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2017年11月27日
米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年11月28日24:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月28日24:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(11月26日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
そして、次のシナリオで取引に臨みます。
大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。大して反応しないくせに、シナリオは少し複雑です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(a) 現在の景況感、(b) 現在の雇用状況、(c) 6か月先の景況感、(d) 6か月先の雇用、(e) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(c)や(e)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。そう解説している入門記事も多いようです。
がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り、両指標の単月毎の改善・悪化には相関がありません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ推移は、2016年5月分をボトムに、その後は上昇基調が続いています。がしかし、2017年3月分をピークに上昇が停滞しています。前月2017年10月分は、久しぶりにそのピークを僅かに更新しました。
直近の他の景気指標でも、再上昇に転じた指標は多く、本指標もまた再上昇転換が期待されています。
今回の市場予想は、前回結果を下回っており、停滞から再上昇への転換との見方を保つためには、最低でも2017年8月分の122.9を上回る必要があります。
がしかし、11月月初こそダウは上昇したものの、上旬から中旬にかけてはロシアゲートでの元補佐官への事情聴取報道があって、ダウが落ち込んでいます。前月が直近ピークを上抜けたこともあり、当月は予想を下回るかも知れません。
過去分布の期間推移と相関分布を下図に示します。
反応が小さな指標なので、5pipsも取れたら利確・損切した方が良さそうです。
また、直後1分足値幅(x)に対して直後11分足値幅(y)は、一次回帰式(赤線)の係数が1を超えています。分布を統計的に解釈する限り、反応は1方向に伸びがちだということになります。
がしかし、第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)の上下の実分布を見る限り、少し違う解釈をした方が良さそうです。順張りでの追撃は、直後1分足が陽線だったなら値幅10pips以上、陰線だったなら5pips以上のときに行う方が良さそうです。
2015年2月以降前回までの33回で、発表結果と市場予想の大小関係が前月と翌月で入れ替わった回数は18回(入れ替わり率55%)です。
市場予想後追い型とは言えません。
本指標は、先行発表(11月10日)された同じ11月分のUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。両指標間に相関がないか、調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
がしかし、上図の通り、両指標の実態差異一致率は41%しかないことがわかりました。41%なら、一致するか一致しないかをサイコロを振って決めても同じです。
よって、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず相関がない、と言えます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回一致しており、一致しなかった2回の直後1分足は同値終了です(期待的中率100%、同値は集計しない)。
よって、直後10-1分足が10pips以上跳ねたときには、直後1分足も同方向に跳ねる可能性が高いと言えます。跳ねの程度は、過去平均と同程度です。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回しかありません。その1回の直後1分足跳幅は13pipsで、直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率40%)です。戻り比率がそれぞれ40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異のマイナス率は63%となっています。一方、事後差異のプラス率は62%です。市場予想は低めに予想され、発表結果はそれを上回りがちです。ただ、それほど極端な偏りとは言えません。
事前差異と直前1分足の方向一致率は24%(不一致率76%)となっています。現時点での今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足が陽線となる期待的中率が76%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率が84%、実態差異と直後11分足との方向一致率は70%となっています。市場予想や前回結果に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直後1分足の陽線率が78%と、異常な偏りが見受けられます。指標発表前の直前10-1分足や直前1分足に偏りがなく、指標発表後の直後1分足に偏りがあるというのは本指標の特徴です。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは65%です。
指標発表時点では、事後差異に対して素直に反応を伸ばすと考えざるを得ません。けれども、方向一致率が72%で、反応を伸ばしたことが65%だと、早期追撃開始で目論見通りに利確できることは47%ということになります。方向が一致しなくても、指標発表から1分を過ぎてもすぐに反転せずに反応を伸ばすこともあるので、総合的な確率は50%を超えると思われますが、確率的にはあまり高くありません。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは38%しかありません。これなら、発表直後か発表から1分を過ぎたら、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたときに逆張りポジション取得を狙う方が良さそうです。
以下のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。
以下は2017年11月29日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
今回結果129.5は、2000年11月分以来の数値です。国内では株価を中心にそろそろ感が強いものの、米国では先行きを明るく捉えているようです。
取引結果は次の通りでした。
指標発表時刻を跨いだ取引は行いませんでした。シナリオでは、直前10-1分足か直前1分足が跳ねたらという条件があったためです。
2度目の追撃は損切となりました。どうやら、01:00頃からはUSDJPYが下がり始めたようですが、それは分析対象期間ではありません(時間を限らないと、分析に基づく読みが当たったか外れたかが論じられない)。
事前調査分析内容は、直前1分足が下ヒゲを持たなかったことや、直後11分足が直後1分足よりも反応を伸ばしたことで、外しています。
ただ、確率的な問題があるので、あと2回続けて外したら全面改訂することにします。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月28日24:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年11月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(11月26日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標は、先に発表されるUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。がしかし、両指標は同月集計同士の実態差異一致率が41%しかありません。よって、単月毎の発表結果が前月結果より良くなるか悪くなるかについて、UM消費者信頼感指数速報値の同月発表結果を参考にすることは無意味です。
- 本指標は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前1分足の方向一致率が24%(不一致率76%)となっています。
また、過去事例を見る限り、直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねた場合、直後1分足の反応方向はそれと同じ方向になっています。 - 初期反応こそ、指標結果の前回・予想に対する良し悪しに素直なものの(事後差異と直後1分足の方向一致率84%)、直後11分足終値が直後1分足終値より反応を伸ばしたことが34%しかありません。反応は小さく、しかも直後1分足や直後11分足の戻り比率が40%を超えています。
追撃は難しく、過去の傾向から言えば、発表から1分を過ぎると逆張りの方が適しています。但し、直後1分足が陽線なら10pips以上の値幅のとき、陰線なら5piss以上の値幅なら、順張りでの追撃です。
そして、次のシナリオで取引に臨みます。
大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。大して反応しないくせに、シナリオは少し複雑です。
- 直前1分足は陽線と見込みます。
指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は24%(不一致率76%)となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足が陽線となる期待的中率が76%ということになります。
但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅が4pips・2pipsしかありません。陰線側にヒゲを形成されるのを待って逆張りポジションを取り、1-2pipsで利確した方が良いでしょう。そういうヒゲが形成されなければ、取引を諦めた方がいいpipsです。 - 直後1分足は、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、それと同じ方向と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表後の跳ねで利確(損切)です。
直前10-1分足が10pips跳ねたことは過去15%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは過去3%、そして、それらの場合に直後1分足は、同値終了を除けば全てその跳ねと同じ方向に反応しています。 - 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、できれば1分以内の短期利確を狙います。
また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙います。逆張りなので、これも短期利確を狙います。
論拠は反応性分析の結果に依ります。但し、直後1分足が陽線なら10pips以上の値幅のとき、陰線なら5piss以上の値幅なら、順張りでの追撃です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(a) 現在の景況感、(b) 現在の雇用状況、(c) 6か月先の景況感、(d) 6か月先の雇用、(e) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(c)や(e)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。そう解説している入門記事も多いようです。
がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り、両指標の単月毎の改善・悪化には相関がありません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ推移は、2016年5月分をボトムに、その後は上昇基調が続いています。がしかし、2017年3月分をピークに上昇が停滞しています。前月2017年10月分は、久しぶりにそのピークを僅かに更新しました。
直近の他の景気指標でも、再上昇に転じた指標は多く、本指標もまた再上昇転換が期待されています。
今回の市場予想は、前回結果を下回っており、停滞から再上昇への転換との見方を保つためには、最低でも2017年8月分の122.9を上回る必要があります。
がしかし、11月月初こそダウは上昇したものの、上旬から中旬にかけてはロシアゲートでの元補佐官への事情聴取報道があって、ダウが落ち込んでいます。前月が直近ピークを上抜けたこともあり、当月は予想を下回るかも知れません。
ーーー$€¥ーーー
過去分布の期間推移と相関分布を下図に示します。
反応が小さな指標なので、5pipsも取れたら利確・損切した方が良さそうです。
また、直後1分足値幅(x)に対して直後11分足値幅(y)は、一次回帰式(赤線)の係数が1を超えています。分布を統計的に解釈する限り、反応は1方向に伸びがちだということになります。
がしかし、第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)の上下の実分布を見る限り、少し違う解釈をした方が良さそうです。順張りでの追撃は、直後1分足が陽線だったなら値幅10pips以上、陰線だったなら5pips以上のときに行う方が良さそうです。
ーーー$€¥ーーー
2015年2月以降前回までの33回で、発表結果と市場予想の大小関係が前月と翌月で入れ替わった回数は18回(入れ替わり率55%)です。
市場予想後追い型とは言えません。
ーーー$€¥ーーー
本指標は、先行発表(11月10日)された同じ11月分のUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。両指標間に相関がないか、調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
がしかし、上図の通り、両指標の実態差異一致率は41%しかないことがわかりました。41%なら、一致するか一致しないかをサイコロを振って決めても同じです。
よって、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず相関がない、と言えます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回一致しており、一致しなかった2回の直後1分足は同値終了です(期待的中率100%、同値は集計しない)。
よって、直後10-1分足が10pips以上跳ねたときには、直後1分足も同方向に跳ねる可能性が高いと言えます。跳ねの程度は、過去平均と同程度です。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回しかありません。その1回の直後1分足跳幅は13pipsで、直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率40%)です。戻り比率がそれぞれ40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異のマイナス率は63%となっています。一方、事後差異のプラス率は62%です。市場予想は低めに予想され、発表結果はそれを上回りがちです。ただ、それほど極端な偏りとは言えません。
事前差異と直前1分足の方向一致率は24%(不一致率76%)となっています。現時点での今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足が陽線となる期待的中率が76%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率が84%、実態差異と直後11分足との方向一致率は70%となっています。市場予想や前回結果に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直後1分足の陽線率が78%と、異常な偏りが見受けられます。指標発表前の直前10-1分足や直前1分足に偏りがなく、指標発表後の直後1分足に偏りがあるというのは本指標の特徴です。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは65%です。
指標発表時点では、事後差異に対して素直に反応を伸ばすと考えざるを得ません。けれども、方向一致率が72%で、反応を伸ばしたことが65%だと、早期追撃開始で目論見通りに利確できることは47%ということになります。方向が一致しなくても、指標発表から1分を過ぎてもすぐに反転せずに反応を伸ばすこともあるので、総合的な確率は50%を超えると思われますが、確率的にはあまり高くありません。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは38%しかありません。これなら、発表直後か発表から1分を過ぎたら、直後1分足終値よりも反応を伸ばしたときに逆張りポジション取得を狙う方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。
- 直前1分足は陽線と見込みます。
指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は24%(不一致率76%)となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前1分足が陽線となる期待的中率が76%ということになります。
但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅が4pips・2pipsしかありません。陰線側にヒゲを形成されるのを待って逆張りポジションを取り、1-2pipsで利確した方が良いでしょう。そういうヒゲが形成されなければ、取引を諦めた方がいいpipsです。 - 直後1分足は、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、それと同じ方向と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表後の跳ねで利確(損切)です。
直前10-1分足が10pips跳ねたことは過去15%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは過去3%、そして、それらの場合に直後1分足は、同値終了を除けば全てその跳ねと同じ方向に反応しています。 - 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、できれば1分以内の短期利確を狙います。
また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙います。逆張りなので、これも短期利確を狙います。
論拠は反応性分析の結果に依ります。但し、直後1分足が陽線なら10pips以上の値幅のとき、陰線なら5piss以上の値幅なら、順張りでの追撃です。
以上
2017年11月28日24:00発表
以下は2017年11月29日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
今回結果129.5は、2000年11月分以来の数値です。国内では株価を中心にそろそろ感が強いものの、米国では先行きを明るく捉えているようです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表時刻を跨いだ取引は行いませんでした。シナリオでは、直前10-1分足か直前1分足が跳ねたらという条件があったためです。
2度目の追撃は損切となりました。どうやら、01:00頃からはUSDJPYが下がり始めたようですが、それは分析対象期間ではありません(時間を限らないと、分析に基づく読みが当たったか外れたかが論じられない)。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容は、直前1分足が下ヒゲを持たなかったことや、直後11分足が直後1分足よりも反応を伸ばしたことで、外しています。
ただ、確率的な問題があるので、あと2回続けて外したら全面改訂することにします。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陽線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直後1分足は、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、それと同じ方向と見込んでいました。結果は10pipsに達せず、取引は止めました。
- 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、できれば1分以内の短期利確を狙う予定でした。結果は僅かながら利確できました。
また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙うつもりでした。これは逆張りなので、短期取引のつもりでした。結果は損切でした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年11月26日
米国実態指標「新築住宅販売件数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年11月27日24:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月27日24:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
多くのFX会社の経済指標カレンダーでは、本指標の重要度・注目度が高い、とされています。
住宅購入は、消費金額自体が大きいことや、リフォームや調度品購入などの関連需要にも繋がるため、波及効果が大きいからです。そして、消費者個人の収入や金利見通しが反映されるため、です。
それなら販売件数が多い中古住宅販売件数の方が重要度・注目度が高いはずですが、そんなことはありません。それに、住宅関連指標はいずれも10pips前後しか反応しません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。販売件数は、年換算件数に操作されて発表されます。操作が毎月販売数を単純に12倍したものか、毎年定数化して割り当てた季節調整係数を乗じたものか、定数化されていない係数か、は確認できていません。
