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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

ーーーーーーーー
【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
ーーーーーーーー

DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2020年06月16日

6月16日経済指標(結果検証済)

本日は、
・5月集計分米国小売売上高
の発表があります。

市場予想(前回結果)
・前月比 +8.0(△16.4)
・コア前月比 +5.3(△17.2)
事前差異判別式の解は+103.3です。

過去平均順跳幅/同値幅pips(2020年)
・直前10-1分足5/3(9/5)
・直前1分足 3/2(3/1)
・直後1分足 15/11(6/5)
・直後11分足 19/14(14/11)

過去傾向に基づく取引方針(米国小売売上高への反応の過去傾向はこちらに詳述)

・直前10-1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が1.3超のとき、その解の符号と同方向にポジションを取得し、4pips以上利確できるときか、指標発表1分前までに解消します。今回はロングです。
この方針の期待的中率は67〜73%です。

・直前1分足は、直前10-1分足値幅が1.6pips以下のとき、その逆方向にポジションを取得し、直前10-1分足値幅が1.6pips超ならショートとします。2pips以上利確できるときか、指標発表直前までに解消します。
この方針の期待的中率は68%です。

・指標発表直前に事前差異判別式の解の符号と同方向にポジションを取得し、10pips以上利確できるときか、発表後1分以内に解消します。
この方針の期待的中率は73%超です。

・併せて上記とは別に同方向にポジションを取得し、15pips以上利確できるときか、発表後5分以内に解消します。
この方針の期待的中率は67%超です。

・初期反応方向を確認したら追撃し、発表後5分以内に解消します。
この方針の期待的中率は86%超です。

・直後1分足順跳幅が8pips超に達したら、直後1分足終値がついた時点で追撃開始し、3pips以上利確できるときかか、直後11分足終値がつくまでに解消します。
この方針の期待的中率は60〜72%超です。
以上




以下は6月18日に追記しています。
【事後検証】

発表結果は予想・前回を大きく上回り、また、前回結果も大きく上方修正されました。
なお、多くの解説記事では「過去最大の上昇率」を見出しにしているものの、そんなことより前回結果も大幅に上方改定されたことの方が興味深く思います。

3・4月のように相場がパニックに陥るのは、リスクを過大に評価する専門家が多いせいかも知れません。それでも、リスクを過小評価する専門家より、リスクを過大評価する専門家の方がマシだとされているのでしょう。

反応方向は発表直後こそ素直だったものの、発表2分過ぎから迷いが生じ、4分後には一旦下降に転じました。がしかし、市場予想をあまりに大きく上回り、しかも前回結果まで大きく上方修正された点が意識されたためか、7分過ぎには再び上昇に転じました。

2005米国小売600.png

2005米国小売700.png

2005米国小売800.png

以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上




必要なメニューが揃っていて、簡単に自分のHPが持てます。特に、店舗HPに必要なネットショップ併設・地図・カレンダー・予約・クーポン発行・問い合わせなどのメニューが特徴です。小規模店舗の場合、月額¥1500のコースがお薦めです。
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2020年06月15日

6月15日経済指標(結果検証済)

本日は
・6月集計分米国NY連銀製造業景況指数
の発表があります。

市場予想(前回結果)
・指数 △30.0(△48.5)
事前差異判別式の解は+18.5です。

過去平均順跳幅/同値幅pips(2019年)
・直前10-1分足6/5(3/2)
・直前1分足 2/2(1/1)
・直後1分足 6/3(4/3)
・直後11分足 10/7(6/5)

過去傾向に基づく取引方針(NY連銀製造業景気指数への反応の傾向はこちらに詳述)

・直前10-1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が1.5超のとき、その解の符号と同方向にポジションを取得し、3pips以上利確できるときか指標発表1分前迄に解消します。今回の事前差異は+18.5なのでロングとなります。
この方針の期待的中率は74〜86%です。

・直前1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が4.5超のとき、その解の符号と逆方向にポジションを取得し、1pips以上利確できるときか、指標発表前までに解消します。今回はショートとなります。
この方針の期待的中率は86%です。

・指標発表直前に事前差異判別式の解の符号と同方向にポジションを取得し、4pips以上利確できるときか、発表後1分以内に解消します。今回はロングです。
この方針の期待的中率は71〜78%です。

・直前10-1分足値幅が1.9pips超のとき、併せて指標発表直前にそれと同方向にポジションを取得し、8pips以上利確できるときか、直後11分足終値がつくまでに解消します。
この方針の期待的中率は67%です。

・直後1分足順跳幅が8.4pips超に達したら逆張りし、2pips以上利確できるときか、直後11分足終値がつくまでに解消します。
この方針の期待的中率は67%です。
以上




以下は15日22:10頃に追記しています。
【事後検証】

指標結果は前回・予想を上回り、反応は素直に陽線でした。
市場予想は、今朝の時点でupして以降に修正されましたが、大勢には影響ない修正でした。

NY連銀のレポートに依れば、ここ2か月の急激な改善を説明する一方で、回答者の36%が6月に状況改善と報告し、同じく36%が状況悪化と報告した、と述べています。
斜め読みする限りでは、今回の事業環境の改善(指標結果)は、実際に出荷がたいして増えていなくても、新規注文の増加によって先行きを肯定的に感じたことが大きいようです。
なお、本結果は6月2日〜9日に収集した回答に基づいています。

また、分析対象のUSDJPYは、指標発表直後1分足こそ過去傾向に沿って素直だったものの、直前10-1分足・直前1分足は過去の傾向と異なりました。
それどころか、EURUSDは指標発表直後1分足が指標結果改善にも関わらずUSD売となっていました。
これらの動きは、このあとFRB議長の上院議会証言が予定されており、先のFOMC後会見と同様に景気の先行きへの弱気発言を警戒してのこと、と理解すべきなのでしょう。

ともあれ、久しぶりの取引で、FRB議長議会証言があることを予め見こしておかなかったことが事前分析敗因、という気がします。

以上は、ロイターやブルームバーグ(ともに日本語版しか参照しておらず)もまだ指標結果のみを速報で伝えているのみなので、個人的見解です。
今回の指標結果と反応への解釈は、それら記事でプロの解説を参照願います。

