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2014年02月08日

デオキシリボ核酸

デオキシリボ核酸(デオキシリボかくさん、英: deoxyribonucleic acid、DNA)は、核酸の一種。地球上の多くの生物において遺伝情報の継承と発現を担う高分子生体物質である。



目次 [非表示]
1 構造 1.1 構成物質と二重らせん構造
1.2 立体構造

2 DNAの化学的性質
3 細胞内でのDNAの存在形態
4 DNAの働き 4.1 塩基配列
4.2 遺伝子発現

5 DNAとRNA 5.1 化学構造の相違
5.2 物理化学的性質の相違

6 DNAの含有量
7 DNAの合成 7.1 DNAの材料

8 遺伝情報の担い手としてのDNA
9 3本鎖DNAの存在について
10 DNAの利用
11 DNA 小史
12 脚注
13 参考文献
14 関連項目
15 外部リンク


構造[編集]

構成物質と二重らせん構造[編集]





相補的塩基対:AとT、GとCが水素結合でつながる。
DNA はデオキシリボース(五炭糖)とリン酸、塩基 から構成される核酸である。塩基はプリン塩基であるアデニンとグアニン、ピリミジン塩基であるシトシンとチミンの四種類あり、それぞれ A, G, C, Tと略す[1]。2-デオキシリボースの1'位に塩基が結合したものをデオキシヌクレオシド、このヌクレオシドのデオキシリボースの5'位にリン酸が結合したものをデオキシヌクレオチドと呼ぶ[1]。

ヌクレオチドは核酸の最小単位であるが、DNAはデオキシヌクレオチドのポリマーである。核酸が構成物質として用いる糖を構成糖と呼ぶが、構成糖にリボースを用いる核酸はリボ核酸 (RNA) という[1]。ヌクレオチド分子は、糖の3’位OH基とリン酸のOH基から水が取れる形でフォスフォジエステル結合を形成して結合し、これが連続的に鎖状の分子構造をとる[2]。ヌクレオチドが100個以上連結したものをポリヌクレオチドと言うが、これがDNAの1本鎖の構造である[2]。DNAには方向性があるという。複製の際、DNAポリメラーゼは5'→3'末端の向きでDNAを合成する。RNAの転写もこの方向性に従う[2]。

2重鎖DNAでは、2本のポリヌクレオチド鎖が反平行に配向し、右巻きのらせん形態をとる(二重らせん構造)。2本のポリヌクレオチド鎖は、相補的な塩基 (A/T, G/C)対の水素結合を介して結合している。塩基の相補性とは、A、T、G、Cの4種の塩基うち、1種を決めればそれと水素結合で結ばれるもう1種も決まる性質である。A/T間の水素結合は2個、C/G間は3個であり、安定性が異なる。例外的に、特殊な配列が左巻きらせん構造をとる場合があり、これはZ型DNAと呼ばれる。

この相補的二本鎖構造の意義は、片方を保存用(センス鎖)に残し、もう片方は、遺伝情報を必要な分だけmRNAに伝達する転写用(アンチセンス鎖)とに分けることである。また、二本鎖の片方をそのまま受け継がせるため、正確なDNAの複製を容易に行うことができるため、遺伝情報を伝えていく上で決定的に重要である。DNA損傷の修復にも役立つ(詳しくは二重らせん)。

DNAの長さは様々である。長さの単位は、二本鎖の場合 bp(base pair: 塩基対)、一本鎖の場合 nt(nucleotide: 塩基、ヌクレオチド)である。

立体構造[編集]

細胞内のDNAには、原核生物やミトコンドリアDNAのような環状と、真核生物一般に見られる線状がある[3]。自然界のDNAは螺旋巻き数が理論値(1回転あたり10.4塩基)よりもほんの少し小さい。線状DNAには問題は無いが、環状DNAではこの差による不安定を解消するために環にねじれが生じ、これをDNAの超らせん(または負の超らせん)という[3]。

