酒のつまみになるようなものはないかと
物色していた時に棚の向こうにいつか、どこかで
見た顔が。
「あっ、いーちゃんか?」
「お前、asagoか?」
どちらも ?が付きます。
無理はありません。
小学校のときに同じクラスだった”いーちゃん”
本名が ”●●いさお” なので ”いーちゃん”と言っていました。
もう何年前のことか、計算するのも直ぐにできないくらい昔です。
”いーちゃん”はいま個人で宅急便配達の仕事をしているそうです。
確か頭がよくて大学にも行って卒業したと以前聞きました。
コンビニの外に 「●●急便」と書かれた軽トラが止まっていました。
”いーちゃん”の頭髪は真っ白で薄くなっていました。
そうか、いろいろあったんだな、お前も・・・
「お前、髪が随分多いけどズラか?」
「馬鹿言うな、これは自前じゃ」
「まあ、苦労を全然してないからの、能天気じゃけー」
同級生にあっても顔はなんとなく分かるのですが
名前が出てこないことも多くなりました。
遥か昔のことですから・・・・・
それにだんだん頭の方もネジが緩んでくる年代ですから・・・
もう、黄泉の国に行ってしまった者もいます。
頭が禿げ上がっても、白髪になっても同級生と
こうして会えると何だか嬉しくなります。
お前も、いろいろあったけど、なかなかしぶとく
生き残ってるなあ・・・
今度逢ったら一緒に飲みに行くことを約束して
別れました。
もう大きな歩みは出来ぬ年になってしまいました。
でも、ほんの僅かでも毎日歩んで行きたいと思います。
秒速5センチメートル(予告編)
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