2006米国NY景況感700.png

なお、本指標での取引は米株先物の下落を見て中止しました。
以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
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広告以上


2020年01月12日

米国小売売上高の伝説

次週は、米国CPI・PPI・小売売上高と、大きな指標発表があります。

さて、多くの指標解説記事では、「小売売上高前月比」よりも「輸送機器を除く小売売上高前月比(以下「コア前月比」と略記)」を重視すべきとの記述が目立ちます。
輸送機器には自動車が含まれ、自動車販売額は大きいため、消費動向を掴むためには、それを除いた「コア小売上高前月比」を見るべきだ、との意見です。

けれども、ここで考察です。
米国小売売上高が注目を集める理由は、GDPの約70%を占める個人消費の動向を把握するためです。
そして、自動車購入において支払った付加価値分はGDPに反映されています。
ならば、何のために自動車販売を除いた消費動向を掴むのか、これはおかしな話です。

もし、興味があれば『米国実態指標「小売売上高」発表前後のUSDJPY反応分析』を更新したので、そちらを参照願います。
以上

タグ:小売売上高

2018年10月04日

米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析(改訂版)

米国雇用統計の指標発表前後の反応分析には、
@ 非農業部門雇用者数増減
(以下「NFP」と略記)
A 失業率
B 平均時給前月比
(以下「平均時給」と略記)
を用います。

本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のUSDJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。そのため一定期間毎に数値を最新に更新しています。加えて、今回の改訂ではいくつか新たな図表を追加し、誤記訂正と文章・構成・取引方針を直しました。まぁ全面改訂です。

なお、この分析は2015年1月集計分〜2018年8月集計分(同年9月発表分までの44回)の発表結果を反映しています。

ーーー$€¥£A$ーーー

結論から述べます。本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。

  • 今も代表的な経済指標とは言え、最近の反応は平均的な指標より10pipsぐらい大きい程度です。
    本指標は、FRB(米中銀)の法的責務のひとつに雇用の最大化があるため、FRBが緩和/引締といった大きな方針転換期に関心が高まりがちです。直近は、その方針の加速/減速に関心が集まっており、FRB政策に対する本指標のインパクトが小さくなっています。それが本指標への反応を以前よりも小さくしているようです。

  • 取引上のポジション決定の論拠としては弱いものの、NFPと平均時給は、発表結果の上下動の大きさに比べて市場予想がほぼ一定のため、取引上有用な反動を起こしやすいという特徴があります。
    NFPが26万人以上だった翌月や平均時給が+0.4%以上か0%以下だった翌月は、翌月に市場予想を超えた反動を起こしがちです。

  • せっかく大きく反応する指標で、大きな損失を被るのは馬鹿げています。大きく動くのだから、そこそこに着実に稼いだ方が毎年の利益を増やせます(と思います)。
    指標発表後は、早期に追撃開始して早期の利確を狙います。発表から1分を過ぎたら、平均的には上下動が直後1分足終値を目指して動きがちなことを利用します。但し(最近はそんなこと起きませんが)直後1分足跳幅が70pipsに達したら、少し待って直後1分足終値がつく頃に再追撃を開始すると良いでしょう。
    過去の傾向に基づく具体的な取引方針はV節末尾に記載しています。

本指標に関する説明と上記結論の論拠を以下に示します。




T.指標分析

以下、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。

【1.1 指標概要】

米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標です。

過去に最も反応に影響したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。以前にFRB(米中銀)幹部が平均時給の伸びに関心がある旨、述べたからです。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心がある訳です。

直近(2018年9月28日)のFOMC声明での雇用に関する現状認識は「雇用の伸びは概してここ数か月堅調で、失業率は低いまま」でした。そして「力強い労働市場の状況」を挙げて「緩やかな利上げがこの状況に整合する」と結論づけていました。他にも「米国経済は成長と適度なインフレが持続している」旨が記されていました。

さて、市場の関心が平均時給に移った頃から、本指標への反応は小さくなっています。
平均時給が順調に伸びている間は、FOMCで示される見通しに雇用統計が影響を与えないと考えられているからでしょう。その見通しというのは、ドットチャート(FOMCメンバーによる先行き金利水準予測)のことです。直近のドットチャートでは、2018年12月〜2020年末までに0.25%ずつ5回の利上げが行わる予測となっています。

【1.2 指標推移】

過去の市場予想と発表結果の推移を以下に示します。
市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
以下の図は本記事の更新とは別に、適宜、最新のものに差し替えます。

まずはNFPです。

1809米国雇用指標210.png

市場予想は発表結果の推移と関係なく安定しています。
「やる気あるのか」と思っていたら、2017年9月集計分では、急落を見事に当てています。がしかし、後から見ればこのときの予想と結果の差は許容できるものの、そのときの発表直前にこれほどの下降予想を更に下回ると「賭ける」ことはできません。なぜなら、それ以前に大きく発表結果が落ち込んだときには急落を当てていないから、です。

ちなみに、2017年9月集計分と翌10月集計分で大きく変化しているのは、フロリダを始めとする南東部諸州へのハリケーン被害が原因です。

そんなことより、市場予想が「やる気あるのか」というぐらい安定している指標では、過大反動をアテにして取引する方法があります。

前月が良かった翌月に前月よりも悪くなりがちでも、取引に有益な情報とは言えません。けれども、前月が良かった翌月に、翌月の市場予想を下回るほどの悪化が起きがちなら、取引に有益な情報と言えます。

こうした過大反動をアテにするには、前月の指標結果がどれだけ高い数値なら、あるいはどれだけ低い数値なら翌月に過大反動を起こしがちなのか、予め調べておく必要があります。

例えば、発表結果が27万人以上だったことは過去5回あります。この5回のうち、翌月の発表結果が市場予想を下回ったことは4回です(期待的中率80%)。基準を26万人以上に緩和すると7回のうち5回(同71%)、25万人に緩和すると9回のうち5回(同56%)、と期待的中率は下がっていきます。

一方、発表結果が10万人以下だったことは過去3回しかありません。この3回のうち翌月の発表結果が市場予想を上回ったことは2回です。基準を12万人以下に緩和すると4回のうち2回、14万人以下に緩和すると6回のうち3回、です。