また、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
反応は以前から安定して小さいことがわかります。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたった8pipsです。反応が小さいため、大きなトレンドが発生しているときには、指標発表結果の影響はすぐにトレンドに呑まれてしまいます。取引前には、直前のレートから10〜20pips以内のチャートポイントに目星をつけておきましょう。そこが反転の目安になります。
直後1分足(x)に対する直後11分足(y)の値幅の一次回帰式(赤線)は、xの係数が0.5となっています。それなら順張りで追撃かというと、実分布を見る限りそうとも言い切れません。
第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)を見ると、特に直後1分足が陰線だったときに逆張りの有効性を示しています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
年換算販売件数と前月比とは、グラフの様子がまるで異なります。これら項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、販売件数と前月比の各項目を、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、10✕販売件数の差異ー1✕前月比の差異、としておけば、もし販売件数の事前差異が0でも判別ができます。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は76%となりました。
事後差異判別式と実態差異判別式はともに、1✕販売件数の差異+1✕前月比の差異、としておけば、この判別式符号と直後1分足・直後11分足との方向一致率が、事後差異について78%、実態差異について63%、となりました。
本指標は契約書署名ベースで集計されています。そして、関連指標である中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。そのため、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
これは、事実に照らして正しくありません。
事務手続き上の順序と所用時間については、その通りなのでしょう。けれども、新築住宅を購入する人と中古住宅を購入する人は、両方同時に購入する人を除けば一致しません。だから、実際に販売件数が前月より増えたか減ったかを調べると、事務手続き上の所要時間1〜2か月の新築住宅販売件数の先行性はありません。
事実が「ありそうな話」と異なる原因はわかりません。ただ、新築住宅購入者と中古住宅購入者は、同じように住宅購入をするにせよ、所得階層か年齢層が異なるのではないでしょうか。所得階層や年齢層が異なれば、「えい」と住宅購入を決めることに時間差が生じることだって「ありそうな話」です。
両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を前後2か月ずらして調べると、最も一致率が高いズレでも60%しか一致していません。両指標に関係がない、とまでは言いませんが、60%しか増減方向すら一致しないなら、他の予兆を探した方がマシです。
これら指標同士は、グラフの上昇基調や下降基調といった点を参考にできても、単月毎の増減方向は一方の指標を参考にしてもわからないのです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は7pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(43%)です。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。逆に言えば、もし直前1分足跳幅が10pips以上動いた場合、何か過去にない異常なことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率50%)です。反応が小さい指標は戻り率が高くなりがちです。
直後1分足跳幅・値幅は、過去平均で各8pips・5pipsしかありません。反応方向を見てから、短期追撃で利確幅を稼ぐのは難しそうです。それなら、後述する反応性分析にも述べたように、逆張りの機会を狙った方が良さそうです。逆張りポジションは、直後1分足値幅を超えたときで、指標発表直後と発表から3分前後経過したときが過去の傾向から言えば狙い目です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異はプラス率が70%となっています。市場予想が高めになりがちな指標です。これは調査対象期間の住宅販売件数が右上がりとなっており、住宅市場が好調な状態が続いているためと思われます。
また、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が76%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、陰線となる期待的中率が76%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応しがちな指標です。
実態差異は、直後11分足との方向一致率が63%しかありません。これなら、直後11分足は事後差異との方向一致率72%をアテにした方が確かです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が79%と、偏りが目立ちます。
そして、どのローソク足同士を比べてみても、30%以下や70%以上の一致率がありません。先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と高くありません。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。これなら直後1分足終値を超えて反応を伸ばした機会に逆張りポジション取得を狙った方が良さそうです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月28日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、年率換算件数が前回・予想を上回り、前月比は前回をしたまわったものの予想を上回りました。反応は、直後1分足が陰線で、その後は反転して直後11分足が陽線となりました。
11月21日に発表された中古住宅販数と比較しても同様の傾向です。もともと住宅販売は好調だったものの在庫不足が指摘されていました。そこに今夏のハリケーンでフロリダを中心に被害がありました。そのための好調が続いているということでしょう。
直後1分足は上ヒゲを伸ばしたのに、結果的に陰線となりました。とは言え、3pipsですから、ほぼ反応しなかったのと同じです。反応の小ささは、現在、市場が注目しているのが税制改革や独国連立協議などで、経済指標でないためでしょう。
取引は行っていません。横になって時間を待っていたら寝てたようです。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
重要度・注目度が高く位置づけられている指標の割に反応が小さい点も、直後1分足と直後11分足の逆張り成功率が高い点も、過去の傾向通りでした。
但し、今回の直後1分足は、前述の通り、上ヒゲが値幅よりも大きくなっています。逆張りの方向を間違いやすい形状をしています。
取引は行わなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月27日24:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 多くの指標解説で本指標は重要度・注目度が高い、と位置付けられています。がしかし、本指標への反応は小さく、過去発表の直後1分足跳幅は79%が10pipsを下回っています。この指標では利確も損切も数pipsということを頭に置いておくことが大事です。欲張ると勝てません。
- 本指標は契約書署名ベースで集計されています。そのため、所有権移転完了ベースで集計されている中古住宅販売件数よりも1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
がしかし、新築住宅を購入する客層と中古住宅を購入する客層は異なります。実際には両指標のどちらが先行指標であるにせよ、一方の指標を前後3か月ずらしても両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は増減方向すら一致率が高くありません。 - それにも関わらず、本指標はユニークで、取引上の魅力があります。
指標発表前に予兆的な動きが見受けられることと、直後1分足終値を目安に逆張りが適している点が特徴です。大したpipsは稼げないものの、そういう意味では勝ちやすい指標かも知れません。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事前差異との方向一致率が76%です。但し、過去平均跳幅・値幅は各7pips・4pipsしかないことは頭に入れておきましょう。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
過去の陰線率が79%と偏りがあります。但し、過去平均跳幅・値幅は3pips・2pipsしかありません。1・2pipsで利確(損切)するぐらいのつもりでいなければならないので、気が向かなければ取引は止めた方が良いでしょう。 - 指標発表後1分を過ぎると、直後1分足の値幅を削るか直後1分足と反転したことの方が多くなっています(計69%)。指標発表直後か発表から3分経過した頃に逆張りポジション取得を狙います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
多くのFX会社の経済指標カレンダーでは、本指標の重要度・注目度が高い、とされています。
住宅購入は、消費金額自体が大きいことや、リフォームや調度品購入などの関連需要にも繋がるため、波及効果が大きいからです。そして、消費者個人の収入や金利見通しが反映されるため、です。
それなら販売件数が多い中古住宅販売件数の方が重要度・注目度が高いはずですが、そんなことはありません。それに、住宅関連指標はいずれも10pips前後しか反応しません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。販売件数は、年換算件数に操作されて発表されます。操作が毎月販売数を単純に12倍したものか、毎年定数化して割り当てた季節調整係数を乗じたものか、定数化されていない係数か、は確認できていません。
また、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
ーーー$€¥ーーー
本指標への反応の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
反応は以前から安定して小さいことがわかります。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたった8pipsです。反応が小さいため、大きなトレンドが発生しているときには、指標発表結果の影響はすぐにトレンドに呑まれてしまいます。取引前には、直前のレートから10〜20pips以内のチャートポイントに目星をつけておきましょう。そこが反転の目安になります。
直後1分足(x)に対する直後11分足(y)の値幅の一次回帰式(赤線)は、xの係数が0.5となっています。それなら順張りで追撃かというと、実分布を見る限りそうとも言い切れません。
第一象限と第三象限を結ぶ対角線(青線)を見ると、特に直後1分足が陰線だったときに逆張りの有効性を示しています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
年換算販売件数と前月比とは、グラフの様子がまるで異なります。これら項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、販売件数と前月比の各項目を、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、10✕販売件数の差異ー1✕前月比の差異、としておけば、もし販売件数の事前差異が0でも判別ができます。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は76%となりました。
事後差異判別式と実態差異判別式はともに、1✕販売件数の差異+1✕前月比の差異、としておけば、この判別式符号と直後1分足・直後11分足との方向一致率が、事後差異について78%、実態差異について63%、となりました。
ーーー$€¥ーーー
本指標は契約書署名ベースで集計されています。そして、関連指標である中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。そのため、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行する、という解説を多く見かけます。
これは、事実に照らして正しくありません。
事務手続き上の順序と所用時間については、その通りなのでしょう。けれども、新築住宅を購入する人と中古住宅を購入する人は、両方同時に購入する人を除けば一致しません。だから、実際に販売件数が前月より増えたか減ったかを調べると、事務手続き上の所要時間1〜2か月の新築住宅販売件数の先行性はありません。
事実が「ありそうな話」と異なる原因はわかりません。ただ、新築住宅購入者と中古住宅購入者は、同じように住宅購入をするにせよ、所得階層か年齢層が異なるのではないでしょうか。所得階層や年齢層が異なれば、「えい」と住宅購入を決めることに時間差が生じることだって「ありそうな話」です。
両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を前後2か月ずらして調べると、最も一致率が高いズレでも60%しか一致していません。両指標に関係がない、とまでは言いませんが、60%しか増減方向すら一致しないなら、他の予兆を探した方がマシです。
これら指標同士は、グラフの上昇基調や下降基調といった点を参考にできても、単月毎の増減方向は一方の指標を参考にしてもわからないのです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去7回(頻度21%)あります。この7回の直後1分足跳幅は7pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsとほぼ同じです。そして、この7回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(43%)です。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。逆に言えば、もし直前1分足跳幅が10pips以上動いた場合、何か過去にない異常なことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率50%)です。反応が小さい指標は戻り率が高くなりがちです。
直後1分足跳幅・値幅は、過去平均で各8pips・5pipsしかありません。反応方向を見てから、短期追撃で利確幅を稼ぐのは難しそうです。それなら、後述する反応性分析にも述べたように、逆張りの機会を狙った方が良さそうです。逆張りポジションは、直後1分足値幅を超えたときで、指標発表直後と発表から3分前後経過したときが過去の傾向から言えば狙い目です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異はプラス率が70%となっています。市場予想が高めになりがちな指標です。これは調査対象期間の住宅販売件数が右上がりとなっており、住宅市場が好調な状態が続いているためと思われます。
また、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が76%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、陰線となる期待的中率が76%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応しがちな指標です。
実態差異は、直後11分足との方向一致率が63%しかありません。これなら、直後11分足は事後差異との方向一致率72%をアテにした方が確かです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が79%と、偏りが目立ちます。
そして、どのローソク足同士を比べてみても、30%以下や70%以上の一致率がありません。先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は63%と高くありません。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは31%しかありません。これなら直後1分足終値を超えて反応を伸ばした機会に逆張りポジション取得を狙った方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事前差異との方向一致率が76%です。但し、過去平均跳幅・値幅は各7pips・4pipsしかないことは頭に入れておきましょう。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
過去の陰線率が79%と偏りがあります。但し、過去平均跳幅・値幅は3pips・2pipsしかありません。1・2pipsで利確(損切)するぐらいのつもりでいなければならないので、気が向かなければ取引は止めた方が良いでしょう。 - 指標発表後1分を過ぎると、直後1分足の値幅を削るか直後1分足と反転したことの方が多くなっています(計69%)。指標発表直後か発表から3分経過した頃に逆張りポジション取得を狙います。
以上
2017年11月27日24:00発表
以下は2017年11月28日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、年率換算件数が前回・予想を上回り、前月比は前回をしたまわったものの予想を上回りました。反応は、直後1分足が陰線で、その後は反転して直後11分足が陽線となりました。
11月21日に発表された中古住宅販数と比較しても同様の傾向です。もともと住宅販売は好調だったものの在庫不足が指摘されていました。そこに今夏のハリケーンでフロリダを中心に被害がありました。そのための好調が続いているということでしょう。
直後1分足は上ヒゲを伸ばしたのに、結果的に陰線となりました。とは言え、3pipsですから、ほぼ反応しなかったのと同じです。反応の小ささは、現在、市場が注目しているのが税制改革や独国連立協議などで、経済指標でないためでしょう。
(5-2. 取引結果)
取引は行っていません。横になって時間を待っていたら寝てたようです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
重要度・注目度が高く位置づけられている指標の割に反応が小さい点も、直後1分足と直後11分足の逆張り成功率が高い点も、過去の傾向通りでした。
但し、今回の直後1分足は、前述の通り、上ヒゲが値幅よりも大きくなっています。逆張りの方向を間違いやすい形状をしています。
(6-2. シナリオ検証)
取引は行わなかったものの、事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 指標発表後1分を過ぎると、直後1分足の値幅を削るか直後1分足と反転したことの方が多くなっていました(計69%)。指標発表直後か発表から3分経過した頃に逆張りポジション取得を狙うつもりでした。
結果は反転でした。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
4-2-3. 米国収支関連指標(2017年11月最終版)
最近は毎月400億ドル台の貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算近い規模の赤字ということです。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。
貿易赤字の国別内訳(2016年)は、中国3470億USD、EU1463億USD、日本689億USD、メキシコ632億USD、カナダ112億USD、です。
中国に対しては先の米大統領のアジア歴訪で、複数年で2500億USDの覚書を締結しました。メキシコ・カナダとはNAFTA再交渉をしていますが、今年中に話が纏まる気配はありません。EU・日本には、個別にFTA締結を求めているものの、その協議には始まってもいません。
昨年2016年の貿易赤字は前年比+0.4%の5023億USDで、2017年は1-9月分で4031億USDとなっています。毎月400億USDを超える赤字が続いていることを踏まえると、あと3か月で昨年の赤字を上回ることは確実でしょう。来年の方が米国からの市場開放圧力は強まるでしょう。
11月3日に発表された9月分貿易収支は△435億USDでした。
直近ボトムは2016年9月分の△364億USD、直近ピークは2017年1月分の△485億USDです。米大統領のツイートもあって赤字が減少するかと思いきや、2017年に入ってからは毎月400億USDをずっと超えています。
次回10月分発表は12月5日です。
(分析事例) 貿易収支(2017年4月4日発表結果検証済)
本指標の特徴は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向にあまり関係ありません。発表時刻の関係で、他の大きな指標と同時発表されることも多く、その結果、見掛け上の反応平均値は大きくなっています。単独で発表される場合には、あまり反応しない指標です。
本指標結果や内訳を論拠に、米政権からの2国間貿易収支に関する牽制発言があり得ます。本指標の意義は、毎月の貿易赤字の多寡よりも、そうした発言でUSDJPYが動くことへの警鐘を与えてくれることです。
貿易赤字の国別内訳(2016年)は、中国3470億USD、EU1463億USD、日本689億USD、メキシコ632億USD、カナダ112億USD、です。
中国に対しては先の米大統領のアジア歴訪で、複数年で2500億USDの覚書を締結しました。メキシコ・カナダとはNAFTA再交渉をしていますが、今年中に話が纏まる気配はありません。EU・日本には、個別にFTA締結を求めているものの、その協議には始まってもいません。
昨年2016年の貿易赤字は前年比+0.4%の5023億USDで、2017年は1-9月分で4031億USDとなっています。毎月400億USDを超える赤字が続いていることを踏まえると、あと3か月で昨年の赤字を上回ることは確実でしょう。来年の方が米国からの市場開放圧力は強まるでしょう。
【4-2-3. 貿易指標】
11月3日に発表された9月分貿易収支は△435億USDでした。
直近ボトムは2016年9月分の△364億USD、直近ピークは2017年1月分の△485億USDです。米大統領のツイートもあって赤字が減少するかと思いきや、2017年に入ってからは毎月400億USDをずっと超えています。
