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2017年12月12日
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月13日18:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月13日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、指標発表後に追撃するなら、この日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので、今回は本指標の影響持続時間がかなり限られると思われます。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。本稿は12月11日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1.1程度であり、平均的には反応が伸びる指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えて伸びたことと値幅を削ったことが同程度の頻度で起きているようです。
追撃は容易ではありません。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与・平均賃金といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年ぐらいはこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年10月分までの発表結果に基づいています。
結果、過去の事後差異は、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると良いことがわかりました。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
素直に反応する指標、と言える数字ですが、判別式の係数を見る限り、指標発表直後にぱぱっと計算することには無理があります。平均所得や失業率の0.1%の予想とのズレは、失業保険申請件数の3万人のズレに相当します。
直近の傾向では、失業保険申請件数の予想と結果はズレてもせいぜい数千人ですから、平均所得や失業率の予想とのズレが反応に大きく寄与していることがわかります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直前10-1分足跳幅は平均16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度32%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率はほぼ1/3と覚えておけばよいでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が67%と、3回に2回の割合で方向が一致しています。また、実態差異と直前10-1分足の方向一致率も70%に達しています。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ79%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月13日21:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
市場予想が本稿分析時点以降に改訂されていたようです。
結果は失業保険申請件数と失業率が予想より悪化し、平均所得(含ボーナス)は予想通りでした。反応は陰線でした。
ただ、実のところ、今回の発表結果は悪くありません。
失業保険申請件数は前回よりやや増加し、失業率も0.1%悪化しました。けれども、平均所得は2016年12月以来の+2.5%へと上昇しました。
悪化というなら、失業率が完全に上昇に転じなければ説得力に欠き、それよりかねてから問題だった所得に上向きの兆しがあったことの方が重要です。
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
指標発表時刻を跨いだポジション取得は、シナリオに従い断念しました。
事前調査分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は本指標で10回取引を行い、指標単位で8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位で22勝6敗(勝率79%)でした。悪くありません。
1回の発表毎の平均取引時間は4分18秒で、年間87pipsの利確でした。分析に記しているように、反転・再反転することも多く、取引が難しい指標です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月13日18:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、指標発表後に追撃するなら、この日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので、今回は本指標の影響持続時間がかなり限られると思われます。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。本稿は12月11日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1.1程度であり、平均的には反応が伸びる指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後11分足値幅が直後1分足値幅を超えて伸びたことと値幅を削ったことが同程度の頻度で起きているようです。
追撃は容易ではありません。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日欧を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与・平均賃金といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年ぐらいはこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で英国の賃上げ状況を具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかは、以前に調べています。ここに挙げた数字は、調査期間が2015年1月分から2017年10月分までの発表結果に基づいています。
結果、過去の事後差異は、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると良いことがわかりました。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
素直に反応する指標、と言える数字ですが、判別式の係数を見る限り、指標発表直後にぱぱっと計算することには無理があります。平均所得や失業率の0.1%の予想とのズレは、失業保険申請件数の3万人のズレに相当します。
直近の傾向では、失業保険申請件数の予想と結果はズレてもせいぜい数千人ですから、平均所得や失業率の予想とのズレが反応に大きく寄与していることがわかります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。
この7回の直前10-1分足跳幅は平均16pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は4回一致しています(一致率57%)。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度32%)あります。
この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反対方向に反応しがちで、しかも大きく反応する可能性が高い、と言えます。直前1分足が10pips以上動いたときは注意が必要です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率はほぼ1/3と覚えておけばよいでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が67%と、3回に2回の割合で方向が一致しています。また、実態差異と直前10-1分足の方向一致率も70%に達しています。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ88%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が76%と、異常な偏りが見受けられます。そして、直前1分足を除けば、どちらかと言えば陽線での反応が多いように見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率こそ79%と高いものの、次に述べる反応性分析からわかるように、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばしている訳ではありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは62%です。全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは50%(=0.81✕0.62)、ということになります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、発表から1分を過ぎてから反応を伸ばすかどうかはわかりません。もし順張り追撃するなら、指標発表から早い段階で始め、早々に利確した方が良いでしょう。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%です。伸びるか伸びないかがほぼ半々ですから、追撃するならポジションの長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべきでしょう。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応はかなり大きいものの(直後1分足跳幅過去平均は32pips)、16pips以下しか跳ねなかったことも32%あります。
大きく跳ねたり伸びたりするハズの指標でそうならないと、利確の機会を逸して損切になってしまうことも多くなりがちです。ここにこの指標での取引の難しさがあります。 - 指標発表前の反応方向は、直前10-1分足が事前差異との方向一致率67%で、直前1分足の陰線率が75%と高くなっています。
そして、直前1分足が10pips以上跳ねたとき(頻度33%)、次の直後1分足はその逆に反応したことの方が多く、しかも直後1分足は平均(31pips)以上跳ねる傾向があります。この場合の方向一致率は36%(不一致率64%)で、直後1分足跳幅平均は45pipsです。
但し、直前10-1分足が20pips以上跳ねても(頻度21%)、その跳ねた方向に直後1分足が反応するとは限りません。この場合は、釣られて慌てて追いかけると、痛い目に遭いかねません。 - 追撃は難しく、過去の傾向で一貫した傾向がありません。もっともアテになる傾向は、過去の事後差異が、ー1✕失業保険申請件数[万人]事後差異+30✕平均所得[%]事後差異ー30✕失業率事後差異[%]、という判別式を用いると、直後1分足との方向一致率が高いことがわかっています。この式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直後1分足との方向一致率が88%となっています。
とても指標発表直後にぱぱっと計算できる式ではないので、平均所得と失業率がズレた方向に追撃すると良いでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、3回に2回の割合で、事前差異と同じ方向に反応しているためです。今回の事前差異はプラスとなっています。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、論拠は過去の陰線率の高さです。 - 直後1分足は、直前1分足が10pips以上跳ねたら(跳ねそうなら)、指標発表直前にそれとは逆方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確/損切です。
但し、外すとダメージが大きいので、ポジションを取るなら1枚当たり3千円の損切は覚悟しておいてください。無理に取引する必要はありません。 - 追撃は、指標発表直後の跳ねからの戻りを待って開始し、発表から1分以内に利確/損切します。
過去の傾向から、直後1分足跳幅を超えてその後10分以内に反応を伸ばす確率が50%と高くありません。初期の素直な反応が持続している間に数pips取れれば良いでしょう。 - 追撃を繰り返すなら、直後11分足のヒゲが過去平均で全体の1/3程度になりがちなことを意識しておきましょう。確率的に伸びるか戻すかがわからないので、やるなら短期取引の繰り返しの方が良いでしょう。
この夜、翌日04:00に利上げ確実と言われるFOMCが開催されます。よって、追うならこの日のGBPJPYのトレンドを日中に見極め、その方向に追うかその方向に反転するのを待つ方が良いでしょう。FOMCと比べれば、本指標の影響など限られているので。
以上
2017年12月13日18:30発表
以下は2017年12月13日21:30頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
市場予想が本稿分析時点以降に改訂されていたようです。
結果は失業保険申請件数と失業率が予想より悪化し、平均所得(含ボーナス)は予想通りでした。反応は陰線でした。
ただ、実のところ、今回の発表結果は悪くありません。
失業保険申請件数は前回よりやや増加し、失業率も0.1%悪化しました。けれども、平均所得は2016年12月以来の+2.5%へと上昇しました。
悪化というなら、失業率が完全に上昇に転じなければ説得力に欠き、それよりかねてから問題だった所得に上向きの兆しがあったことの方が重要です。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
指標発表時刻を跨いだポジション取得は、シナリオに従い断念しました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容には問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は本指標で10回取引を行い、指標単位で8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位で22勝6敗(勝率79%)でした。悪くありません。
1回の発表毎の平均取引時間は4分18秒で、年間87pipsの利確でした。分析に記しているように、反転・再反転することも多く、取引が難しい指標です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年12月11日
英国物価指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月12日18:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月12日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1程度であり、平均的には反応が伸び悩む指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後1分足が20pips以下となったときには、直後11分足値幅が直後1分足値幅を削るか反転したことが多いようです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前々回9月分ではCPI前年比が3%に達し、前回10月分も同値3%でした。今回11月分の予想も3%となっています。
物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。そして、2017年8月にそのピークを一時上抜けました。8月以降は、その新たなピークよりややGBPは買われています。
8月のGBP安の影響が9月・10月のCPIピークに繋がっているのだとすれば、今回そろそろ物価が少し下がって良いはずです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直前10-1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足がいつもより大きく反応するとは言えないものの、もともと本指標の直後1分足は反応が大きいので、気を付けるべきです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。戻り比率が40%前後に達しており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は67%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となることが3回に2回ということです。
事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・58%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が73%、直前1分足の陰線率が81%となっており、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら64%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は64%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは33%しかありません。
この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。
損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。
本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られません。でもこれはなかなか難しい話です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月12日19:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はざっくりCPI関連が上昇、RPI関連が下降でした。反応は分析対象期間内こそ陽線で反応したものの、その後は本稿記載時点(19:10頃)で陰線側に反転して伸びています。
細部を見ると、CPI前月比・前年比が前回・予想を上回りました。コアCPIは前回・予想と同値でした。RPIは前月比こそ前回を上回ったものの前年比・コア前年比が前回・予想を下回りました。