つまり、発表結果が26万人以上だった翌月は市場予想を下回る反応が起きる可能性が高く、発表結果が悪かった翌月は市場予想を上回れるかどうかわからない、ということが結論になります。

次に失業率です。

1809米国雇用指標220.png

資料によって数値は異なりますが、米国ではマクロ視点で失業率3.5〜3.8%付近で完全雇用と見なせるそうです。既に完全雇用かそれに近い状態にあることがわかります。
ほぼ完全雇用状態という認識があれば、しばらくは予想との0.1%程度の乖離は反応方向への影響が小さいはずです。

最後に平均時給です。

1809米国雇用指標230.png

この図を一見、発表結果が+0.4%以上か0%以下になると、翌月は戻していることに気づきます。がしかし、取引上はもう少し突っ込まないと、それが役立つ情報か否か判断できません。
これも過大反動の傾向有無を調べておきましょう。

発表結果が+0.4%以上だったことは、過去7回あります。うち1回は前回発表なので、戻しが起きるか否かまだわかりません。残る6回のうち、5回は翌月に市場予想を下回り、1回は市場予想同値です。
発表結果が0%以下だったことは、過去6回あります。この6回のうち4回は翌月に市場予想を上回っています。
計12回のうち9回が翌月に市場予想を超える反動を起こしています。

以上のことから、本指標平均時給は、前月が+0.4%以上か0%以下だった翌月に市場予想を超える反動を起こしがちだと言えます(期待的中率75%)。

数値を緩和してみましょう。
前月が+0.3%以上だった月は過去20回あります(最後の1回は前回なので、ここでの母数を19回とします)。その翌月に市場予想を下回ったことは13回です(期待的中率68%)。
同様に、前月が+0.1%以下だった月は過去14回あります。その翌月に市場予想を上回ったことは9回です(期待的中率64%)。
条件を緩和しても、この程度までなら悪い数字ではありません。

こうした反動が起きやすい原因は、市場予想が過去+0.2〜0.3%程度で安定しているのに対し、発表結果は市場予想よりも毎月大きく上下動しがちな特性があるから、です。
因果関係がしっかりしている以上、先々数値や期待的中率が変化しても、この傾向はアテにできると言えるでしょう。

【1.3 指標結果良否判定方法】

複数の項目の発表結果が改善と悪化に相反することがあります。その場合、それぞれの項目の改善や悪化の程度も問題になりますが、どの項目がどれだけ反応方向に影響を与えるのか、予めわかっていない困ります。よって、発表項目毎に事前差異・事後差異と実態差異をそれぞれ求め、どの項目がどれだけ反応方向に影響するのかを、ある時点における過去の実績に基づき求めておきます。
こうして求めた回帰式を(どちら側に反応するのかの)判別式と呼ぶことにします。

例えば、事後差異判別式は、

  • 1✕NFPの事後差異[万人]ー10✕失業率の事後差異[%]+30✕平均時給の事後差異[%]

です。過去の事後差異(発表結果ー市場予想)をこの式に代入し、この式の解がプラスのとき陽線、マイナスのとき陰線に対応する、と仮定します。すると、過去の実際の直後1分足との方向一致率は86%です。

本指標は、発表結果の市場予想に対する良し悪しに非常に素直に反応してきた実績があります。但しそれは例えば、平均時給の事後差異0.1%が、失業率の事後差異0.3%かNFPの事後差異0.3万人で相殺されることを知っていてこそ、非常に素直に反応すると言えます。

同様に、事前差異判別式は、

  • 1✕NFPの事前差異[万人]+15✕失業率の事前差異[%]ー2✕平均時給の事前差異[%]

です。過去の実績から言えば、この式の解の符号と直前10-1分足は71%の方向一致率があります。
本指標は、市場予想の前回結果に対する良し悪しに素直に反応しがちです。

最後に、実態差異判別式は、

  • 1✕NFPの実態差異[万人]ー15✕失業率の実態差異[%]+30✕平均時給の実態差異[%]

です。過去の実績から言えば、この式の解の符号と直後11分足は77%の方向一致率があります。
本指標は、発表結果の前回結果に対する良し悪しに素直に反応しがちです。

以後は、これら「判別式の解」やその「符号」を、特に断りなく単に「事前差異」「事後差異」「実態差異」と略記します。解の値を示しているのか、解の符号を示しているのかは、前後の文脈から判断願います。

【1.4 指標間一致性分析】

本項は別途追記します。




U.反応分析

分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。

【2.1 反応概要】

過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。

1809米国雇用指標111.png

指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足跳幅は過去平均で42pipsにも達しています。反応は大きく、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。
但し、この平均値を超えて反応を伸ばしたことは過去36%と、ざっくり3回に1回です。そして、直後1分足跳幅が22pips〜42pipsの範囲に収まったことは48%と、全体の半数近くになっています。

但し、直後1分足跳幅は、特に大きいときほど一瞬で跳んで、跳んだ直後の動きも早くなりがちです。そのため、最近の直後1分足値幅がどうなっているかを次項で調べておきます。

【2.2 期間推移】

下図は、1年毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の反応程度の推移です。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。

1809米国雇用指標160.png

2015年の反応が突出して大きく、2018年の反応はそれまでより小さくなっています。

次に、1年毎に区切った事前差異・事後差異・実態差異の判別式の解の平均値の推移を下図に示します。このデータも絶対値処理しています。

1809米国雇用指標150.png

指標差異と反応差異のふたつの図を見比べると、反応程度は事前差異と事後差異と関係がないようです。事前差異と事後差異がともに大きな数値となっています。これは市場予想がアテにならないことを示しています。

当り前です。前述のように、本指標の市場予想はNFPと平均時給が「やる気あるのか」というぐらいほぼ一定だからです。
但し、次項に述べるように事後差異と直後1分足の関係は、個別に見ると、そこそこの相関があります。全体を見るのと個別に見るのとでは、結論が異なることがあります。

市場予想が絡まない実態差異は、直後1分足・直後11分足と相関があるかも知れません。本指標は、他の多くの指標と違って、実態差異の大小が反応程度の大小と相関している可能性があります

【2.3 個別反応分析】

個別反応分析は、勝率よりも期待値を重視して取引するための分析です。合理的とは言えるものの、例え連敗が続いてもずっと同じやり方で取引を続ける不屈さが必須です。

多くの指標では、事後差異と直後1分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかっています。けれども、事後差異の大きさと直後1分足値幅が比例的になる指標は少ないこともわかっています。
事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。