次回10月分発表は12月5日です。
(分析事例) 貿易収支(2017年4月4日発表結果検証済)
本指標の特徴は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向にあまり関係ありません。発表時刻の関係で、他の大きな指標と同時発表されることも多く、その結果、見掛け上の反応平均値は大きくなっています。単独で発表される場合には、あまり反応しない指標です。
本指標結果や内訳を論拠に、米政権からの2国間貿易収支に関する牽制発言があり得ます。本指標の意義は、毎月の貿易赤字の多寡よりも、そうした発言でUSDJPYが動くことへの警鐘を与えてくれることです。
以上
2017年11月24日
4-2-2. 米国経済実態指標(2017年11月版)
財政収支・国際収支の赤字が続いていても、主要先進国において米国経済は最も好調です。そういう実態を踏まえると、我々アマチュアにも現状の景気の良し悪しを最もわかりやすく表しているのがGDPです。
FX会社HPで重要度・注目度が高く位置付けられていても、反応が小さな指標が多い点が特徴です。
平均的に最も大きく反応する指標は小売売上高で、消費・住宅・生産・貿易関係の指標はあまり反応しません。
成長率(年率換算確定値)は下表の通りです。
2013年10-12月期 2.6%
2014年10-12月期 2.2%
2015年10-12月期 1.4%
2016年10-12月期 2.1%
2017年01-03月期 1.4%
2017年04-06月期 3.1%
2017年07-09月期 3.0%(速報値)
2017年1-3月期GDP確定値が発表された後に「雇用状況が好調ゆえいずれ盛り返す」旨のFOMC見解は正しかったことになります。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年10月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月30日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年9月28日発表結果検証済)
さて、GDP発表時の取引を行う上で下表をご覧ください。
Aは過去平均の直後1分足跳幅、Bは直後1分足と直後11分足の方向一致率、Cは直後11分足値幅が直後1分足値幅よりも反応を伸ばしていた確率です。
速報値 改定値 確定値
A 24pips 15pips 11pips
B 79% 88% 65%
C 47% 18% 41%
こうして数字を並べて見ると、同じGDPでも速報値・改定値・確定値で取引のやり方を変えないと勝てないことが良くわかりますね。
次回2017年4-7月分改定値は11月29日に発表されます。
GDPに直接大きな影響を与えるPCEへの反応より、PCE結果を示唆する小売売上高への反応の方が大きくなる傾向があります。そして、GDPに占める比率が小さな生産関連指標や、個人消費に占める比率が高いと思われる住宅関連指標は、反応が小さい傾向があります。
米国GDPの約70%は個人消費(PCE)が占めています。だから、PCEの重要度・注目度は高い、とされています。
ところが、そのPCEに直結する先行指標は小売売上高です。だから、小売売上高への反応(直後1分足跳幅の過去平均27pips)は、PCEへの反応(同9pips)の3倍にもなります。PCE水準については、小売売上高で折込まれてしまう訳です。
米国経済自体に興味があればPCEを重要視すべきかも知れないものの、FX取引に参加するなら小売売上高の方に注目すべきです。
その小売売上高の直近推移は下表の通りです。
前月比 コア前月比
04月分 +0.4% +0.3%
05月分 △0.3% △0.3%
06月分 △0.2% △0.2%
07月分 +0.6% +0.5%
08月分 △0.2% +0.2%
09月分 +1.6% +1.0%
10月分 +0.2% +0.1%
明らかに4-6月期より7-9月期の小売売上高は増えています。
次回11月分は、赤穂浪士討ち入りの12月14日に発表されます。討ち取られないようにしましょう。
(分析事例) 小売売上高(2017年10月13日発表結果検証済)
小売売上高発表結果の特徴は、実態差異が同月集計分のCPIと方向一致率が高いという点です。そして、本指標で取引する上で知っておくべきことは、直後1分足と直後11分足の方向一致率が85%で、その85%の方向一致時には、2013年以降、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を100%超えている点です。
指標発表直前に一か八かでポジションを取らなくても、発表後に追撃を早期開始して欲張りさえしなければ、発表から1分経過後に利確の機会があった訳です。
次に、個人消費(PCE)です。PCE発表時には同時に、個人所得・コアデフレータ前月比・同前年比が発表されます。
細かなデータを見るより先に、本指標の特徴を挙げておきます。コアデフレータと書くの面倒なので、以下、CDと略記します。
まず事前差異を発表項目毎に、市場予想ー前回結果、で求めます。そして、1✕CD前年比事前差異ー1✕CD事前差異前月比+1✕PCE事前差異ー1✕個人所得事前差異、という判別式の解を求めます。この解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は78%となっています。
次に、事後差異は、発表項目毎に、発表結果ー市場予想、で求めます。そして、3✕CD前年比事後差異+2✕CD事後差異前月比+1✕PCE事後差異+1✕個人所得事後差異、という判別式の解を求めます。この解の符号と直後1分足の方向一致率は71%となっています。
現実的には、発表直後にこんな面倒な式をぱっぱと解けません。だから、CD発表結果の市場予想と差だけを見て対応すれば良い訳です。
(分析事例) 個人消費(PCE)・個人所得(2017年10月30日発表結果検証済)
その消費と収入の直近推移は下表の通りです。
個人消費 個人所得
04月分 +0.4% +0.4%
05月分 +0.4% +0.1%
06月分 0.0% +0.1%
07月分 +0.4% +0.3%
08月分 +0.2% +0.1%
09月分 +0.4% +1.0%
所得は6月分を除いて増え続けており、消費も毎月増えています。ただ、所得の伸びに対して消費の伸びが小さかったものの、9月分では一気に消費が大きく伸びました。その結果、GDPと繋がりのある消費が、4-6月期よりも7-9月期の方が増えています。
次回10月分の発表は、11月30日に予定されています。
個人資産というのは、金融資産と住宅とがほとんどです。住宅は(ふつう)個人消費で最大の金額です。なので、住宅指標の良し悪しは、経済実態(個人消費)に直接的(住宅購入)にも間接的(家具等の耐久財購入)にも影響が大きい、と考えられています。
現在、米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。
(分析事例) 中古住宅販売件数(2017年9月20日発表結果検証済)
(分析事例) 新築住宅販売件数(2017年9月26日発表結果検証済)
ともに、FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標です。これら指標結果を予想するための指標も多く発表されているものの、これら指標自体の反応は小さく、よっぽど長期ポジションを持つFX参加者を除けば大して重要ではありません。
新築住宅販売件数は中古住宅販売件数より1〜2か月先行するという話があります。その理由の論理飛躍は、異なる客層の行動原理が異なることを無視した誤解が広く流布されたため、と考えられます。実際には両指標のどちらが先行指標であるにせよ、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は増減方向すら一致率が高くありません。
ただ、新築住宅販売件数はユニークで、取引上の魅力があります。
指標発表前に予兆的な動きが見受けられることと、発表から1分経過後の追撃に逆張りが適している点で、他の指標で見られない特徴を有しているからです。大したpipsは稼げないものの、勝ちやすい指標かも知れません。これは魅力です。
そして、中古住宅販売件数は、指標発表前に発表直後の反応方向を示唆する偏りが、いくつか過去事例から見出せます。指標発表後も一方向に反応を伸ばしやすいという傾向が見受けられます。これも、取引しやすい指標なのです。
鉱工業(含製造業・エネルギー産業)は、米国GDPの約12%しか占めていません。だから、製造業の好不調が米国経済に与える直接効果は小さい、と捉えています。雇用指標・景気指標・国際収支に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応が小さくそのときどきのトレンドに呑まれがちなため、指標分析に基づく取引には適していません。
特に鉱工業生産指数・製造業生産指数・設備稼働率は、反応が小さく
11月16日に発表された10月分鉱工業生産指数前月比は+0.9%、設備稼働率は77.0%でした。設備稼働率は、2017年4月分の直近ピーク76.7%を上回っており、2016年1月分以来の稼働率でした。
次回11月分は12月15日に予定されています。
(分析事例) 鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率(2017年8月17日発表結果検証済)
指標発表直後1分足跳幅が数pipsしかない指標では、指標結果に素直に反応しがち(事後差異と直後1分足の方向一致率が70%以上)で、且つ、指標結果の予想ができなければ取引する意味がありません。
僅か数pipsしか跳ねない指標では、比較的稼ぎやすい反応方向を確認してからの追撃をうまく出来ても、もっと小さなpipsしか得られません。何より、指標発表直後にすら大きく跳ねない指標は、もし反応を伸ばしがちだという分析結論を得ても、それが単にそのときどきのトレンドに偏りがあったことと区別ができないからです。
本指標の直後1分足跳幅は、過去平均で6pipsしかありません。そして、発表結果の市場予想に対する良し悪しに対し、直後1分足との方向一致率も62%しかありません。つまり、取引きには向かない指標です。
耐久財受注の結果は同月分の鉱工業生産指数が先行示唆しています。間違い易いのですが、鉱工業生産指数の結果を耐久財受注が先行しているのではなく、発表日の関係で鉱工業生産指数の結果が耐久財受注を先行示唆しています。
両指標の同月集計分の実態差異は、方向一致率が92%にも達しています。ですが、そうそううまい話はありません。耐久財受注の実態差異と直後1分足の方向一致率は52%しかありません。よって、鉱工業生産実態差異がプラスで、本指標結果実態差異もプラスだったとしても、直後1分足が陽線となるか陰線となるの確率は半々です。先行指標との実態差異一致率が高い指標は、容易に反応方向を予想できないのです。
だから、先行指標なんて考えずに、本指標の事後差異(発表結果ー市場予想)の正負だけを予想した方が良いでしょう。
事後差異判別式は、2✕耐久財受注前月比の事後差異+1✕コア耐久財受注前月比の事後差異、です。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足との方向一致率は82%です。コアの方が反応に寄与しないことにご注意ください。
(分析事例) 耐久財受注(2017年11月22日発表結果検証済)
11月22日に発表された10月分結果は、総合指数が△1.2%で、3か月ぶりにマイナス転換しました。コア指数は2017年5月分以降6カ月連続でプラス継続です。ともに過去の水準に対し、極端な値にはなっていません(総合指数がプラスであれマイナスであれ3%以上になると、翌月発表は反動が起きがちです)。
次回11月分は12月22日に発表されます。
FX会社HPで重要度・注目度が高く位置付けられていても、反応が小さな指標が多い点が特徴です。
平均的に最も大きく反応する指標は小売売上高で、消費・住宅・生産・貿易関係の指標はあまり反応しません。
【4-2-2.(1).経済成長】
成長率(年率換算確定値)は下表の通りです。
2013年10-12月期 2.6%
2014年10-12月期 2.2%
2015年10-12月期 1.4%
2016年10-12月期 2.1%
2017年01-03月期 1.4%
2017年04-06月期 3.1%
2017年07-09月期 3.0%(速報値)
2017年1-3月期GDP確定値が発表された後に「雇用状況が好調ゆえいずれ盛り返す」旨のFOMC見解は正しかったことになります。
(分析事例) 四半期GDP速報値(2017年10月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値(2017年8月30日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値(2017年9月28日発表結果検証済)
さて、GDP発表時の取引を行う上で下表をご覧ください。
Aは過去平均の直後1分足跳幅、Bは直後1分足と直後11分足の方向一致率、Cは直後11分足値幅が直後1分足値幅よりも反応を伸ばしていた確率です。
速報値 改定値 確定値
A 24pips 15pips 11pips
B 79% 88% 65%
C 47% 18% 41%
こうして数字を並べて見ると、同じGDPでも速報値・改定値・確定値で取引のやり方を変えないと勝てないことが良くわかりますね。
次回2017年4-7月分改定値は11月29日に発表されます。
【4-2-2.(2) 実態指標】
GDPに直接大きな影響を与えるPCEへの反応より、PCE結果を示唆する小売売上高への反応の方が大きくなる傾向があります。そして、GDPに占める比率が小さな生産関連指標や、個人消費に占める比率が高いと思われる住宅関連指標は、反応が小さい傾向があります。
(2-1) 消費関連
米国GDPの約70%は個人消費(PCE)が占めています。だから、PCEの重要度・注目度は高い、とされています。
ところが、そのPCEに直結する先行指標は小売売上高です。だから、小売売上高への反応(直後1分足跳幅の過去平均27pips)は、PCEへの反応(同9pips)の3倍にもなります。PCE水準については、小売売上高で折込まれてしまう訳です。
米国経済自体に興味があればPCEを重要視すべきかも知れないものの、FX取引に参加するなら小売売上高の方に注目すべきです。
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その小売売上高の直近推移は下表の通りです。
前月比 コア前月比
04月分 +0.4% +0.3%
05月分 △0.3% △0.3%
06月分 △0.2% △0.2%
07月分 +0.6% +0.5%
08月分 △0.2% +0.2%
09月分 +1.6% +1.0%
10月分 +0.2% +0.1%
明らかに4-6月期より7-9月期の小売売上高は増えています。
次回11月分は、赤穂浪士討ち入りの12月14日に発表されます。討ち取られないようにしましょう。
(分析事例) 小売売上高(2017年10月13日発表結果検証済)
小売売上高発表結果の特徴は、実態差異が同月集計分のCPIと方向一致率が高いという点です。そして、本指標で取引する上で知っておくべきことは、直後1分足と直後11分足の方向一致率が85%で、その85%の方向一致時には、2013年以降、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を100%超えている点です。
指標発表直前に一か八かでポジションを取らなくても、発表後に追撃を早期開始して欲張りさえしなければ、発表から1分経過後に利確の機会があった訳です。
ーーー$€¥ーーー
次に、個人消費(PCE)です。PCE発表時には同時に、個人所得・コアデフレータ前月比・同前年比が発表されます。
細かなデータを見るより先に、本指標の特徴を挙げておきます。コアデフレータと書くの面倒なので、以下、CDと略記します。
まず事前差異を発表項目毎に、市場予想ー前回結果、で求めます。そして、1✕CD前年比事前差異ー1✕CD事前差異前月比+1✕PCE事前差異ー1✕個人所得事前差異、という判別式の解を求めます。この解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は78%となっています。
次に、事後差異は、発表項目毎に、発表結果ー市場予想、で求めます。そして、3✕CD前年比事後差異+2✕CD事後差異前月比+1✕PCE事後差異+1✕個人所得事後差異、という判別式の解を求めます。この解の符号と直後1分足の方向一致率は71%となっています。
現実的には、発表直後にこんな面倒な式をぱっぱと解けません。だから、CD発表結果の市場予想と差だけを見て対応すれば良い訳です。
(分析事例) 個人消費(PCE)・個人所得(2017年10月30日発表結果検証済)
その消費と収入の直近推移は下表の通りです。
個人消費 個人所得
04月分 +0.4% +0.4%
05月分 +0.4% +0.1%
06月分 0.0% +0.1%
07月分 +0.4% +0.3%
08月分 +0.2% +0.1%
09月分 +0.4% +1.0%
所得は6月分を除いて増え続けており、消費も毎月増えています。ただ、所得の伸びに対して消費の伸びが小さかったものの、9月分では一気に消費が大きく伸びました。その結果、GDPと繋がりのある消費が、4-6月期よりも7-9月期の方が増えています。
次回10月分の発表は、11月30日に予定されています。
(2-2) 住宅関連
個人資産というのは、金融資産と住宅とがほとんどです。住宅は(ふつう)個人消費で最大の金額です。なので、住宅指標の良し悪しは、経済実態(個人消費)に直接的(住宅購入)にも間接的(家具等の耐久財購入)にも影響が大きい、と考えられています。
現在、米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。
(分析事例) 中古住宅販売件数(2017年9月20日発表結果検証済)
(分析事例) 新築住宅販売件数(2017年9月26日発表結果検証済)
ともに、FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標です。これら指標結果を予想するための指標も多く発表されているものの、これら指標自体の反応は小さく、よっぽど長期ポジションを持つFX参加者を除けば大して重要ではありません。
新築住宅販売件数は中古住宅販売件数より1〜2か月先行するという話があります。その理由の論理飛躍は、異なる客層の行動原理が異なることを無視した誤解が広く流布されたため、と考えられます。実際には両指標のどちらが先行指標であるにせよ、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は増減方向すら一致率が高くありません。
ただ、新築住宅販売件数はユニークで、取引上の魅力があります。
指標発表前に予兆的な動きが見受けられることと、発表から1分経過後の追撃に逆張りが適している点で、他の指標で見られない特徴を有しているからです。大したpipsは稼げないものの、勝ちやすい指標かも知れません。これは魅力です。
そして、中古住宅販売件数は、指標発表前に発表直後の反応方向を示唆する偏りが、いくつか過去事例から見出せます。指標発表後も一方向に反応を伸ばしやすいという傾向が見受けられます。これも、取引しやすい指標なのです。
(2-3) 生産関連
鉱工業(含製造業・エネルギー産業)は、米国GDPの約12%しか占めていません。だから、製造業の好不調が米国経済に与える直接効果は小さい、と捉えています。雇用指標・景気指標・国際収支に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応が小さくそのときどきのトレンドに呑まれがちなため、指標分析に基づく取引には適していません。
特に鉱工業生産指数・製造業生産指数・設備稼働率は、反応が小さく
11月16日に発表された10月分鉱工業生産指数前月比は+0.9%、設備稼働率は77.0%でした。設備稼働率は、2017年4月分の直近ピーク76.7%を上回っており、2016年1月分以来の稼働率でした。
次回11月分は12月15日に予定されています。
(分析事例) 鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率(2017年8月17日発表結果検証済)
指標発表直後1分足跳幅が数pipsしかない指標では、指標結果に素直に反応しがち(事後差異と直後1分足の方向一致率が70%以上)で、且つ、指標結果の予想ができなければ取引する意味がありません。
僅か数pipsしか跳ねない指標では、比較的稼ぎやすい反応方向を確認してからの追撃をうまく出来ても、もっと小さなpipsしか得られません。何より、指標発表直後にすら大きく跳ねない指標は、もし反応を伸ばしがちだという分析結論を得ても、それが単にそのときどきのトレンドに偏りがあったことと区別ができないからです。
本指標の直後1分足跳幅は、過去平均で6pipsしかありません。そして、発表結果の市場予想に対する良し悪しに対し、直後1分足との方向一致率も62%しかありません。つまり、取引きには向かない指標です。
ーーー$€¥ーーー
耐久財受注の結果は同月分の鉱工業生産指数が先行示唆しています。間違い易いのですが、鉱工業生産指数の結果を耐久財受注が先行しているのではなく、発表日の関係で鉱工業生産指数の結果が耐久財受注を先行示唆しています。
両指標の同月集計分の実態差異は、方向一致率が92%にも達しています。ですが、そうそううまい話はありません。耐久財受注の実態差異と直後1分足の方向一致率は52%しかありません。よって、鉱工業生産実態差異がプラスで、本指標結果実態差異もプラスだったとしても、直後1分足が陽線となるか陰線となるの確率は半々です。先行指標との実態差異一致率が高い指標は、容易に反応方向を予想できないのです。
だから、先行指標なんて考えずに、本指標の事後差異(発表結果ー市場予想)の正負だけを予想した方が良いでしょう。
事後差異判別式は、2✕耐久財受注前月比の事後差異+1✕コア耐久財受注前月比の事後差異、です。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足との方向一致率は82%です。コアの方が反応に寄与しないことにご注意ください。
(分析事例) 耐久財受注(2017年11月22日発表結果検証済)
11月22日に発表された10月分結果は、総合指数が△1.2%で、3か月ぶりにマイナス転換しました。コア指数は2017年5月分以降6カ月連続でプラス継続です。ともに過去の水準に対し、極端な値にはなっていません(総合指数がプラスであれマイナスであれ3%以上になると、翌月発表は反動が起きがちです)。
次回11月分は12月22日に発表されます。
以上
2017年11月21日
米国実態指標「耐久財受注」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年11月22日22:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月22日22:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は指標発表直前に確認しておきましょう。
