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感謝をこめて・・・2016

誰もが平等に歳を食っていくわけだが、私もそろそろ次の正月を無事に迎えられるかどうかわからない年齢になってきた・・・というのはさすがに大げさではあるものの、ただ、今までのように、「次の正月」のことなどまったく考えない年末を、どういうわけか今年は迎えていない。

40代も半ばにさしかかろうかという年齢になると、今まで気が付かなかったいろいろなことに気が付くようになるし、きっとこれまで気づいてきたことに気づかなくなっているのだとも思う。私も歳を食ったのだ。あなたや、彼や彼女や、あの人と平等に。

ということで、もちろん偶然にもこのブログを見つけて読んでいただいた方に対する感謝もそうだが、今回は、今年亡くなった競走馬やホースマンの思い出を少しずつ振り返り、悼み、私たちにかけがえのない競馬の楽しみを与えてくれたことに感謝しながら、今年のブログおさめとする。

昨年は後藤浩輝騎手やステイゴールド、そして私にとっては現在の競馬をここまで楽しいものにしてくれるとは想像もしていなかったオリエンタルアート(ドリームジャーニー、オルフェーヴルの母)の相次ぐ死が多くのファンのこころを傷めたと思うが、今年も多くの競走馬と優れたホースマンが旅立っている。私の記憶に残っている範囲で振り返る。
※競走馬の享年はすべて現行表記、満年齢で記載。

・メジロライアン(父アンバーシャダイ、享年29歳)
私がはじめて好きになった競走馬である。その後メジロマックイーンと出会い、私のこころはそちらに移ってしまったが、競馬の楽しさ、難しさ、そして「好馬体」の意味を、このメジロライアンは教えてくれた。

メジロマックイーンの大ファンになっていた私が見た、唯一マックイーンを破った宝塚記念は、私にとって非常に不思議な印象のレースだった。とても悔しいけれど、とてもうれしい・・・後にも先にも、あんなに不思議な感覚を競馬で経験することはもうないだろう。

そのパートナーの横山典弘騎手が、ライアンのライバルだったメジロマックイーンの血をひくゴールドシップとコンビを結成し、GT2勝を挙げたのは不思議な縁を感じたし、今はもうすっかり大ベテランの域に達した典弘騎手に2回目の宝塚記念を勝たせたのは、メジロマックイーンの血だけではなく、「見えざる力」が働いていたような気がしないでもない。

今の若い人にも自信を持って言える。馬体の善し悪しの判断は、メジロライアンを参考にしなさい。


・ポイントフラッグ(父メジロマックイーン、享年18歳)
ゴールドシップのお母さんである。現役時代は重賞で2着の星があったものの、そこまで目立った活躍はなかったが、小柄な産駒が多いステイゴールドの子であるにもかかわらず、ゴールドシップのような雄大な馬格の牡馬を出したのは、ポイントフラッグの特徴だった。

おかげで、私が敬愛してやまないメジロマックイーンが再び甦ったかのように、長きにわたりゴールドシップを見ることができた。ほんとうに感謝している。


・カネヒキリ(父フジキセキ、享年14歳)
ポイントフラッグとこのカネヒキリの死については、このブログでも取り上げた記憶がある。とはいえ、まだまだ若く、種牡馬としてはこれからが旬だったことを考えると、数多くの名馬が旅立った今年の中でもほんとうに残念な死である。

あれだけ何度もケガを克服して甦ったのに、まさかカネヒキリがこんなに早く旅立つとは思わなかった。サンデーサイレンス系のダート種牡馬は希少なだけに、悲しいなぁ・・・


・ユキノビジン(父サクラユタカオー、享年26歳)
岩手県競馬出身の栗毛の牝馬で、お父さんゆずりの流星がチャームポイントの、ほんとうに「美人さん」という印象の、とてもかわいらしい牝馬だった。桜花賞、オークスではあのベガの2着、見た目の美しさだけでなく、まだ競馬の楽しい部分しか知らなかった私にとって、とても愛すべき名牝だった。