1809米国雇用指標170.png

相関係数R^2値は0.66で、R値は√0.66=0.81です。回帰線に対し上下に平均20%程度のズレは、相関がないとは言えません。平均なので、もっと大きなズレも頻発します。相関が高いとも言えません。

次に、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の分布を下図に示します。

1809米国雇用指標180.png

こちらの相関係数R^2値は0.80で、R値は√0.80=0.89です。回帰式の係数は1.02で、平均的には直後11分足終値は直後1分足終値付近になりがちです。

勝率よりも期待値を重視する方は、発表から1分を過ぎたら直後1分足終値を基準にすれば良いでしょう。陽線のとき直後1分足終値を下回ればロング、上回ればショート、という方法があります。
この方法は、ポジションをオーダーする時点では指標結果にまだ順張りでも(まだ発表から数分後です)、チャートの動きに逆張りとなってしまいます。利確/損切の目安をしっかり守れないと、長期的に必ず負けてしまうので、初心者には向きません。

【2.4 回数反応分析】

回数反応分析は、何よりも勝率を重視するための分析です。程度を問題にせず、比較対象同士の大小関係や方向一致した回数だけに注目します。けれども、利確や損切のタイミングを見切れないと、分析結果を活かせないという欠点があります。

指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。

1809米国雇用指標310.png

1809米国雇用指標320.png

指標発表前の予兆は、事前差異と直前10-1分足との方向一致率が71%あります。そして、直前1分足は過去陰線率77%で偏りがあります。

発表後は、事後差異と直後1分足の方向一致率が86%となっており非常に素直です。直後1分足と直後11分足の方向一致率も91%と高く、反転リスクは小さいことがわかります。
その方向は、直前1分足との方向一致率が33%(不一致率67%)となっています。

次に反応性分析で、過去発表後に反応を伸ばしたか否かを調べます。

1809米国雇用指標330.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は91%です。その91%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは75%です。
けれども、その91%の方向一致時すら、直後1分足値幅よりも直後11分足値幅が長くなったことは50%しかありません。全ての場合では、直後1分足と直後11分足の終値同士を比べて反応を伸ばしていたことは45%と、50%を切っています。




V.取引方針

以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。

【3.1 直前10-1分足】

下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。

1809米国雇用指標410.png

直前10-1分足の過去平均跳幅は6pips、同値幅は3pipsです。事前差異との方向一致率は71%で、逆跳幅が順跳幅よりも長くなったことは3回(頻度7%)しかありません。
この期間は、事前差異判別式の解の符号がマイナスならショート、プラスならロングで、利確/損切の目安は3・4pipsぐらいにしておけば良いでしょう。

また、直前10-1分足跳幅が10pips以上だったことは8回あります。このとき跳ねた方向に直後1分足が反応したことは3回です。つまり直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。
直前10-1分足が大きく動いても、慌てて釣られてはいけません。

【3.2 直前1分足】

次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。

1809米国雇用指標420.png

直前1分足は過去平均跳幅が12pips、過去平均値幅が9pipsです。そんじょそこらの指標発表直後と同じぐらい動きます。直前1分足の過去陰線率は77%と、偏りがあります。

けれども、上図から最近の動きを見ると、それほど大きく動いていない上に陰線率もそれほど高くありません。当面、この期間の取引は見合わせた方が無難です。

直前1分足跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度16%)あります。
この7回の直前1分足が跳ねた方向と直後1分足の方向は4回一致しています。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られてはいけません。

【3.3 直後1分足】

そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。

1809米国雇用指標430.png

直後1分足の過去平均跳幅は42pips、過去平均値幅は32pipsです。但し、2018年に限れば、平均跳幅は23pips・平均値幅は16pipsと、以前に比べてかなり小さくなっています。大きく反応すると思っているときに思ったほど反応しないと、利確・損切のタイミングを逸してしまいます。
注意しましょう。

指標発表時刻直前のポジションはあまり勧められません。負けたときのダメージが大きすぎます。1.2項に述べた反動が期待できるときだけにしましょう。
過大反動を利用した取引は、前月のNFP結果が26万人以上だったときに市場予想を下回りがちなことと、前月の平均時給が+0.4%以上か0%以下だった翌月に過大半藤を起こしがちなことが、ポジションの根拠たり得ます。
けれども、NFPと平均時給がともに過大反動を期待できるときなど、何年に1回しか起きません。次善の策は、NFPと平均時給のどちらかに過大反動が期待できるとき、もう一方の事前差異が過大反動方向と同じときにポジションをオーダーです。
でも、このポジションはあまり勧められません。いつも同じやり方で長期に亘る期待値で稼ぐ方法です。

発表後の追撃は早期開始、早期終了です。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は91%で、その91%の方向一致時に直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは75%です。けれども、その91%の方向一致時すら、直後1分足値幅よりも直後11分足値幅が長くなったことは50%しかありません。全ての場合では、直後1分足と直後11分足の終値同士を比べて反応を伸ばしていたことは45%と、50%を切っています。
さっと注文してさっと利確(損切)です。

【3.4 直後11分足】

最後に直後11分足を下図に示します。

1809米国雇用指標440.png

直後11分足の過去平均跳幅は52pips、過去平均値幅は36pipsです。但し、2018年に入ってからは、平均跳幅が26pips、平均値幅が17pipsと過去平均の半分しかありません。

過去の傾向では、直後11分足終値は直後1分足終値とほぼ同じになります(2.3項参照)。発表から1分を過ぎたら、直後1分足終値を基準に順張りと逆張りの機会を窺うことになります。

直後1分足跳幅が70pips以上になったことは過去7回あります。この7回のうち6回で、直後1分足終値がつく頃に追撃開始すると、直後11分足跳幅が平均30pips伸びています。この追撃の利確目安を15pipsにすると、6回のうち5回、30pipsにすると2回、利確できています。
直後1分足跳幅が75pipsに達したら、直後1分足終値がつくまで待って15pipsを狙って追撃です。

