記憶を元に書いているので本の題名や登場人物の名前を間違えているかもしれません。今日は氷室冴子の命日。
氷室 冴子(ひむろ さえこ、本名:碓井 小恵子(うすい さえこ)、1957年1月11日 - 2008年6月6日)は日本の小説家。1980年代から1990年代にかけて集英社コバルト文庫を代表する看板作家であった。
氷室冴子 - Wikipedia集英社コバルト文庫といえば、氷室冴子だったもんな。
集英社コバルト文庫がどんなものか知らないから、電車の中で読んでて変な目で
見られた事もあった。
そもそも最初に読んだのが「恋する女たち」で、これは純文学といってもいいくらい、
真面目(だろうか)な作品。
そこから入ったから、集英社コバルト文庫のジャンルを知らなかったわけさ。
「恋する女たち」は名作だ。映画にもなった。
最後、全員失恋してるんだよな。なのに、ものすごい幸せな終わり方。一発でファンになった。
本は貸したら返ってこなくて、もう手元にない。あの本は手元に残しておきたかった。
また読みたい。
氷室冴子には実験的な作品も多いな。未完も多いけど。
「多恵子ガール」と「なぎさボーイ」なんて、同じ話を少女視点で語ったのが「多恵子ガール」、
少年視点で語ったのが「なぎさボーイ」。ただ、少年視点はすこし、無理があったな氷室さん。
「蕨ヶ丘物語」も短篇の連作なんだけど、同じ家族で主人公が変わっていく。
1話目が末娘。その話を受けて2話目が次女、それを受けて3話目が長女、だった(と思う)。
最後がおばあさんの主観なんだけど、このババアがいい。
そのバアさんが昔見た映画(「舞踏会の手帳」だったかな?)の真似をして、
好きだった男たちの住所録を片手に、車で次々に会いにいく話。
そして、好きだった男の今を見て、次々に幻滅して、だけどめげずに逞しいんだ。このバアさん。
氷室冴子は、こんなバアさんになると思っていた。けど、その前に没。残念。
ジャパネスクシリーズの2作目も素晴らしい。
主人公の瑠璃姫が今や犯罪者でお尋ね者の初恋の人、吉野の君を逃すため、
包囲網の中から吉野の君の恰好をして馬で逃げるんだな。
瑠璃姫には許嫁の高彬という男がいて、彼が吉野の君を捕らえる責任者。
非常に優秀な彼が、ついうっかり囮に引っかかって、黒髪をなびかせて馬で逃げる、坊主頭の
吉野の君を追いに部下達を向かわせる。
そして、ついうっかり包囲網を解いてしまって吉野の君に逃げられるんだな。
失敗をしたことのない優秀な高彬の大失態。
これはハードボイルドだよ。
氷室冴子は、俺の心の恋人さ。合掌。