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日曜東京〜第66回安田記念(GT)

かつてこのレースがとにかくニガテで、もう一生的中することはないなぁ・・・などと投げやりな態度だったのだが、どういうわけか、ここ数年で3回の6ケタ配当をこの安田記念でゲットさせてもらっている。別に安田記念に感謝するつもりはないが、ショウワモダンやグランプリボスをはじめとする好走馬たちには足を向けて寝られない気持ちである。

まあはっきり言えば、このレースは大得意のレースだけに、この春の負け分をこのレースで一気に取り戻したいと意気込んでいる。ところが、である。今年はなんとわずか12頭しか出走しない安田記念で、しかもどう考えても勝つ馬ははじめからわかっているのだから困ったものである。こんな盛り上がらなそうな安田記念にしてしまった戦犯はもちろん世界のマイル王・モーリス(父スクリーンヒーロー)である。

昨年のこのレースも、初GTチャレンジだったこともあってそこまで抜けた人気にはなっていなかったが、まあよほどのことがない限りモーリスで間違いないだろうという推測は十分可能なレベルにはすでにあった。その安田記念から国内外のマイルで連戦連勝、将来的にはタイキシャトルに並ぶレベルになるだろうと誰もが推測したが、もうタイキシャトルは、少なくとも実績でははるかに超える世界的大スターである。しかも、これだけのスーパースターになってもそんなに不思議な気はしないからモーリスという馬はほんとうにすごい。

さて、ここまでモーリスをほめたたえたのだから、ここからは偉大なスーパースター・モーリスにどうやって負けていただこうか、その構想を練る番である。

実はもう昨年の安田記念の直後から、モーリスの評価を下げることを決めていた。万一毎日王冠に出てきたら、もし天皇賞秋に出てきたら、まかりまちがってJCに出て来たら・・・と、ずっとモーリスが府中で走るのを楽しみにしていたのだ。

何を言いたいのかというと、昨年の安田記念、私は正直言って、モーリスは楽に突き抜けて涼しい顔でウイナーズサークルに現れるだろうと考えていたのである。確かにGT初挑戦で初58kg、相手関係も明らかに強敵だった。しかしあのダービー卿CTのパフォーマンスがそのまま発揮されれば「楽に突き抜ける」という競馬が普通に展開されたはずである。つまり、昨年秋のマイルCS以降のような競馬が安田記念でも展開されると考えていたのである。

では、なぜ安田記念で不思議なくらいギリギリの勝利になったのか、いろいろ考えられるフシはある。かつての府中のマイルGTは、スピードよりもスタミナが重要といわれるくらいタフなレースが展開されてきた。しかし近年はとにかく時計勝負、つまりはスピードが優先される総合力が必要となってきているのである。

モーリスの母メジロフランシスは「メジロ」からもわかるように、重厚なメジロの血を引く。その母は名牝メジロモントレー(AJCC、AR共和国杯勝ち)で、メジロにとって重要な基礎的牝馬となったメジロボサツの直牝系一族。しかもモーリスの母の父カーネギー(凱旋門賞馬)は、一時種牡馬として日本で繋養されていたが、残念ながら日本のスピード競馬にはほとんど対応できなかった。日本での代表産駒はちょっと思い浮かばないが、確かステイヤータイプのホオキパウェーヴがカーネギー産駒だったように思う。

この血統がどう考えても今の日本のスピード競馬に対応できるとは思えないのである。昨年の安田記念やマイルCSは絶対能力が違っていたから結果を出したが、その後香港で1分34秒前後の勝ち時計は、圧勝だったとは言え、モーリスでなければやはり日本のスピード競馬では疑ってかからなければならない。

競馬の神様といわれた大川慶次郎氏(故人)は、モーリスの父方の祖父グラスワンダーを評して、「右回りならシンボリルドルフ級の強さ」と断言した。逆に言えば、左回りはやはり絶対能力で結果を出しただけであり、怪物グラスワンダーをもってしても、そこまで盤石な競馬ではないと、大川氏の目には映っていたのだろう。モーリスの走りは、どう考えても父スクリーンヒーローではなく、祖父グラスワンダーの走りに近い。

名手トニー=ベリーへの乗り替わりはマイナスではないと思うが、プラスにもならない。今回は敢えてモーリスにケンカを売ってみたいと思う。いや、もちろん私はモーリスの大ファンである。オルフェーヴルが引退した寂しさを緩和してくれたのはモーリスであった。それだけに、馬券がはずれることにすっかり慣れてしまっている私は、モーリスにぜひ私の期待を粉々に引き裂く先頭ゴールを見せてもらいたいとも思っている。

長くなったが、モーリスの話だから仕方がない。予想は簡単にしておく。

例年ほどペースが上がらないだけに、安田記念の厳しい競馬のイメージはある程度捨てなければならない。今年春の府中マイルGTは2戦行われていた。勝ったのはどちらもサンデーサイレンス直系のスピードタイプで、ダイワメジャー産駒のメジャーエンブレム、そして府中マイルでは定期的に神がかった強さを見せるフジキセキ産駒のストレイトガールの牝馬2頭だった。

であれば、ここは素直に(?)フジキセキ産駒のイスラボニータの復活にかけたい。ここ数戦不甲斐ない競馬が続いているが、それぞれに理由がある。それに、昨年の3着病で勢いが止まってしまった感がある。しかし元々は府中巧者のイスラボニータが、ここで巻き返したとしても何ら不思議はない。イヤな流れを、世界の王者を破って人馬とも振り切りたい。

相手もフジキセキ産駒のロサギガンティアとデムーロ。前走の京王杯は、敗れはしたが、時計的に十分足りていた。決め手の差だった。とすれば、当然これを破ったサトノアラジン(父ディープインパクト)は評価を上げなければならないが、府中のマイルGTでというタイプでもない気がする。キレすぎるのが気になる。それなら、少頭数なら内枠もそれほど不利はなさそうなベテラン・クラレント(父ダンスインザダーク)の逆襲に期待したい気がする。

紛れの多い安田記念だけに、クリーンなレースを期待したい。

◎ イスラボニータ
〇 ロサギガンティア
▲ モーリス
△ クラレント、サトノアラジン、ダノンシャーク
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