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日曜東京〜第154回天皇賞秋(GT)

おそらく東京競馬場の上空は厚い雨雲に覆われており、その下には冷たい雨が降り注いでいるはず。気温もぐっと下がって、天気予報では明日も明後日も曇り。水はけのよい東京競馬場なら、明日は知らないが、明後日は良馬場で開催されることになるだろう。ただし、雨の影響がまったく残らないのか、それとも残るのかは大きな違いである。

というのも、ただでさえ内枠が圧倒的有利な府中の芝2000mコース、雨あがりは決まって内だけが伸びる馬場へと変化し、その内枠には、現在世界ランキングで1位か2位のディープインパクト産駒エイシンヒカリが入ったからである。脚質的に終始インを回ってこられる利点はあるが、最内枠に入ることができたのは、このコースだけに幸運という以外にないだろう。モーリス(父スクリーンヒーロー)よりも、もしかしたらこちらが1番人気になるのかもしれない。

そのモーリスは、良馬場ならパンパンの良馬場、雨が降るなら徹底的に降ってもらいたいクチ。府中2000m戦の時計勝負はあまり望まないだろうから、本来なら道悪を期待したいところかもしれないが、しかし何といってもモーリスだから、時計勝負になったとしてもこの距離ならまったく問題ないだろう。今のところ、馬場の面では少しエイシンヒカリにアドバンテージが生じそうな、そんな雰囲気か。

ただ、人気2頭とはいっても、両者とも死角がないわけではない。まずは回りの問題。実質マイルの世界王者モーリスは、走りそのものは父スクリーンヒーローではなく、祖父グラスワンダーのほうによく似ている。「右回りでは最強名馬クラス、左回りではふつうのGTレベル」などといわれたグラスワンダーに、もしかしたら妙なところまでモーリスは似てしまったかもしれない危惧はある。

前々走の安田記念はそもそも走れる状態にあったかどうかが怪しい仕上がりだったから度外視してよいかもしれないが、昨年勝った安田記念は、モーリスにしては思うような走りができていなかった印象。それでも「ふつうのGTレベル」の能力だからこそ勝った安田記念だった。

そもそも「ふつうのGTレベル」ということば自体がおかしな話で、とてつもないポテンシャルがあるからこそ、かなり屈折した表現になってしまうのだろう・・・連軸という意味で、やっぱりモーリスをはずすわけにはいかない。

対するエイシンヒカリも、どうも左回りの印象は良くない。もちろん下のレベルの馬たちを相手に逸走気味の競馬でも楽勝したが、あの悪癖がここで顔を出すとしたら致命傷。勝った昨年の毎日王冠でも外に逃げようとしていた。昨年惨敗した天皇賞以来、確か左回りは使われていないはずである。

スピードが武器なだけに、折り合いに苦労する右回りのヨーロッパよりは左回りのアメリカの競馬のほうが本来なら向いている気もするのだが、連れて行ったのはヨーロッパ・・・左回りの悪癖がまだ抜けていないからと推測するのは深読みしすぎだろうか?

というわけで、突つこうとすればいくらでもホコリがたまりそうな重箱の隅を視野の一隅にとらえつつ、これら2頭を負かす組を探りたい。中心は狙って、シュタルケ騎手に乗り替わってきたサトノノブレス(父ディープインパクト)にした。

昨年のこのレースは、誰もが行くと思われたエイシンヒカリのハナを叩いた田辺騎手のクラレント(父ダンスインザダーク)が超スローに近い逃げの形になったが、今年はエイシンヒカリのひとつ外隣で内田騎手、武豊騎手も今年は引かないはず。とすると、その田辺のロゴタイプ(父ローエングリン)がこれを制して行く可能性があり、今年は去年のようなスローにはならない。

時計勝負になったときに浮上しそうなのが、今季絶好調のサトノノブレスという読み。夏前の鳴尾記念は坂のある阪神外回りコースで1分57秒6の好時計で快勝。58kgの今回も、あの時計だけ走れば十分走破圏の憶測は成り立つ。先行集団を直後で見る位置がとれるそうな枠も絶好、サトノノブレスにとって悲願だったGTタイトルの最大のチャンスと見る。

とすると、同じように時計勝負になると色気が出てくるのがステファノス(父ディープインパクト)という気がする。こちらも自在性ある脚質は良いが、今回は少しためるような競馬に徹したほうがよいと思う。ダービーを勝ってひと皮剥けた印象もある川田騎手・・・嵌れば逆転候補だろう。

押さえは、当然戸崎騎手のルージュバック(父マンハッタンカフェ)が筆頭。もちろん優勝候補でもあるが、しかし府中の芝1800mがあまりにも強すぎるため、いわゆる「専用機」の危険性もちょっと感じたりする。まあ戸崎騎手にはいつもやられているので、今回はケンカしないという手もあるが。

そして昨年の覇者ラブリーデイ(父キングカメハメハ)の大外枠は、さすがにそろそろ運にも見放されてしまった印象もあるが、しかし池江厩舎だけに、ここは仕上げてくる。あとはアンビシャス(父ディープインパクト)の決め手、怖いデムーロのリアルスティール(父ディープインパクト)まではどうしても押さえる必要がありあそう。

意外性あるロゴタイプ、時計がかかる馬場なら一気の逆転もありうるサトノクラウン(父マルジュ)と絶好調の福永騎手まで押さえたい。

エイシンヒカリは、10馬身ぶっちぎったとされるイスパーン賞で見事にG1級レースの2勝目を挙げたが、あれははっきり言って調教のようなレース、「エルコンドルパサーが勝てなかった(正しくは『勝たなかった』)レース」という妙な付加価値も手伝って、ちょっと過剰人気になっている気がする。もちろん怖いんだけどね。

ということで、先週の菊花賞で悲願を達成した里見オーナーの勢いにも、ちょっとだけあやかりたいと考えている今週の天皇賞、楽しみである。

◎ サトノノブレス
〇 ステファノス
▲ モーリス
△ ルージュバック、ラブリーデイ、アンビシャス、リアルスティール、ロゴタイプ
重注 サトノクラウン
   
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