DNAの化学的性質[編集]
2本のポリヌクレオチドを結びつける水素結合は不安定なため、沸騰水の中では離れて1本鎖になる。しかしゆっくり冷ますとポリヌクレオチドは相補性から再び結合して元に戻る。このようにDNAが1本鎖になる事を「DNAの変性」、元に復元する事をアニールという。変性が50%起こる温度はTmと記され、A/T対が多いほど低い[3]。Tmは一価の陽イオン濃度が低い場合や、水素結合を遊離させやすい尿素やホルムアミドなどが存在すると下がる[3]。
穏やかな方法で単離されたDNAは白色のフェルト状繊維で、そのナトリウム塩の水溶液は粘性が高く、流動複屈折を示す。これは熱、酸、アルカリに容易に変性し、粘度は低下し、乾燥すると粉末となり、もはや繊維状になり得ない。この変化から分子量は数百万から2万〜3万程度に下がってしまう。この化学組成はアルカリに対しては安定性が高いが、酸には弱く、容易にプリンを遊離する。この変化に伴い、デソキシペントースのアルデヒド基が遊離し、シッフ試薬を赤紫に変色させる。この呈色反応をフォイルゲン反応と呼び、これを利用して、DNAを含む核や分裂中の染色体を赤紫に着色して観察できる。
DNAの吸光度は塩基によって紫外線260nmを吸収極大としている[3]。この値は、塩基が接近しているほど小さい。塩基が極めて整然と、かつ接近している二本鎖DNAよりも、不規則に配列しているときの一本鎖DNAのほうが光を吸収する力は強い。例えば、A260=1,00である二本鎖DNAと同濃度の一本鎖DNAについて、A260=1、37である(詳しくはDNAの巻き戻し参照)。
変性したDNA溶液から、未変性状態のDNA状態と同じDNAを作ることができる。
異なる分子種から得た一本鎖の試料を混ぜて再結合DNAを形成させる手法をハイブリッド形成という。

細胞内でのDNAの存在形態[編集]

真正細菌のゲノムは通常環状DNAであり、細胞内で核様体と呼ばれる構造体を形成する。核様体は真核細胞の核膜に対応する膜構造はもたない。

真核細胞のゲノムDNAは、ヒストンというタンパク質群と結合して、ヌクレオソームと呼ばれる構造をつくる。ヌクレオソームはクロマチンの基本単位であり、分裂期にはさらに折り畳まれて染色体を構築する。

古細菌のゲノムも真正細菌と同様に核様体をつくるが、真核細胞のヒストンに似たタンパク質ももっている。

またオルガネラでもミトコンドリアや葉緑体は独自のDNAを持つ。このことがオルガネラの由来に関する膜進化説に対する細胞内共生説の証拠であるとされている。形状は環状のものもあれば、そうでないものもある。

DNAの働き[編集]

塩基配列[編集]

DNAのヌクレオチドの並び方を塩基配列と言う。本来は「ヌクレオチド配列」と言うべきだが、実際の差異はそれぞれの塩基部分のみであるためこのように呼ばれる。別な呼び方では「遺伝暗号」 (genetic code) という専門的な呼称もある[4]。塩基配列はタンパク質のアミノ酸配列に対応しており、3つの塩基の組み合わせが20種類のアミノ酸1つずつに対応しており、mRNAに配列の情報を転写し、細胞内のリボソームでmRNAの3つの塩基が並ぶ情報(コドン)が翻訳されてアミノ酸が鎖状に繋がってタンパク質が合成される。この連鎖は全生物に共通の原理であるためセントラルドグマと呼ばれる[4]。

ただし、一般的に広まっている「DNAは生命の設計図」という表現は、専門家からの批判が多い。イギリスの生物学者ブライアン・グッドウィンは「生物を遺伝子の性質に還元することはできない。生物は、それが生きている状態を特徴づけるようなダイナミックな系として理解されなければならない」[5]、医学博士の荻原清文は「遺伝子はあくまでもタンパク質の設計図にすぎません。すなわち、遺伝子から読み取られるタンパク質が脳細胞の形や配置のしかたを決めることはあっても、脳ができるときに1つ1つの脳細胞がお互いにどのように結合するかということまでは遺伝子は決められないのです」[6]、などと述べている。実際、ヒトの場合DNA中でタンパク質合成の設計にあずかる部分は全体の1.5%に過ぎない[4]。