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整理しておきます。

  • 直前10-1分足は、事前差異判別式の解の符号がマイナスならショート、プラスならロングで、利確/損切の目安は3・4pipsぐらいで良いでしょう。

  • NFPと平均時給のどちらかに過大反動が期待できるとき、もう一方の事前差異が過大反動方向と同じとき、その方向にポジションをオーダーします。発表直後の跳ねで利確/損切です。

  • 発表直後の追撃は早期開始、早期終了です。

  • 直後1分足跳幅が70pipsに達したら、同終値がつく頃まで待って追撃し15pipsの利確を狙います。但し、直後11分足終値がつくまで伸び続けたことは少なく、発表から数分で15pipsの利幅に達しなければ、どこかで決済しておいた方が良いでしょう。

  • 直後1分足終値を基準に、それを上回れば直後1分足終値に向けた戻しを狙って指標結果に対し逆張り、下回れば再反転して直後1分足終値に向けて指標結果に対し順張りの機会を窺います。目安は3pips程度を狙える場合です。

最後の方針は気を付けましょう。本指標発表後の基本は常に順張りです。指標発表からの10分間に一方向に反応が伸び続ける場合、逆張りなんてやるべきじゃありません。あくまで、発表後10分間に方向が定まらない場合にしか通用しないやり方です。
方向が定まらない場合というのは、例えば、最初の数分間で1分毎に陽線と陰線が交互に現れるときです。その場合も、発表から10分を過ぎると、どの時点かで一方向に反応が伸び続けることが多いようです。指標結果に対する反応の過去の傾向を分析できるのは、せいぜい指標発表前後10分程度ということをお忘れなく



W.分析結論

本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。

  • 今も代表的な経済指標とは言え、最近の反応は平均的な指標より10pipsぐらい大きい程度です。
    本指標は、FRB(米中銀)の法的責務のひとつに雇用の最大化があるため、FRBが緩和/引締といった大きな方針転換期に関心が高まりがちです。直近は、その方針の加速/減速に関心が集まっており、FRB政策に対する本指標のインパクトが小さくなっています。それが本指標への反応を以前よりも小さくしているようです。

  • 取引上のポジション決定の論拠としては弱いものの、NFPと平均時給は、発表結果の上下動の大きさに比べて市場予想がほぼ一定のため、取引上有用な反動を起こしやすいという特徴があります。
    NFPが26万人以上だった翌月や平均時給が+0.4%以上か0%以下だった翌月は、翌月に市場予想を超えた反動を起こしがちです。

  • せっかく大きく反応する指標で、大きな損失を被るのは馬鹿げています。大きく動くのだから、そこそこに着実に稼いだ方が毎年の利益を増やせます(と思います)。
    指標発表後は、早期に追撃開始して早期の利確を狙います。発表から1分を過ぎたら、平均的には上下動が直後1分足終値を目指して動きがちなことを利用します。但し(最近はそんなこと起きませんが)直後1分足跳幅が70pipsに達したら、少し待って直後1分足終値がつく頃に再追撃を開始すると良いでしょう。
    過去の傾向に基づく具体的な取引方針はV節末尾に記載しています。

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下表は、2018年10月の本指標発表以降、適宜、最新のものに差替えを行っていきます。以下は、2018年10月7日に差し替えています。

取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。また、事前方針に挙げていない取引(方針外取引)の成績は、この表には含めていません。

実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解か、わかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。そして、方針外取引をここに含めると、事前分析の有効性が後日検証できなくなってしまいます。

取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。記述はがんじがらめ過ぎても取引がうまくいきません。その兼ね合いが難しいので、試行錯誤しています。

1809米国雇用指標900.png

勝率には問題ないものの、やや取引時間が長くなりがちです。指標発表毎に平均25pips利確で、1分足1本当たり約2.8pipsのペースとなっています。影響持続時間が長い指標なので、これは仕方ありません。

利確/損切の目安を守り、目安がないときは順張り中心に過去の各種平均値をアテにすれば、他の指標と違って大きく伸びるときに一気に稼げます。反応が大きくないときも、方針を堅持するスタイルを崩さず、いずれ大きく伸びるチャンスを待つことが大事です。
臨機応変ではホンモノに上手くないと勝てません。ホンモノではない自覚があってこそ、分析を続けることができます。
以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上




OANDA社には「FX会社を選ぶ基準はスプレッドとキャッシュバックキャンペーンだけではない」と公言するだけの特徴があります。

まず「OANDA FX ラボ」の分析画面です。個人ブログでその分析画面をコピー・ペーストして用いている事例はよく見受けられます。これは無許諾転載なら著作権法に触れますが、そういう事例でよく転載されているのが、同社の分析画面です。それぐらい同社は綺麗でわかりやすい分析画面となっています。

次にNDD (No Dealing Desk)方式での約定を行っていることです。NDD方式というのは、顧客のオーダーをOANDA社を介さずに市場レートで処理する方式のことです。通常、FX会社は、注文状況や市場の様子を考慮しつつ、調整しながらレートを提示しているため、実勢レートのズレやスプレッドに開きが生じがちです。その心配がない点が同社特徴と言えます。

そして、1通貨単位での取引というのは日本でもSBI FXトレード社が行っていますが、秒単位でのスワップ付与というのは日本で聞いたことがありません。驚きです。
広告以上

2018年09月28日

米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応(3訂版)

米国景気指標「ISM製造業景況指数」の指標発表前後の反応分析には、
@ 景況指数
A 受注指数
B 雇用指数
C 価格指数
を用います。

本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のUSDJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。

その分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年8月集計分(同年9月発表分)の44回分です。

ーーー$€¥£A$ーーー

結論は次の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。

  • 多くの指標解説で本指標の重要度・注目度は高く位置づけられています。けれども、本指標結果が他の指標結果を先行示唆している事実は見当たりません。そして、本指標の反応程度は大きくなく、本指標結果の影響持続時間は短い傾向があります。
    取引上の魅力で言えば、それほど重視する指標ではありません。

  • NY連銀指数とPhil連銀指数がともに前月より改善/悪化したとき、本指標結果も前月より改善/悪化しがちです。指標発表後は同じ方向に反応を伸ばしがちですが、発表前にはっきりしたトレンドが発生しているときは、発表から数分後にそのトレンドに復したことが多いようです。直後1分足値幅が△6pips以下か+20pips以上のとき以外は、その後そのまま同じ方向に反応を伸ばすとは言えません、