グラフ推移は、CPI前年比が直近ピークとなり、コアCPI前年比も含め、下降に転じる兆しがまだ見られません。一方、RPI前年比・コアRPI前年比は、僅かながら下げた結果、先行するコアPPI前年比を追うように下がる予感を与えます。
取引結果は次の通りでした。
ほぼシナリオ通りで、問題ありません。
2度目の追撃は、1度目の追撃が含損を持っていたので、ナンピン(難平)で対応し、これは当たりました。ポイントは、この時刻に1時間足チャートの雲下端が151.7付近にあったことです。結果的に、ここにワンタッチしてチャートは下降に転じています。
事前調査分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標で11回の取引を行い、指標単位で9勝2敗(勝率82%)、シナリオ単位で34勝11敗(勝率76%)でした。1取引当たりの平均取引時間は9分4秒で、年間222pipsを稼げたようです。
悪くありません。
なお、前月までの本指標分析記事に添付していた同表では、集計が間違っていたので今回から訂正しています。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月12日18:30に英国物価指標が発表されます。発表される物価指標は「CPI(消費者物価指数)」「RPI(小売物価指数)」「PPI(生産者物価指数)」です。いずれも今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1程度であり、平均的には反応が伸び悩む指標、と言えます。但し、分布を見ると、陽線であれ陰線であれ、直後1分足が20pips以下となったときには、直後11分足値幅が直後1分足値幅を削るか反転したことが多いようです。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
他の主要国では、CPI・RPI・PPIは別々に発表されます。が、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり反応に結び付かないように見受けられます。
過去の傾向から言えば、CPI>RPI>PPIの順に反応に寄与し、前年比>前月比の順です。重視するCPI前年比は総合>コアと、コアが軽視(という訳じゃないでしょうけど)される点が特徴です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
8月3日に公表されたBOEのインフレ報告では「インフレ率(CPI前年比)が2017年10月に3%付近でピークと予想」との見通しが示されています。前々回9月分ではCPI前年比が3%に達し、前回10月分も同値3%でした。今回11月分の予想も3%となっています。
物価上昇の原因がGBP安にある、という認識に基づくなら、ここで分析対象とすべき通貨ペアEURGBPは、昨年10月に一旦上昇ピークに達しています。そして、2017年8月にそのピークを一時上抜けました。8月以降は、その新たなピークよりややGBPは買われています。
8月のGBP安の影響が9月・10月のCPIピークに繋がっているのだとすれば、今回そろそろ物価が少し下がって良いはずです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が14pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直前10-1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(71%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が20pips以上跳ねたときは、直後1分足はそれと同じ方向に反応することを示唆している可能性があります。直後1分足がいつもより大きく反応するとは言えないものの、もともと本指標の直後1分足は反応が大きいので、気を付けるべきです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。取引中にパッと計算しやすいように、跳幅が10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)です。この8回の直後1分足跳幅の平均は29pipsで、これは過去全平均32pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(38%)しか一致していません。
つまり、直前1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは16pips(戻り比率41%)です。戻り比率が40%前後に達しており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直後1分足の方向一致率は67%です。市場予想がプラスなら直後1分足は陽線、マイナスなら陰線となることが3回に2回ということです。
事後差異と直後1分足、実態差異と直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・58%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応するものの、前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響はそれより小さくなっています(他の指標と同様、普通の傾向です)。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足の陽線率が73%、直前1分足の陰線率が81%となっており、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率すら64%しかなく、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は64%と、あまりアテに出来ない数字です。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは33%しかありません。
この数字では、初期反応に対する順張り方向への追撃を勧められません。むしろ、直後1分足終値が付いた時点で逆張りの機会を窺った方が良さそうな数字です。
もちろん、一般論として逆張りを繰り返すような取引方法は、勝率を下げることになるので、やるなら慎重に行って、アテが外れたら損切を確実にやりましょう。逆張りの基本は短期取引です。
損切できない人は逆張りすべきではありません。投資というのは、例えよく当たる分析にせよ決して100%ではありません。勝率をアテにして稼ぐのが投資での稼ぎ方です。損小利大とか、各種のテクニカル指標とか、時間帯毎や経済指標毎の通貨別の動きの特徴とかよりも、確率をアテにして稼ぐということを身に付けるまでは、確率を上げる練習期間です。
【4. シナリオ作成】
本指標の過去からの傾向・特徴は以下の通りです。個別の事情に関わりなく、同じやり方で取引をしないと、期待的中率通りの成績は得られません。でもこれはなかなか難しい話です。
- 本指標の特徴は、発表項目数が多いため、予め注目しておく項目を絞り込んでおいた方が良いでしょう。注目するなら、CPI前年比>CPI前月比>その他、の順です。
反応は指標結果に対して素直でかなり大きくなる傾向があります。危ないので、発表時刻を跨いだポジションを持つことは薦められません。 - より安全に稼ぐには、やはり初期反応の方向を確認してからの追撃もしくは逆張りです。
けれども、その追撃は、早期開始して短期に留めるべきです。発表から10分を過ぎると、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたことは過去33%しかありません。陰線であれ陽線であれ、直後1分足値幅が20pips以下しか伸びなかったときには、特に直後11分足値幅が直後1分足値幅を削るか反転したことが多いようです。
いわゆる「抜けたら追う」ポイントは、過去の実績から言えば、陰線が△20pips付近、陽線が+30pips付近と見込まれます。直後1分足終値がこれらを抜けた場合、直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を多少削ることはあっても、反転したことがありません。むしろ、その後も大きく値を伸ばしたことが多いので、期待値の観点から抜けたら追撃徹底です。 - 取引が難しい指標であり、いくつか注意点があります。
(1) まず、直前10-1分足・直前1分足の過去平均跳幅がそれぞれ14pips・9pipsと大きい点です。そして、直前10-1分足が20pips以上跳ねたことは21%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは24%と、それぞれ4・5回に1回程度はそういう場面に出くわします。覚えておくことは、直前10-1分足の反応が20pips以上跳ねたときには、直後1分足も同じ方向に反応したことが71%ある点です。
(2) また、直前10-1分足は逆ヒゲが多く、直後1分足や直後11分足の戻り比率(1−跳幅/値幅)は40%前後にも達しています。どの時点であれ、高値(安値)掴みをしやすい動きをしがちなので、気を付ける必要があります。
(3) それらの取引が難しい特徴を有していながら、結果的に、直前10-1分足の陽線率は73%。直前1分足の陰線率は81%と、異常な偏りが見られます。事前差異(市場予想ー前回結果)と直後1分足の方向一致率が67%と、取引参加者は3回に2回の割合で予め指標発表後の反応方向がわかっているような偏りがあることも、本指標の特徴と言えるでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
ヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去平均で跳幅14pipsにも達しているものの、そのうち22%の頻度で20pips以上跳ねています。あまり長くポジションを持ちたくありません。どちらに大きくどちらに跳ねるかわからず、それが20pips以上ともなれば、普通の指標の発表直後並みに動くということです。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
この期間もヒゲが目立つので、タイミングが合わなければ諦めて、無理にポジションを取る必要はありません。過去の始値基準ローソク足を見る限りでは、陽線側に5pips跳ねたら逆張りで売ポジションを取って、2・3pipsでの利確を狙うと良いでしょう。陽線側に跳ねなければ、取引をしなければ良いだけです。 - 直後1分足は、事前差異判別式符号と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後の跳ねで利確/損切します。但し、もしも直前10-1分足が20pips以上跳ねたら、その跳ねた方向にポジションを取ることを優先します。
但し、市場予想は発表直前によく確認し、事前差異が変更になっていないか確認しましょう。事前差異判別式は、2✕CPI前月比事前差異+3✕CPI前年比事前差異+その他項目の事前差異、です。 - 追撃は、早期開始し発表から1分程度で利確/損切します。
戻しの目安は、本指標の直後1分足は平均的なヒゲの長さが40%程度を占めるということです。それこそ早期に追撃開始するか、それを逃したら1/3の戻りで再び追撃ポジションを取って再び反応を伸ばすか少し試すと良いでしょう。 - もし直後1分足終値が△20pipsか+30pipsを抜けたら、追撃は徹底します。抜けなければ、発表から1分を過ぎてから逆張りの機会を狙います。当然、逆張りするなら、直後1分足終値よりも跳ねているときに行った方が成功率が高まります。
以上
2017年12月12日18:30発表
以下は2017年12月12日19:30頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はざっくりCPI関連が上昇、RPI関連が下降でした。反応は分析対象期間内こそ陽線で反応したものの、その後は本稿記載時点(19:10頃)で陰線側に反転して伸びています。
細部を見ると、CPI前月比・前年比が前回・予想を上回りました。コアCPIは前回・予想と同値でした。RPIは前月比こそ前回を上回ったものの前年比・コア前年比が前回・予想を下回りました。
グラフ推移は、CPI前年比が直近ピークとなり、コアCPI前年比も含め、下降に転じる兆しがまだ見られません。一方、RPI前年比・コアRPI前年比は、僅かながら下げた結果、先行するコアPPI前年比を追うように下がる予感を与えます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
ほぼシナリオ通りで、問題ありません。
2度目の追撃は、1度目の追撃が含損を持っていたので、ナンピン(難平)で対応し、これは当たりました。ポイントは、この時刻に1時間足チャートの雲下端が151.7付近にあったことです。結果的に、ここにワンタッチしてチャートは下降に転じています。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容には問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標で11回の取引を行い、指標単位で9勝2敗(勝率82%)、シナリオ単位で34勝11敗(勝率76%)でした。1取引当たりの平均取引時間は9分4秒で、年間222pipsを稼げたようです。
悪くありません。
なお、前月までの本指標分析記事に添付していた同表では、集計が間違っていたので今回から訂正しています。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年12月10日
4-2-1. 米国政策決定指標(2017年版加筆途中)
本稿は順次、今年中に追記しながら完成していきます。
景気指標の発表結果予想では、ふたつの指標の上昇基調・下降基調といったトレンド一致を論拠にすることはできます。がしかし、先に発表された指標結果の良し悪しを論拠に、後で発表される指標結果の良し悪しを予想することはできません。
11月3日に発表された10月分ISM製造業景況指数発表は60.1でした。
12月5日に発表された11月分集計結果は、景況指数(+57.6)を始め、事業活動も新規受注も雇用指数も価格指数といった主要項目全てが軒並み前回を下回りました。
それらを総合した実態差異は△20.7となっています。本指標の実態差異判別式は、4✕景況指数実態差異+2✕事業活動実態差異、です。この判別式の解が+20を上回るか△20を下回ったことは、2015年1月集計分以降で今回を除き、過去に14回(頻度41%)あります。そして、この判別式の解が+20を上回るか△20を下回った翌月は、実態差異判別式の解の符号が前月と反転したことが12回(反転率86%)あります。つまり、来月は本指標実態差異がプラス化する期待的中率が86%です。
本指標は、そういう意味(実態差異が+20を上回るか△20を下回るかしたこと)で、翌月発表が前月の反動で反転します。「反動」で悪化や改善が起きるとは、こういう傾向を指しています。覚えておきましょう。
(分析事例) ISM非製造業・総合景況指数(2017年12月5日発表結果検証済)
ISM非製造業景況指数には妙な特徴があります。市場予想が前回結果よりも低めになりがち(70%)という傾向があります。がしかし、実際の発表結果が前回結果を下回ったことは41%です。つまり、市場予想がアテにならない指標だと言っても良いでしょう。
過去の傾向では、反応方向が素直なものの、反応程度があまり大きくありません。利確や損切の目安は10pips程度と見込み、反応を伸ばしそうなときは短期取引を繰り返した方が良さそうです。直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。
つまり、稼ぐためには反応方向を見極めてからでなく、指標発表時刻を跨いでポジションを取らないといけません。
けれども、本指標に先立って同月集計分が発表されているUM消費者信頼感指数速報値やCB消費者信頼感指数との実態差異方向一致率は高くありません。特に、前週に発表された同月集計分のCB消費者信頼感指数と本指標との方向一致率は40%未満しかありません。
「米国景況感への相場観」がなければ、大きくは勝てない訳です。
とは言え、そんなものがなければ、地道に稼ぐしかありません。ここでの「地道」というのは、反転を恐れながら追撃で稼ぐようなシナリオで取引(短期取引)することです。
2017年は、本指標でほぼ毎月11回の取引を行いました。結果、指標単位では10勝1敗(勝率91%)、シナリオ単位では25勝8敗(勝率76%)でした。1回の取引で平均7分5秒を要して、年間66pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+11pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が16pips)であることを踏まえると、悪くありません。
2018年も今年と同様の取引方法でやっていきましょう。
景気を表すのは新規雇用者数と失業率で、これらについては既にFRB幹部も満足しています。だから、最近は景気を後押しする平均時給の伸びが注目されています。インフレ圧力が強まっているのに、賃金が伸びなければいずれ好調な個人消費が減少に転じ、それが経済成長を阻むと考えられているから、です。
雇用指標は、ADP民間雇用者数と雇用統計で取引します。
10月4日に発表された9月分ADP民間雇用者数は13.5万人で、ここ数年にない少なさでした。この原因は9月にフロリダ等を襲ったハリケーンの影響で、浸水被害も広範囲に及びました。翌月以降の復興で一時的な雇用改善が期待されていました。
11月1日の10月分雇用者数は23.5万人、12月6日の11月分雇用者数は18.5万人でした。ADP民間雇用者数の市場予想は、やる気あるのかというぐらい毎月ほぼ一定です。10月分こそ予想を大きく上回ったものの、11月分はほぼ予想通りとなり、ハリケーンによる一部州での臨時雇用者増の影響は無くなったという解説も散見されました。
(分析事例) ADP民間雇用者数(2017年12月6日発表結果検証済)
ADP民間雇用者数は、毎週木曜に発表される週次新規失業保険申請件数の4週平均値と、実態差異の増減が逆相関の関係にあります。2017年だけを見る限り、この増減逆相関の関係は的中率80%となっています。計算方法がやや面倒なため、詳細は分析事例記事での考えをご参照ください。
また、直前1分足が10pips以上跳ねたときは、直後1分足との方向一致率が80%(過去5回のうち4回)となっています。特に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたときだけは、過去3回の事例でともに直後1分足が陽線となっています。この話は、指標発表前1分間だけでなく、それを2-3分前まで10pipsの大きな跳ねがあれば、直後1分足方向を示唆していると拡大解釈しても良いでしょう。
初期反応程度の平均は16pipsで、これは平均的な指標です。但し、直近3回の直後1分足跳幅は平均7pipsしかありません。当面、平均より低めの反応となる可能性が高いでしょう。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始した方が良いでしょう。