以下、耐久財受注前月比を「総合」と記し、輸送機器を除く耐久財受注前月比を「コア」と記します。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。このうち、自動車や航空機や船舶を除いたコア指数が発表されます。また、発表は景気と無関係な軍需も含むため、軍需を除いた「非軍事」という発表項目があります。また、輸送機器を除いた発表値は、コア指数と呼ばれます。
何となくコアの方が景気を如実に表すような気がしますね。でも、後述するように、過去の実績を調べると、コアよりも総合の方が反応には寄与します。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられています(現在、製造業新規受注は過去データを整理中のため、この話は確認できていません)。
一方、後記詳述する通り、本指標は鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の発表結果と高い相関が認められます。
指標間の相関を調べる場合、グラフの全体傾向を比較する方法と、単月毎の結果を比較する方法があります。両指標は、単月毎の結果を比較し、指標間の相関が非常に高いという珍しい特徴を有しています。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で13pipsしかありません。
13pipsというと、平均的な反応程度の指標です。がしかし、巻頭に挙げた分布表を見ると、13pips以下しか跳ねなかったことが67%(3回に2回)です。この指標は、たまに大きく反応するものの、通常の反応は小さいと見なした方が良いでしょう。
この話は利確・損切の参考にしてください。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
両グラフとも前月比のため凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの32回で行いました。
総合は、この期間に前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが17回(53%)ありました。コアはそれが11回(34%)でした。コアの34%という数字は、予想と結果が一致した4回を含めています。予想と結果が一致した4回を除くと39%です。
この結果から、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる(入れ替わる)というジンクスは、アテにするほどの偏りがあまりないことがわかります。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。下表は、2015年1月分から2017年8月分まで(前々回発表分まで)の31回のデータに基づいています。
上表の上2行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足と一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が81%となることがわかりました。
コアよりも総合の方が反応に寄与することと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、がわかりました。
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率と関係があるはずです。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
まず、上述の通り、両指標の実態差異の方向一致率は92%にも達しています。単月毎の指標間の実態差異の方向一致率がこれほど高いことは珍しいと言えます。
両指標の発表時期は、前月集計分が翌月に発表されています。発表順序は本指標の方が遅れて発表されます。今回の10月集計分の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の実態差異はプラスでした。
よって、本指標今回の実態差異はプラスとなる期待的中率が92%ということになります。
がしかし、上図で事後差異の項をご覧ください。両指標の事後差異方向一致率は75%へと低下しています。
これは当然のことです。先行指標発表結果が改善/悪化すれば、後で発表される方の指標の市場予想は高め/低めに予想されるから、です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度12%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均13pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での1回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
直前1分足は明らかに陰線率が極端に高くなっています。その平均跳幅は4pipsしかないのに、陽線側にヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に2〜4pips跳ねたときを狙って逆張りした方が良さそうです。これなら、もし陰線側に転じなくても、損切が小さくて済みます。陽線側に跳ねなければ取引しなければ良いだけです。どうせ大したpipsじゃありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは8pips(戻り比率47%)です。戻り比率が直後1分足・直後11分足ともに大きく、高値(安値)掴みには気を付けた方が良い指標です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率が82%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が96%と、極端な偏りが見受けられます。但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかありません。だから陰線側に反応したのを見てから追撃しても手遅れです。先述のように、よく陽線側にヒゲを残すので、そのヒゲなり、そのヒゲを形成しつつあることを確認してから逆張りで3-5pipsの短期利確を狙う方が良いでしょう。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が77%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは63%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、反応を伸ばすとは言えない数字です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは71%です。71%ならアテにしても良いでしょう。
指標発表から1分を過ぎる頃までに、直後1分足終値よりも値幅が小さいときにポジション取得を狙って、1分を過ぎてから利確の機会を窺うしかないでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月23日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は総合指数・コア指数ともに前回・予想を下回り、初期反応は陰線でその後陽線側に転じました。
総合指数は3か月ぶりにマイナス転換し、コア指数は2017年5月分以降6カ月連続でプラス継続です。ともに過去の水準に対し、極端な値にはなっていません(総合指数がプラスであれマイナスであれ3%以上になると、翌月発表は反動が起きます)。
直後11分足は長い下ヒゲを残しての反転となり、これは翌日04:00にFOMC議事要旨発表が予定されていたので、その影響かもしれません。この時刻前後は112円付近で上下していたので、指標発表でそこから下にブレたのを、元の112円付近に戻したようです。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、上に振れたのが指標発表20秒前ぐらいだったので、ポジションを取り損ねたことが幸いしました。
追撃は、最初のポジションを損切しないままナンピンしました。事後差異・実態差異ともにマイナスだったので、直後11分足は陰線側に伸びると考えてのことでした。結果は陽線だったものの、取引は利確できました。最初の追撃をもっと待ってから行うべきでしたが、それは結果論です。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月22日22:30に米国実態指標「耐久財受注」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は指標発表直前に確認しておきましょう。
以下、耐久財受注前月比を「総合」と記し、輸送機器を除く耐久財受注前月比を「コア」と記します。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標では前月比を扱うため、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多いようです。
それが事実であれ勘違いであれ、関心があるのは、反応と密接に関係する前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わった比率です。2015年2月分から前回2017年確認した結果、総合はこの期間に前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが17回(53%)ありました。コアはそれが11回(39%)でした。
この結果から、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる(入れ替わる)というジンクスは、アテにするほどの偏りがあまりないことがわかります。前月が良かろうが悪かろうが、当月結果の良し悪しはざっと五分五分で、コアについてはむしろ逆に前月が良ければ当月も良いことの方が多いぐらいです。 - 本指標に先立ち発表される鉱工業生産指数は、本指標結果を示唆しています。
これらの指標間の同月発表同士の実態差異(発表結果ー前回結果)は、方向一致率が92%にも達しています。10月分の鉱工業生産(11月16日発表)の実態差異はプラスだったので、今回の本指標実態差異がプラスとなる期待的中率は92%です。これほど先行指標がアテになる指標は珍しいと言えます。
がしかし、注意が必要です。
本指標実態差異と直後1分足の方向一致率は52%しかありません。よって、鉱工業生産実態差異がプラスで、本指標結果実態差異もプラスだったとしても、直後1分足が陽線となるか陰線となるの確率は半々です。先行指標との実態差異一致率が高い指標は、容易に反応方向を予想できないのです。 - だから、先行指標なんて考えずに、本指標の事後差異(発表結果ー市場予想)の正負だけを予想した方が良いでしょう。
事後差異判別式は、2✕耐久財受注前月比の事後差異+1✕コア耐久財受注前月比の事後差異、です。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足との方向一致率は82%です。
コアの方が反応に寄与しないことと、どちらか一方の発表結果を見るのでなく、両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなります。そういう前提があってこそ、本指標は指標発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応する、と言えます。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
直前1分足の過去陰線率は96%と、極端な偏りがあります。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、陽線側に2-4pips跳ねつつあるとき、もしくは、跳ねたのを確認してから、陰線側に戻すのを見越して逆張りし、3-5pips含益ができたらすぐ利確、という方法が良いでしょう。
そういう機会を狙わないと、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかないので、陰線側に振れてから追撃しても勝てません。陽線側への跳ねが起きなければ、取引しなければよいのです。 - 追撃を行うなら、指標発表後に直後1分足よりも値幅が小さくなったときにポジションを取り、1分を過ぎたら利確の機会を窺がいましょう。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標は、製造業の耐久財受注状況を表しています。指標名は「受注」となっているものの、発表内容は「出荷」「在庫」「新規受注」「受注残高」です。
ちなみに、耐久財とは3年以上の使用に耐える消費財を指し、代表例として自動車・航空機・家電・家具等があります。このうち、自動車や航空機や船舶を除いたコア指数が発表されます。また、発表は景気と無関係な軍需も含むため、軍需を除いた「非軍事」という発表項目があります。また、輸送機器を除いた発表値は、コア指数と呼ばれます。
何となくコアの方が景気を如実に表すような気がしますね。でも、後述するように、過去の実績を調べると、コアよりも総合の方が反応には寄与します。
この指標とは別に「製造業新規受注」が発表されており、それが翌々月月初発表に対し「耐久財受注」は毎月下旬に前月分速報値が発表されます。そのため、本指標は設備投資分野における先行指標に位置づけられています(現在、製造業新規受注は過去データを整理中のため、この話は確認できていません)。
一方、後記詳述する通り、本指標は鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の発表結果と高い相関が認められます。
指標間の相関を調べる場合、グラフの全体傾向を比較する方法と、単月毎の結果を比較する方法があります。両指標は、単月毎の結果を比較し、指標間の相関が非常に高いという珍しい特徴を有しています。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で13pipsしかありません。
13pipsというと、平均的な反応程度の指標です。がしかし、巻頭に挙げた分布表を見ると、13pips以下しか跳ねなかったことが67%(3回に2回)です。この指標は、たまに大きく反応するものの、通常の反応は小さいと見なした方が良いでしょう。
この話は利確・損切の参考にしてください。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
両グラフとも前月比のため凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの32回で行いました。
総合は、この期間に前月と翌月と予想と結果の大小関係が入れ替わったことが17回(53%)ありました。コアはそれが11回(34%)でした。コアの34%という数字は、予想と結果が一致した4回を含めています。予想と結果が一致した4回を除くと39%です。
この結果から、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる(入れ替わる)というジンクスは、アテにするほどの偏りがあまりないことがわかります。
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次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。下表は、2015年1月分から2017年8月分まで(前々回発表分まで)の31回のデータに基づいています。
上表の上2行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、事前差異と実態差異は、あまり直前10-1分足と一致率が高い係数を見出すことが出来ませんでした。
事後差異は、2✕総合事後差異+1✕コア事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)とすると、直後1分足との方向一致率が81%となることがわかりました。
コアよりも総合の方が反応に寄与することと、どちらか一方でなく両項目の事後差異を総合的に捉えた方が一致率が高くなること、がわかりました。
ーーー$€¥ーーー
本指標は設備投資分野の先行指標と言われています。その設備投資は、同じ実態指標の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率と関係があるはずです。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
比較に用いた実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果です。
まず、上述の通り、両指標の実態差異の方向一致率は92%にも達しています。単月毎の指標間の実態差異の方向一致率がこれほど高いことは珍しいと言えます。
両指標の発表時期は、前月集計分が翌月に発表されています。発表順序は本指標の方が遅れて発表されます。今回の10月集計分の鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率の実態差異はプラスでした。
よって、本指標今回の実態差異はプラスとなる期待的中率が92%ということになります。
がしかし、上図で事後差異の項をご覧ください。両指標の事後差異方向一致率は75%へと低下しています。
これは当然のことです。先行指標発表結果が改善/悪化すれば、後で発表される方の指標の市場予想は高め/低めに予想されるから、です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度12%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均13pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での1回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
直前1分足は明らかに陰線率が極端に高くなっています。その平均跳幅は4pipsしかないのに、陽線側にヒゲが目立っています。だから、もし直前1分足で取引するなら、陽線側に2〜4pips跳ねたときを狙って逆張りした方が良さそうです。これなら、もし陰線側に転じなくても、損切が小さくて済みます。陽線側に跳ねなければ取引しなければ良いだけです。どうせ大したpipsじゃありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率38%)です。直後11分足のそれは8pips(戻り比率47%)です。戻り比率が直後1分足・直後11分足ともに大きく、高値(安値)掴みには気を付けた方が良い指標です。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率が82%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が96%と、極端な偏りが見受けられます。但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかありません。だから陰線側に反応したのを見てから追撃しても手遅れです。先述のように、よく陽線側にヒゲを残すので、そのヒゲなり、そのヒゲを形成しつつあることを確認してから逆張りで3-5pipsの短期利確を狙う方が良いでしょう。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が77%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは63%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高いものの、反応を伸ばすとは言えない数字です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは71%です。71%ならアテにしても良いでしょう。
指標発表から1分を過ぎる頃までに、直後1分足終値よりも値幅が小さいときにポジション取得を狙って、1分を過ぎてから利確の機会を窺うしかないでしょう。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
直前1分足の過去陰線率は96%と、極端な偏りがあります。にも関わらず、陽線側へのヒゲが目立っています。だから、陽線側に2-4pips跳ねつつあるとき、もしくは、跳ねたのを確認してから、陰線側に戻すのを見越して逆張りし、3-5pips含益ができたらすぐ利確、という方法が良いでしょう。
そういう機会を狙わないと、過去平均跳幅・値幅がそれぞれ4pips・3pipsしかないので、陰線側に振れてから追撃しても勝てません。陽線側への跳ねが起きなければ、取引しなければよいのです。 - 追撃を行うなら、指標発表後に直後1分足よりも値幅が小さくなったときにポジションを取り、1分を過ぎたら利確の機会を窺がいましょう。
以上
2017年11月22日22:30発表
以下は2017年11月23日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は総合指数・コア指数ともに前回・予想を下回り、初期反応は陰線でその後陽線側に転じました。
総合指数は3か月ぶりにマイナス転換し、コア指数は2017年5月分以降6カ月連続でプラス継続です。ともに過去の水準に対し、極端な値にはなっていません(総合指数がプラスであれマイナスであれ3%以上になると、翌月発表は反動が起きます)。
直後11分足は長い下ヒゲを残しての反転となり、これは翌日04:00にFOMC議事要旨発表が予定されていたので、その影響かもしれません。この時刻前後は112円付近で上下していたので、指標発表でそこから下にブレたのを、元の112円付近に戻したようです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、上に振れたのが指標発表20秒前ぐらいだったので、ポジションを取り損ねたことが幸いしました。
追撃は、最初のポジションを損切しないままナンピンしました。事後差異・実態差異ともにマイナスだったので、直後11分足は陰線側に伸びると考えてのことでした。結果は陽線だったものの、取引は利確できました。最初の追撃をもっと待ってから行うべきでしたが、それは結果論です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 本指標では前月比を扱うため、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多いようです。
この解説は、総合指数についてプラスであれマイナスであれ前月が3%以上のときしか当てはまりません。今回は前月が2.2%なので、こうした分析の対象ではありませんでした。 - 本指標に先立ち発表される鉱工業生産指数は、本指標結果を示唆しています。これらの指標間の同月発表同士の実態差異(発表結果ー前回結果)は、方向一致率が92%にも達しています。10月分の鉱工業生産(11月16日発表)の実態差異はプラスでした。
今回は鉱工業生産指数がプラスだったのに、耐久財受注がマイナスでした。一致率92%だったのに外してしまいました。 - 事後差異判別式は、2✕耐久財受注前月比の事後差異+1✕コア耐久財受注前月比の事後差異、です。この判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直後1分足との方向一致率は82%です。