  • 指標発表前は過去に一貫した傾向が見受けられず、取引は勧められません。
    指標発表直前から発表後11分後までは、以前から一貫した複数の傾向が見受けられます。前述の通り発表結果のチャートへの影響持続時間は短く、発表時刻がくる前に欧州時間以降のトレンドを確認しておいた方が良さそうです。
    具体的な取引方針はV節末尾に記載しています。

本指標に関する説明と上記結論の論拠を以下に示します。




T.指標分析

以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。

また、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)の関係を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。

【1.1 指標概要】

ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。

本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。

本指標の意義は、@ 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、A 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、B 一般論として製造業の景況感は、非製造業の景況感に先行して変化が起きること、がよく挙げられます。

けれども、Bの関係は主要国のどこであれ、そんなことが起きておらず、Aの消費や物価や雇用の情勢転換も先行示唆しておらず、それなら@に大きな意義はありません。更に加えて、本指標は発表前後の反応があまり大きくありません。

よって、多くのFX会社で本指標の注目度・重要度を高く位置づけている割に、取引上の魅力はそれほどでもない指標だと言えます。

【1.2 指標推移】

過去の市場予想と発表結果の推移を以下に示します。
この図は本記事の更新とは別に、適宜、最新のものに差し替えます。

まずは景況指数です。

1809ISM製造業210.png

景況指数は本指標総合値です。けれども、過去に遡って調べてみると、必ずしも景況指数だけの良し悪しで反応方向が決まっている訳ではありません。
直近では、2017年9月集計分と2018年2月集計分が60.8[ips(Index Points)]で最大値、2015年12月集計分と2016年1月集計分が48.2[ips]で最小値です。2016年2月集計分〜2017年9月集計分の間は上昇基調が続いたものの、その後は停滞が続いています。

次に受注指数です。

1809ISM製造業220.png

受注指数は市場予想を記録していません。稀に市場予想が行われることがあるようですが、事例数が少ないため市場予想を含めない分析にしか、データは活用していません。
直近では、2017年12月集計分が69.4[ips]で最大値、2015年11月集計分が48.9[ips]で最小値です。この間は上昇基調が続いたものの、その後は下降に転じつつあるのか停滞中なのか、判断に迷うところです。
グラフ形状からすれば、60[ips]を下回れば、2017年12月集計分をピークに下降転換と見なせます。それまでは、2017年以降の高い水準での停滞が継続中と見なします。

そして雇用指数です。

1809ISM製造業230.png

雇用指数は、雇用統計発表前に注目する解説記事が以前はよく見受けられました。がしかし、後記詳述するように、雇用指数の単月毎の良し悪しと雇用統計のNFPの単月毎の良し悪しは関係ありません。
直近では、2017年9月集計分が60.3[ips]で最大値、2016年1月集計分が45.9[ips]で最小値です。この間は上昇基調が続いたものの、その後は停滞中です。

最後に価格指数です。

1809ISM製造業240.png

価格指数はPPIとの関係が連想されます。がしかし、後記詳述するように、価格指数の単月毎の良し悪しとPPIの単月毎の良し悪しは関係ありません。
また、上図のように価格指数は周期的な脈動があります。2017年は例外ですが、例年5月前に脈動ピークに達し、年末年始に向けて脈動ボトムに達しがちです。
直近では、2018年5月集計分が79.5[ips]で最大値、2015年12月集計分と2016年1月集計分が45.9[ips]で最小値です。この間は上昇基調が続いており、まだその基調が変わったという兆しは見受けられません。

【1.3 指標結果良否判定方法】

これほど項目が多いと、どの項目がどれだけ反応方向に影響するのかがわかりません。そこで、各項目毎の反応方向への影響を踏まえた判別式を求めておくことにします。

ここで、判別式の「判別」とは、複数の発表項目の市場予想や発表結果が、前回結果や市場予想に対し、総合的に良いか悪いかの判別です。陽線での反応はUSD買、陰線での反応はUSD売、なので、これが指標結果の良し悪しの判断基準です。

例えば、

  • 2✕景況指数の事後差異+1✕雇用指数の事後差異+1✕価格指数の事後差異

という判別式の解の符号は、直後1分足との方向一致率が81%に達します。判別式の各項係数は、この方向一致率が最大化するように決めています。
ともあれ、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しに非常に素直に反応することがわかりました。そういう風になるように判別式を決めているのだから当然です。但し、81%という一致率は他の指標と比べても高い方の数値です。

同様に、事前差異(市場予想ー前回結果)判別式は、

  • 2✕景況指数の事前差異+1✕価格指数の事前差異

とします。この式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率は59%です。
市場予想がどうあれ直前10-1分足の方向はわかりません。59%ではアテにできません。でも、この係数は本式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率を最大化しています。

実態差異(発表結果ー前回結果)判別式は、

  • 1✕景況指数の実態差異+1✕受注指数の実態差異+1✕価格指数の実態差異

とします。この式の解の符号と直後11分足の方向一致率は73%です。
本指標は、発表結果の前回結果に対する良し悪しに素直に反応します
この判別式に雇用指数を含めると、どう係数を選んでも一致率が悪化します。また、景況指数の実態差異だけの直後11分足との方向一致率は60%しかありません。

以後は、これら「判別式の解」やその「符号」を、特に断りなく単に「事前差異」「事後差異」「実態差異」と略記します。解の値を示しているのか、解の符号を示しているのかは、前後の文脈から判断願います。

【1.4 指標間一致性分析】

本指標総合値である景況指数はさておき、(a) 受注指数は耐久財受注や製造業受注の先行指標たり得ます。(b) 雇用指数は雇用統計のNFPの先行指標たり得ます。(c) そして、価格指数はPPIの先行指標たり得ます。
ここでは、(a)は比較対象の受注関連指標の反応が小さいので、それがそこそこ見込める(b)及び(c)の検証を行っておきます。
いわば、景気指標としての存在意義を問う検証です。

また逆に、NY連銀製造業景気指数(以下「NY連銀指数」と略記)やPhil連銀製造業景気指数(以下「Phil連銀指数」と略記)は、本指標の先行指標たり得ます。よって、本指標発表時の取引を有利に行えないか、その検証を行っておきます。