特に、直後1分足が陰線で10pips以上の値幅を持つなら、追撃は徹底しても良いでしょう。
2017年は、本指標で毎月計12回の取引を行いました。結果、指標単位では11勝1敗(勝率92%)、シナリオ単位では35勝7敗(勝率83%)でした。1回の取引で平均4分39秒を要して、年間165pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+14pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が14pips)であることを踏まえると、悪くありません。
2018年も同様の方法で取引を続けて良いでしょう。
10月6日に発表された9月分雇用統計は、ADPと同様にハリケーンの影響でここ数年にないNFPが減少しました。NFPがマイナスとなったのは、いったい何年なのかわからないぐらい久しぶりです。
11月3日の10月分NFP増減はその反動もあって+26.1万人、12月8日の11月分NFP増減は+22.8万人でした。失業率は単調に低下し続けていて、10月分・11月分は4.1%まで低下しています。これは米国の場合、ほぼ完全雇用に近い状態と言われています。
次回発表は2018年1月5日です。
ここ数年、雇用者数への関心は低下しています。数年前とは異なり、反応は平均時給の増減が起きたときに大きくなりがちです。平均時給の市場予想は、平均的にはほぼ+0.2%となっています。
毎月0.2%の時給アップは1年で見ると+2.4%増にしかなりません。これは、具体的に数字を当てはめて考えると、時給1000円の労働者が1年後に1024円にしか昇給していないということです。好景気の米国でこの数字は、最近の日本の法定最低賃金の上昇より小さい訳です。これではいくら景気が良くても、個人消費が増えるはずなく、小売で値上げや高額商品が売れないのも当然です。
(分析事例) 雇用統計(2017年12月8日発表結果検証済)
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で49pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
以前に比べると、最近の反応は少しずつ小さくなっています。けれども、ここ3回の平均は40pipsを下回っているものの、それでもかなり大きく跳ねる指標です。
雇用統計発表前の解説記事には、先行指標としてADP民間雇用者数やISMの雇用指数が挙げられることが多いようです。がしかし、それら先行指標の良し悪しと雇用統計の良し悪しは、増減方向すらあまり一致しません。先行指標は、数か月・数年に亘る上昇・下降といったトレンドこそ一致しても、単月毎の結果予想には役立ちません。
その代わり、雇用統計では指標発表前日から値動きが始まることが多く見られます。最終的に、直前10-1分足は、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号と、方向一致率が75%に達しています。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。かなり指標結果に素直に反応することがわかります。
けれども、NFP増減と平均時給と失業率とは単位が異なるため、判別式の係数が複雑です。計算が面倒で暗算に向かないので、指標発表直後は平均時給>NFP増減の順に反応に結び付くと思っておけば良いでしょう。
発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確の機会を探った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに追撃ポジションを長持ちしたり、追撃を繰り返したりするやり方には向いていない指標です。動きが早く大きくなりがちなので、反転に即応できないやり方には向いていません。
取引中にチャートから目を離す訳にはいきません。
2017年は、本指標でほぼ毎月計10回の取引を行いました。結果、指標単位では8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位では30勝8敗(勝率79%)でした。1回の取引で平均8分を要して、年間264pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+26pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が36pips、直後11分足値幅が40pips)であることを踏まえると、やや少ないようです。
原因は、雇用統計の直後1分足跳幅は反応が大きすぎる(過去平均48pips)ため、指標発表時刻を跨いだポジションが取れないことと、上下動が大きく追撃が難しいことと、追撃に本ブログ対象期間外の発表後10分を経過してからのことが多いため、です。無理をして本指標で負けると、その月の収益がマイナスになりかねません。雇用統計は、追撃や反転待ちでリスクを下げた取引をしても、そこそこ稼げる指標なのです。
【4-2-4.景気指標】
景気指標の発表結果予想では、ふたつの指標の上昇基調・下降基調といったトレンド一致を論拠にすることはできます。がしかし、先に発表された指標結果の良し悪しを論拠に、後で発表される指標結果の良し悪しを予想することはできません。
(3-1) 総合・非製造業
(3-1-3) ISM製造業景況指数
11月3日に発表された10月分ISM製造業景況指数発表は60.1でした。
12月5日に発表された11月分集計結果は、景況指数(+57.6)を始め、事業活動も新規受注も雇用指数も価格指数といった主要項目全てが軒並み前回を下回りました。
それらを総合した実態差異は△20.7となっています。本指標の実態差異判別式は、4✕景況指数実態差異+2✕事業活動実態差異、です。この判別式の解が+20を上回るか△20を下回ったことは、2015年1月集計分以降で今回を除き、過去に14回(頻度41%)あります。そして、この判別式の解が+20を上回るか△20を下回った翌月は、実態差異判別式の解の符号が前月と反転したことが12回(反転率86%)あります。つまり、来月は本指標実態差異がプラス化する期待的中率が86%です。
本指標は、そういう意味(実態差異が+20を上回るか△20を下回るかしたこと)で、翌月発表が前月の反動で反転します。「反動」で悪化や改善が起きるとは、こういう傾向を指しています。覚えておきましょう。
(分析事例) ISM非製造業・総合景況指数(2017年12月5日発表結果検証済)
ISM非製造業景況指数には妙な特徴があります。市場予想が前回結果よりも低めになりがち(70%)という傾向があります。がしかし、実際の発表結果が前回結果を下回ったことは41%です。つまり、市場予想がアテにならない指標だと言っても良いでしょう。
過去の傾向では、反応方向が素直なものの、反応程度があまり大きくありません。利確や損切の目安は10pips程度と見込み、反応を伸ばしそうなときは短期取引を繰り返した方が良さそうです。直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。
つまり、稼ぐためには反応方向を見極めてからでなく、指標発表時刻を跨いでポジションを取らないといけません。
けれども、本指標に先立って同月集計分が発表されているUM消費者信頼感指数速報値やCB消費者信頼感指数との実態差異方向一致率は高くありません。特に、前週に発表された同月集計分のCB消費者信頼感指数と本指標との方向一致率は40%未満しかありません。
「米国景況感への相場観」がなければ、大きくは勝てない訳です。
とは言え、そんなものがなければ、地道に稼ぐしかありません。ここでの「地道」というのは、反転を恐れながら追撃で稼ぐようなシナリオで取引(短期取引)することです。
2017年は、本指標でほぼ毎月11回の取引を行いました。結果、指標単位では10勝1敗(勝率91%)、シナリオ単位では25勝8敗(勝率76%)でした。1回の取引で平均7分5秒を要して、年間66pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+11pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が16pips)であることを踏まえると、悪くありません。
2018年も今年と同様の取引方法でやっていきましょう。
【4-2-1.(5) 雇用指標】
景気を表すのは新規雇用者数と失業率で、これらについては既にFRB幹部も満足しています。だから、最近は景気を後押しする平均時給の伸びが注目されています。インフレ圧力が強まっているのに、賃金が伸びなければいずれ好調な個人消費が減少に転じ、それが経済成長を阻むと考えられているから、です。
雇用指標は、ADP民間雇用者数と雇用統計で取引します。
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10月4日に発表された9月分ADP民間雇用者数は13.5万人で、ここ数年にない少なさでした。この原因は9月にフロリダ等を襲ったハリケーンの影響で、浸水被害も広範囲に及びました。翌月以降の復興で一時的な雇用改善が期待されていました。
11月1日の10月分雇用者数は23.5万人、12月6日の11月分雇用者数は18.5万人でした。ADP民間雇用者数の市場予想は、やる気あるのかというぐらい毎月ほぼ一定です。10月分こそ予想を大きく上回ったものの、11月分はほぼ予想通りとなり、ハリケーンによる一部州での臨時雇用者増の影響は無くなったという解説も散見されました。
(分析事例) ADP民間雇用者数(2017年12月6日発表結果検証済)
ADP民間雇用者数は、毎週木曜に発表される週次新規失業保険申請件数の4週平均値と、実態差異の増減が逆相関の関係にあります。2017年だけを見る限り、この増減逆相関の関係は的中率80%となっています。計算方法がやや面倒なため、詳細は分析事例記事での考えをご参照ください。
また、直前1分足が10pips以上跳ねたときは、直後1分足との方向一致率が80%(過去5回のうち4回)となっています。特に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたときだけは、過去3回の事例でともに直後1分足が陽線となっています。この話は、指標発表前1分間だけでなく、それを2-3分前まで10pipsの大きな跳ねがあれば、直後1分足方向を示唆していると拡大解釈しても良いでしょう。
初期反応程度の平均は16pipsで、これは平均的な指標です。但し、直近3回の直後1分足跳幅は平均7pipsしかありません。当面、平均より低めの反応となる可能性が高いでしょう。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始した方が良いでしょう。
特に、直後1分足が陰線で10pips以上の値幅を持つなら、追撃は徹底しても良いでしょう。
2017年は、本指標で毎月計12回の取引を行いました。結果、指標単位では11勝1敗(勝率92%)、シナリオ単位では35勝7敗(勝率83%)でした。1回の取引で平均4分39秒を要して、年間165pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+14pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が14pips)であることを踏まえると、悪くありません。
2018年も同様の方法で取引を続けて良いでしょう。
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10月6日に発表された9月分雇用統計は、ADPと同様にハリケーンの影響でここ数年にないNFPが減少しました。NFPがマイナスとなったのは、いったい何年なのかわからないぐらい久しぶりです。
11月3日の10月分NFP増減はその反動もあって+26.1万人、12月8日の11月分NFP増減は+22.8万人でした。失業率は単調に低下し続けていて、10月分・11月分は4.1%まで低下しています。これは米国の場合、ほぼ完全雇用に近い状態と言われています。
次回発表は2018年1月5日です。
ここ数年、雇用者数への関心は低下しています。数年前とは異なり、反応は平均時給の増減が起きたときに大きくなりがちです。平均時給の市場予想は、平均的にはほぼ+0.2%となっています。
毎月0.2%の時給アップは1年で見ると+2.4%増にしかなりません。これは、具体的に数字を当てはめて考えると、時給1000円の労働者が1年後に1024円にしか昇給していないということです。好景気の米国でこの数字は、最近の日本の法定最低賃金の上昇より小さい訳です。これではいくら景気が良くても、個人消費が増えるはずなく、小売で値上げや高額商品が売れないのも当然です。
(分析事例) 雇用統計(2017年12月8日発表結果検証済)
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で49pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
以前に比べると、最近の反応は少しずつ小さくなっています。けれども、ここ3回の平均は40pipsを下回っているものの、それでもかなり大きく跳ねる指標です。
雇用統計発表前の解説記事には、先行指標としてADP民間雇用者数やISMの雇用指数が挙げられることが多いようです。がしかし、それら先行指標の良し悪しと雇用統計の良し悪しは、増減方向すらあまり一致しません。先行指標は、数か月・数年に亘る上昇・下降といったトレンドこそ一致しても、単月毎の結果予想には役立ちません。
その代わり、雇用統計では指標発表前日から値動きが始まることが多く見られます。最終的に、直前10-1分足は、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号と、方向一致率が75%に達しています。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。かなり指標結果に素直に反応することがわかります。
けれども、NFP増減と平均時給と失業率とは単位が異なるため、判別式の係数が複雑です。計算が面倒で暗算に向かないので、指標発表直後は平均時給>NFP増減の順に反応に結び付くと思っておけば良いでしょう。
発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確の機会を探った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに追撃ポジションを長持ちしたり、追撃を繰り返したりするやり方には向いていない指標です。動きが早く大きくなりがちなので、反転に即応できないやり方には向いていません。
取引中にチャートから目を離す訳にはいきません。
2017年は、本指標でほぼ毎月計10回の取引を行いました。結果、指標単位では8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位では30勝8敗(勝率79%)でした。1回の取引で平均8分を要して、年間264pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+26pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が36pips、直後11分足値幅が40pips)であることを踏まえると、やや少ないようです。
原因は、雇用統計の直後1分足跳幅は反応が大きすぎる(過去平均48pips)ため、指標発表時刻を跨いだポジションが取れないことと、上下動が大きく追撃が難しいことと、追撃に本ブログ対象期間外の発表後10分を経過してからのことが多いため、です。無理をして本指標で負けると、その月の収益がマイナスになりかねません。雇用統計は、追撃や反転待ちでリスクを下げた取引をしても、そこそこ稼げる指標なのです。
以上
4-2-3. 米国収支関連指標(2017年最終版)
最近は毎月400億ドル台の貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算近い規模の赤字ということです。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。
貿易赤字の国別内訳(2016年)は、中国3470億USD、EU1463億USD、日本689億USD、メキシコ632億USD、カナダ112億USD、です。
中国に対しては先の米大統領のアジア歴訪で、複数年で2500億USDの覚書を締結しました。メキシコ・カナダとはNAFTA再交渉をしていますが、今年中に話が纏まる気配はありません。EU・日本には、個別にFTA締結を求めているものの、その協議には始まってもいません。
昨年2016年の貿易赤字は前年比+0.4%の5023億USDで、2017年は1-10月分で4518億USDとなっています。毎月400億USDを超える赤字が続いていることを踏まえると、今年も昨年の赤字を上回ることは確実でしょう。
11月3日に発表された9月分貿易収支は△435億USDでした。
12月5日に発表された10月分は△487億USDでした。直近ピークだった2017年1月分の△485億USDを僅かに上回る赤字額です。米大統領のツイートもあって赤字が減少するかと思いきや、2017年に入ってからは毎月400億USDをずっと超えています。
次回11月分発表は2018年1月5日です。
(分析事例) 貿易収支(2017年12月5日発表結果検証済)
本指標は、木曜に発表されるときは週次新規失業保険申請件数と、金曜に発表されるときは雇用統計と、同時に発表されがちです。そうした場合、貿易収支がどうであれ、反応は同時発表される指標の結果に従い、本指標結果が反応に現れることはありません。
ならば、本指標が単独で発表されるときはどうかと言えば、やはり反応が小さく、過去の直後1分足跳幅は平均で6pipsしかありません。事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は70%程度あるものの、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは50%未満です。つまり、反応の持続時間もありません。
この指標は、赤字規模や国別内訳を論拠に、米政権からの2国間貿易収支に関する牽制発言があり得るため、そのことを知っておくために結果だけ知っておけば良い指標だと言えるでしょう。事前分析に基づく取引にはあまり意味がありません。指標結果がどうあれ、その夜のUSDJPYのトレンドにすぐに呑みこまれてしまいます。
なお、2017年に行われた本指標発表(2016年11月分〜2017年10月分)で、本指標が単独で発表されたことは5回ありました。
そのうち2回で取引を行い、成績は指標単位勝率が100%・シナリオ単位勝率が67%でした。問題は、利確できたのが僅か6.74pipsだったことです。もし、残り3回を全て勝っていても期待pipsは17pipsにしか達しません。これでは、ちょっと反応が大きな指標の取引1回分にしかなりません。
損するよりマシですが、これでは事前分析に力が入りませんよね。
貿易赤字の国別内訳(2016年)は、中国3470億USD、EU1463億USD、日本689億USD、メキシコ632億USD、カナダ112億USD、です。