・ワコーチカコ(父リヴリア、享年26歳)
この世代には、ベガ、ホクトベガ、ユキノビジン、そしてノースフライトという強い牝馬がたくさんいて、ワコーチカコもそのうちの1頭だった。個人的に人間のファンであった宮嶋千佳子さん(競馬キャスター)がこの馬の大ファンだったこともあって、私もつられて応援していたのが懐かしい。

引退レースとなった京都記念では、驚くような好タイムでナイスネイチャ、ライスシャワーら並み居る強豪牡馬とオークス馬チョウカイキャロルを破り、私に馬券をプレゼントしてくれたことは未だ鮮明に覚えている。この世代もノースフライトを除いてみな逝ってしまったんんだなぁ・・・


・ウィナーズサークル(父シーホーク、享年30歳)
「芦毛はダービーを勝てない」のジンクスを唯一破った芦毛のダービー馬。しかしその後もジンクスは継続し、今年はレッドエルディストに期待したが、ウィナーズサークルは未だ「唯一の芦毛の日本ダービー馬」である。

それにしても、私は自分が競馬をはじめたメジロライアン、メジロマックイーンのあの世代より前はまったく競馬を知らないことを痛感する。ウィナーズサークルというと、ずいぶん大昔の馬というイメージだったが、今年30歳ということは、ライアンやマックイーンのひとつ上、ということは、実はこちらも芦毛のあのオグリキャップのひとつ年下ということになるのだ。

オグリよりもずっと年上のイメージがあったが、亡くなってはじめて知った。元気なうちに、もう1頭芦毛のダービー馬を見せてあげたかったな。


・メイケイペガスター(父フジキセキ、享年6歳)
先日リヤンドファミユ(オルフェーヴルの2歳下の弟)が少し変わった形で種牡馬入りすることが発表されたが、このリヤンドファミユと同期であり、ということは、まだ6歳の若さだったからほんとうに驚いたし、とても残念。

思えば私はこの世代のダービーで、メイケイペガスターを本命にしていた。リヤンドファミユが優勝した若駒Sで馬券をとらせてもらい、そのリヤンドファミユが骨折で長期休養を余儀なくされたこともあり、「リヤンドファミユの分までがんばってくれ!」の思いでメイケイペガスターに本命を打った。ずいぶん昔のことのように感じるが・・・

先行して勝った共同通信杯よりも、強烈な末脚で追い込む爆発力が魅力だった。


他にも、桜花賞、秋華賞の2冠を制し、後にエリザベス女王杯も制した良血牝馬ファレノプシス(父ブライアンズタイム、享年21歳)、サクラローレル、マヤノトップガンとともに「3強時代」を築き宝塚記念を勝ったマーベラスサンデー(父サンデーサイレンス、享年24)らGTホースも今年亡くなっており、私と同時期に競馬を知ったファンはだんだん寂しくなっていくのではないかと、察する思いである。


そして、武豊騎手、幸四郎騎手のお父さんである武邦彦元騎手・元調教師も亡くなっていた。こちらはたいへん大きいニュースとして取り上げられたので知っているファンも多いだろう。

武邦彦さんがジョッキーの時代のことはまったく知らないが、私が競馬をはじめてから調教師として管理した馬というと、やっぱりオースミタイクーンが思いだされる(豊騎手のバンブーメモリーは私が競馬をはじめる前)。

オースミタイクーンをご存知ないファンは多いと思うが、この馬、幸四郎騎手がデビューした週に幸四郎騎手を乗せ、まったくの人気薄で超大穴をあけたのである。あれは私も驚いたし、お兄さんの豊騎手も中山のターフビジョンを見て驚きながら拍手を送っていたことが懐かしく思いだされる。

幸四郎騎手も調教師試験に合格し、来年から調教師としての新たな人生がスタートすることになる。ジョッキーとしては苦労が多かったようだが、だから調教師になったのではなく、ジョッキーとして兄の背中を追い、今度は調教師として(残念ながら今は)亡きお父さんの背中を追おうと決意したのだと、私は解釈している。