結果は、事後差異がマイナスで直後1分足は陰線でした。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年11月03日
米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析(2017年11月3日21:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月3日21:30に米国雇用指標「雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
本指標発表後の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が77%です。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。
実態差異判別式も高い一致率を示していますが、事後差異よりも一致率が低いので用いることはないでしょう。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均49pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は15pipsです。15pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均49pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは20pips(戻り比率32%)です。反応が大きい指標だけに戻りのpipsも大きいので、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
直後1分足の過去平均跳幅は49pipsです。
過去平均の49pipsを超えたことは14回(頻度42%)です。この14回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが9回(64%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(43%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は77%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陰線となる期待的中率が77%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ85%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が82%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純で極端な偏りは見受けられません。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%です。その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは83%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは48%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良さそうです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月4日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業率こそ4.1%に改善したものの、雇用者数増減・平均所得は予想に届かず、陰線で反応しました。
失業率の良さ(継続的に改善していること)と、新規雇用者数の増加は、予め市場も予想していたと考えられます。平均所得前月比が0%だったことは、2016年11月分の△0.1%以来の悪化でした。だから、初期反応が陰線だったことは理解できます。
良くわからなかったのは、21:45頃には上昇基調へと転じたことです。23時に予定されていたISMを期待しての動きにしては、雇用統計の結果(陰線)を否定するほど、期待や関心が高かった訳でもなかったはずです。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ通りで、問題ありません。
事前調査・分析内容には問題なかった、と捉えています。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月3日21:30に米国雇用指標「雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まります。一見すると素直とは言えない場合も散見されます。
1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。事後差異とは(発表結果ー市場予想)のことです。 - 発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確の機会を探った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに追撃ポジションを長持ちしたり、追撃を繰り返したりするやり方には向いていない指標です。動きが早く大きくなりがちなので、反転に即応できないやり方には向いていません。
- 指標解説記事でよく引用されるのは、先に発表されたISMの雇用指数やADP民間雇用者数の結果です。がしかし、これらは雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料としてアテになりません。
本指標NFP増減は、ISM製造業景況指数の雇用指数の前月との増減との方向一致率が45%、ISM非製造業景況指数の雇用指数のそれは52%、ADP民間雇用者数とのそれは56%です。前月と当月の増減方向すら一致李が偶然と区別できない程度です。
他人の間違った論拠に基づいて自分のポジション方向を決めるぐらいなら、自分で探した論拠に基づく取引を繰り返す方が、きっと先々に役立ちます。忘れないで欲しいのは「わからない」という結論も有効なので、「わかる」とは「どの程度(%)わかる・アテにできるのか」を、自分で決めることです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析で事前差異(指標予想ー前回結果)との方向一致率が77%あるため、です。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が82%と高いことです。
直前1分足の過去平均跳幅は15pipsもあるので、他の平均的な指標の発表直後と同じぐらい動きます。もし、このローソク足で20pipsも取れたら、もう指標発表後は取引を止めても良いかも知れません。 - もし、直前1分足跳幅が20pipsを超えた(超えそう)なら、指標発表直前にその跳ねと逆方向にポジションを取ります。指標発表直後の跳ねで利確(損切)です。
過去事例では、直前1分足が20pips以上跳ねたことが21%あります。この21%の事例では、直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは29%しかありません(逆方向に反応したことが71%)。 - 指標発表後の追撃は早期開始し、発表から1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
論拠は、反応性分析の結果に依ります。 - 指標発表から10分経過した頃、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。
過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。
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本指標発表後の期間推移と相関分布を下図に纏めておきます。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
次に、見るべきポイントを絞り込むため、主要項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上から1行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から2行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段3行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、1✕NFP増減事前差異[万人]+15✕失業率事前差異[%]ー2✕平均時給事前差異[%]、という判別式で求めた解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が77%です。
同様に、1✕NFP増減事後差異[万人]ー10✕失業率事後差異[%]+30✕平均時給事後差異[%]、という判別式で求めた解の符号は、直後1分足との方向一致率が85%です。
実態差異判別式も高い一致率を示していますが、事後差異よりも一致率が低いので用いることはないでしょう。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度24%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均49pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は15pipsです。15pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度21%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均49pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは20pips(戻り比率32%)です。反応が大きい指標だけに戻りのpipsも大きいので、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
直後1分足の過去平均跳幅は49pipsです。
過去平均の49pipsを超えたことは14回(頻度42%)です。この14回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが9回(64%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(43%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は77%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足が陰線となる期待的中率が77%ということです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ85%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が82%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純で極端な偏りは見受けられません。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は88%です。その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは83%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは48%です。早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析で事前差異(指標予想ー前回結果)との方向一致率が77%あるため、です。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
論拠は、反応一致性分析の結果、過去の陰線率が82%と高いことです。
直前1分足の過去平均跳幅は15pipsもあるので、他の平均的な指標の発表直後と同じぐらい動きます。もし、このローソク足で20pipsも取れたら、もう指標発表後は取引を止めても良いかも知れません。 - もし、直前1分足跳幅が20pipsを超えた(超えそう)なら、指標発表直前にその跳ねと逆方向にポジションを取ります。指標発表直後の跳ねで利確(損切)です。
過去事例では、直前1分足が20pips以上跳ねたことが21%あります。この21%の事例では、直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは29%しかありません(逆方向に反応したことが71%)。 - 指標発表後の追撃は早期開始し、発表から1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
論拠は、反応性分析の結果に依ります。 - 指標発表から10分経過した頃、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。
以上
2017年11月3日21:30発表
以下は2017年11月4日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業率こそ4.1%に改善したものの、雇用者数増減・平均所得は予想に届かず、陰線で反応しました。
失業率の良さ(継続的に改善していること)と、新規雇用者数の増加は、予め市場も予想していたと考えられます。平均所得前月比が0%だったことは、2016年11月分の△0.1%以来の悪化でした。だから、初期反応が陰線だったことは理解できます。
良くわからなかったのは、21:45頃には上昇基調へと転じたことです。23時に予定されていたISMを期待しての動きにしては、雇用統計の結果(陰線)を否定するほど、期待や関心が高かった訳でもなかったはずです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
シナリオ通りで、問題ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容には問題なかった、と捉えています。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は陽線と見込みました。
結果は陰線でした。 - 直前1分足は陰線と見込みました。
結果は陰線でした。 - もし、直前1分足跳幅が20pipsを超えた(超えそう)なら、指標発表直前にその跳ねと逆方向にポジションを取るつもりでした。
結果は、直前1分足は3pipsしか跳ねず、取引を見送りました。 - 指標発表後の追撃は早期開始し、発表から1分をを過ぎたら決済のタイミングを計るつもりでした。
結果は、21:32に安値を付けると、その後は直後1分足の値幅を削りました。 - 指標発表から10分経過した頃、再度追撃を行うか否かを決めるつもりでした。特に、直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃と決めていました。
結果は、分析対象期間こそ初期反応の値幅を削るだけでしたが、その後は反応方向が反転したので、10分後にポジション方向を再考というのは悪くなかったと考えます。ただ、今回は直後1分足跳幅は35pipsに留まり、順張り追撃の条件は満たしませんでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月31日
米国雇用指標「ADP雇用統計」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年11月1日21:15発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年11月1日21:15に米国雇用指標「ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標は、米国「雇用統計」を翌日(ないしは翌々日)に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
本指標の反応分布の期間推移と、直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の相関分布を下図に示します。
FOMCメンバーが雇用情勢に満足していることを表明して以来、少し関心が薄れているように思います。明らかに最近は反応が小さくなっています。
直後1分足に対する直後11分足の相関分布を見ると、追撃を行うなら直後1分足が陰線となったときの方が分が良さそうです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、市場予想の上下動が小さく、発表結果の上下動はかなり大きく見えます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの32回で行いました。この期間に前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが12回(入れ替わり率38%)ありました。
市場予想後追い型(入れ替わり率30%以下)とまでは言えないものの、それに近い指標です。
前月は発表結果が市場予想を上回りました。市場予想後追い型と見なせば、今月も発表結果が市場予想を上回る期待的中率は62%、ということになります。
前週分新規失業保険受給申請は毎週木曜に前週分が発表されています。
前週10月26日に発表された申請数4週平均値は24.0万人でした。一方、10月5日に発表された申請数4週平均は26.8万人でした。失業保険受給申請件数は、10月に入って減少しています。
そして、失業保険受給申請件数とADP民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます(仮説です。逆相関の一致率は定量分析していません)。
もしこの仮説が正しければ、今回の民間雇用者数は前回を上回ります。
過去に遡って調べてみましょう。
下表をご覧ください。項目Aと項目Bとは、符号が2回を除き全て不一致です(不一致率75%)。
項目A 項目B
10月分差異 △2.8万人 +
9月分差異 +2.8万人 △10.2万人
8月分差異 +0.8万人 +5.9万人
7月分差異 △0.1万人 +2.0万人
6月分差異 +0.5万人 △9.7万人
5月分差異 △0.5万人 +7.6万人
4月分差異 △0.7万人 △8.9万人
3月分差異 +1.6万人 △3.0万人
2月分差異 △1.4万人 +5.2万人
1月分差異 △0.9万人 +9.4万人
項目Aは、2017年の前週分失業保険受給申請件数の4週平均値が、前月分に対してどれだけ増減したかを示しています。一方、項目Bは、ADP民間雇用者数の実態差異です。
仮説通りに、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせば、今年に入って期待的中率78%の不一致率です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅平均は18pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。また、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例3回での2回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均16pipsとほぼ同じです。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。また、この5回の直前1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。どちらかと言えば、直前1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前1分足と同方向に反応する確率が高くなっています。
また、直前1分足が陽線となったことは5回(頻度16%)しかありません。この5回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは4回(80%)です。
更に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたことは3回で、この3回は直前1分足と直後1分足の方向一致率は100%です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率25%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率33%)です。戻り比率は平均的となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
市場予想は、前回結果や発表結果よりやや低めになりがちです。がしかし、その偏りは僅かで、まだばらつきの範囲内です。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ72%・75%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が84%、直後1分足の陽線率が75%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が29%(不一致率71%)であることと、直後1分足と直後11分足の方向一致率が78%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは91%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは64%です。64%という数字は、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったり(14%)、直後11分足が直後1分足と反転したり(21%)する確率を踏まえると、他の起こり得る事象より約3倍高い確率です。
追撃は徹底した方が良いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月3日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
前月は、ハリケーンの影響で大幅低下していたので、当月数値が改善することは見込まれていました。がしかし、その改善予想が意外に小さかったので、結果は予想を上回りました。
2017年に入ってからのグラフ推移を見ると、上下動がこれまでよりかなり大きくなっています。
取引結果は次の通りでした。
