もっともこの件についても14/05/15に『AV(音響・映像)機器事業を手掛ける子会社の株式売却を検討』と報道されていたので正式発表は時間の問題だったと言える。
「ああ、やっぱり…」
家庭用AV機器の企画・製造・販売は一定規模以上の企業活動を維持出来る事業ではなくなってしまったことをソニーの苦境を耳にする度に実感させられていただけに、意外と冷静にこのニュースを受け止めている自分がいる。
昨年のCEATEC JAPAN 2013のパイオニアブースではオーディオ関連製品の展示は隅の方で数点だけと言う寂しさでカーエレクトロニクス事業重視の方針は明らかだったし、2013年以降AV機器の新製品はAVアンプと安価なBDプレーヤーが中心で他にAV Phileが注目するような製品が発売されたと言う記憶がない。そのAVセンターの価格低下は急速で、とても利益を上げられる事業には見えない。
ネットワークプレーヤーN-50(2011年11月発売)やインテグレーテッドアンプ A-70(2012年10月発売)が登場した時にはパイオニアの復活と喜んだものだが、2013年7月にAV事業をパイオニアホームエレクトロニクス株式会社という子会社に分離することで事業再構築の計画は着々と進んでいた訳だ。
“両社のブランド力や優れた技術など強みとなる経営資源を互いに有効活用し、コスト競争力を向上させる”との話に期待したいが実際はどうなるのだろうか。過去の提携ニュースを振り返ってみよう。
2007/09/20に発表された『シャープとパイオニアの資本業務提携』は両社から安価なBDプレーヤーが発売された位しか成果は出せなかったと記憶している。
2012/01/20には『オンキヨーとティアックの資本業務提携』が発表されたが、この2年間にその成果が出ているのだろうか?イベントで共同ブースを構えているもののAVセンターのオンキヨーとハイエンドオーディオのエソテリックでは競合製品が少ないためなのか、少なくとも最近発売された両社の新製品からその効果は感じられない。もっともエソテリックGrandiosoシリーズを開発出来たのは資本強化で資金が得られたお陰だとしたら、それが提携成果なのかもしれない。
そして今回のパイオニアとオンキヨーの場合はAVセンターで見事に取扱製品が競合しており部品購入から物流・販売といった点でコスト削減が期待出来そうだが、一方でシェアの奪い合いの恐れもある。今後パイオニアはコンシューマー向け、オンキヨーはカスタムインストーラー向けといった棲み分けを検討するのだろうか。
昨今のデノンとマランツが次々と魅力的な新製品を発表しているので、私にはデノンはAVセンターを受け持ち、マランツはピュアオーディオに力を入れる、と上手く棲み分けている様に見える。ユニバーサルBDプレーヤーを共同開発して両社の持ち味を生かしてカスタマイズして特徴のある製品を発売しているのも成果だろう。
この5月に発売されたオンキヨーのAVセンターに「音場設定AccuEQ Room Calibration(アキュイーキュー・ルーム・キャリブレーション)」と「バス・フェイズ・アライメント」機能が搭載されているので、既にパイオニアとの業務提携の成果が出ているのかもしれない。
この秋に両社から発売されるドルビーアトモス搭載のAVアンプの仕様に注目だし、ペアとなるユニバーサルBDプレーヤーが同時に発売されることを期待したいと思う。
【関連リンク】
『ホームAV事業における資本・業務提携に関する基本合意書の締結について』
http://pioneer.jp/corp/news/press/2014/pdf/0624-1.pdf
『パイオニア、AV事業売却先との協業も視野』
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ150FQ_V10C14A5TJ2000/
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