遺伝子発現[編集]

DNAの塩基配列をmRNAに転写させる遺伝子発現は、ヒストンに巻きつき折りたたまれた状態のままでは不可能である。転写の前段階に、特定の化学物質がヒストンのリジン残基と結びついてアセチル化を起こし、元々帯びていたプラスの電荷を弱める。するとマイナスの電荷を持つDNAとの結びつきが弱まり[7]、特定のDNA部分がむき出しになる[8]。

解かれたDNAの遺伝子発現をしようとすると、まずその部分の脇にある「プロモーター」という塩基配列の転写調節領域に、複数の「基本転写因子」というタンパク質が集まって来る。この中にある活性酵素のヘリカーゼが作用し、DNAの二重らせんが離れて1本ずつになる。この部分にRNAポリメラーゼUという酵素がとりつき、mRNAの合成を行う[9]。

上のようなプローター部分に基本転写因子が集まるシステムは、DNAの全く別のところにある塩基配列部分の促進によって調整される。この部分は「エンハンサー」と呼ばれ、やはりここに「アクチベーター」と言うタンパク質が結合する事で基本転写因子の活性に繋がるシグナルを発する[9]。このようにDNAのある箇所が遺伝子発現を起こすためには、タンパク質合成に与らない塩基配列部分を介した複雑なメカニズムに左右される。また、クロマチンが解けなければ基本転写因子の接近も難しく、束の部分によっては非常に固く縮こまった部分(ヘテロクロマチン)などではほとんど遺伝子発現が起こらない。この一例がX染色体の不活性化である[9]。

DNAとRNA[編集]

DNAとRNAはともにヌクレオチドの重合体である核酸であるが、両者の生体内の役割は明確に異なっている。DNAは主に核の中で情報の蓄積・保存、RNAはその情報の一時的な処理を担い、DNAと比べて、必要に応じて合成・分解される頻度は顕著である。DNAとRNAの化学構造の違いの意味することの第一は「RNAはDNAに比べて不安定」である。両者の安定の度合いの違いが、DNAは静的でRNAは動的な印象を与える。

化学構造の相違[編集]

DNAとRNAの化学構造の違いの第一は、構成糖が、RNAはリボースで、リボースから2'位の水酸基で酸素が一つ少ない2'-デオキシリボースであることだ。これにより、構成糖の立体配座が異なる。DNAではリボースがC2'-エンド形構造を取ることが多いが、RNAでは2'位のヒドロキシ基の存在により立体障害が生じ、リボースがC3'-エンド型構造を取る。このためDNAはB型らせん構造を取りやすく、RNAはA型らせん構造を取りやすくなるという違いが生じる。この結果RNAのらせん構造は主溝が深く狭くなり、副溝が浅く広くなる。らせん構造についての詳細は、記事二重らせんに詳しい。

1本鎖RNAでは2'位のヒドロキシ基が比較的柔軟な構造を取り反応性もあるため、DNAと比較すると不安定である。水酸基の酸素には孤立電子対が2つあるため負の電荷を帯びており、例えば、近接したリン酸のリンは周囲を電気陰性度の高い酸素原子に囲まれて水酸基の酸素原子から求核攻撃を受けやすく、攻撃によりホスホジエステル結合が切れ、リン酸とリボースの骨格が開裂する可能性があるなどDNAと比べて不安定である。この特性から、翻訳の役割を終えたmRNAを直ちに分解することが可能になる(バクテリアでは数分、動物細胞でも数時間後には分解される)。安定RNAでは1本鎖に水素結合を形成し、らせん構造となるなど、多様な二次構造、三次構造を取り、安定性を増している。