最初の追撃はポジションを取るタイミングが悪く、損切しました。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年11月1日21:15に米国雇用指標「ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- まだ、データ数が少ないものの(2017年分のみ)、ADP民間雇用者数の実態差異(発表結果ー市場予想)の符号は、前週分新規失業保険受給申請の4週平均の今月値と前月値の差の符号と、不一致率が75%あります。最新(先週発表)の前週分新規失業保険受給申請の4週平均と、9月分のその値の差はプラスとなっています。よって、今回のADP発表は前回を上回る可能性が高いと思われます。
但し、今回の市場予想は前回発表値よりも高く見込まれているため、今回はこの情報が役に立ちません。 - 直前10-1分足が10pips以上跳ねても、それは直後1分足の方向や値幅と関係ありません。
がしかし、直前1分足が10pips以上跳ねたときは、直後1分足との方向一致率が80%(過去5回のうち4回)となっています。特に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたときだけは、過去3回の事例でともに直後1分足が陽線となっています。この話は、指標発表前1分間だけでなく、それを2-3分前まで10pipsの大きな跳ねがあれば、直後1分足方向を示唆していると拡大解釈しても良いでしょう。 - 初期反応程度の平均は16pipsで、これは平均的な指標です。但し、直近3回の直後1分足跳幅は平均7pipsしかありません。話がややこしくなるのですが、前回は極端に低い数値となったので、今回の市場予想は大きくズレる可能性もあります。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始します。
特に、直後1分足が陰線で10pips以上の値幅を持つなら、追撃は徹底しても良いでしょう。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が87%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。 - 直後1分足は、指標発表直前に10pips跳ねたら、その跳ねた方向に指標発表直前にポジションを取ります。利確/損切は発表直後の跳ねで行います。
また、指標発表直前に10pipsの跳ねが起きなければ、直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。 - 追撃は早期開始します。もし直後1分足が陽線なら、短期取引の繰り返しで様子を見ながら追撃を行い、もし陰線なら、追撃は徹底します。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士の反応を伸ばした確率が高くなっています。また、直後1分足に対する直後11分足の相関分布を見ると、直後1分足が陰線で値幅10pips以上の場合、そのまま陰線に反応を伸ばす可能性が高いと見なせます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標は、米国「雇用統計」を翌日(ないしは翌々日)に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
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本指標の反応分布の期間推移と、直前10-1分足・直後1分足・直後11分足の相関分布を下図に示します。
FOMCメンバーが雇用情勢に満足していることを表明して以来、少し関心が薄れているように思います。明らかに最近は反応が小さくなっています。
直後1分足に対する直後11分足の相関分布を見ると、追撃を行うなら直後1分足が陰線となったときの方が分が良さそうです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、市場予想の上下動が小さく、発表結果の上下動はかなり大きく見えます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの32回で行いました。この期間に前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが12回(入れ替わり率38%)ありました。
市場予想後追い型(入れ替わり率30%以下)とまでは言えないものの、それに近い指標です。
前月は発表結果が市場予想を上回りました。市場予想後追い型と見なせば、今月も発表結果が市場予想を上回る期待的中率は62%、ということになります。
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前週分新規失業保険受給申請は毎週木曜に前週分が発表されています。
前週10月26日に発表された申請数4週平均値は24.0万人でした。一方、10月5日に発表された申請数4週平均は26.8万人でした。失業保険受給申請件数は、10月に入って減少しています。
そして、失業保険受給申請件数とADP民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます(仮説です。逆相関の一致率は定量分析していません)。
もしこの仮説が正しければ、今回の民間雇用者数は前回を上回ります。
過去に遡って調べてみましょう。
下表をご覧ください。項目Aと項目Bとは、符号が2回を除き全て不一致です(不一致率75%)。
項目A 項目B
10月分差異 △2.8万人 +
9月分差異 +2.8万人 △10.2万人
8月分差異 +0.8万人 +5.9万人
7月分差異 △0.1万人 +2.0万人
6月分差異 +0.5万人 △9.7万人
5月分差異 △0.5万人 +7.6万人
4月分差異 △0.7万人 △8.9万人
3月分差異 +1.6万人 △3.0万人
2月分差異 △1.4万人 +5.2万人
1月分差異 △0.9万人 +9.4万人
項目Aは、2017年の前週分失業保険受給申請件数の4週平均値が、前月分に対してどれだけ増減したかを示しています。一方、項目Bは、ADP民間雇用者数の実態差異です。
仮説通りに、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせば、今年に入って期待的中率78%の不一致率です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度9%)あります。
この3回の直後1分足跳幅平均は18pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。また、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例3回での2回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均16pipsとほぼ同じです。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。また、この5回の直前1分足と直後1分足の方向は4回(80%)一致しています。どちらかと言えば、直前1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前1分足と同方向に反応する確率が高くなっています。
また、直前1分足が陽線となったことは5回(頻度16%)しかありません。この5回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは4回(80%)です。
更に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたことは3回で、この3回は直前1分足と直後1分足の方向一致率は100%です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率25%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率33%)です。戻り比率は平均的となっています。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
市場予想は、前回結果や発表結果よりやや低めになりがちです。がしかし、その偏りは僅かで、まだばらつきの範囲内です。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ72%・75%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が84%、直後1分足の陽線率が75%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が29%(不一致率71%)であることと、直後1分足と直後11分足の方向一致率が78%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは91%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは64%です。64%という数字は、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったり(14%)、直後11分足が直後1分足と反転したり(21%)する確率を踏まえると、他の起こり得る事象より約3倍高い確率です。
追撃は徹底した方が良いでしょう。
【4. シナリオ作成】
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が87%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。 - 直後1分足は、指標発表直前に10pips跳ねたら、その跳ねた方向に指標発表直前にポジションを取ります。利確/損切は発表直後の跳ねで行います。
また、指標発表直前に10pipsの跳ねが起きなければ、直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。 - 初期反応程度の平均は16pipsで、これは平均的な指標です。但し、直近3回の直後1分足跳幅は平均7pipsしかありません。話がややこしくなるのですが、前回は極端に低い数値となったので、今回の市場予想は大きくズレる可能性もあります。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始します。
特に、直後1分足が陰線で10pips以上の値幅を持つなら、追撃は徹底しても良いでしょう。
以上
2017年11月1日発表
以下は2017年11月3日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
前月は、ハリケーンの影響で大幅低下していたので、当月数値が改善することは見込まれていました。がしかし、その改善予想が意外に小さかったので、結果は予想を上回りました。
2017年に入ってからのグラフ推移を見ると、上下動がこれまでよりかなり大きくなっています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
最初の追撃はポジションを取るタイミングが悪く、損切しました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- まだ、データ数が少ないものの(2017年分のみ)、ADP民間雇用者数の実態差異(発表結果ー市場予想)の符号は、前週分新規失業保険受給申請の4週平均の今月値と前月値の差の符号と、不一致率が75%あります。
結果は、先週時点の4週平均新規失業保険申請件数が前月より減っていたことに対し、ADP結果は雇用者数が増えており、事前推察通りでした。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込みました。
結果は陰線でした。 - 直後1分足は、指標発表直前に10pips跳ねたら、その跳ねた方向に指標発表直前にポジションを取り、利確/損切は発表直後の跳ねで行うつもりでした。
結果は、指標発表直前に10pips以上の跳ねが起きず、取引見送りです。 - 追撃は早期開始し、もし直後1分足が陽線なら短期取引の繰り返しで様子を見ながら追撃を行い、もし陰線なら追撃は徹底するつもりでした。
結果は陽線で、直後11分足が値幅を伸ばしているので、シナリオ上の問題はありません。但し、短期取引に徹すると決めていたため、タイミング次第で損切となることは仕方ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月30日
米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年10月31日23:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月31日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月29日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 上表判別式は「市場予想ー前回結果」で求めます。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足との方向一致率は50%と高くありません。本指標は、後述するように、市場予想がアテにならない指標です。
本指標の特徴は以下の通りです。
そして、次のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(a) 現在の景況感、(b) 現在の雇用状況、(c) 6か月先の景況感、(d) 6か月先の雇用、(e) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(c)や(e)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。そう解説している入門記事も多いようです。
がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り、両指標の単月毎の改善・悪化には相関がありません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ推移は、2016年5月頃をボトムに、その後は上昇基調が続いていました。がしかし、2017年3月をピークに上昇が停滞しています。
直近の他の景気指標では、再上昇に転じた指標が多く、本指標もまた再上昇転換が期待されています。
今回の市場予想は、前回結果を僅かに上回る程度であり、再上昇転換と言うためには最低でも2017年8月分の122.9を上抜ける必要があります。2017年3月分の125.6を上抜ければ、再上昇が明らかとなります。
2015年2月以降前回まで、発表結果と市場予想の大小関係が前月と翌月で入れ替わった回数は17回(入れ替わり率53%)です。ただ、直近ボトムの翌月2016年5月以降だと、それは5回(入れ替わり率31%)となります。
よって現在、本指標は市場予想後追い型です。
本指標は、先行発表(10月13日)された同じ10月分UM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。両指標間に相関がないか、調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
がしかし、上図の通り、両指標の実態差異一致率は52%しかないことがわかりました。52%なら、一致するか一致しないかをサイコロを振って決めても同じです。
よって、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず相関がない、と言えます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回一致しており、一致しなかった2回の直後1分足は同値終了です(期待的中率100%、同値は集計しない)。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回しかありません。その1回の直後1分足跳幅は13pipsで、直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率40%)です。戻り比率がそれぞれ40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異のマイナス率は69%となっています。一方、事後差異のプラス率は61%なので、市場予想は低めに予想されがちな指標だと言えます。
事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)となっています。現時点での事前差異はプラスなので、直前1分足が陰線となる期待的中率75%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率が84%、実態差異と直後11分足との方向一致率は69%となっています。市場予想や前回結果に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足の陽線率が77%と、異常な偏りが見受けられます。指標発表前の直前10-1分足や直前1分足に偏りがなく、指標発表後の直後1分足に偏りがあるというのは、本指標の特徴です。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が71%と高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%です。そして、その71%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは68%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
けれども、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは39%しかありません。発表から1分を過ぎたら、早期開始した追撃はひとまず利確し、逆張りの機会を窺う方が良さそうです。
以下のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。
以下は2017年11月3日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
直近のピークは2017年3月分の125.6でした。今回結果は125.9と、これを上回りました。
寝てました。
取引は行わなかったものの、事前調査分析内容を検証しておきます。
取引は行わなかったものの、シナリオは検証しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年10月31日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年10月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点(10月29日)の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 上表判別式は「市場予想ー前回結果」で求めます。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足との方向一致率は50%と高くありません。本指標は、後述するように、市場予想がアテにならない指標です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標は、先に発表されるUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。がしかし、両指標は同月集計同士の実態差異一致率が52%しかありません。よって、単月毎の発表結果が前月結果より良くなるか悪くなるかについて、UM消費者信頼感指数速報値の同月発表結果を参考にすることは無意味です。
- 本指標は2016年6月以降、市場予想後追い型となっています。前回は発表結果を市場予想が下回っており、今回も発表結果が市場予想を下回る期待的中率は69%です。
そして、過去33回の発表で事前差異のマイナス率は69%となっているものの、事後差異のプラス率は61%です。本指標の市場予想は低めに予想されがちです。
また、過去事例を見る限り、直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねた場合、直後1分足の反応方向はそれと同じ方向になっています。 - 初期反応こそ、指標結果の前回・予想に対する良し悪しに素直なものの、直後11分足終値が直後1分足終値より反応を伸ばしたことが33%しかありません。反応は小さく、しかも直後1分足や直後11分足の戻り比率が40%を超えています。追撃するなら最初順張りで、発表から1分を過ぎると逆張りに適しています。
そして、次のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。
- 直前1分足は陽線と見込みます。
指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前1分足が陰線となる期待的中率は75%です。
但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅が4pips・2pipsしかありません。陰線側にヒゲを形成されるのを待ってポジションを取り、すぐに利確した方が良いでしょう。そういうヒゲが形成されなければ、取引を諦めた方がいいpipsです。 - 直後1分足は、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、それと同じ方向と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表後の跳ねで利確(損切)です。
直前10-1分足が10pips跳ねたことは過去15%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは過去3%、そして、それらの場合に直後1分足は、同値終了を除けば全てその跳ねと同じ方向に反応しています。 - 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、短期利確を狙います。また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙います。逆張りなので、これも短期利確を狙います。
論拠は反応性分析の結果に依ります。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
CBはConference Board(全米産業審議委員会)の略で、消費者信頼感指数というのは消費者のセンチメント(消費マインド)を指数化した景気指標です。基準は1985年を100とし、毎月5000世帯対象のアンケート調査結果を集計しています。
調査は、(a) 現在の景況感、(b) 現在の雇用状況、(c) 6か月先の景況感、(d) 6か月先の雇用、(e) 6か月先の所得、について行われます。6か月以内の購入計画(自動車・住宅など)についても行われますが、この項目が(c)や(e)に含まれるのか否かは確認できていません。いずれにせよ、これら5項目について「楽観している」か「悲観している」かを指数化しています。
指数化にあたっては、現状の経済と雇用に関する2項目の平均が「現状指数」で、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均(季節調整実施)が「期待指数」です。そして、これら5項目の平均値が消費者信頼感指数です。