幸四郎って、そういうヤツなんだと思う。ああ見えて。


ということで、今年は馬券では自慢できるレースはひとつもなく、年間でわずか4レースしか的中できないという、私の歴史の中でも2番目に悪い(3レースしか的中できなかった年もあるが、その年はプラス収支だった!)成績で1年を終えることになる。

ほんとうは、「競馬改革案」としていろいろ意見を述べようとも思っていたのだが、それは年明け早々にぶっ放そうと思っている。

ちょっと長くなってしまい申し訳ないが、1年のうち1度でもお読みいただいたみなさん、ほんとうにありがとうございました。あまり先のことは敢えて言いませんが、とりあえず金杯の予想に全力を注ぎます。

とにかく良いお年をお迎えください。

日曜中山〜第61回有馬記念(GT)

注目のキタサンブラック(父ブラックタイド)が最内枠に入り、菊花賞馬サトノダイヤモンド(父ディープインパクト)は11番枠、昨年の覇者ゴールドアクター(父スクリーンヒーロー)はキタサンの隣の2番枠にそれぞれ入った。

私は過去有馬記念を的中したことが4回あって、確率的にはだいたい6年に1回のサイクルである。しかも、他のレースとちがって平穏もしくは微小波乱程度のレースしか的中できないでいる。有馬記念の的中率が他のレースよりもわずかに高いのは、おそらくこの有馬記念、「予想が困難ではあるけれど、偶然当たることはあるレース」なのだと思う。

もちろんこれはあくまでも私にとってという話。ただ、有馬記念は昔から「好きな馬を買うレース」などと呼ばれてきていることからも、予想困難なレースであることが推察されないでもない。6回もコーナーを曲がるレースというだけで、非常に紛れが生じやすいことは明らかだし、距離も2500mという非常に中途半端な距離(シンザンのころは確か2600mだった)で、余分な100mの分が予想の妨げになりやすい。

また、コーナーを6回もくるくると回るレースなのだから、ペースというよりはラップ次第でマイラーが台頭するレースにもなり、ゴールドシップや2回目のオルフェーヴルが勝った有馬記念のように、ラストはみなヘロヘロになってしまうくらいタフな競馬になることもある。

それとは別に、未だに理由がわからないダイユウサクの大駆け(負かしたのがあのメジロマックイーン)だったり、ダイワスカーレットが勝った有馬記念では、展開が向いたとはとても思えないアドマイヤモナークの2着があったりで、あれも正直未だに理由がわからないままでいる。

今年は果たしてそういう何年経っても理由がわからない馬の台頭があるのか、そしてどこでペースが上がってどんな傾向のレースになるのか、そのあたりは相変わらず不透明である。たとえば、今年で言えば、ヒットザターゲット(父キングカメハメハ)が勝ったとしてもそれなりの理由をつけられるが、マルターズアポジー(父ゴスホークケン)が勝つようなことがあると、おそらく分析に窮することになる。

ということで、ヒットザターゲットは買うけれど、マルターズアポジーは買わないということまでは、今のところ決まっている。キタサンはサイコロでも振って決めようかと思う。

そのマルターズアポジーが行く構えを見せそう。これはラクに行かせたとして、問題は2番手。内からキタサンが行くところをおそらくそうはさせたくない横山典弘サムソンズプライド(父メイショウサムソン)が外からかぶせていく可能性がある。サムソンズプライドは好位から粘り込みたいタイプのわりに、スローの競馬は好まない傾向がある。自在のキタサンが3番手で折り合う流れか。とすると、平均ペースで流れそう。

コース形態を考えれば、当然みな内枠を引きたがるのに、ルメールは真ん中より外をほしがっていたサトノダイヤモンドは望み通りの枠で、どういうプランなのかが難しい。とはいえ、キタサンを徹底的にマークすることは間違いない。そして連覇を目指す吉田隼人・ゴールドアクターも、JCではどうぞ逃げ切ってくださいという流れを作らせてしまっただけに、今回はキタサンを大名マークだろう。

これら有力勢を直後で見ているのが怖いマーク屋の池添ヤマカツエース(父キングカメハメハ)、少し離れた位置からマークするのがデムーロ・サウンズオブアース(父ネオユニヴァース)、福永シュヴァルグラン(父ハーツクライ)、そんな隊列になるか。ここからどう読もうか?