中国に対しては先の米大統領のアジア歴訪で、複数年で2500億USDの覚書を締結しました。メキシコ・カナダとはNAFTA再交渉をしていますが、今年中に話が纏まる気配はありません。EU・日本には、個別にFTA締結を求めているものの、その協議には始まってもいません。
昨年2016年の貿易赤字は前年比+0.4%の5023億USDで、2017年は1-10月分で4518億USDとなっています。毎月400億USDを超える赤字が続いていることを踏まえると、今年も昨年の赤字を上回ることは確実でしょう。
【4-2-3. 貿易指標】
11月3日に発表された9月分貿易収支は△435億USDでした。
12月5日に発表された10月分は△487億USDでした。直近ピークだった2017年1月分の△485億USDを僅かに上回る赤字額です。米大統領のツイートもあって赤字が減少するかと思いきや、2017年に入ってからは毎月400億USDをずっと超えています。
次回11月分発表は2018年1月5日です。
(分析事例) 貿易収支(2017年12月5日発表結果検証済)
本指標は、木曜に発表されるときは週次新規失業保険申請件数と、金曜に発表されるときは雇用統計と、同時に発表されがちです。そうした場合、貿易収支がどうであれ、反応は同時発表される指標の結果に従い、本指標結果が反応に現れることはありません。
ならば、本指標が単独で発表されるときはどうかと言えば、やはり反応が小さく、過去の直後1分足跳幅は平均で6pipsしかありません。事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は70%程度あるものの、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは50%未満です。つまり、反応の持続時間もありません。
この指標は、赤字規模や国別内訳を論拠に、米政権からの2国間貿易収支に関する牽制発言があり得るため、そのことを知っておくために結果だけ知っておけば良い指標だと言えるでしょう。事前分析に基づく取引にはあまり意味がありません。指標結果がどうあれ、その夜のUSDJPYのトレンドにすぐに呑みこまれてしまいます。
なお、2017年に行われた本指標発表(2016年11月分〜2017年10月分)で、本指標が単独で発表されたことは5回ありました。
そのうち2回で取引を行い、成績は指標単位勝率が100%・シナリオ単位勝率が67%でした。問題は、利確できたのが僅か6.74pipsだったことです。もし、残り3回を全て勝っていても期待pipsは17pipsにしか達しません。これでは、ちょっと反応が大きな指標の取引1回分にしかなりません。
損するよりマシですが、これでは事前分析に力が入りませんよね。
以上
2017年12月07日
米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析(2017年12月8日22:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月8日22:30に米国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で49pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
以前に比べると、最近の反応は少しずつ小さくなっています。けれども、ここ3回の平均は38pipsと、それでもかなり大きく跳ねる指標です。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1程度であり、平均的には反応が伸び悩む指標、と言えます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
事前差異は、市場予想ー前回結果、を表しています。事後差異は、発表結果ー市場予想、を表しています。実態差異は、前回結果ー市場予想、を表しています。
結果、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が75%です。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。
実態差異判別式も高い一致率を示していますが、事後差異よりも一致率が低いので用いることはないでしょう。
指標解説記事でよく引用されるのは、先に発表されたISMの雇用指数やADP民間雇用者数の結果です。がしかし、これらは雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料としてアテになりません。
2015年1月分から前回2017年10月分までの34回で確認しておきましょう。
比較対象は、本指標NFP増減と、ISMの雇用指数及びADPの民間雇用者数の実態差異の符号一致率です。符号一致率とは、前月よりプラスだったかマイナスだったか、です。
本指標NFP増減は、ISM製造業景況指数の雇用指数の前月との増減との方向一致率が45%、ISM非製造業景況指数の雇用指数のそれは48%、ADP民間雇用者数とのそれは59%です。前月と当月の増減方向すら一致李が偶然と区別できない程度です。
増減方向が最もアテになるADPについて、もう少し細かく見てみましょう。
アテになりませんね。
他の指標間の関係と同じように、グラフの上昇基調・下降基調といった点はアテに出来ても、単月毎の増減方向を見比べる限り、取引の参考にするには一致率が低すぎます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均49pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は15pipsです。15pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均49pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは20pips(戻り比率32%)です。
反応が大きい指標だけに戻りのpipsも大きいので、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
直後1分足の過去平均跳幅は49pipsです。
過去平均の49pipsを超えたことは14回(頻度41%)です。この14回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが9回(64%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(43%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は75%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陰線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ85%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が82%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純で極端な偏りは見受けられません。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は85%です。その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは83%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは47%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良さそうです。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月11日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、NFP増減が前回を下回り予想を上回り、平均時給が前回を上回ったものの予想を下回りました。反応は陰線で、平均時給が予想を下回ったことに反応したようです。失業率は前回・予想と同値の4.1%でした。
月に1回の愉しみの機会を寝てしまいました。
事前調査分析内容には問題ありません。
今回の結果を判別式に代入すると、事前差異は△6.7、事後差異は△0.2です。直前10-1分足と直後1分足はともに陰線で、判別式の解の符号と一致しました。
事前準備していたシナリオは問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
今回は取引できなかったものの、2017年の成績を見ておきましょう。
2017年は、本指標でほぼ毎月計10回の取引を行いました。結果、指標単位では8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位では30勝8敗(勝率79%)でした。1回の取引で平均8分を要して、年間264pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+26pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が36pips、直後11分足値幅が40pips)であることを踏まえると、やや少ないようです。
原因は、雇用統計の直後1分足跳幅は反応が大きすぎる(過去平均48pips)ため、指標発表時刻を跨いだポジションが取れないことと、上下動が大きく追撃が難しいことと、追撃に本ブログ対象期間外の発表後10分を経過してからのことが多いため、です。無理をして本指標で負けると、その月の収益がマイナスになりかねません。雇用統計は、追撃や反転待ちでリスクを下げた取引をしても、そこそこ稼げる指標なのです。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月8日22:30に米国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で49pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
以前に比べると、最近の反応は少しずつ小さくなっています。けれども、ここ3回の平均は38pipsと、それでもかなり大きく跳ねる指標です。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1程度であり、平均的には反応が伸び悩む指標、と言えます。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
事前差異は、市場予想ー前回結果、を表しています。事後差異は、発表結果ー市場予想、を表しています。実態差異は、前回結果ー市場予想、を表しています。
結果、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が75%です。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。
実態差異判別式も高い一致率を示していますが、事後差異よりも一致率が低いので用いることはないでしょう。
ーーー$€¥ーーー
指標解説記事でよく引用されるのは、先に発表されたISMの雇用指数やADP民間雇用者数の結果です。がしかし、これらは雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料としてアテになりません。
2015年1月分から前回2017年10月分までの34回で確認しておきましょう。
比較対象は、本指標NFP増減と、ISMの雇用指数及びADPの民間雇用者数の実態差異の符号一致率です。符号一致率とは、前月よりプラスだったかマイナスだったか、です。
本指標NFP増減は、ISM製造業景況指数の雇用指数の前月との増減との方向一致率が45%、ISM非製造業景況指数の雇用指数のそれは48%、ADP民間雇用者数とのそれは59%です。前月と当月の増減方向すら一致李が偶然と区別できない程度です。
増減方向が最もアテになるADPについて、もう少し細かく見てみましょう。
アテになりませんね。
他の指標間の関係と同じように、グラフの上昇基調・下降基調といった点はアテに出来ても、単月毎の増減方向を見比べる限り、取引の参考にするには一致率が低すぎます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均49pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は15pipsです。15pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均49pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは20pips(戻り比率32%)です。
反応が大きい指標だけに戻りのpipsも大きいので、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
直後1分足の過去平均跳幅は49pipsです。
過去平均の49pipsを超えたことは14回(頻度41%)です。この14回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが9回(64%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(43%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は75%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陰線となる期待的中率が75%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ85%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が82%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純で極端な偏りは見受けられません。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は85%です。その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは83%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは47%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まります。一見すると素直とは言えない場合も散見されます。
1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。 - 発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確の機会を探った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに追撃ポジションを長持ちしたり、追撃を繰り返したりするやり方には向いていない指標です。動きが早く大きくなりがちなので、反転に即応できないやり方には向いていません。
- 指標解説記事でよく引用されるのは、先に発表されたISMの雇用指数やADP民間雇用者数の結果です。がしかし、これらは雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料としてアテになりません。
本指標NFP増減は、ISM製造業景況指数の雇用指数の前月との増減との方向一致率が45%、ISM非製造業景況指数の雇用指数のそれは48%、ADP民間雇用者数とのそれは59%です。前月と当月の増減方向すら一致李が偶然と区別できない程度です。
他人の間違った論拠に基づいて自分のポジション方向を決めるぐらいなら、自分で探した論拠に基づく取引を繰り返す方が、きっと先々に役立ちます。忘れないで欲しいのは「わからない」という結論も有効なので、「わかる」とは「どの程度(%)わかる・アテにできるのか」を、自分で決めることです。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析で事前差異(指標予想ー前回結果)との方向一致率が75%あるため、です。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が82%と高いことです。
直前1分足の過去平均跳幅は15pipsもあるので、他の平均的な指標の発表直後と同じぐらい動きます。もし、このローソク足で20pipsも取れたら、もう指標発表後は取引を止めても良いかも知れません。 - もし、直前1分足跳幅が20pipsを超えた(超えそう)なら、指標発表直前にその跳ねと逆方向にポジションを取ります。指標発表直後の跳ねで利確(損切)です。
過去事例では、直前1分足が20pips以上跳ねたことが21%あります。この21%の事例では、直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは29%しかありません(逆方向に反応したことが71%)。 - 指標発表後の追撃は早期開始し、発表から1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
論拠は、反応性分析の結果に依ります。 - 指標発表から10分経過した頃、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。
以上
2017年12月8日22:30発表
以下は2017年12月11日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、NFP増減が前回を下回り予想を上回り、平均時給が前回を上回ったものの予想を下回りました。反応は陰線で、平均時給が予想を下回ったことに反応したようです。失業率は前回・予想と同値の4.1%でした。
(5-2. 取引結果)
月に1回の愉しみの機会を寝てしまいました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容には問題ありません。
今回の結果を判別式に代入すると、事前差異は△6.7、事後差異は△0.2です。直前10-1分足と直後1分足はともに陰線で、判別式の解の符号と一致しました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
今回は取引できなかったものの、2017年の成績を見ておきましょう。
2017年は、本指標でほぼ毎月計10回の取引を行いました。結果、指標単位では8勝2敗(勝率80%)、シナリオ単位では30勝8敗(勝率79%)でした。1回の取引で平均8分を要して、年間264pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+26pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が36pips、直後11分足値幅が40pips)であることを踏まえると、やや少ないようです。