この内容はUM(ミシガン大学)消費者信頼感指数と同じです。よって、調査数の差(UMは確報値で500名)こそあれ、原理的にはUMがCBの先行指標と言えるでしょう。そう解説している入門記事も多いようです。
がしかし、後述するように、少なくとも直近のデータを見る限り、両指標の単月毎の改善・悪化には相関がありません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフ推移は、2016年5月頃をボトムに、その後は上昇基調が続いていました。がしかし、2017年3月をピークに上昇が停滞しています。
直近の他の景気指標では、再上昇に転じた指標が多く、本指標もまた再上昇転換が期待されています。
今回の市場予想は、前回結果を僅かに上回る程度であり、再上昇転換と言うためには最低でも2017年8月分の122.9を上抜ける必要があります。2017年3月分の125.6を上抜ければ、再上昇が明らかとなります。
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2015年2月以降前回まで、発表結果と市場予想の大小関係が前月と翌月で入れ替わった回数は17回(入れ替わり率53%)です。ただ、直近ボトムの翌月2016年5月以降だと、それは5回(入れ替わり率31%)となります。
よって現在、本指標は市場予想後追い型です。
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本指標は、先行発表(10月13日)された同じ10月分UM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。両指標間に相関がないか、調べておきました。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。もし両指標の間に相関があるなら、実態差異(発表結果ー前回結果)に現れるはずです。
がしかし、上図の通り、両指標の実態差異一致率は52%しかないことがわかりました。52%なら、一致するか一致しないかをサイコロを振って決めても同じです。
よって、UM速報値とCBとの間には、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じであるにも関わらず相関がない、と言えます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度15%)あります。
この5回の直後1分足跳幅平均は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回一致しており、一致しなかった2回の直後1分足は同値終了です(期待的中率100%、同値は集計しない)。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去1回しかありません。その1回の直後1分足跳幅は13pipsで、直前1分足と直後1分足の方向は一致しています。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率40%)です。戻り比率がそれぞれ40%を超えており、高値(安値)掴みには気を付けた方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異のマイナス率は69%となっています。一方、事後差異のプラス率は61%なので、市場予想は低めに予想されがちな指標だと言えます。
事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)となっています。現時点での事前差異はプラスなので、直前1分足が陰線となる期待的中率75%ということです。
事後差異と直後1分足の方向一致率が84%、実態差異と直後11分足との方向一致率は69%となっています。市場予想や前回結果に対する発表結果の良し悪しには素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足の陽線率が77%と、異常な偏りが見受けられます。指標発表前の直前10-1分足や直前1分足に偏りがなく、指標発表後の直後1分足に偏りがあるというのは、本指標の特徴です。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が71%と高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%です。そして、その71%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは68%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
けれども、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは39%しかありません。発表から1分を過ぎたら、早期開始した追撃はひとまず利確し、逆張りの機会を窺う方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。大して反応しないので、無理に取引する必要なんてありません。
- 直前1分足は陽線と見込みます。
指標一致性分析の結果、事前差異と直前1分足の方向一致率は25%(不一致率75%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前1分足が陰線となる期待的中率は75%です。
但し、直前1分足は過去平均跳幅・値幅が4pips・2pipsしかありません。陰線側にヒゲを形成されるのを待ってポジションを取り、すぐに利確した方が良いでしょう。そういうヒゲが形成されなければ、取引を諦めた方がいいpipsです。 - 直後1分足は、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、それと同じ方向と見込みます。指標発表直前にポジションを取り、発表後の跳ねで利確(損切)です。
直前10-1分足が10pips跳ねたことは過去15%、直前1分足が10pips以上跳ねたことは過去3%、そして、それらの場合に直後1分足は、同値終了を除けば全てその跳ねと同じ方向に反応しています。 - 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、短期利確を狙います。また、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙います。逆張りなので、これも短期利確を狙います。
論拠は反応性分析の結果に依ります。
以上
2017年10月31日23:00発表
以下は2017年11月3日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。
直近のピークは2017年3月分の125.6でした。今回結果は125.9と、これを上回りました。
(5-2. 取引結果)
寝てました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
取引は行わなかったものの、事前調査分析内容を検証しておきます。
- 本指標は、先に発表されるUM消費者信頼感指数速報値と、調査期間・発表時期・調査目的・調査方法がほぼ同じです。がしかし、両指標は同月集計同士の実態差異一致率が52%しかありません。よって、単月毎の発表結果が前月結果より良くなるか悪くなるかについて、UM消費者信頼感指数速報値の同月発表結果を参考にすることは無意味です。
今回は、UM速報値が前回より低下し、CBが直近ピークを上回る結果でした。やはり、先行発表されるUM速報値はアテになりません。 - 本指標は2016年6月以降、市場予想後追い型となっています。前回は発表結果を市場予想が下回っており、今回も発表結果を市場予想が下回る期待的中率は69%です。そして、過去33回の発表で事前差異のマイナス率は69%となっているものの、事後差異のプラス率は61%です。本指標の市場予想は低めに予想されがちです。また、過去事例を見る限り、直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねた場合、直後1分足の反応方向はそれと同じ方向になっています。
結果は、発表結果を市場予想が下回り(発表結果が市場予想を上回り)、市場予想が低めになりがちという過去の傾向を裏付けました。直前10-1分足や直前1分足は跳幅が10pipsに及びませんでした。 - 初期反応こそ、指標結果の前回・予想に対する良し悪しに素直なものの、直後11分足終値が直後1分足終値より反応を伸ばしたことが33%しかありません。反応は小さく、しかも直後1分足や直後11分足の戻り比率が40%を超えています。追撃するなら最初順張りで、発表から1分を過ぎると逆張りに適しています。
結果は、今回の反応も発表から暫くは指標結果に素直だったものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削りました。直後11分足のヒゲは全幅の67%を占めました。
(6-2. シナリオ検証)
取引は行わなかったものの、シナリオは検証しておきます。
- 直前1分足は陽線と見込みました。
結果は陰線でした。最大で4pipsの損切が想定されるハズレでした。 - 直後1分足は、直前10-1分足か直前1分足が10pips以上跳ねたら、それと同じ方向と見込みました。
結果は直前10-1分足も直前1分足も跳幅が10pipsに達せず、取引は見送っていたはずです。 - 指標発表後は、反応方向を確認したら早期追撃開始し、短期利確を狙い、発表から1分を過ぎたら、逆張りのチャンスを狙うつもりでした。
結果は、まあ完全に当たっていたものの、このシナリオはタイミング次第です。どの程度の利確・損切となったかはわかりません。ただ、負けにくいシナリオにはなっていたと思います。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年10月29日
米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年10月30日21:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月30日21:30に米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 上表判別式は、1✕CD前年比事前差異ー1✕CD前月比事前差異+1✕PCE事前差異ー1✕個人所得事前差異、です。「CD」は「コアデフレータ」を表し、事前差異は「市場予想ー前回結果」で求めます。この判別式と直前10-1分足の方向一致率は、過去32回の発表で81%です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PCEコアデフレータは個人消費の物価動向を示した物価指標です(食糧・エネルギーを除く)。個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標です。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータだと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEコアデフレータが重要視されることはわかります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
前回こそ大きく反応したものの、過去平均を見る限り、安定して反応が小さい(直後1分足跳幅が10pips未満)指標です。巻頭に挙げた直後1分足跳幅の分布表では、10pips以上反応したことは47%、6pips以下しか反応しなかったことが31%です。
相関分布を見ると、直後1分足が10pips以上陰線で反応したときは陰線側への追撃を徹底しても良いかも知れません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
発表項目が多いため、見るべきポイントを絞り込むため、各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
事前差異(市場予想ー前回結果)判別式は、1✕コアデフレータ前年比の事前差異ー1✕コアデフレータ前月比の事前差異+1✕PCEの事前差異ー1✕個人所得、という式を用います。このとき、この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が81%となっています。
事後差異(発表結果ー市場予想)判別式は、2✕コアデフレータ前年比の事後差異+2✕コアデフレータ前月比の事後差異+1✕PCEの事後差異+1✕個人所得の事後差異、という式を用います。このとき、この判別式の解の符号は、直後1分足との方向一致率が77%となっています。
実態差異(発表結果ー前回結果)判別式は、直後11分足と高い一致率となる係数が見出せませんでした。前回結果がどうあれ、あまり反応方向に影響しないということでしょう。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足も大きく反応することを示唆しているとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(75%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と同方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での3回でそれをアテにできるか微妙です。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsしかありません。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
ただ、直前1分足は明らかに陰線率が高くなっており、しかも逆ヒゲが目立ちます。この平均pipsだと、陽線側にヒゲが形成するのを待って逆張りする方が良いでしょう。ヒゲが形成しなければ取引するのを止めても良い訳です。
直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率33%)です。反応が小さな指標の割に、戻り比率が小さいことがわかります(直後1分足跳幅が10pips以下の指標では、戻り比率が40%ぐらいになることが多い)。
直後1分足が10pips以上跳ねたことは、過去11回あります(頻度34%)。その11回の直後11分足は、跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが8回(73%)、値幅が超えたことは7回(64%)です。但し、直後1分足跳幅を超えて直後11分足値幅が伸びたことは5回(45%)しかありません。追撃にあたって、直後1分足終値を超えたポジションの長持ちは禁物です。
直後11分足のそれは4pips(戻り比率27%)です。反応が小さい指標の割に戻り比率が小さい指標です(直後1分足跳幅が10pips以下の指標では、戻り比率が40%ぐらいになることが多い)。
直後11分足跳幅が20pips以上だったことは、過去5回(頻度16%)あります。この5回の直後1分足跳幅は全て10pips以上となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と事後差異のプラス率とマイナス率には偏りが認められません。ややマイナス率の方が高いものの、この程度ならばらつきの範囲内で、指標の癖を示しているとは言えません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は81%と、異常な偏りが認められます。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線、ということになります。
事後差異と直後1分足の方向一致率がそれぞれ77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しています。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が73%と、偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は77%となっており、分析対象期間において反応方向が反転する心配はあまりないそうです。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その77%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは79%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは58%です。58%という数字は、そんなに安心して追撃できる数字ではありません。追撃するなら、短期利確を繰り返しながら複数回に分けて行う方がいいでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年11月3日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
所得と支出が増えて、物価は変化なし、という結果でした。反応は陰線でした。
PCE前月比が+1.0%となったのは、2016年4月分以来です。この結果を受けて、直後1分足は陽線側に一時伸びたものの、徐々に陰線側へと降ろされていきました。
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだポジションは、直前10-1分足の跳ねが取引基準の10pipsに及ばなかったので、取引中止です。
全般的には予想を上回り、1年以上ぶりにPCE前月比が+1.0%に達したのに陰線です。
こういうときは負けても仕方ないのです。
今回のような反応に対応するシナリオは、残念ながらありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年10月30日21:30に米国物価指標「PCEデフレータ」・実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」が発表されます。今回発表は2017年9月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 上表判別式は、1✕CD前年比事前差異ー1✕CD前月比事前差異+1✕PCE事前差異ー1✕個人所得事前差異、です。「CD」は「コアデフレータ」を表し、事前差異は「市場予想ー前回結果」で求めます。この判別式と直前10-1分足の方向一致率は、過去32回の発表で81%です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 物価指標(PCEデフレータ)と実態指標(PCE・個人所得)とでは、同じだけ市場予想と発表結果がズレたときは物価指標の方が反応方向への寄与が大きくなります。
直後1分足の反応方向は、2✕デフレータ事後差異+2✕コアデフレータ事後差異+1✕‘PCE事後差異+1✕個人所得事後差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)との一致率が77%となっています。事後差異というのは(発表結果ー市場予想)のことです。 - 同月集計分のCPIの実態差異(発表結果ー前回結果)と本指標実態差異の方向一致率は、僅か27%しかありません。同月集計でなく月ズレが起きていないかは未検証です。
CB消費者信頼感指数や小売売上高は、PCEの先行指標という話があります。がしかし、同月集計の両指標の実態差異はともに50%前後で、相関があるとは言えません。同月集計でなく月ズレが起きていないかは未検証です。 - 初期反応は小さいものの、指標結果に素直に反応しがちです。発表から1分を過ぎても暫く反応を伸ばしがちですが、時間が経つと反応を伸ばし続けるか否か怪しくなります。
追撃は早期参加し、短期利確を繰り返しながら複数回に分けて行った方が良いでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析における事前差異と直前10-1分足の方向一致率の高さです。但し、直前10-1分足は過去平均で、跳幅6pips・値幅4pipsしかありません。あまり欲張らないことです。 - 直前1分足は、陽線側に跳ねたら逆張りで売ポジションを取ります。陽線側に跳ねなければ、あるいは、跳ねたときにポジションが取れなければ、取引は諦めます。
論拠は、過去の陰線率が高いものの、過去平均で跳幅3pips・値幅2pipsしかないためです。直前1分足は、陽線側に2-4pipsのヒゲが目立つので、そういうときに逆張りを狙うことにします。 - 指標発表直後の跳ねは、直前10-1分足が10pips以上跳ねたら、その跳ねた方向に指標発表直前にポジションを取得して、発表直後の跳ねで利確/損切です。
過去32回の発表で、直前10-1分足が10pips以上跳ねたことは4回あります(頻度13%)。その4回のうち3回が、直前10-1分足が10pips以上跳ねた方向に、直後1分足は反応しています。但し、直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。5pipsも取れたら利確するつもりでいれば良いでしょう。 - 追撃は、反応方向を確認したら早期開始します。そして短期利確を繰り返しながら複数回行います。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、跳幅同士は発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちなことを示しています。但し、終値同士を比較した場合は、反応を伸ばしたことが58%と、安心して追撃できる数字ではありません。だから、反応方向を確認したら早期参加し、その後は短期利確の繰り返しで、様子を見ながら追撃です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PCEコアデフレータは個人消費の物価動向を示した物価指標です(食糧・エネルギーを除く)。個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標です。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータだと言われているためです。その理由は、PCEコアデフレータよりもCPIには上方バイアスが生じるため、という解説があります。何を言っているのかはさておき、PCEコアデフレータが重要視されることはわかります。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
前回こそ大きく反応したものの、過去平均を見る限り、安定して反応が小さい(直後1分足跳幅が10pips未満)指標です。巻頭に挙げた直後1分足跳幅の分布表では、10pips以上反応したことは47%、6pips以下しか反応しなかったことが31%です。
相関分布を見ると、直後1分足が10pips以上陰線で反応したときは陰線側への追撃を徹底しても良いかも知れません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