糖に結合している塩基にも違いがあり、DNAはA、C、G、Tであるが、RNAはTがUに替わっている。ただし、DNA上にもUが稀に生じることがあり、また、塩基にTではなくUを用いるDNA(U-DNA)を持つ生物も存在する。圧倒的大多数の生物でDNAの構成塩基にUではなくTが用いられるのは、同じピリミジン塩基であるCは自然の状態でも脱アミノ化することでUに置き換わることがあるからだ[10]。そのため、U-DNAは頻繁に塩基配列が変化し、またそれを防ぐためには、損傷してUに変化したCと元々がUであるのと識別する必要があるという問題がある。TはUの2'にメチル基がついている構造をしている。メチル基は水素結合に係わるものの他の原子には殆ど反応しない。また、Uに比較してCからは容易に生じず、Cの損傷によって生じたUを容易に検出できる。 以上より、DNAではUではなくTが用いられているが、ウラシルはチミンよりエネルギー的に有利であるため、RNAではウラシルが用いられている。

物理化学的性質の相違[編集]

DNAとRNAの物理化学的性質について。DNAとRNAはともに紫外線である波長260nm付近に吸収極大を持ち、230nm付近に吸収極小を持つ。この吸光度はタンパク質の280nmよりもずっと大きいが、これはDNAとRNAの塩基はプリンまたはピリミジンに由来するためである。ただし、二重らせん構造のDNAの場合、溶液を加熱するとその吸光度は増す(濃色効果)。これは、DNAは規則正しい2重らせん構造ゆえ、全体の吸光度は個々の塩基の吸光度の総和より小さい(淡色効果)が、熱によって水素結合が切れ、2重らせん構造が解け(核酸の変性)、個々の塩基が自由になり、独自に光を吸収するためである。また、DNAとRNAはアルカリ溶液中で挙動が異なる。RNAは弱塩基でも容易に加水分解するが、DNAは安定して存在する。

DNAの含有量[編集]

細胞の分化に伴いDNAの一部が欠落する場合を除き、核内のDNA含有量は生理的条件に左右されない。すなわち一般的な体細胞[11]は二倍体で、卵・精子等は半数体(一倍体[12])である。つまり卵・精子の核のDNA含有量は、その生物の体細胞のほぼ半分(厳密には、y染色体がx染色体より小さい場合、精子のDNA量はx染色体を持つ場合半分より多く、y染色体を持つ場合半分より少ない)である。DNA含有量は個々の生物で特有であり、一つの種類で、二倍体ならばどの種類の細胞であろうと値は一定である。脊椎動物では両生類では特に高い。哺乳類では種類ごとの含有量の差が小さく、6〜7×10^−12gぐらいであり、鳥類はその半分ぐらいである。 この現象は、複製のためにあり、体細胞分裂ごとにDNAは2倍に増加して、2個の娘細胞に等分される。

DNAの合成は染色体が出現する分裂期ではなく、静止核の時期である間期のS期に行われ、分裂期は合成されたDNAを娘細胞に等分する時期に当たる。詳細は細胞周期参照。またDNAは分裂間期から分裂期までの間、転写をせず、安定な状態で、娘細胞の中に入れられる。

DNAの合成[編集]
デノボ合成食物から摂った糖やアミノ酸などを元に肝臓で合成する。デノボ合成を参照。サルベージ合成食品から摂取されて分解経路に入ったヌクレオチドを再利用する。サルベージ経路を参照。
DNAの材料[編集]

ヌクレオチド及びその結合体であるポリヌクレオチド、DNA、RNAは生物を原料とするほとんどの食品に微量含まれており、魚の白子や動物の睾丸などでは含有率が高い。DNAを摂取すると、体内でいったんヌクレオチドに分解された後、ヌクレオシド3リン酸となり、RNA、DNAを効率的に合成する材料となる。

工業的に効率的に分離するための原料としてサケの白子やホタテガイの生殖巣などが利用されている。

遺伝情報の担い手としてのDNA[編集]