原因は、雇用統計の直後1分足跳幅は反応が大きすぎる(過去平均48pips)ため、指標発表時刻を跨いだポジションが取れないことと、上下動が大きく追撃が難しいことと、追撃に本ブログ対象期間外の発表後10分を経過してからのことが多いため、です。無理をして本指標で負けると、その月の収益がマイナスになりかねません。雇用統計は、追撃や反転待ちでリスクを下げた取引をしても、そこそこ稼げる指標なのです。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年12月06日
英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年12月8日18:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月8日18:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年10月期の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
但し、最近の3回の反応はあまり伸びていません。直後11分足は過去平均では30pips以上伸びていますが、ここ3回の平均は20pips強です。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びていく指標、と言えます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
こんなグラフを見たって、この先どうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。
事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が21%(不一致率79%)となります。
事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が79%となります。
実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が70%となります。
全体的には、鉱工業生産指数の前月比の影響が大きいようです。
本指標に先立ち、同じ10月集計分の製造業PMIが既に発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度6%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きいようです。また、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向が大きくなる可能性はあるものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではないようです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度30%)ありました。
この10回の直後1分足跳幅は平均26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きくなっています。また、この10回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(50%)が一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向がやや大きくなるかもしれないものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは11pips(戻り比率34%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は21%(不一致率79%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲内です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。驚くべきことに、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。この数字は、直後1分足と直後11分足が方向不一致だった場合を含めても、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが75%もあるということです。一方向への反応が進む指標です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%です。52%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
本指標に関しては、さっさと取引を始めてさっさと終わる方が勝率が高くなるでしょう(毎回それを繰り返すことが大切です)。
本指標の特徴は以下の通りです。内容的には前月と変わりません(数値を最新の値に更新しただけです)。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月17日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前年比が前回を上回り、前月比が前回を下回りました。悪くない結果だったにも関わらず、上下に迷ったのちに直後11分足は陰線で反応しました。
この結果と反応は、1年前の2016年10月分の結果が当時のボトムだったことから、前年比改善を説明できます。来月発表以降4か月(2018年4月発表まで)は、その逆に1年前の指標結果が良かった時期が続くため、前年比はしばらく低下していくと予想されます。また、前月比は過去4か月がプラス転換しており、そのプラス幅がほぼ無くなったことで、来月以降の発表でマイナス転換を予感させます。こうした先行きへの低下懸念が陰線での反応に結び付いたと考えればしっくりきます。
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は、良いタイミングで利確できました。その後、陽線に転じています。
指標発表後の追撃は、直後1分足が十字線となっているように、どちらに伸びるかが全く予想できませんでした。指標結果は全体的に良かったものの、前日来大きくGBPが買われており、週末ということも踏まえて値を伸ばすのが難しい状況と思えました。早めの損切りで、これも救われました。
事前調査分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は10回の発表時取引を行い9勝1敗でした。シナリオ単位では28勝10敗(勝率74%)で、毎回の平均取引時間は8分42秒とやや長くなっていました。年間178pipsを稼ぎ、1回の平均利確は18pipsです。これは、本指標直後11分足の平均的な値幅21pipsに対し悪くありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月8日18:30に英国実態指標「鉱工業生産指数・製造業生産指数」が発表されます。今回発表は2017年10月期の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
但し、最近の3回の反応はあまり伸びていません。直後11分足は過去平均では30pips以上伸びていますが、ここ3回の平均は20pips強です。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びていく指標、と言えます。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
こんなグラフを見たって、この先どうなるかなんて予想できません。主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきます。
事前差異は、2✕鉱工業前月比事前差異+2✕鉱工業前年比事前差異+1✕製造業前月比事前差異+1✕製造業前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が21%(不一致率79%)となります。
事後差異は、3✕鉱工業前月比事後差異+2✕鉱工業前年比事後差異+1✕製造業前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が79%となります。
実態差異は、1✕鉱工業前月比実態差異+1✕鉱工業前年比実態差異+1✕製造業前月比実態差異+1✕製造業前年比実態差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が70%となります。
全体的には、鉱工業生産指数の前月比の影響が大きいようです。
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本指標に先立ち、同じ10月集計分の製造業PMIが既に発表されています。
本指標と製造業PMIの相関を調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
結果、両指標の実態差異の方向一致率は、一方を前後1か月ずらしても50%前後しかありません。よって、製造業PMIの単月毎の実態差異増減を論拠に、鉱工業生産の実態差異増減を論じても意味がありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。その跳幅が20pips以上だったことは過去2回(頻度6%)あります。
この2回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きいようです。また、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向が大きくなる可能性はあるものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではないようです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度30%)ありました。
この10回の直後1分足跳幅は平均26pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsよりもやや大きくなっています。また、この10回の直前1分足と直後1分足の方向は5回(50%)が一致しています。
つまり、直前1分足跳幅が大きくても、直後1分足の反応方向がやや大きくなるかもしれないものの、直後1分足の方向を示唆している訳ではありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は7pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率30%)です。直後11分足のそれは11pips(戻り比率34%)です。直後1分足や直後11分足は跳幅の2/3の値幅を持つことを目安にしておけば良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は21%(不一致率79%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
各ローソク足は陽線や陰線への偏りはありません(ばらつきの範囲内です)。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が75%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。驚くべきことに、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。この数字は、直後1分足と直後11分足が方向不一致だった場合を含めても、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが75%もあるということです。一方向への反応が進む指標です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%です。52%しか、最終的に反応を伸ばさないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。伸びるか伸びないかが半々ですから、無理する必要なんてありません。
本指標に関しては、さっさと取引を始めてさっさと終わる方が勝率が高くなるでしょう(毎回それを繰り返すことが大切です)。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。内容的には前月と変わりません(数値を最新の値に更新しただけです)。
- 同時発表される鉱工業生産指数・製造業生産指数において、反応への寄与は、鉱工業生産指数>製造業生産指数、となります。特に、鉱工業生産指数前月比の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足との方向一致率は高くなっています。
- 本指標と製造業PMIとの相関は無いと言っても構いません。また、指標発表前から10pips以上跳ねることがときどきあるものの、その跳ねた方向は直後1分足の反応方向との相関が高くありません。
騙されないように気を付けましょう。 - 直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率が21%(不一致率が79%)となっています。
また、事後差異と直後1分足との方向一致率は79%と高く、市場予想に対する発表結果の良し悪しに素直に反応します。
追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが75%(両者終値が同方向の場合には100%)もあり、早期開始に適しています。指標発表から1分を経過すると、どの時点かで一旦利確して、再度追撃する場合には改めてポジションを取り直した方が良さそうです。指標発表から11分後には1分後よりも反応が伸びていた確率が50%を僅かに上回る程度しかありません。
直後1分足と直後11分足のヒゲは、平均的に値幅の1/3程度になっています。追撃では、上下動のタイミングをうまく捉えましょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
今回の事前差異はプラスとなっています。そして、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率は21%(不一致率79%)です。 - 発表後は追撃を早期開始し、発表から1分以内に利確できそうならば利確し、再追撃の機会を窺います。
論拠は反応性分析結論に依ります。 - 再追撃は、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが75%(直後1分足と直後11分足が方向一致した場合は100%)ある点に注目します。直後1分足跳幅以下でポジションが取れれば、それを超えるのを待って利確です。
但し、直後11分足値幅は直後1分足値幅を超えたことが53%しかありません。しつこい追撃には向いていません。
2017年12月8日18:30発表
以下は2017年12月17日に追記しています。
V.結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前年比が前回を上回り、前月比が前回を下回りました。悪くない結果だったにも関わらず、上下に迷ったのちに直後11分足は陰線で反応しました。
この結果と反応は、1年前の2016年10月分の結果が当時のボトムだったことから、前年比改善を説明できます。来月発表以降4か月(2018年4月発表まで)は、その逆に1年前の指標結果が良かった時期が続くため、前年比はしばらく低下していくと予想されます。また、前月比は過去4か月がプラス転換しており、そのプラス幅がほぼ無くなったことで、来月以降の発表でマイナス転換を予感させます。こうした先行きへの低下懸念が陰線での反応に結び付いたと考えればしっくりきます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前10-1分足は、良いタイミングで利確できました。その後、陽線に転じています。
指標発表後の追撃は、直後1分足が十字線となっているように、どちらに伸びるかが全く予想できませんでした。指標結果は全体的に良かったものの、前日来大きくGBPが買われており、週末ということも踏まえて値を伸ばすのが難しい状況と思えました。早めの損切りで、これも救われました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容には問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は10回の発表時取引を行い9勝1敗でした。シナリオ単位では28勝10敗(勝率74%)で、毎回の平均取引時間は8分42秒とやや長くなっていました。年間178pipsを稼ぎ、1回の平均利確は18pipsです。これは、本指標直後11分足の平均的な値幅21pipsに対し悪くありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国雇用指標「ADP雇用統計」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年12月6日22:15発表結果検証済)
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、市場予想の上下動が小さく、発表結果の上下動はかなり大きく見えます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの33回で行いました。この期間に前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが12回(入れ替わり率36%)ありました。
市場予想後追い型(入れ替わり率30%以下)とまでは言えないものの、それに近い指標です。
前月は発表結果が市場予想を上回りました。市場予想後追い型と見なせば、今月も発表結果が市場予想を上回る期待的中率は64%、ということになります。
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前週分新規失業保険受給申請は毎週木曜に前週分が発表されています。
前週11月30日に発表された申請数4週平均値は23.8万人でした。一方、11月2日に発表された申請数4週平均は22.9万人でした。失業保険受給申請件数は11月に入って増加しています。
そして、失業保険受給申請件数とADP民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます(仮説です。逆相関の一致率は定量分析していません)。
もしこの仮説が正しければ、今回の民間雇用者数は前回を下回ります。
過去に遡って調べてみましょう。
下表をご覧ください。項目Aと項目Bとは、符号が2回を除き全て不一致です(不一致率80%)。項目Aは、2017年の前週分失業保険受給申請件数の4週平均値が、前月分に対してどれだけ増減したかを示しています。一方、項目Bは、ADP民間雇用者数の実態差異です。
項目A 項目B
11月分差異 +0.9万人 △?
