く嵐の空、凪いで海面が鏡となりまるで空に浮かぶ救命ボートに見える光景といった映像の美しさが満喫出来て制作陣の想像力の豊かさに感心する。冒頭の動物園のシーンも見どころで動物たちの毛並やフラミンゴの池の水のリアルさは、今にもスクリーンから水が零れてきそうだ。(笑)
3D効果では冒頭の動物園では鳥が飛び出してきて楽しいし、プールで泳ぐシーンの浮遊感は見ものだ。神の口の中に宇宙を見たと言う神話の絵本のシーンは『スター・トレック』並みの宇宙観が味わえる。漂流ということで海が舞台となり3Dとは相性抜群のシーンが多い。突然トラが飛び出してきたシーンには驚かされた。(笑)
圧縮DTS音声だが、嵐の沈没シーンでは低音で床が震えて迫力のあるサラウンドが楽しめる。クジラのジャンプシーンでは着水と同時に床が揺れた。ロスレス音声で観直すのが楽しみだ。(笑)
ストーリーに関しては好き嫌いに分かれそうだが、映像は美しく接客用ディスクとして4Kで見せたくなる。そんな1枚だ。(笑)
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