DNAの複製
全ての生物で、細胞分裂の際の母細胞から娘細胞への遺伝情報の受け渡しは、DNAの複製によって行われる。DNA の複製はDNAポリメラーゼによって行われる(詳しくはDNA複製を参照のこと)。

DNAが親から子へ伝わるときにDNAに変異が起こり、新しい形質が付加されることがあり、これが種の保存にとって重要になることがある。

細菌など分裂によって増殖する生物は、条件が良ければ対数的に増殖する。その際、複製のミスによって薬剤耐性のような新たな形質を獲得し、それまで生息できなかった条件で生き残ることができるようになる。

有性生殖をする生物において、DNAは減数分裂時の染色体の組み換えや、配偶子の染色体の組み合わせにより、次世代の形質に多様性が生まれる。

3本鎖DNAの存在について[編集]

これまで2本鎖、もしくは1本鎖のみと考えられていたDNAであるが、近年3本鎖DNAの存在が示唆されてきている[13][14]。

通常、DNAは真核生物の細胞内では2本鎖の状態で存在している。そのDNAのGC含量にもよるが、DNAは60℃前後で水素結合が壊れて1本鎖となる(Tm値)。逆に温度が下がり、0℃を下回るあたり(Bm値。若干の幅がある)で細胞質内のリン酸基を中心に3つの塩基が同じ高さに来ることがある。

この場合、事実上3本のDNA鎖が並列に存在することとなり、DNAは3本鎖となる。リン酸を必要とするため、単純なDNA溶液のみでの実験を行っても、in vitro(試験管内などの人工的に構成された条件下)での証明が難しい。今後はより再現性を高めた研究が進むものと期待されている。

3本鎖となったDNAにおいても、そのねじれは2本鎖の場合と変わらず、約10.5塩基ごとに1周である。3本鎖になることにより、2本鎖の場合のDNAの一次構造の保持への負担はより軽くなると思われがちである。しかし、実際に保持エネルギーを計測すると3本鎖DNAの方がエネルギーが大きく、遥かに不安定であることが実験的に証明されている[15]。

なお、一部の担子菌類では、自然界で正常に存在している状態で3本鎖のDNAを有するものが見つかっている。これらのDNAが転写・複製される場合、3本が同時にほどけるのではなく、1本ずつ順番にほどけて複製される。そのため、これらの生物がDNA複製を行う際生体内のDNA量を計測すると、ある1点で急激に増加するのではなく段階的に増加していることがわかる。

DNAの利用[編集]
DNA鑑定DNAの反復領域の違いをもとに、血液その他から人物の特定などを行う。犯罪捜査や親子鑑定に利用される。医療遺伝子治療やオーダメイド医療という、一人ひとりの個性に合った治療が可能になる。工業DNAの二重らせん構造を使って、微細な有機分子を捉えるフィルターが開発されている。
DNA 小史[編集]
1869年: フリードリッヒ・ミーシャー(スイス)がDNAを発見、1871年にヌクレインという名で発表したが、彼はその役割を細胞内におけるリンの貯蔵と考えていた。(後にリヒャルト・アルトマン(ドイツ)によってヌクレインは核酸と改称される)
1885年: A.コッセルがアデニンを発見。86年にグアニン、93年にチミン、94年にシトシンも発見。
1909年: フィーバス・レヴィーンがリボースを構成糖とする核酸・RNAを発見。
1929年: 上述のフィーバス・レヴィーンがDNAの構成糖はデオシキリボースで、核酸にはDNAとRNAの2種類あることを発見。
1944年: オズワルド・アベリーらによって肺炎双球菌を用いて DNA が形質転換の原因物質であることが証明される。これはDNAが遺伝子本体であることを強く示唆したものであると理解された(当時、遺伝子の正体がDNAかタンパク質か論争が起こっていた)。
1952年: A.D.ハーシーとM.チェイスは、バクテリオファージを用いて、DNAが遺伝物質であることを直接に確認(ハーシーとチェイスの実験)。DNA が遺伝物質であることが決定的になる。
1953年: J.ワトソン、F.クリックがロザリンド・フランクリンやモーリス・ウィルキンスの研究データの提供によって DNA の二重らせん構造を明らかにした。
1956年: A.コーンバーグによってDNAポリメラーゼが発見される。コーンバーグはDNAポリメラーゼの精製にも成功している。
1957年: M.メセルソンとF.W.スタールによって DNA の半保存的複製が明らかにされる。
1967年: 岡崎令治らによって岡崎フラグメントが発見される。
1970年: H.スミスによって制限酵素 HindIIIが分離される。
1971年: ポール・バーグによって史上初の組み替えDNA実験を行った。発ガンウイルスの1種SV40のDNAを、ある種のバクテリアファージに組み替えることに成功。その後、実験室から漏れ出した大腸菌の危険性を指摘され、4年後アシロマ会議を主催する。
1975年: 上述のバーグの呼びかけでアシロマ会議開催。