ポイントはデムーロの動きだと思う。デムーロは、「えへへ、うーん勝ちたいねー、うふふ」というようなタイプではあるが、勝負に徹する気持ちの強さは異常といえるレベル。器用な脚がないタイプだけに、サウンズオブアースは府中や京都、阪神のように広いコースのほうが合う。正直言って中山内回り向きではない。そして誰よりそのことをよくわかっているのがデムーロである。

かなり早いタイミングでデムーロが動いて競馬が一気に厳しい流れになると思う。「えへへ、うふふ」と言いながら、何度も何度も「まつりだよー」なんて聞きたくないと、誰よりも思っているはずである。そして、ルメールには尋常ならざる敵対心を抱いていることはよく知られる。今年はデムーロが競馬を大きく動かす。そうであってほしい。

これを踏まえて、今年は最後の脚にすべてを託すことがはじめから決まっているデニムアンドルビー(父ディープインパクト)とバルザローナにした。

バルザローナは、名前がメンディザバルとどこか似ているなぁというくらいしか印象がないジョッキーだが、そう考えると、バルザローナならメンディザバルに乗ってもらいたいというのが本心という程度の技量のジョッキーだろう。外人だからといってみんなが上手なわけではないという言い方をすると、真っ先に名前が思いだされる組のフランス人ジョッキーである。

先週の朝日杯ではちゃんと仕事をしてモンドキャンノを2着に持ってきていたが、阪神外回りのマイル戦なら割と誰でも乗れるコースである。中山内回りとは乗りやすさの面で雲泥の差がある。今年来日して以降[5.4.1.30]という、決して悪くない成績だが、人気馬に乗せてもらっても豪快に吹っ飛ばすわりに、人気薄に乗せると意外と大駆けするタイプの騎手。

実際5勝のうち人気の内訳は2、10、6、2、7人気で、2着4回も同様に3、5、2、7と、それなりに薄目を持ってくるタイプのジョッキーなのだ。しかもその中には途中から一気にまくっていってそのまま押し切るような競馬を見せることもある。人気薄ではなかなかできない芸当だったりする。もちろんその代わり3番人気以内の馬は何度も盛大に吹っ飛ばしている。マークされると全然ダメなのである。

ただ、バルザローナはそういう難しいことをまったく考える必要がない人気と脚質のデニムアンドルビーに乗れるのだから、逆に大きなチャンスになる。思い切った騎乗で結果が出なければ仕方がない。今回はじっと動かずガマンしてペースが上がったところで中なり外なりうまく対処してくれることを期待して、大けがから復帰を遂げたデニムアンドルビーを応援しようと思う。

相手はまるで野生のような勝負勘に長けたデムーロとサウンズオブアース、同じく勝負勘という意味では異常に鋭いものがある池添ヤマカツエース、あとは人気でもシュヴァルグランの上昇、ゴールドアクターの巻き返し、当然サトノダイヤモンドは押さえるとして、大穴では先に行く横山典弘の「マジック」にも期待してサムソンズプライドの大駆けと、田辺騎手に乗り替わるからおもしろそうなお約束のヒットザターゲットまで押さえたい。

もちろん年度代表馬をかけて武豊キタサンブラック、大外はむしろ好都合とも思われるマリアライトもそれぞれ少額押さえる。

今年は、もちろんモーリスというスーパースターが登場したが、特に若手〜中堅の日本人ジョッキーがもう少しがんばらないといけないという意味も込め、私の25年程度のごく浅い歴史の中ではじめて騎手を基準にして予想した有馬記念になりそうである。

◎ デニムアンドルビー
〇 サウンズオブアース
▲ ヤマカツエース
△ シュヴァルグラン、ゴールドアクター、サトノダイヤモンド、サムソンズプライド、ヒットザターゲット

日曜阪神〜第68回朝日杯FS(GT)

