『ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)』原作者:笹本祐一、アニメ『モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)』監督:佐藤竜雄、アニメ研究家:氷川竜介の3名によるトークショーの続きだ。
7. メカニックデザインについて
メカニックデザインを河森正治氏にお願いしたところオデットII世号について「変形してロボットにならなくて良いのか?」と問い合わせがあったと佐藤監督が明かし会場爆笑。「レゴでは作れないので絵だけでゴメン」と言っていたそうだ。「どこかでモデル化してくれないだろうか」「ガレキで作ったら死ぬよ」と帆の数の多さで盛り上がっていた。
8. 友人について
佐藤監督は加藤茉莉香を男前に描き、周りの人達の反応でそのことに説得力が出るよう演出したと語った。友人の遠藤マミは『エースをねらえ!』の愛川マキ的な役で、ヨット部部長のジェニー・ドリトルはお蝶夫人をイメージしたとのことだ。
9. 笹本先生が選んだ名シーン
笹本先生がTVアニメ26話の中からお気に入りのシーンを3本紹介した。スクリーンにはその映像が流れる予定だったがPCの調子が悪く5話の映像がコマ落ちして音声とずれると言うトラブルがあり、12話の映像は話が終わった後に上映された。
1)SAILING 5「茉莉香、決意する」:笹本先生は電子戦をここまで詳細に映像で見せてくれるとはまるで私へのご褒美だと思ったと感想を述べた。また宇宙開発機関JAXAがIKAROSを打ち上げたことでソーラーセイル(太陽帆)の知名度が上がり説明しやすくなったと語った。
佐藤監督は潜水艦戦をイメージして20分間緊張感保つ演出を心掛けたそうだ。その後も何度か電子戦を行うので飽きられていない早い回に行う構成にしたと語った。河森氏からオデットII世号のソーラーセイルを使うと船体が大変小さい画になってしまうとのアドバイスがありフィールドと言う設定にしたと裏話を披露した。
2)SAILING 12「永遠(とわ)よりの帰還」:笹本先生は無重力状態での初代クイーン・セレンディピティ号の構造と動きの描写に締め切りまで苦労したと言う。それをアニメでは画で見せてくれた上に茉莉香達が通り過ぎるだけという贅沢な使われ方をしていて感心したそうだ。サテライトのフランスチームが設定を担当したそうで、そこはTVアニメだからと言って一切の妥協はしなかったと佐藤監督が説明した。
オープニングを見直すと既に「薔薇の泉」のカットがあり多くのエピソードの情報が詰まっており見直すと面白いと笹本先生が語れば、佐藤監督がOPアニメ作成は最終話作成の頃に行ったので厳しいスケジュールの中人を借りる必要があり調整が大変だったと苦労を語った。氷川氏は色々な伏線が張られており全26話を見直すとまた面白いと評価した。
主題歌が出来たのは制作も中盤に差し掛かった頃だった。当初からAKB48かももいろクローバーZにお願いする計画だったのだがAKBは他のアニメに使われることが決まってしまったのでももクロになったそうだ。(笑)
3)SAILING 22「海賊狩り」:他の惑星へ行ったアイ・ホシミヤがお土産を買う時の「星座の本はその惑星でしか売っていないから」と言う台詞を笹本先生は「こういったさりげない台詞が世界観にリアリティを与える」と褒めていた。銀河内の惑星の位置で地球とは星座として見える形が違うと説明されて、この台詞の重要性を納得した。
10. 佐藤監督が選んだ名シーン
佐藤監督がTVアニメ26話の中からお気に入りのシーンを3本紹介した。
1)SAILING 11「閃光の彷徨者(ワンダラー)」:茉莉香が膝を着いてグリューエル・セレニティと要人視線で話す場面と、立ち上がり艦長として話すシーンで立場が変わることを意識して演出したそうだ。
2)SAILING 9「華麗なる船出」:佐藤監督は、茉莉香が艦長として自覚を持ち出港するシーンが丁度茉莉香役の小松未可子が伸びてきた時と重なり印象深い。メインキャラクターに新人を持って来ると成長が楽しみだと語った。笹本先生は声優好きだが執筆時にはキャストを想像して当て書きはしていない。ところがアニメを観た後ではその声に合わせて書くようになったと笑った。
3)SAILING 23「目指せ!海賊の巣」:茉莉香が座長としての自覚が出たシーンを紹介した。笹本先生と氷川氏は放送当時25話を観終わって、本当にあと1回で話が終わるのか心配になったと笑った。
佐藤監督はグランドクロス攻略戦について笹本先生の別の話に似ていると人から指摘されたが、それは偶然だった。その本を読むと自分より巧みな戦術で先に読んでおけば良かったと後悔したことを言うと、笹本先生は、私たちは考え方が似ているから同じ様な戦法を取ったのでしょうと理解を示した。
11.劇場版について
佐藤監督は制作終了後大月プロデューサーから「2期と劇場版のどちらが良いか?」と問われ劇場版を選んだと言う。それは昔のガンダムやヤマトと違い、今のアニメは繰り返し再放送することで知名度が上げられない。ならば劇場版を作り込むことで新しいファンを開拓する可能性に賭けたと語った。また単に2期を作っても設定が同じだと間に合わせに見えてしまう恐れがあることを心配していた。
劇場版では宇宙船の狭さを表現出来るか、映画館の暗闇の中で圧迫感を感じさせられるかを目標に制作しているとのことだ。笹本先生はプラモデル雑誌の表紙を弁天丸が飾ったことは作家生活30周年記念の褒美になったと嬉しそうだった。
12. プレゼント大会
最後に抽選券によるプレゼント大会があったのだが、あまりに読み上げた当選番号該当者がいなかったので原作本1-9巻×2セットはじゃんけん大会で勝ち残った18人に1冊ずつ贈られた。私は運良く2回目は勝ち残り『第5巻 白銀の救難船』笹本祐一先生サイン入りをもらってきた。他に劇場版ポスターやらポストカード、「コンプリートチャート」等と大盤振る舞いだった。
チビ茉莉香ちゃんもポスターを欲しがり、観客の許可を得て参加したが、あっさり負けてしまい悔しがっていたら佐藤監督が「あとで何とかするから」となだめていた。娘さんだったのだろうか?(笑)
正味50分間関係者の話を聞いて、これほど詳細に演出を積み上げアニメを制作していたのかと思うと『モーレツ宇宙海賊』を見直したくなった。「原作本もありがとうございました。」記念品として嬉しいが、これは4-6巻と話が続く長編の2巻目と知り1冊完結の巻にすれば良かったとちょっと後悔した。(苦笑)
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