鈴木敏之氏は今回の声明を「ゼロ回答も追加緩和に強い意志」と語った。“必要に応じ追加緩和を実施する。(will)”と文面を変えたことで”意志を強め”、“経済活動が今年上半期にかけて幾分減速した(decelerated)”と厳しい認識を示し次の緩和があると伝えた、と読み取ったと言う。
IF(実行有無):7月米ISM製造業景気指数が弱く実施の正当性を得られた。
When(時期):“注視(closely Monitoring)”と言っているので場合によっては9/13(木)より前もありうる。
How(やり方):QE3の効果はデフレを払拭するが、副作用として商品市況値上がりがあり、次の一手として説明責任が生じる。と語った。
同様にバンクオブアメリカ・メリルリンチのイーサン・ハリス氏は9月のFOMCを次の様に予想していると言う。
「次回9/13(木)のFOMCで約6,000億ドルの国債と住宅ローン債の買い取りというQE3実施を発表するだろう。それは米国経済成長が年後半に減速して1%までに落ちることと財政の崖を懸念しているからだ。」
一方ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC最高運用責任者 堀古英司氏は次のように述べた。
「今回の声明はQE3実施に一歩踏み込んだ内容とは言えない。オペレーションツイストの効果と9月中旬までに2回ある雇用統計の発表を見守っているうちに大統領選挙が近づき実施条件のハードルが上がるだろう。」
これは7/10(火)岡三証券 西川泰亮氏の分析に近い内容だ。
同じ声明文を読んで意見が対立するのは非常に興味深い。ある意味”実弾を撃たずアナウンス効果”だけでここまでマーケットに期待を持たせることが出来るFOMCの作文能力の高さに感心するべきなのだろう。(笑)
指標的に考えると9月のQE3は「ない」はずだ。実施しても雇用改善効果は弱いだけではなく、ガソリン価格が上がれば逆に個人消費が落ちてしまう。欧州債務不安も根強く何が金融危機を引き起こすか先行き不透明な時期だけに切り札は残しておくべきだ。
それでも米国内では「ある」という意見の方が多数というのだから日本国内から見ているとその理由は分からない。実施内容から金額まで予想しているのを見ると「もしかしてFOMCメンバーの誰かから情報提供がある?」とついそんな疑いを持ってしまう。最近のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作問題と証券会社のインサイダー取引問題の報道を聞いているからだろう。(苦笑)
【関連リンク】
『米FOMC声明全文』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120802-00000019-reut-bus_all
『7月米ISM製造業景気指数は低迷、製造業部門の弱含みを示唆』
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE87001620120801
『米QE3の来月導入に疑問符、円高一服で日本株は堅調』
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE87102Q20120802
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