先週の「香港ミーティング」は、日本馬のレベルの高さを見せつけるという意味で非常に素晴らしい競馬だった。特に最終レース香港Cでは、「世界のモーリス」が異次元の強さで圧勝し、日本だけでなく、世界中のファンがみな一様に「素晴らしいレースだった」と称賛したことと思う。

私はたまたま現地かどこかの英語実況を聞いていたのだが、英語はまったくわからない私でも、レースのはるか前からモーリスの名前が盛んに呼ばれていたことは確認できた。世界がそのくらいモーリスに注目していたのだ。出走したのが迷っていた香港マイルではなく、香港Cのほうでほんとうによかったと思う。そして、香港マイルが最終レースでなくてほんとうによかったとも思う。

いや、別に私は香港マイルの馬券を買っていなかったので、どんな結果になっても文句を言う筋合いもないし、逆にその分感情論抜きで語ることができる立場でもあるのだが、モーリスという誰が見ても圧倒的に強いスーパーホースのラストランを見て、「日本馬は素晴らしい!」と感嘆するホースマンがいても、香港マイルを見てしまうと、「日本の競馬は素晴らしい!」と感じるホースマンはほとんどいなくなってしまうことが想像できてしまう。この事実は、日本人としてはあまりにも情けない。

もうみなさんのほうがよくわかっていると思うのでレースについては触れないが、日本の最強馬にしておそらく世界でも最強のモーリスと、日本の最高峰レースとされる今年のダービーを勝ったジョッキーとの対比は、あまりに対照的だった。私は世界中のダービーを見ているわけではないから明言は避けるが、香港マイルの川田騎手の騎乗を見る限り、日本のダービージョッキーは世界一へたくそなダービージョッキーである可能性が極めて高い。

閉鎖的な島国の閉鎖的な競馬サークルの中だけのことならまだしも、ジャパンカップとは違って世界中が大注目する香港マイルである。そこで大恥をさらした責任は重い。香港マイルが最終レースだったら、日本の(ホースマンの)レベルの低さだけが印象として残る虚しい香港ミーティングに終わっていたかもしれない。

勝手に位置を悪くして一番やってはいけない「大外ぶん回し競馬」をして、直線で入れた左ムチで勝手に進路を失うなど、ちょっと考えられない稚拙さだった。もしモーリスが同じレースに出走していたら被害を受けていたリスクだってある。考えただけで背筋が寒くなる。ほんとうにモーリスは香港Cでよかったと思う。

前置きが長くなってしまったが、今週は注目の2歳チャンピオン決定戦の朝日杯FSである。その中でも大注目を浴びるのが、小柄の牝馬ながらも怪物感がひしひしと伝わるミスエルテ、本家怪物のフランケル産駒である。そしてその鞍上は、「世界一へたくそなダービージョッキー」の可能性がかなり高い川田騎手。大混戦だから、ポイントがいくつもある。

・ミスエルテは男馬相手にまともにやれるのか?追い込みが利かない今の阪神で外を回すのか?回して届くのか?
・素質は感じさせたが成長がなければ足りないタンビュライトは短期間でどれだけ成長したか?
・モンドキャンノは果たして距離延長でプラスがあるのか?
・デビュー2戦目のデムーロは昨年のリオンディーズと同じだが、サトノアレスはそこまでのスケールがあるのか?
・タガノアシュラは武豊騎手に大記録をプレゼントできるか?
・折り合いに不安を見せたトラストは大外でどんな競馬を選択するのか?
・前走は止まりかかりながらムーアが持たせてしまった印象のサトノアレス、四位騎手でどうか?
・川田騎手はミスエルテにとって敵なのか味方なのか?