10月分差異 △2.8万人 +10.0万人
09月分差異 +2.8万人 △10.2万人
08月分差異 +0.8万人 +5.9万人
07月分差異 △0.1万人 +2.0万人
06月分差異 +0.5万人 △9.7万人
05月分差異 △0.5万人 +7.6万人
04月分差異 △0.7万人 △8.9万人
03月分差異 +1.6万人 △3.0万人
02月分差異 △1.4万人 +5.2万人
01月分差異 △0.9万人 +9.4万人
仮説通りに、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせば、今年に入って期待的中率80%の不一致率です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅平均は18pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均16pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。また、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例3回での2回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均16pipsとほぼ同じです。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。また、この5回の直前1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。どちらかと言えば、直前1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前1分足と同方向に反応する確率が高くなっています。
また、直前1分足が陽線となったことは5回(頻度15%)しかありません。この5回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは4回(80%)です。
更に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたことは3回で、この3回は直前1分足と直後1分足の方向一致率が100%です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率31%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率30%)です。戻り比率は平均的となっています。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
市場予想は、前回結果や発表結果よりやや低めになりがちです。がしかし、その偏りは僅かで、まだばらつきの範囲内です。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ73%・76%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が85%、直後1分足の陽線率が76%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは91%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは64%です。64%という数字は、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったり(14%)、直後11分足が直後1分足と反転したり(21%)する確率を踏まえると、他の起こり得る事象より約3倍高い確率です。
追撃は徹底した方が良いでしょう。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。
- まだ、データ数が少ないものの(2017年分のみ)、ADP民間雇用者数の実態差異(発表結果ー市場予想)の符号は、前週分新規失業保険受給申請の4週平均の今月値と前月値の差の符号と、不一致率が80%あります。最新(先週発表)の前週分新規失業保険受給申請の4週平均と、10月分のその値の差はプラスとなっています。よって、今回のADP発表は前回を下回る可能性が高いと思われます。
但し、今回の市場予想は前回発表値よりも低く見込まれているため、今回はこの情報が役に立ちません。 - 直前10-1分足が10pips以上跳ねても、それは直後1分足の方向や値幅と関係ありません。
がしかし、直前1分足が10pips以上跳ねたときは、直後1分足との方向一致率が80%(過去5回のうち4回)となっています。特に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたときだけは、過去3回の事例でともに直後1分足が陽線となっています。この話は、指標発表前1分間だけでなく、それを2-3分前まで10pipsの大きな跳ねがあれば、直後1分足方向を示唆していると拡大解釈しても良いでしょう。 - 初期反応程度の平均は16pipsで、これは平均的な指標です。但し、直近3回の直後1分足跳幅は平均7pipsしかありません。今回も同様に、平均より低めの反応となる可能性があります。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始します。
特に、直後1分足が陰線で10pips以上の値幅を持つなら、追撃は徹底しても良いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が85%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。 - 直後1分足は、指標発表直前に10pips跳ねたら、その跳ねた方向に指標発表直前にポジションを取ります。利確/損切は発表直後の跳ねで行います。
また、指標発表直前に10pipsの跳ねが起きなければ、直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。 - 追撃は早期開始します。もし直後1分足が陽線なら、短期取引の繰り返しで様子を見ながら追撃を行い、もし陰線なら、追撃は徹底します。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士の反応を伸ばした確率が高くなっています。また、直後1分足に対する直後11分足の相関分布を見ると、直後1分足が陰線で値幅10pips以上の場合、そのまま陰線に反応を伸ばす可能性が高いと見なせます。
以上
2017年12月6日22:15発表
以下は2017年12月11月に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回こそ下回ったものの予想を上回り、反応は陽線でした。
雇用についてはFOMCメンバーが幾度か述べている通り好調で、反応は平均を下回りました。直近の反応が小さい傾向は継続しています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容は更新の必要がありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。2018年も今年と同様の取引方法でやっていきましょう。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標で毎月計12回の取引を行いました。結果、指標単位では11勝1敗(勝率92%)、シナリオ単位では35勝7敗(勝率83%)でした。1回の取引で平均4分39秒を要して、年間165pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+14pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が14pips)であることを踏まえると、悪くありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年12月05日
豪州経済指標「四半期GDP」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年12月6日09:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月6日09:30に豪州経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足跳幅は36pipsと、かなり大きく反応しています。そして、平均値を超えて反応したことも50%あります。
但し、最近の3回の反応はあまり伸びていません。それでも20pips以上あるので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重であるべきです。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びていく指標、と言えます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
豪州経済の特徴は、意外なことにGDPの約70%をサービス業が担っています。農業及び工業セクターはGDPの10%程度しかありません。但し、輸出額の50%以上はこのセクターで稼いでいます。豪州は資源輸出で稼ぐイメージが強いため、この数字を見て意外に思う方も多いようです。
数年前までは、高い成長率の原因として外資流入と中国向け資源輸出が強調されていました。一方、ここ数年は豪州自身よりも中国経済の成長率鈍化の影響で、先行き悪化が強調され過ぎていたように思えます。
こうしたイメージとは異なり、経済実態は小売売上高や消費支出が長期的に拡大傾向と見なされています。
裏付けとしては、豪州が毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに約40%の人口増加が見込まれていること(何と40%の人口増です)、を挙げることができます。これだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
また、豪州は公的債務残高が非常に低いという特徴があります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
豪州4-6月期GDP前年比は+1.8%でした。2016年4-6月に+3.3%に達して以降、やや低調です。
当初、この原因は中国経済の失速が挙げられていました。がしかし、2016年11月分貿易収支が2年8か月ぶりに黒字転換し、2017年年初からの貿易黒字はほぼ150億AUDに達しました。それにも関わらず、GDP前年比が伸び悩んでいる原因として、2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎた、と解釈すべきです。
2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎると、翌年2016年7-9月期〜2017年4-6月期は、前年比計算で良い数字が出にくくなります。逆に言えば、次回2017年7-9月期分からは前年比が数値改善となりやすくなります。
RBA見込みでは、2019年〜2020年に成長率が3%に達すると見込んでいます。一方、IMFは2017年の成長率を3.1%、2018年を3.0%と見込んでいます(2017年4月時点の見通し) 。以前(2016年10月時点)は、各0.4%・0.1%と見込んでいたのだから、かなり大幅な上方修正です。
ともあれ、RBA見通しに比べて、IMFは豪州経済の回復を早く見込んでいることになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度17%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は43pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均36pipsよりやや大きくなっています。また、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が10pips以上跳ねるときには、直後1分足がやや大きく反応する可能性が高い、と言えます。但し、反応方向を示唆している訳ではありません。
直前1分足を見てください。陽線になったことがありません。だからと言って今回も陰線になるとは限りませんが、指標発表直後に陽線に跳ねると読んでいたとしても、ポジションを持つのはぎりぎりまで待った方が良さそうです。
直前1分足は過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率28%)です。直後11分足のそれも10pips(戻り比率24%)です。戻り比率はあまり大きくありません。追撃しやすい指標です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は71%となっています。指標発表前に指標発表結果の良し悪しを予見いているかのようです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は94%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は100%です。発表結果が前回結果より良ければ、反応は持続しています。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が100%と、はっきりとした偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が94%と異常に高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は94%です。指標発表直後には、その後も反応が伸び続けると信じるしかありません。94%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは47%です。
本指標は、発表直後の跳ねが大きく、その跳幅を少なくともその後しばらく超えて反応を伸ばしていません。追撃は難しく、指標発表直後1分間の上下動を利用するのがベターだと思われます。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは50%です。これではサイコロを振ってポジションを取るのを同じです。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
シナリオは次の通りです。
といっても、多くの人にとって09:30から前後10分も取引に張り付くことは難しい時間帯ですが。
以下は2017年12月11日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回こそ大きく上回ったものの予想を下回り、結果は陰線でした。
前年比+2.8%という成長率は悪くありません。この数字は前年同期まで悪い数字が続いていたため、前期結果の+1.8%より伸びたものと考えられます。がしかし、内訳で消費と投資が前回を下回り、その結果、市場予想に届かなかったようです。
RBAの見解では、もともと+3%到達をまだ先のことと捉えていますが、今後も一時的に低下しても徐々に成長率は3%に近づくと考えています。
この発表時刻なので、取引はできませんでした。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
取引はできなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は2回の取引を行い、指標単位で2勝(勝率100%)、シナリオ単位で4勝1敗(勝率80%)でした。取引時間は1指標平均で2分10秒です。追撃に徹するシナリオのため、利確pipsは15pipsで、1回当たり7pipsしか取れていません。発表直後の跳ねが大きいので、これはこれで仕方ないでしょう。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月6日09:30に豪州経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足跳幅は36pipsと、かなり大きく反応しています。そして、平均値を超えて反応したことも50%あります。
但し、最近の3回の反応はあまり伸びていません。それでも20pips以上あるので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重であるべきです。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びていく指標、と言えます。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
豪州経済の特徴は、意外なことにGDPの約70%をサービス業が担っています。農業及び工業セクターはGDPの10%程度しかありません。但し、輸出額の50%以上はこのセクターで稼いでいます。豪州は資源輸出で稼ぐイメージが強いため、この数字を見て意外に思う方も多いようです。
数年前までは、高い成長率の原因として外資流入と中国向け資源輸出が強調されていました。一方、ここ数年は豪州自身よりも中国経済の成長率鈍化の影響で、先行き悪化が強調され過ぎていたように思えます。
こうしたイメージとは異なり、経済実態は小売売上高や消費支出が長期的に拡大傾向と見なされています。
裏付けとしては、豪州が毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに約40%の人口増加が見込まれていること(何と40%の人口増です)、を挙げることができます。これだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
また、豪州は公的債務残高が非常に低いという特徴があります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
豪州4-6月期GDP前年比は+1.8%でした。2016年4-6月に+3.3%に達して以降、やや低調です。
当初、この原因は中国経済の失速が挙げられていました。がしかし、2016年11月分貿易収支が2年8か月ぶりに黒字転換し、2017年年初からの貿易黒字はほぼ150億AUDに達しました。それにも関わらず、GDP前年比が伸び悩んでいる原因として、2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎた、と解釈すべきです。
2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎると、翌年2016年7-9月期〜2017年4-6月期は、前年比計算で良い数字が出にくくなります。逆に言えば、次回2017年7-9月期分からは前年比が数値改善となりやすくなります。
RBA見込みでは、2019年〜2020年に成長率が3%に達すると見込んでいます。一方、IMFは2017年の成長率を3.1%、2018年を3.0%と見込んでいます(2017年4月時点の見通し) 。以前(2016年10月時点)は、各0.4%・0.1%と見込んでいたのだから、かなり大幅な上方修正です。
ともあれ、RBA見通しに比べて、IMFは豪州経済の回復を早く見込んでいることになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度17%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は43pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均36pipsよりやや大きくなっています。また、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が10pips以上跳ねるときには、直後1分足がやや大きく反応する可能性が高い、と言えます。但し、反応方向を示唆している訳ではありません。
直前1分足を見てください。陽線になったことがありません。だからと言って今回も陰線になるとは限りませんが、指標発表直後に陽線に跳ねると読んでいたとしても、ポジションを持つのはぎりぎりまで待った方が良さそうです。