(1.4.1 )雇用指数と雇用統計NFPの関係

米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析』の1.3.1項を参照願います。
結論は、本指標雇用指数の前月からの改善/悪化は、雇用統計NFPの前月からの改善/悪化を示唆しない(両者は取引に有益な関係がない)、です。

(1.4.2 価格指数とPPIの関係)

米国物価指標「生産者物価指数」発表前後のUSDJPY反応分析』の1.3.1項を参照願います。
結論は、本指標価格指数の前月からの改善や悪化は、PPIの前月からの改善や悪化を示唆しない(両者は取引に有益な関係がない)、です。例え、同月集計分同士を比べずに、本指標価格指数を前後3か月ずらしても、この結論は同じです。

(1.4.3 本指標結果とNY連銀指数とPhil連銀指数の関係)

米国景気指標「Phil連銀製造業景気指数」発表前後のUSDJPY反応分析』の1.3項を参照願います。
結論は、NY連銀指数とPhil連銀指数がともに前月からの改善や悪化で一致したときのみ、その後発表される本指標結果の前月からの改善や悪化と70%一致する、です。
NY連銀指数と本指標では、それが56%しか一致しません。Phil連銀指数と本指標では、それが63%しか一致しません。指標解説記事で良く見かける「NY連銀指数で様子を見て、Phil連銀指数で方向を確認し、ISM指数を迎える」という説明は、こういう意味だったのです。

なお、ここで本指標の改善/悪化とは、本指標実態差異を指しています。事前差異や事後差異と違って、実態差異だけが市場予想を含まないので、それを比較しています。

本指標結論に相当する景況指数だけとの符号一致率では、これほど高い一致率になりません。そして何より、景況指数単独の実態差異と反応方向よりも、本指標(全体の)実態差異と反応方向の方が方向一致率は高くなります。
何のための分析かを踏まえれば、反応方向との相関が高い対象と比較すべきことは明らかです。




U.反応分析

分析は、反応程度の大きさだけを取り上げる方法と、反応方向だけを取り上げる方法と、それらを事前に示唆する予兆がないか、について行います。

【2.1 反応概要】

過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。

1809ISM製造業110.png

指標発表直後1分足跳幅が18pipsを超えたことは、過去20%しかありません。年平均2〜3回しか、そんなことは起きないのです。多くのFX会社が注目度・重要度が高いと位置づけていても、本指標での取引で欲張りは禁物です。過去平均の12pips以下しか跳ねなかったことが59%を占め、その半分6pips以下しか跳ねなかったことも25%もあります。

【2.2 期間推移】

次に、1年毎に区切った直前10-1分足と直後1分足と直後11分足の反応程度の推移を下図に示します。この図では、反応の方向を無視して大きさだけを比べるため、データは絶対値の平均値を用いています。絶対値というのは、例えば−1も1も大きさを1と見なすことです。

1809ISM製造業132.png

2018年になってからはそれ以前に比べて、直後1分足と直後11分足がかなり小さくなっていることがわかります。

その理由を考察する一助に、1年毎に区切った事前差異・事後差異・実態差異の判別式の解の平均値の推移を下図に示します。このデータもて絶対値処理しています。

1809ISM製造業120.png

反応差異のグラフと指標差異のグラフを見比べると、直後1分足と直後11分足が2018年になってから小さくなっている原因は、実態差異が小さくなっているためかも知れません。けれども、2017年以前は、それらの大小関係に相関がありません。
つまり、1年毎に期間を区切った場合、前回結果と市場予想と発表結果の大小関係と反応程度には、相関が認められません。よって、最近の反応の小ささは別の理由によるもの、ということになります。

大した結論ではないですね。
でもひとつずつ問題を片づけておけば、そのことは2度と考えずに済みます。

【2.3 個別反応分析】

多くの指標では、発表結果と市場予想の方向と差異(事後差異判別式の解)と直後1分足の方向と程度の相関が高くなります。そこで、事後差異判別式の解(横軸)と直後1分足終値(縦軸)の関係を下図に示します。

1809ISM製造業150.png

回帰線(青線)が右上がりなことよりも、横軸の上下のドット分布をご覧ください。事後差異がプラスのときは陽線での反応が期待できるものの、マイナスのときに陰線で反応するとは言えないように見えます。方向に関しては陽線の場合しかアテになりません。
また、回帰式のR^2値(相関係数)は0.45(R値は0.67)しかありません。あまり回帰線はアテになりません。

次に、直後1分足終値(横軸)と直後11分足終値(縦軸)の関係を示します。

1809ISM製造業160.png

回帰式(赤線)の係数は1.34です。平均的には、発表から1分後と更にその10分後では、34%値幅を伸ばします。

但し、直後1分足終値が△6〜+6pipsの範囲だったときは、直後11分足が直後1分足と反転していたことが多いことがわかります。そうとわかっていたら、直後1分足終値がこの範囲に収まったときは、追撃を止めた方が賢明です。

更に対角線(黒線)の上下のドット分布をご覧ください。この図の右半分で対角線より上か、左半分で対角線より下のドットが反応を伸ばした事例です。直後1分足終値が△6pips以下か+20pips以上だったとき、それ以降も同じ方向に反応を伸ばし続けたことがわかります

【2.4 回数反応分析】

本項では比較対象同士の大小関係や方向一致した回数だけに注目します。
指標一致性分析は、各差異と各ローソク足の方向一致率を調べています。また、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
それぞれの関係を調べることによって、先にわかることが後で起きることを示唆していないかがわかります。

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1809ISM製造業320.png

事前差異・事後差異・実態差異の偏りは、自然なばらつき範囲内です。また、各ローソク足の陰線率・陽線率には、極端な偏りがありません。

直前10-1分足は事後差異との方向一致率が66%です。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は81%です。低い一致率ではないものの、これだけでは直後1分足の方向を決め打ちすることに不安があります。
事後差異を介して直前10-1分足と直後1分足を結び付けると、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する確率は、0.66✕0.81+(1ー0.66)✕(1ー0.81)=60%、にしかなりません。

がしかし、直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は76%に達しています。この関係は、指標発表の直前直後の僅かな時間を除けば、指標発表前のトレンドに早期に復帰することが多い、と推察できます。本指標の影響持続時間は短いようです。

