2014年02月11日
玄武岩
玄武岩(げんぶがん、英: basalt[1])は、苦鉄質火山岩の一種。深成岩の斑れい岩に対応する。
火成岩は全岩化学組成(特にSiO2の重量%)で分類され、そのうち玄武岩はSiO2が45 - 52%で斑状組織を有するもの。斑晶は肉眼で見えないほど小さい場合もある。肉眼での色は黒っぽいことが多いが、ものによっては灰色に見えることもあり、また含まれる鉄分の酸化によって赤 - 紫色のこともある。
目次 [非表示]
1 成分・種類
2 生成する場所
3 名前の由来
4 用途・加工法
5 脚注
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
成分・種類[編集]
斑晶および石基として、有色鉱物である輝石・かんらん石、無色鉱物である斜長石等を含む。アルカリ玄武岩にはケルスート閃石(英語版)や金雲母を含むこともある。
玄武岩マグマを生じる上部マントルの部分溶融(英語版)度が大きければソレアイト玄武岩(tholeiitic basalt)、部分溶融度が小さければアルカリ玄武岩(alkali basalt)となる。
化学組成[2]
成分
アルカリ玄武岩
洪水玄武岩
海洋島玄武岩
深海底玄武岩
島弧玄武岩
SiO2
45.4 50.01 50.51 50.68 51.9
TiO2
3.00 1.00 2.63 1.49 0.80
Al2O3
14.7 17.08 13.45 15.60 16.0
Cr2O3
- - - - -
Fe2O3
4.10 - 1.78 - -
FeO
9.20 10.01 9.59 9.85 9.56
MnO
- 0.14 0.17 - 0.17
MgO
7.80 7.84 7.41 7.69 6.77
CaO
10.5 11.01 11.18 11.44 11.8
Na2O
3.00 2.44 2.28 2.66 2.42
K2O
1.00 0.27 0.49 0.17 0.44
P2O5
- 0.19 0.28 0.12 0.11
合計
98.7 99.99 99.77 99.70 100.0
生成する場所[編集]
玄武岩は地球表面で最も一般的に見られる岩石であるが、その生成する場所を列記する。玄武岩質溶岩は流動性が高く、高い火山で噴火した場合遠くまで流れて溶岩流となり、平坦な場所で噴出すると平らな台地を形成する。
海嶺 - プレートテクトニクスでは、海嶺は新しいプレート(リソスフェア)が生成されるところと説明されている。地下深部から上昇してきたマントルが減圧融解をおこし、それによって生じた玄武岩質マグマが海洋底を形成する。海嶺で噴出する玄武岩マグマは枕状溶岩となる。すなわち、大洋の底は全て玄武岩(枕状溶岩)である。例えば、海嶺が地上に出ているアイスランドの火山はほとんど全部玄武岩質である。海嶺で生じる玄武岩は中央海嶺玄武岩(英語版) (MORB) と呼ばれる。
ハワイなどのホットスポット火山。
伊豆大島、富士山などの島弧上の火山。沈み込む海洋プレートからウェッジマントルに水が供給され、融点が下がることによって玄武岩質マグマが形成されると説明されている。
デカン高原のように非常に大量の玄武岩が地表に供給されることがある。プルームテクトニクスでは、地下深部の高温マントルの塊が上昇してきて(マントルプルーム)、比較的短期間に大量の玄武岩質溶岩を噴出させたと説明されている。このタイプの噴火を洪水玄武岩と呼び、形成された地形を溶岩台地という。
玄武岩には磁鉄鉱が含まれており、弱い磁気を帯びている。この磁気の方向は溶岩が冷えて固まる時の地磁気の影響を受けている。地磁気は平均すると数万年単位でNとSが入れ替わるので、玄武岩の磁気を測定すれば噴火時期特定の有力なデータとなる(古地磁気学参照)。
名前の由来[編集]
玄武洞(玄武洞公園内)
英語名 basalt の語源は、ギリシャ語の basanos(試金石の意味)に関係あるからとも、この岩石が豊富に産出されたヨルダン東部の地名 Bashan(聖書ではオグ王国とされているところ)に由来し「Bashan の石」の意ともいわれている。
玄武岩の日本語訳は、兵庫県城崎温泉の近くにある玄武洞にちなんで小藤文次郎が1884年(明治17年)に命名したものである。玄武洞は約165万年前に噴火した溶岩流で、六角形の柱状節理が見事な玄武岩の岩山にある洞窟。ちなみに玄武とは、中国神話で方位を司る神(四神)のうち、北方に相当する蛇と亀が合体した神体で、黒色の意味もある。
用途・加工法[編集]
リラクゼーション行為の一つとして、玄武岩を使用したホットストーンという施術手法がある[要出典]。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、26頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 国立天文台編 「おもな火成岩の化学組成」『理科年表 平成20年』 丸善、2007年、631頁。ISBN 978-4-621-07902-7。
参考文献[編集]
『日本の火成岩』 久城育夫ほか編、岩波書店、1989年。ISBN 4-00-005766-9。
都城秋穂・久城育夫 「18・4 マフィックな火成岩類」『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、63-66頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 「6.5 塩基性岩類」『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、255-257頁。ISBN 4-320-04578-5。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、46-49頁。ISBN 4-586-31040-5。
関連項目[編集]
ウィクショナリーに玄武岩の項目があります。
ウィキメディア・コモンズには、玄武岩に関連するカテゴリがあります。
岩石 - 火成岩 - 火山岩
塩基性岩、苦鉄質岩
岩石の一覧
玄武洞
黄長石霞石玄武岩
巨大火成岩岩石区
バサルト・ファイバー(英語版)
ジャイアンツ・コーズウェー