直前1分足は過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は10pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率28%)です。直後11分足のそれも10pips(戻り比率24%)です。戻り比率はあまり大きくありません。追撃しやすい指標です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は71%となっています。指標発表前に指標発表結果の良し悪しを予見いているかのようです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は94%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は100%です。発表結果が前回結果より良ければ、反応は持続しています。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が100%と、はっきりとした偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が94%と異常に高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は94%です。指標発表直後には、その後も反応が伸び続けると信じるしかありません。94%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは47%です。
本指標は、発表直後の跳ねが大きく、その跳幅を少なくともその後しばらく超えて反応を伸ばしていません。追撃は難しく、指標発表直後1分間の上下動を利用するのがベターだと思われます。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは50%です。これではサイコロを振ってポジションを取るのを同じです。
【4. シナリオ作成】
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 事後差異と直後1分足の方向一致率は94%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応します。
実態差異と直後11分足の方向一致率は100%です。発表結果が前回結果より良ければ、反応は持続しています。 - 指標発表前からご注意ください。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は71%となっています。指標発表前に指標発表結果の良し悪しを予見いているかのようです。但し、その直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は59%と高くありません。
直前1分足は、調査期間において陽線になったことがありません。だからと言って今回も陰線になるとは限りませんが、陰線と見込むか、この期間に取引しないかが選択肢です。陽線と見込むには、本指標の実績にあまりに反しています。
これら直前10-1分足や直前1分足が10pips以上動くことがあっても、過去の実績では指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません。釣られて痛い目に遭わないように気を付けましょう。 - 指標発表の影響が最も顕著に現れる直後1分足跳足は、平均36pipsとなっています。過去18回の発表でこの平均値を超えたことが50%となっています。がしかし、過去平均の2倍(71pips)を超えたことはありません。平均の1.5倍跳ねたことも、過去11%しかありません。
つまり、もし大きな反応が起きても、平均値の36pipsを超えて反応を伸ばしたら利確すべきです。 - 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が94%です。つまり、過去実績から言えばほぼ反転しません。がしかし、方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士を比べると反応が伸びたことは47%、終値同士を比べて反応が伸びたことは53%です。
つまり、この数字から言って、発表後に反応を見てから追撃ポジションを取るのが難しい指標です。発表直後の跳ねを、その後しばらくは超えられないことが多いのです。
シナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、調査期間において陽線になったことがないためです。ただ、過去平均跳幅は5pipsしかないので、利確できるときにしておきましょう。特に今回は、久しぶりに前回結果よりもかなり高い市場予想となっています。狙いは、それまでに陽線側に伸びすぎているときに、指標発表直前にひとまず利確の売りが増えることです。それが、早めに既に起きていた場合、この期間の取引は見送った方が良いかも知れません。 - 最初の追撃は、反応が20pips以下しか伸びていないときにポジションを取ります。そして、1分以内に利確・損切とします。
本指標の長跳幅は、指標発表から1分以内に形成されることが多いためです。もしポジションが取れなければ、上下動をじっくり見極めて高値(安値)掴みをしないように気を付けましょう。反応が大きく、しかも少なくとも暫くは反応を伸ばさないことが多いようです。一旦、戻しを待ってポジションを取ることの方が、発表から10分で取引を終えることよりも優先すべきです。
といっても、多くの人にとって09:30から前後10分も取引に張り付くことは難しい時間帯ですが。
以上
2017年12月6日09:30発表
以下は2017年12月11日に追記しています。
V.結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回こそ大きく上回ったものの予想を下回り、結果は陰線でした。
前年比+2.8%という成長率は悪くありません。この数字は前年同期まで悪い数字が続いていたため、前期結果の+1.8%より伸びたものと考えられます。がしかし、内訳で消費と投資が前回を下回り、その結果、市場予想に届かなかったようです。
RBAの見解では、もともと+3%到達をまだ先のことと捉えていますが、今後も一時的に低下しても徐々に成長率は3%に近づくと考えています。
(5-2. 取引結果)
この発表時刻なので、取引はできませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 事後差異と直後1分足の方向一致率は94%となっていました。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しました。
実態差異と直後11分足の方向一致率は100%でした。がしかし、今回は発表結果が前回結果より良かったにも関わらず、反応は陰線のままでした。 - 指標発表前からご注意ください。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は71%となっていました。がしかし、今回は直前10-1分足がほぼ同値となり、事前差異と方向一致したとは言えません。但し、このブログでのルールにより、同値は集計に含めません。
直前1分足は、調査期間において陽線になったことがありません。今回も陰線でした。 - 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が94%です。つまり、過去実績から言えばほぼ反転しません。がしかし、方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士を比べると反応が伸びたことは47%、終値同士を比べて反応が伸びたことは53%です。つまり、この数字から言って、発表後に反応を見てから追撃ポジションを取るのが難しい指標です。発表直後の跳ねを、その後しばらくは超えられないことが多いのです。
ほぼその通りの動きとなりました。
(6-2. シナリオ検証)
取引はできなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 最初の追撃は、反応が20pips以下しか伸びていないときにポジションを取り、1分以内に利確・損切のつもりでした。
発表時点でのチャートの実際の動きを見ていないものの、後からチャートを見る限りでは、上ヒゲに騙されなければ利確できたようです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は2回の取引を行い、指標単位で2勝(勝率100%)、シナリオ単位で4勝1敗(勝率80%)でした。取引時間は1指標平均で2分10秒です。追撃に徹するシナリオのため、利確pipsは15pipsで、1回当たり7pipsしか取れていません。発表直後の跳ねが大きいので、これはこれで仕方ないでしょう。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国景気指標「ISM非製造業・総合景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年12月5日24:00発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月5日24:00に米国景気指標「ISM非製造業・総合景況指数」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足跳幅は15pipsと、平均的な反応程度です。分布は、平均以下の反応だったことが59%となっています。利確・損切の目安は10pips程度だと思っておけば良いでしょう。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びやすい、と言えます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指数は、(a) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(b) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(c) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、2016年8月分をボトム(底)として、翌9月以降は高い水準で上下動をしながら停滞していました。それが、2017年9月分(59.8)と前回10月分(60.1)とで、2013年7月分(60.3)に次ぐ高水準に達しています。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
事後差異及び実態差異の判別式は、4✕景況指数の差異+2✕事業活動の差異、です。判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足・直後11分足の方向一致率は、それぞれ81%・77%となります。
前週に発表された同月集計分のCB消費者信頼感指数と本指標との相関について調べておきました。
調査期間は2015年1月〜2015年10月分までの33回分について、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は38%しかありません。
よって、同じ非製造業景況指数でも、CBとISMとは指標結果の対前月結果との良し悪しに相関がありません。反応方向に至っては、CBと逆方向にポジションを持った方が良いぐらいです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度26%)あります。
この9回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均15pipsよりやや大きくなっています。また、この9回の直前10-1分足と直後1分足の方向は7回(78%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が10pips以上跳ねるときには、直後1分足がその方向にやや大きく反応する可能性が高い、と言えます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回(頻度3%)あります。
この1回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均15pipsと同値です。また、この1回の直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
対象事例が1回しかないものの、前述の直前10-1分足と同様に、指標発表前に大きく動くときは、指標発表後の反応方向を示唆している可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率27%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率27%)です。戻り比率はあまり大きくありません。追撃しやすい指標です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異のマイナス率が70%で、これは異常な偏りです。市場予想は前回結果よりも低く見込まれがちです。
事前差異と直前1分足の方向一致率は77%です。また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ81%・77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足の陰線率が83%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは88%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。つまり、そこから反応を伸ばすかどうかわからない、ということです。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。
この結果は、巻頭に挙げた相関分布の結論と、一見、矛盾しています。
がしかし、巻頭に挙げた回帰式の係数が1を上回っていることは、平均的に反応を伸ばしていることを示しています。でも、本反応性分析で、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びていないのは回数です。
矛盾はありません。
では、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたいた回数が少ないのに、平均pipsが伸びていていたことが多いというのはどういうことでしょう。反応を伸ばすときは大きいものの、伸ばさないときの方が多い、ということです。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年12月10日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を下回り、反応は陰線でした。
景況指数のグラフは、前回が60.1とかなり良い数字だったこともあり、今回かなり大きな落ち込みです。その他、事業活動も新規受注も雇用指数も価格指数も、軒並み今回は前回を下回りました。
さて、それらを総合した実態差異は△20.7となっています。本指標の実態差異判別式は、事前分析に示した通り、4✕景況指数の差異+2✕事業活動の差異、でした。この判別式の解が+20を上回るか△20を下回ったことは、今回を除いて過去に14回(頻度41%)あります。そして、この判別式の解が+20を上回るか△20を下回った翌月は、実態差異判別式の解の符号が前月と反転したことが12回(反転率86%)あります。
つまり、来月は本指標実態差異がプラス化する期待的中率が86%となります。
本指標は、そういう意味(実態差異が+20を上回るか△20を下回るかしたこと)で、翌月発表が前月の反動で反転します。覚えておきましょう。
取引結果は次の通りでした。
同じ11月集計分のUM消費者信頼感指数速報値は前回を下回り、CB消費者信頼感指数は前回を上回っていました。相変わらず、それら指標と本指標との実態差異の方向一致率は高くありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
個々に負けることがあっても、もともと期待的中率70%以上の取引基準を用いているため、連敗が続かない限り、見直す必要はありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標でほぼ毎月11回の取引を行いました。結果、指標単位では10勝1敗(勝率91%)、シナリオ単位では25勝8敗(勝率76%)でした。1回の取引で平均7分5秒を要して、年間66pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+11pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が16pips)であることを踏まえると、悪くありません。
2018年も今年と同様の取引方法でやっていきましょう。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月5日24:00に米国景気指標「ISM非製造業・総合景況指数」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。
最も指標結果に素直に反応しがちな直後1分足跳幅は15pipsと、平均的な反応程度です。分布は、平均以下の反応だったことが59%となっています。利確・損切の目安は10pips程度だと思っておけば良いでしょう。
直後1分足値幅(x)に対する直後11分足値幅(y)は、回帰式(赤線)の傾きが1を上回っており、平均的には反応が伸びやすい、と言えます。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指数は、(a) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(b) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(c) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、2016年8月分をボトム(底)として、翌9月以降は高い水準で上下動をしながら停滞していました。それが、2017年9月分(59.8)と前回10月分(60.1)とで、2013年7月分(60.3)に次ぐ高水準に達しています。
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一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
事後差異及び実態差異の判別式は、4✕景況指数の差異+2✕事業活動の差異、です。判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足・直後11分足の方向一致率は、それぞれ81%・77%となります。
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前週に発表された同月集計分のCB消費者信頼感指数と本指標との相関について調べておきました。
調査期間は2015年1月〜2015年10月分までの33回分について、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は38%しかありません。
よって、同じ非製造業景況指数でも、CBとISMとは指標結果の対前月結果との良し悪しに相関がありません。反応方向に至っては、CBと逆方向にポジションを持った方が良いぐらいです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度26%)あります。
この9回の直後1分足跳幅は20pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均15pipsよりやや大きくなっています。また、この9回の直前10-1分足と直後1分足の方向は7回(78%)一致しています。