詳しくは遺伝子を参照のこと

脚注[編集]

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1.^ a b c 田村(2010)、p.38-40、T細胞生物学の基礎、5.情報高分子(2):ヌクレオチドと核酸、5-1 核酸を構成するヌクレオチド
2.^ a b c 田村(2010)、p.41、T細胞生物学の基礎、5.情報高分子(2):ヌクレオチドと核酸、5-2 核酸の鎖状分子形成
3.^ a b c d e 田村(2010)、p.42-45、T細胞生物学の基礎、5.情報高分子(2):ヌクレオチドと核酸、5-4 核酸の性質
4.^ a b c 武村(2012)、p.14-24、第1章 エピジェネティクスを理解するための基礎知識、1-1 DNAとセントラルドグマ
5.^ 矢沢サイエンスオフィス 『大科学論争』 学習研究社〈最新科学論シリーズ〉、1998年、50頁。ISBN 4-05-601993-2。
6.^ 荻原清文 『好きになる免疫学』 講談社、2004年、152頁。ISBN 4-06-153435-1。
7.^ 武村(2012)、p.54-66、第2章 エピジェネティクスを理解するための基礎知識、1-3 DNAは衣服をまとい装飾品で飾りたてる
8.^ 引用エラー: 無効な タグです。 「Take34」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
9.^ a b c 武村(2012)、p.45-52、第1章 エピジェネティクスを理解するための基礎知識、1-4 遺伝子の転写と高次クロマチン構造
10.^ 武村(2012)、p.90-94、第3章 DNAに生じる塩基配列以外の変化、3-1 塩基の成り立ちとメチル化
11.^ 通常のコケは配偶体で半数体である。
12.^ 田村(2010)、p.173、W細胞の増殖、20.減数分裂、20-1 減数分裂の概要
13.^ 引用エラー: 無効な タグです。 「Tamra41-2」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
14.^ reviewed in Right 2004; myong et al., 2006
15.^ reviewed in Documentation 2006; leime et al., 2007

参考文献[編集]
田村隆明 『基礎細胞生物学』 東京化学同人、2010年、第1版第1刷。ISBN 978-4-8079-0724-3。
武村政春 『DNAを操る分子たち』 技術評論社、2012年、初版第1刷。ISBN 978-4-7741-4998-1。

関連項目[編集]
DNA複製
遺伝子
遺伝子工学
プラスミド
PNA
ゲノム
アガロースゲル電気泳動
PCR
相補的塩基対
DNA鑑定
DNAマイクロアレイ
DNAシーケンサー
DNAコンピュータ
DNA - DNA分子交雑法
DNAバーコーディング
DNA (小惑星) - デオキシリボ核酸に因む小惑星。
ミーム:文化における伝統を遺伝子に喩える通俗的な言い方として「何々のDNA」と用いられることがあるが、これに近い概念としてミームがある。学術的な場面以外で「何々のDNA」という言いまわしが用いられた場合、実質的には「何々のミーム」という意味で用いられていることが多い。

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