発表項目が多いため、見るべきポイントを絞り込むため、各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
事前差異(市場予想ー前回結果)判別式は、1✕コアデフレータ前年比の事前差異ー1✕コアデフレータ前月比の事前差異+1✕PCEの事前差異ー1✕個人所得、という式を用います。このとき、この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)は、直前10-1分足との方向一致率が81%となっています。
事後差異(発表結果ー市場予想)判別式は、2✕コアデフレータ前年比の事後差異+2✕コアデフレータ前月比の事後差異+1✕PCEの事後差異+1✕個人所得の事後差異、という式を用います。このとき、この判別式の解の符号は、直後1分足との方向一致率が77%となっています。
実態差異(発表結果ー前回結果)判別式は、直後11分足と高い一致率となる係数が見出せませんでした。前回結果がどうあれ、あまり反応方向に影響しないということでしょう。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は10pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足も大きく反応することを示唆しているとは言えません。
次に、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(75%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と同方向に反応する確率の方が高いものの、事例4回での3回でそれをアテにできるか微妙です。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsしかありません。その跳幅が10pips以上だったことは過去にありません。
ただ、直前1分足は明らかに陰線率が高くなっており、しかも逆ヒゲが目立ちます。この平均pipsだと、陽線側にヒゲが形成するのを待って逆張りする方が良いでしょう。ヒゲが形成しなければ取引するのを止めても良い訳です。
直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率33%)です。反応が小さな指標の割に、戻り比率が小さいことがわかります(直後1分足跳幅が10pips以下の指標では、戻り比率が40%ぐらいになることが多い)。
直後1分足が10pips以上跳ねたことは、過去11回あります(頻度34%)。その11回の直後11分足は、跳幅が直後1分足跳幅を超えたことが8回(73%)、値幅が超えたことは7回(64%)です。但し、直後1分足跳幅を超えて直後11分足値幅が伸びたことは5回(45%)しかありません。追撃にあたって、直後1分足終値を超えたポジションの長持ちは禁物です。
直後11分足のそれは4pips(戻り比率27%)です。反応が小さい指標の割に戻り比率が小さい指標です(直後1分足跳幅が10pips以下の指標では、戻り比率が40%ぐらいになることが多い)。
直後11分足跳幅が20pips以上だったことは、過去5回(頻度16%)あります。この5回の直後1分足跳幅は全て10pips以上となっています。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異と事後差異のプラス率とマイナス率には偏りが認められません。ややマイナス率の方が高いものの、この程度ならばらつきの範囲内で、指標の癖を示しているとは言えません。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率は81%と、異常な偏りが認められます。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陽線、ということになります。
事後差異と直後1分足の方向一致率がそれぞれ77%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しています。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率が73%と、偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は77%となっており、分析対象期間において反応方向が反転する心配はあまりないそうです。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その77%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは79%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは58%です。58%という数字は、そんなに安心して追撃できる数字ではありません。追撃するなら、短期利確を繰り返しながら複数回に分けて行う方がいいでしょう。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陽線と見込みます。
論拠は、指標一致性分析における事前差異と直前10-1分足の方向一致率の高さです。但し、直前10-1分足は過去平均で、跳幅6pips・値幅4pipsしかありません。あまり欲張らないことです。 - 直前1分足は、陽線側に跳ねたら逆張りで売ポジションを取ります。陽線側に跳ねなければ、あるいは、跳ねたときにポジションが取れなければ、取引は諦めます。
論拠は、過去の陰線率が高いものの、過去平均で跳幅3pips・値幅2pipsしかないためです。直前1分足は、陽線側に2-4pipsのヒゲが目立つので、そういうときに逆張りを狙うことにします。 - 指標発表直後の跳ねは、直前10-1分足が10pips以上跳ねたら、その跳ねた方向に指標発表直前にポジションを取得して、発表直後の跳ねで利確/損切です。
過去32回の発表で、直前10-1分足が10pips以上跳ねたことは4回あります(頻度13%)。その4回のうち3回が、直前10-1分足が10pips以上跳ねた方向に、直後1分足は反応しています。但し、直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。5pipsも取れたら利確するつもりでいれば良いでしょう。 - 追撃は、反応方向を確認したら早期開始します。そして短期利確を繰り返しながら複数回行います。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、跳幅同士は発表から1分を過ぎても反応を伸ばしがちなことを示しています。但し、終値同士を比較した場合は、反応を伸ばしたことが58%と、安心して追撃できる数字ではありません。だから、反応方向を確認したら早期参加し、その後は短期利確の繰り返しで、様子を見ながら追撃です。
以上
2017年10月30日21:30発表
以下は2017年11月3日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
所得と支出が増えて、物価は変化なし、という結果でした。反応は陰線でした。
PCE前月比が+1.0%となったのは、2016年4月分以来です。この結果を受けて、直後1分足は陽線側に一時伸びたものの、徐々に陰線側へと降ろされていきました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだポジションは、直前10-1分足の跳ねが取引基準の10pipsに及ばなかったので、取引中止です。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
全般的には予想を上回り、1年以上ぶりにPCE前月比が+1.0%に達したのに陰線です。
こういうときは負けても仕方ないのです。
(6-2. シナリオ検証)
今回のような反応に対応するシナリオは、残念ながらありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年10月26日
米国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年10月27日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年10月27日21:30に米国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の特徴・傾向を踏まえて、以下のシナリオで取引きに臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、当該期米国の総合的な経済実態を表していることです。経済実態が悪ければ、金融政策をはじめ、あらゆる政策に影響を与えます。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
情報量が多すぎて、次を予想することが困難です。
各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
各判別式は次の通りです。
事前差異判別式は、1✕GDP前期比事前差異+2✕コアPCE事前差異、とおくと、その解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率が75%となります。
事後差異判別式は、2✕GDP前期比事後差異+1✕GDPデフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、とおくと、その解の符号と直後1分足の方向一致率が78%となります。
実態差異判別式は、ー2✕GDP前期比実態差異ー1✕GDPデフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、とおくと、その解の符号と直後11分足の方向一致率が72%となります。
各判別式と対象ローソク足との方向一致率が高く、そうした意味で素直に反応する指標です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去2回(頻度11%)ありました。
この2回の直後1分足跳幅は平均36pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsを大きく上回っています。そして、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています(一致率100%)。
つまり、直前10-1分足跳幅が10pips以上のときは、それが直後1分足の反応方向を示唆しており、且つ、大きく反応することを示唆している可能性があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が10pipsに達したことはありません。10pipsも発表直前に動くようなら、何かいつもとは違うことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は23pipsです。
過去平均の23pipsを超えたことは44%あり、この44%の事例における直後1分足終値を直後11分足終値が超えたことは63%です。
直後11分足は、過去平均跳幅が28pips、過去平均値幅が20pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は4pips強しか上回っておらず、直後1分足終値より直後11分足跳幅は3pips強しか大きくありません。やはり、追撃にはあまり向いていないようです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が75%となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足が陽線となる期待的中率が75%ということです。
直後1分足は、事後差異・実態差異との方向一致率が各78%・78%となっています。発表結果には素直に反応することがわかります。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
各ローソク足の方向に70%以上もしくは30%以下の偏りはありません。
そして、直後1分足は直前10-1分足との方向一致率が69%あります。多くの取引参加者が事前に発表直後の反応方向を正しく捉えている兆候が見受けられます。
反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率が78%です。そして、その78%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・64%です。
方向一致率こそ高いものの、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びる確率が心もとなく、追撃ポジション取得のタイミングが難しいことがわかります。
また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は50%です。これでは、反応を伸ばすか直後1分足の値幅を削るかがわかりません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年10月29日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に良かったと言ってもよく、反応は陽線でした。
GDP前期比は+3.0%と、4-6月期確定値の+3.1%には及ばなかったものの、3%台に引っかかりました。反応は分析対象期間こそ陽線となっているものの、その後、大きく下げて週末終値までに指標発表後の高値から約100pipsの下降となっています。
週末の大きな指標発表後は、USDだけでなく外貨が売られる週が続いています。
取引結果は次の通りでした。
今週はどうしたのでしょう。
指標発表直前のポジション取得方向を間違えて逆に取ってしまいました。
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年10月27日21:30に米国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年7-9月期の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は初期に比較的安定して大きく、その後は伸び悩む傾向があります。
反応方向は、市場予想に対するGDPとPCEの良し悪しに強い影響を受けます。過去データに基づく計算結果が、GDPの差異には素直に反応していることは納得できます。がしかし、PCEの差異には逆方向に反応しています。直後1分足の反応方向は、2✕GDP前期比事後差異+1✕GDPデフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、という判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向一致率が78%となっています。 - 本指標の特徴として、事前差異判別式と直前10-1分足の方向一致率が高い点が挙げられます。事前差異判別式は、1✕GDP前期比事前差異+2✕コアPCE事前差異、とおくと、その解の符号と直前10-1分足の方向一致率が75%となります。今回の事前差異は、現時点においてプラスとなっています。
そして、事前差異と直後1分足との方向一致率は72%です。 - 拙速な追撃はあまり勧められません。直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びたことは、結果的に直後1分足と直後11分足の方向が一致したときでも64%しかありません。指標発表1分後からその後10分間で反応を伸ばしたことは50%です。
以上の特徴・傾向を踏まえて、以下のシナリオで取引きに臨みます。
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向と見込みます。
- 直後1分足は、事前差異と同じ方向に指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、当該期米国の総合的な経済実態を表していることです。経済実態が悪ければ、金融政策をはじめ、あらゆる政策に影響を与えます。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
情報量が多すぎて、次を予想することが困難です。
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各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
各判別式は次の通りです。
事前差異判別式は、1✕GDP前期比事前差異+2✕コアPCE事前差異、とおくと、その解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率が75%となります。
事後差異判別式は、2✕GDP前期比事後差異+1✕GDPデフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、とおくと、その解の符号と直後1分足の方向一致率が78%となります。
実態差異判別式は、ー2✕GDP前期比実態差異ー1✕GDPデフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、とおくと、その解の符号と直後11分足の方向一致率が72%となります。
各判別式と対象ローソク足との方向一致率が高く、そうした意味で素直に反応する指標です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去2回(頻度11%)ありました。
この2回の直後1分足跳幅は平均36pipsで、これは直後1分足の過去全平均23pipsを大きく上回っています。そして、この2回の直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しています(一致率100%)。
つまり、直前10-1分足跳幅が10pips以上のときは、それが直後1分足の反応方向を示唆しており、且つ、大きく反応することを示唆している可能性があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が10pipsに達したことはありません。10pipsも発表直前に動くようなら、何かいつもとは違うことが起きている可能性があります。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は23pipsです。
過去平均の23pipsを超えたことは44%あり、この44%の事例における直後1分足終値を直後11分足終値が超えたことは63%です。
直後11分足は、過去平均跳幅が28pips、過去平均値幅が20pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は4pips強しか上回っておらず、直後1分足終値より直後11分足跳幅は3pips強しか大きくありません。やはり、追撃にはあまり向いていないようです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が75%となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足が陽線となる期待的中率が75%ということです。
直後1分足は、事後差異・実態差異との方向一致率が各78%・78%となっています。発表結果には素直に反応することがわかります。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
各ローソク足の方向に70%以上もしくは30%以下の偏りはありません。
そして、直後1分足は直前10-1分足との方向一致率が69%あります。多くの取引参加者が事前に発表直後の反応方向を正しく捉えている兆候が見受けられます。
反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率が78%です。そして、その78%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各64%・64%です。
方向一致率こそ高いものの、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が伸びる確率が心もとなく、追撃ポジション取得のタイミングが難しいことがわかります。
また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は50%です。これでは、反応を伸ばすか直後1分足の値幅を削るかがわかりません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年10月27日21:30発表
以下は2017年10月29日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に良かったと言ってもよく、反応は陽線でした。
GDP前期比は+3.0%と、4-6月期確定値の+3.1%には及ばなかったものの、3%台に引っかかりました。反応は分析対象期間こそ陽線となっているものの、その後、大きく下げて週末終値までに指標発表後の高値から約100pipsの下降となっています。
週末の大きな指標発表後は、USDだけでなく外貨が売られる週が続いています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
今週はどうしたのでしょう。
指標発表直前のポジション取得方向を間違えて逆に取ってしまいました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証しておきます。
- 事後判別式の、2✕GDP前期比事後差異+1✕GDPデフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、に今回の結果を代入すると、+0.9です。判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向は一致率しています。
- 本指標の特徴として、事前差異判別式と直前10-1分足の方向一致率が高い点が挙げられます。
事前差異判別式は、1✕GDP前期比事前差異+2✕コアPCE事前差異、に今回の市場予想と前回確定値結果を代入すると、+0.2となります。その解の符号と直前10-1分足の方向は一致しませんでした。 - 直後11分足終値は直後1分足終値の値幅を削りました。発表前から週末売りの動きが目立ち、そのまま翌朝までに約100pipsの下降となりました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は、事前差異と同じ方向と見込みました。結果は事前差異と逆方向でした。
- 直後1分足は、事前差異と同じ方向に指標発表直前にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確/損切としていました。このシナリオは当たっていましたが、何と取引では間違えて売ポジションをとってしまいました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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