ちょっと挙げただけでも非常に頭が痛むレースである。ミスエルテは7枠13番だから、おそらく陣営は直線一気にかけるだろう。タガノアシュラやトラストなど先に行く組が多い組み合わせだが、何かがポンと行くと、後ろにミスエルテがいるだけに、そして何より阪神外回りだけに、意外と道中はスローになるのではないか。

ハナを主張しそうなリンクスゼロ(父アドマイヤマックス)に注目する。アドマイヤマックスは高松宮記念で悲願のGT制覇を果たしたが、元々はクラシックでも有力視されていた。現役時代は芝1800mの東スポ杯勝ち、芝2200mのセントライト記念2着がある。母の父はダンシングブレーヴ直仔のホワイトマズルだけに、キングヘイローのような短距離適性が高い可能性はあるが、走りを見る限り、先行してしぶといタイプ。阪神コースはむしろプラスと見たい。

武豊騎手の記録はともかく、厳しい流れで持ち味が生きそうなタガノアシュラ(父マンハッタンカフェ)、川田騎手はここで結果を出さなければ池江厩舎からの信用が完全に失墜する可能性もあるだけに、ミスエルテのことよりもおそらく自分のために全力を尽くすレースになる。ミスエルテが川田を救う。

稀少なサクラローレル(その父レインボウクエスト)の血を引くボンセルヴィーソ(父ダイワメジャー)は、今の阪神の馬場は合いそう。当然上記に挙げた人気・注目馬たちを買う。大穴では幸騎手のブルベアバブーン(父プリサイスエンド)を押さえる。

◎ リンクスゼロ
〇 タガノアシュラ
▲ ミスエルテ
△ ボンセルヴィーソ、トラスト、タンビュライト、クリアザトラック、ブルベアバブーン

日曜阪神〜第68回阪神JF(GT)

先週はシステムメンテナンス(パソコンがぶっ壊れて交換)のためにお休みをいただいた。実はもういつシステムメンテナンスになってもおかしくない状態で、馬券が当たり次第システムメンテナンスしようと決心していたのだが、馬券が当たる前にシステムメンテナンスすることになったのはまことに不徳の致すところであった。

しかしメンテナンス直後に馬券を当てればいいや的に考えていたにもかかわらず、結局馬券がはずれたために、不徳の致すところだらけの状態である。おそらくパソコンではなく、人間のほうがシステムメンテナンスすべきなのかもしれないが、それはまず今週の阪神JFが終わったあとじっくり考えればいいや。

というのも実はこのワタクシ、1年で一番得意なレースは何ですかと訊かれれば(誰も訊いてくれないので自問自答するが)、何も考えずに「阪神JF!」と答えるはずである。過去5ケタ配当3回、6ケタ配当2回の的中と、7ケタ払い戻し1回を受けた経験が、このレースにはある。

特に、旧阪神コースのころは、何しろ「魔の桜花賞ペース」と不穏なキャッチコピーが付された阪神コースだったから、とにかく厳しいレースになったことで、波乱の要素が大きかった。実際私も馬連時代も含め6回的中のうちの4回までがその波乱の恩恵を得たものだった。しかし近年は違う。

阪神外回りコースは、おそらく同じ芝のマイル戦でいえば、最もタフなコース設定になっているため、前半からかっ飛ばす昔のような桜花賞コースではなくなっているのだ。しかも昔とちがって、今は2歳牝馬でもみな優等生で、エライなぁ・・・などと思ってしまうくらい、このレースに出てくる牝馬たちは大人びていることが多い。

現在のコースになってからは、ウオッカは男馬にしか見えなかったし、トールポピーは古馬にしか見えなかったし、ブエナビスタは熟女か?と思うくらい落ち着いて差し切ったし、アパパネは「コイツ三冠とるんじゃね?」と本気で思ったし、レ―ヴディソールは怪物だ!ったし、とにかくもう、見た目も実績もすごい名牝ばかりが新しい阪神競馬場で行われたこのレースで誕生していた。

ただでさえ注目度が高いこのレース、今年はそこに輪をかけてすごいらしい。しかも、「一番スゴそうなヤツ」が朝日杯に回る(そしてたぶん勝つでしょ・・・)強気な姿勢を見せているにもかかわらず、まったく小粒感がないから今年は本気ですごい世代である。

例年と少し違うのは、ディープインパクト産駒がいないこと。しかしこれも各陣営は想定済みで、走ればクラシックの権利くらいワケないディープ牝馬が無理にこんなに厳しいレースを走る必要はなく、年明けから2〜3戦してクラシックは結局ディープだらけというのはもう目に見えている。