つまり、直前10-1分足が10pips以上跳ねるときには、直後1分足がその方向にやや大きく反応する可能性が高い、と言えます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回(頻度3%)あります。
この1回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均15pipsと同値です。また、この1回の直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
対象事例が1回しかないものの、前述の直前10-1分足と同様に、指標発表前に大きく動くときは、指標発表後の反応方向を示唆している可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率27%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率27%)です。戻り比率はあまり大きくありません。追撃しやすい指標です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異のマイナス率が70%で、これは異常な偏りです。市場予想は前回結果よりも低く見込まれがちです。
事前差異と直前1分足の方向一致率は77%です。また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ81%・77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足の陰線率が83%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは88%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。つまり、そこから反応を伸ばすかどうかわからない、ということです。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。
この結果は、巻頭に挙げた相関分布の結論と、一見、矛盾しています。
がしかし、巻頭に挙げた回帰式の係数が1を上回っていることは、平均的に反応を伸ばしていることを示しています。でも、本反応性分析で、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びていないのは回数です。
矛盾はありません。
では、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたいた回数が少ないのに、平均pipsが伸びていていたことが多いというのはどういうことでしょう。反応を伸ばすときは大きいものの、伸ばさないときの方が多い、ということです。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標には妙な特徴があります。
市場予想が前回結果より低めになりがち(70%)です。がしかし、実際の発表結果が前回結果を下回ったことは41%です。
こうした特徴を持った指標はあまり見当たりません。市場予想がアテにならない指標だと言っても良いでしょう。 - 過去の傾向では、反応方向が素直なものの、反応程度があまり大きくありません。本指標発表後は、反応を伸ばすときこそ大きく伸ばすものの、伸ばさないときの方が多くなっています。
利確や損切の目安は10pips程度と見込み、反応を伸ばしそうなときは短期取引を繰り返した方が良さそうです。直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%です。 - 本指標に先立って同月集計分が発表されているUM消費者信頼感指数速報値やCB消費者信頼感指数との実態差異方向一致率は高くありません。
特に、前週に発表された同月集計分のCB消費者信頼感指数と本指標との方向一致率は38%しかありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は過去の陰線率が86%もあるため、です。 - 直後1分足は陽線と見込みます。但し、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねた場合は、その跳ねた方向に直後1分足も跳ねると見込みます。
本指標は市場予想が低めになりがちで、発表結果が市場予想を上回れば陽線で反応しがちです。期待値の点で、有利な方に見込む訳です。 - 指標発表後の追撃は、順張り早期開始して、さっさと利確します。複数回の追撃を行う場合も短期取引の繰り返しで行います。
以上
2017年12月5日24:00発表
以下は2017年12月10日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を下回り、反応は陰線でした。
景況指数のグラフは、前回が60.1とかなり良い数字だったこともあり、今回かなり大きな落ち込みです。その他、事業活動も新規受注も雇用指数も価格指数も、軒並み今回は前回を下回りました。
さて、それらを総合した実態差異は△20.7となっています。本指標の実態差異判別式は、事前分析に示した通り、4✕景況指数の差異+2✕事業活動の差異、でした。この判別式の解が+20を上回るか△20を下回ったことは、今回を除いて過去に14回(頻度41%)あります。そして、この判別式の解が+20を上回るか△20を下回った翌月は、実態差異判別式の解の符号が前月と反転したことが12回(反転率86%)あります。
つまり、来月は本指標実態差異がプラス化する期待的中率が86%となります。
本指標は、そういう意味(実態差異が+20を上回るか△20を下回るかしたこと)で、翌月発表が前月の反動で反転します。覚えておきましょう。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
同じ11月集計分のUM消費者信頼感指数速報値は前回を下回り、CB消費者信頼感指数は前回を上回っていました。相変わらず、それら指標と本指標との実態差異の方向一致率は高くありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
個々に負けることがあっても、もともと期待的中率70%以上の取引基準を用いているため、連敗が続かない限り、見直す必要はありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標でほぼ毎月11回の取引を行いました。結果、指標単位では10勝1敗(勝率91%)、シナリオ単位では25勝8敗(勝率76%)でした。1回の取引で平均7分5秒を要して、年間66pipsを稼いでいます。これは、1回当たり+11pipsで、本指標への反応の過去平均値(直後1分足値幅が11pips、直後11分足値幅が16pips)であることを踏まえると、悪くありません。
2018年も今年と同様の取引方法でやっていきましょう。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国国際収支「貿易収支」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年12月5日22:30発表結果検証済)
以下、「T.反応要点」「U.指標要点」を事前投稿し、「V.結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年12月5日22:30に米国収支指標「貿易収支」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
本指標は毎月第1週に発表されるため、貿易収支単独で発表されるのは数か月に1回です。他の指標と同時発表される場合は、貿易収支の結果は反応に現れません。反応が小さすぎるのです。
今回は、貿易収支単独で発表されるので、本指標の特徴が現れやすいはずです。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。下表は、2015年1月分から前月2017年9月分までの33回のうち、火曜と水曜に発表された16回の結果を集計したものです。
木曜は週次新規失業保険申請件数と、金曜は雇用統計と、同時発表されることが多いのです。そのため、本指標の特徴はチャート上に現れない、と考えられます。そこで、火曜と水曜に発表された16回の結果を集計した訳です。
指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足跳幅の平均値は僅か6pipsしかありません。その平均値以下しか反応しなかったことは全体の69%にも達しています。本指標は反応しないのです。がっかりしないように予め。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
貿易収支は経常収支の一部で、経常収支には貿易収支の他にサービス収支・所得収支・経常移転収支があります。一般に他の項目と比べて貿易収支が大きいため、経常収支の中で貿易収支が注目されます。
ところが、注目されると言っても、それはFX参加者についてではありません(そう思います)。前述の通り、本指標は単独で発表されたとき、ほとんど反応がチャート上に現れていないからです。
米貿易収支の増減は、消費財赤字とエネルギー輸入赤字とが、それぞれどう増減するかです。消費財輸入は景気次第、エネルギー輸入は原油価格次第、です。前者が割と単純に増減するのに比べ、後者は少し複雑です。
貿易赤字の3割弱を占める原油輸入は、シェール革命によって一時期減少に向かい、いずれ黒字化するとさえ言われていました。ところが、世界的な原油価格低迷により、シェール油井は採算割れして採掘中止に追い込まれています。直近の原油価格は50ドルまで戻しましたが、70ドル付近まで戻せばシェール油井操業が復活すると言われています。
そういう日が来るまで、本指標への反応は小さいままでしょう。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。ここでは、2015年1月分から前月2017年9月分までの33回のうち、火曜と水曜に発表された16回の結果のみをプロットしています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。事前差異のマイナス率が63%とやや偏りがあるものの、ばらつきの範囲内でしょう。
直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%となっています。指標発表前に指標発表結果の良し悪しを予見いているかのようです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は47%しかなく、市場予想に対する発表結果の良し悪しに反応方向は関係ありません。
実態差異と直後11分足の方向一致率は44%です。前回結果に対する発表結果の良し悪しに反応方向は関係ありません。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が67%と、やや偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率も67%と、あまり高くあまりません。また、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%です。指標発表直後には、その後も反応が伸び続けると信じるしかありません。67%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは90%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%です。よって、早期追撃で得たポジションは、早めに利確の機会を早めに探った方が良さそうです。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、本指標では取引を行いません。
以下は2017年12月9日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回る赤字で、反応は陰線でした。
次回発表は2018年1月5日22:30です。取引する予定はありません。
本指標での取引は行いません。
直後1分足跳幅は2pips未満となっています。本指標が単独で発表されたときの反応は、この程度に過ぎないことが再確認できました。
過去に本指標が単独で発表されたときの直後1分足跳幅平均は6pipsです。この時刻におけるUSDJPYがこの程度動くことは、もともと珍しくありません。そういう意味で、やはり本指標は事前の指標分析に基づく取引に向いていません。
指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%となっていました。今回の直前10-1分足は陽線だったにも関わらず貿易収支は悪化したので、直前10-1分足と事後差異の方向は不一致でした。
取引予定がない指標なので、シナリオはありません。
下表に、本ブログを始めてからの取引成績を纏めておきます。
幸い、無理にシナリオを用意していた頃の損益がプラスになっていますが、もともと反応が小さい指標なので、毎回1枚の取引で¥678にしかなっていません。ここで(2月と4月の発表時)、本指標での取引を止めたことこそ、意味があると考えています。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.反応要点
2017年12月5日22:30に米国収支指標「貿易収支」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
本指標は毎月第1週に発表されるため、貿易収支単独で発表されるのは数か月に1回です。他の指標と同時発表される場合は、貿易収支の結果は反応に現れません。反応が小さすぎるのです。
今回は、貿易収支単独で発表されるので、本指標の特徴が現れやすいはずです。
前回結果・市場予想と、以下の分析対象期間と、反応分布は次の通りです。下表は、2015年1月分から前月2017年9月分までの33回のうち、火曜と水曜に発表された16回の結果を集計したものです。
木曜は週次新規失業保険申請件数と、金曜は雇用統計と、同時発表されることが多いのです。そのため、本指標の特徴はチャート上に現れない、と考えられます。そこで、火曜と水曜に発表された16回の結果を集計した訳です。
指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足跳幅の平均値は僅か6pipsしかありません。その平均値以下しか反応しなかったことは全体の69%にも達しています。本指標は反応しないのです。がっかりしないように予め。
U.指標要点
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
貿易収支は経常収支の一部で、経常収支には貿易収支の他にサービス収支・所得収支・経常移転収支があります。一般に他の項目と比べて貿易収支が大きいため、経常収支の中で貿易収支が注目されます。
ところが、注目されると言っても、それはFX参加者についてではありません(そう思います)。前述の通り、本指標は単独で発表されたとき、ほとんど反応がチャート上に現れていないからです。
米貿易収支の増減は、消費財赤字とエネルギー輸入赤字とが、それぞれどう増減するかです。消費財輸入は景気次第、エネルギー輸入は原油価格次第、です。前者が割と単純に増減するのに比べ、後者は少し複雑です。
貿易赤字の3割弱を占める原油輸入は、シェール革命によって一時期減少に向かい、いずれ黒字化するとさえ言われていました。ところが、世界的な原油価格低迷により、シェール油井は採算割れして採掘中止に追い込まれています。直近の原油価格は50ドルまで戻しましたが、70ドル付近まで戻せばシェール油井操業が復活すると言われています。
そういう日が来るまで、本指標への反応は小さいままでしょう。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。ここでは、2015年1月分から前月2017年9月分までの33回のうち、火曜と水曜に発表された16回の結果のみをプロットしています。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
前回結果と市場予想と発表結果との間に、大小関係で見るべき偏りはありません。事前差異のマイナス率が63%とやや偏りがあるものの、ばらつきの範囲内でしょう。
直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%となっています。指標発表前に指標発表結果の良し悪しを予見いているかのようです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は47%しかなく、市場予想に対する発表結果の良し悪しに反応方向は関係ありません。
実態差異と直後11分足の方向一致率は44%です。前回結果に対する発表結果の良し悪しに反応方向は関係ありません。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が67%と、やや偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率も67%と、あまり高くあまりません。また、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は67%です。指標発表直後には、その後も反応が伸び続けると信じるしかありません。67%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは90%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%です。よって、早期追撃で得たポジションは、早めに利確の機会を早めに探った方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標は他の指標と同時に発表されることが多く、そのため本指標単独での反応への影響がわかりません。他の指標と同時でなく、本指標単独で発表されるときの直後1分足跳幅は僅か6pipsしかありません。
- 本指標単独で発表されたときには、指標発表後よりも指標発表前の方が、指標の影響が現れているようです。
直前10-1分足と事後差異の方向一致率は73%です。但し、直前10-1分足が事後差異を示唆しているとしても、事後差異と直後1分足の方向一致率は47%しかありません。
以上の本指標特徴を踏まえ、本指標では取引を行いません。
以上
2017年12月5日22:30発表
以下は2017年12月9日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回る赤字で、反応は陰線でした。
次回発表は2018年1月5日22:30です。取引する予定はありません。
(5-2. 取引結果)
本指標での取引は行いません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
直後1分足跳幅は2pips未満となっています。本指標が単独で発表されたときの反応は、この程度に過ぎないことが再確認できました。
過去に本指標が単独で発表されたときの直後1分足跳幅平均は6pipsです。この時刻におけるUSDJPYがこの程度動くことは、もともと珍しくありません。そういう意味で、やはり本指標は事前の指標分析に基づく取引に向いていません。
指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%となっていました。今回の直前10-1分足は陽線だったにも関わらず貿易収支は悪化したので、直前10-1分足と事後差異の方向は不一致でした。
(6-2. シナリオ検証)
取引予定がない指標なので、シナリオはありません。
下表に、本ブログを始めてからの取引成績を纏めておきます。
幸い、無理にシナリオを用意していた頃の損益がプラスになっていますが、もともと反応が小さい指標なので、毎回1枚の取引で¥678にしかなっていません。ここで(2月と4月の発表時)、本指標での取引を止めたことこそ、意味があると考えています。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
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以上