14:40〜15:45 第7回アニメ・マンガの聖地サミットin埼玉 −第2部− トクサツGO! GO! GO! in アニ玉祭
出演は司会:柿崎俊道、北海道大学教授:山村高淑、東映プロデューサー白倉伸一郎、寄居フィルムコミッション代表:大橋正宏の4名。
白倉氏は最初大学生の時読んだ映画研究会を舞台にした漫画のプロデューサー担当のキャラが格好良くてこの職業を選んだと言っていた。トークの途中では自分が好きな監督と脚本家が手掛けた作品が駄作だったのはプロデューサーの責任だから、この程度の人がプロデューサーをやっていられるなら自分でも可能だろうと東映を選んだと語った。
プロデューサー等の横文字職業は胡散臭い。実際何をやっているか分からない職種だが一言で言うとお茶酌みだ。新人の部下にこう言うと反発されたが5年も経つと賛同してくれるようになる。地方ロケへ行くと夜は暇になるので監督や脚本家の酒の相手をすることが多い。真面目に言えば作品作りに関する「国語(企画書作成)算数(予算取り)理科(撮影技術選択)社会(関係者交渉)」といった専任者がいないことをやっている。
山村氏はこの国際会議室は『仮面ライダークウガ(2000年放送)』と『仮面ライダー555(2003年放送)』で捜査本部としてロケに使われた聖地だとビデオ映像を映しながら説明した。EDテロップの撮影協力に「大宮ソニックシティ」とあることに会議室は笑声で溢れた。他に555の最終回決戦の地は春日部市の首都圏外郭放水路だったこと、『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト(2003年8月公開)』はさいたまスーパーアリーナで撮影されたことを披露した。
白倉氏からは放送時に「9時間耐久エキストラ1万人募集」というテロップを流した。応募用サーバーは20万同時アクセスに耐えられるよう準備したが、放送終了後はその予想を上回った。最終的に9万人の応募があり1.1万人が参加しギネスにも載ったと語った。
撮影に慣れていない素人に後で合成されるCGに合わせた演技をしてもらうのは大変で、身を屈めるシーンは最初浅く屈んでもらい、何度も練習して徐々に深く屈んでもらうようにして、映画のシーンを完成させた。協力してくれたエキストラの人達には今も感謝していると語った。
大橋氏は特撮ヒーロー作品の爆破シーンでお馴染みの採石場は寄居にあると語った。『宇宙戦隊キュウレンジャー(2017年放送)』の「キュータマ音頭!(盆踊りバージョン)」や『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(2019年7月公開)』の川原の合戦シーンで500人のエキストラと撮影に協力した時の写真を見せながら寄居フィルムコミッションの仕事を説明した。
秩父鉄道操車場は人気のロケ地だ。これは各鉄道会社の中古車両があり選べること、土地が広く、停めてある車両を使い色々な画面構成で撮影出来ること、人払いが不要なことが理由だ。白倉氏は入間川の高架橋の下も使ったことがあるが、ヒーローものには鉄道が似合うと思っている。線路が人と怪人の境界線を意味する象徴として使えるからだと語った。
白倉氏からは人払いの手間が掛からない「人の少ない」「爆破可能な場所」のロケ地が東京近郊から無くなっているので爆破してもらいたいという立候補地情報を求めているとの話があった。爆破火薬は赤い炎のガソリン系、白い煙のコンクリート系、色が選べる染色系の3種類あるが、色が残り思い出となる染色タイプがお薦めと言って観客を笑わせていた。
「仮面ライダーグランドジオウ」のコスチュームは動き辛そうとの質問に、白倉氏はアクターが初めてこれを見た時は無言になり、実際着ると「重い」「動くと疲れる」との感想が出た。制作陣は仏像フォームと呼んでいて、これが平成ライダーの歴史の重みだと言っていたそうだ。重さの原因はコスチュームに付いている平成ライダー達のレリーフが空洞ではないからとのことだ。
年々使用される火薬の量が増えていないかとの質問に、大爆破シーンの記録は『仮面ライダーV3(1973年放送)』と『仮面ライダーBLACK RX (1988年放送)』が記録している。爆破班の新人が先輩の記録を上回る記録を立てようと監督と相談していたらベテラン勢に気付かれてしまい計画は失敗したとの話だ。
監督には、爆破シーンの得意な炎タイプと川や海を使う戦闘シーンが得意な水タイプがいる語った。既に亡くなっているある監督は撮影時の様子はパッとしないのに出来上がった作品は素晴らしく生まれながらの”天然の監督”タイプだったと強く印象に残っている。
「仮面ライダーと言えばバイクでは?」との質問に『仮面ライダー(1971年放送)』開始時の昭和の子供達の身近な乗り物である自転車の大人版としてバイクが採用されたのであって、憧れの乗り物であればバイクではなくても問題ないと答えた。
思い出深いの仮面ライダーのヒロインはとの質問に、『仮面ライダー電王(2007年放送)』と『仮面ライダーオーズ/OOO(2010年放送)』のヒロイン2人が色々な事情で話の途中でいなくなってしまったことで記憶に残っている。戦闘シーンには参加出来ずただ心配するだけの役柄で撮影チーム内ではつま弾き感を味わうことになるので精神的な強さが必要だ。前番組のプリキュアシリーズ(2004年放送開始)でヒロインが戦っているので最近ではプリキュアに負けない強いヒロイン設定にしている。
アニメーションではピクサー作品の3D CG作品が話題になり日本のアニメは廃れると言われたこともあったが、今でも大人気コンテンツだ。世界はアメコミ系のヒーロー作品、サイエンスなので着替えるタイプのヒーローが人気で、日本の変身ヒーローは魔法だと馬鹿にされているが絶対勝つつもりで作品を作っていると白倉氏は抱負を語った。
仮面ライダーとプリキュアはこういったイベントに出掛ける朝に時間が合えばリアルタイムで見る程度なのでまったく素人だがトークショーは大変面白かった。日本のヒーローの変身は原理不明で魔法だと言われているとの話は初めて聞いた。『超人ハルク』も変身していると反論すると、あれは科学的な実験の失敗の産物と説明されてしまうそうだ。確かにトンデモ科学だ。(^_^)
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