そして、このレースからはディープの息子ディープブリランテ産駒、ディープの兄ブラックタイド産駒が3頭くらいずつ出走するから、ディープ牝馬不在もなんだかあまりそういう気にはならない。とはいえ、レベルだけはものすごく高いレースになりそうではある。

メンバーだけではなく、この厳しい阪神外回りマイル戦でありながら、人気サイドのレーヌミノル(父ダイワメジャー)をはじめけっこう先に行きたい組が多いこと、これがこのレースの今年の大きなポイントになる。ただ、みんなおりこうさんばかりだし、コースがコースだけに、意外と落ち着いた流れになるのかな・・・とも思う。

しかしここは、スローに流れたとしても、人気のソウルスターリング(父フランケル)あたりがかなり行きたがりそうな気配があり、平均的な流れでも息の入らない厳しい流れになる確率が高いとみて、追い込みにかけるクインズサリナ(父ダノンシャンティ)の一発に期待する。

前走ファンタジーSは、予想されたような超スローの流れ(前半3F35.5)を、最後方から軽く気合いをつけただけで勝ってしまったミスエルテは別格だったが、それ以外は正直、次期待できる馬が見当たらない・・・と思っていた。しかし当時乗っていたシュタルケ騎手は、デムーロとともに途中でポジションを上げた怪物牝馬ミスエルテをじっと見ながらの競馬に徹していた。

相手が怪物だろうと誰だろうと、外人騎手と横山典弘、池添謙一は本気で勝ちにいくところがあるが、シュタルケもデムーロも、ミスエルテを負かしてやろうという作戦だった。結果、シュタルケとデムーロとミスエルテはみな同じタイムの「33.6」で上がってきた(結果はデムーロ3着、シュタルケ4着)。まあミスエルテは遊び遊びの余裕の抜け出しだったが、しかしこういうすごいヤツと同じ脚で上がってこられた収穫は大きい。

先週日曜日が稍重の馬場だったので阪神の馬場状態が微妙だが、年末らしくそこまで時計が速くならない。デビュー戦で阪神を経験しているし、どうにも線が細かった当時から、前走まですでに体重を20kg近く増やした成長は確か。今年は相手が強いから勝つまではわからないが、人気薄、乗り替わった初来日のシュミノー騎手が妙な色気を出さなければ、将来につながるポテンシャルを見せてくれる可能性は小さくないと思う。

シュミノー騎手はフランスの若手ジョッキーで、そこまで知名度は大きくないが、しかし昨年のフランスダービージョッキーに早くも輝いている。すでに先週勝ち鞍を挙げ、乗りやすい阪神外回りマイル戦なら心配ないだろう。後方待機に徹してほしい。

相手は難しいが、ミスエルテを除けば一番強い競馬をしていたように感じたヴゼットジョリー(父ローエングリン)を中心に、当然リスグラシュー(父ハーツクライ)、折り合いひとつで頭もありそうなサトノアリシア(父ハービンジャー)、バルザローナ騎手に乗り替わったジューヌエコール(父クロフネ)あたりの人気どころと、大穴では大型馬のジャストザマリン、そしてこちらは人気のディーパワンサのディープブリランテ産駒2騎を押さえたい。

人気のソウルスターリングは、怪物フランケルの子ということで、ミスエルテと同様注目されているが、正直言って、ミスエルテと同格で扱われてしまったらソウルスターリングはちょっとカワイソすぎる気がする。そして私も、ミスエルテとどうしても比較したくなってしまい、そうするとソウルスターリングの評価が自然と下がってしまうのである・・・ということで、みなさんはソウルスターリングをちゃんと買ってください。

それならば、時計が速くなりそうもないだけに、ソウルスターリングに替わってトウカイテイオーの血を引くポンポン(父ブラックタイド)を3着に加えてもよいかな、と考えている。

さあ将来を占うレース、大いに期待したい。

◎ クインズサリナ
〇 ヴゼットジョリー
▲ リスグラシュー
△ サトノアリシア、ジューヌエコール、ジャストザマリン、ディーパワンサ、ポンポン
重注 ゴールドケープ
   
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