火成岩は全岩化学組成(特にSiO2の重量%)で分類され、そのうち玄武岩はSiO2が45 - 52%で斑状組織を有するもの。斑晶は肉眼で見えないほど小さい場合もある。肉眼での色は黒っぽいことが多いが、ものによっては灰色に見えることもあり、また含まれる鉄分の酸化によって赤 - 紫色のこともある。
目次 [非表示]
1 成分・種類
2 生成する場所
3 名前の由来
4 用途・加工法
5 脚注
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
成分・種類[編集]
斑晶および石基として、有色鉱物である輝石・かんらん石、無色鉱物である斜長石等を含む。アルカリ玄武岩にはケルスート閃石(英語版)や金雲母を含むこともある。
玄武岩マグマを生じる上部マントルの部分溶融(英語版)度が大きければソレアイト玄武岩(tholeiitic basalt)、部分溶融度が小さければアルカリ玄武岩(alkali basalt)となる。
化学組成[2]
成分
アルカリ玄武岩
洪水玄武岩
海洋島玄武岩
深海底玄武岩
島弧玄武岩
SiO2
45.4 50.01 50.51 50.68 51.9
TiO2
3.00 1.00 2.63 1.49 0.80
Al2O3
14.7 17.08 13.45 15.60 16.0
Cr2O3
- - - - -
Fe2O3
4.10 - 1.78 - -
FeO
9.20 10.01 9.59 9.85 9.56
MnO
- 0.14 0.17 - 0.17
MgO
7.80 7.84 7.41 7.69 6.77
CaO
10.5 11.01 11.18 11.44 11.8
Na2O
3.00 2.44 2.28 2.66 2.42
K2O
1.00 0.27 0.49 0.17 0.44
P2O5
- 0.19 0.28 0.12 0.11
合計
98.7 99.99 99.77 99.70 100.0
生成する場所[編集]
玄武岩は地球表面で最も一般的に見られる岩石であるが、その生成する場所を列記する。玄武岩質溶岩は流動性が高く、高い火山で噴火した場合遠くまで流れて溶岩流となり、平坦な場所で噴出すると平らな台地を形成する。
海嶺 - プレートテクトニクスでは、海嶺は新しいプレート(リソスフェア)が生成されるところと説明されている。地下深部から上昇してきたマントルが減圧融解をおこし、それによって生じた玄武岩質マグマが海洋底を形成する。海嶺で噴出する玄武岩マグマは枕状溶岩となる。すなわち、大洋の底は全て玄武岩(枕状溶岩)である。例えば、海嶺が地上に出ているアイスランドの火山はほとんど全部玄武岩質である。海嶺で生じる玄武岩は中央海嶺玄武岩(英語版) (MORB) と呼ばれる。
ハワイなどのホットスポット火山。
伊豆大島、富士山などの島弧上の火山。沈み込む海洋プレートからウェッジマントルに水が供給され、融点が下がることによって玄武岩質マグマが形成されると説明されている。
デカン高原のように非常に大量の玄武岩が地表に供給されることがある。プルームテクトニクスでは、地下深部の高温マントルの塊が上昇してきて(マントルプルーム)、比較的短期間に大量の玄武岩質溶岩を噴出させたと説明されている。このタイプの噴火を洪水玄武岩と呼び、形成された地形を溶岩台地という。
玄武岩には磁鉄鉱が含まれており、弱い磁気を帯びている。この磁気の方向は溶岩が冷えて固まる時の地磁気の影響を受けている。地磁気は平均すると数万年単位でNとSが入れ替わるので、玄武岩の磁気を測定すれば噴火時期特定の有力なデータとなる(古地磁気学参照)。
名前の由来[編集]
玄武洞(玄武洞公園内)
英語名 basalt の語源は、ギリシャ語の basanos(試金石の意味)に関係あるからとも、この岩石が豊富に産出されたヨルダン東部の地名 Bashan(聖書ではオグ王国とされているところ)に由来し「Bashan の石」の意ともいわれている。
玄武岩の日本語訳は、兵庫県城崎温泉の近くにある玄武洞にちなんで小藤文次郎が1884年(明治17年)に命名したものである。玄武洞は約165万年前に噴火した溶岩流で、六角形の柱状節理が見事な玄武岩の岩山にある洞窟。ちなみに玄武とは、中国神話で方位を司る神(四神)のうち、北方に相当する蛇と亀が合体した神体で、黒色の意味もある。
用途・加工法[編集]
リラクゼーション行為の一つとして、玄武岩を使用したホットストーンという施術手法がある[要出典]。
脚注[編集]
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1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、26頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 国立天文台編 「おもな火成岩の化学組成」『理科年表 平成20年』 丸善、2007年、631頁。ISBN 978-4-621-07902-7。
参考文献[編集]
『日本の火成岩』 久城育夫ほか編、岩波書店、1989年。ISBN 4-00-005766-9。
都城秋穂・久城育夫 「18・4 マフィックな火成岩類」『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、63-66頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 「6.5 塩基性岩類」『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、255-257頁。ISBN 4-320-04578-5。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、46-49頁。ISBN 4-586-31040-5。
関連項目[編集]
ウィクショナリーに玄武岩の項目があります。
ウィキメディア・コモンズには、玄武岩に関連するカテゴリがあります。
岩石 - 火成岩 - 火山岩
塩基性岩、苦鉄質岩
岩石の一覧
玄武洞
黄長石霞石玄武岩
巨大火成岩岩石区
バサルト・ファイバー(英語版)
ジャイアンツ・コーズウェー
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