次に、反応性分析は、指標発表時点と発表から1分経過時点から見て、同じ方向に反応を伸ばし続けていたかを調べています。

1809ISM製造業330.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。この76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが81%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

けれども、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%まで下がっています。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。再追撃を行うなら、ポジションを長持ちするより、短期利確を繰り返す方が良さそうです。




V.取引方針

以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。ここまでの分析結論に基づき、各ローソク足での取引方針を定めます。

【3.1 直前10-1分足】

下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。

1809ISM製造業410.png

直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pips、同値幅が4pipsです。過去陰線率は54%、事前差異との方向一致率は59%です。跳幅が20pips以上だったことはなく、10pips以上だったことは過去5回(頻度11%)しかありません。
この期間はポジションの根拠に欠いており、取引を避けた方が良いでしょう。

【3.2 直前1分足】

次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。

1809ISM製造業420.png

直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は2pipsです。過去陰線率は61%、事前差異との方向一致率は61%、直前10-1分足との方向一致率は58%です。跳幅が10pips以上だったことは過去2回(頻度5%)しかありません。
この期間はポジションの根拠に欠いており、取引を避けた方が良いでしょう。

【3.3 直後1分足】

そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。

1809ISM製造業430.png

直後1分足は過去平均跳幅は12pips、同値幅は8pipsです。

さて、直前10-1分足跳幅が10pips以上だったことは過去5回あります。この5回の直前10-1分足跳幅と直後1分足値幅の方向が一致したことは1回(20%)しかありません。また、直前1分足跳幅が15pips以上だったことは過去2回あります。この2回は、直前1分足と直後1分足の方向が一致しています。
指標発表前後のポジションは、直前10-1分足が10pips以上跳ねたら指標発表直前に逆方向にオーダーし、直前1分足が10pips以上跳ねたら指標発表直前に同じ方向にオーダーします。どちらも起きたら直前10-1分足のサインを重視し、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。

そして、直前10-1分足と直後11分足の方向一致率は78%に達します。上記とは別に、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向に、いつもの半分の規模でポジションをオーダーし、10分以内に目安20pipsの利確/損切します。

また、発表後の直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。この76%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが81%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
けれども、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%まで下がっています。よって、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。再追撃を行うなら、ポジションを長持ちするより、短期利確を繰り返す方が良さそうです。

【3.4 直後11分足】

最後に直後11分足の始値基準ローソク足を下図に示します。

1809ISM製造業440.png

直後11分足の過去平均跳幅は17pips、同値幅は13pipsです。
直後1分足終値が+20pips以上ならロング、△6pips以下ならショートで追撃します

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整理します。

  • 発表時には、直前10-1分足が10pips以上跳ねたら指標発表直前に逆方向にオーダーし、直前1分足が10pips以上跳ねたら指標発表直前に同じ方向にオーダーします。どちらも起きたら直前10-1分足のサインを重視し、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。

  • それとは別に、指標発表直前に直前10-1分足が陽線なら、いつもの半分の規模でロングをオーダーし、10分以内に目安20pipsの利確/損切を目指します。
    但し、この方針は方向だけを判定対象とし、目安到達有無は判定対象に含めません。直後1分足が終値△6pips以上の陰線となった場合は、その時点で損切です。

  • 追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始し、発表から1分を経過したら利確の機会を早めに探った方が良さそうです。1分経過以前であっても、3pipsも取れたらその時点で利確で構いません。
    もともと反応が小さい指標です。

  • 再追撃を行うなら、ポジションを長持ちするより、短期利確を繰り返す方が良さそうです。ポジションオーダー3pips以上を狙ってです。





W.分析結論

【4.1 分析結論】

本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。

  • 多くの指標解説で本指標の重要度・注目度は高く位置づけられています。けれども、本指標結果が他の指標結果を先行示唆している事実は見当たりません。そして、本指標の反応程度は大きくなく、本指標結果の影響持続時間は短い傾向があります。
    取引上の魅力で言えば、それほど重視する指標ではありません。

  • NY連銀指数とPhil連銀指数がともに前月より改善/悪化したとき、本指標結果も前月より改善/悪化しがちです。指標発表後は同じ方向に反応を伸ばしがちですが、発表前にはっきりしたトレンドが発生しているときは、発表から数分後にそのトレンドに復したことが多いようです。直後1分足値幅が△6pips以下か+20pips以上のとき以外は、その後そのまま同じ方向に反応を伸ばすとは言えません。

  • 指標発表前は過去に一貫した傾向が見受けられず、取引は勧められません。
    指標発表直前から発表後11分後までは、以前から一貫した複数の傾向が見受けられます。
    前述の通り発表結果のチャートへの影響持続時間は短く、発表時刻がくる前に欧州時間以降のトレンドを確認しておいた方が良さそうです。


【4.2 過去成績】

下表に、2017年の本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
この表は、2018年10月発表以降、適宜、最新のものに差替えを行っていきます。

取引成績は、この分析に記載方針に沿って実際に取引を行った結果だけを纏めています。実際に取引した結果以外は、例え事前方針が妥当だったとしてもここには含みません。

実際の取引は、例え結果的に陽線だったとしても終値1秒前まで長い陰線側へのヒゲをずっと形成していたりします。そういった場合、事前のその期間の取引方針がロングが正解かショートが正解か、わかりません。実際の取引で利確できたか損切せざるを得なかったかだけが公平な判定基準だと言えます。
取引方針の記述を、勝ちやすく・分析結果を誤解しにくく・自己裁量部分がわかるように、進歩・改善していくしかありません。

1709ISM製造業530.png

2017年は、本指標で8回取引を行い、指標単位で8連勝、シナリオ単位で20勝1敗(勝率95%)でした。
1回の発表当たり平均4分5秒の取引を行い、年間で121pipsの利確でした。
マグレもあるにせよ、そう的外れな分析や取引方針にはなっていない、ということでしょう。
以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上




東証JASDAQ上場の株式会社フジトミが提供する、株価指数とFXのインターネット証拠金取引です。東京金融取引所に上場された「くりっく365」と「くりっく株365」が取引できます。

「くりっく365」は2005年7月に東京金融取引所でスタートしたFX取引です。
店頭FX会社が提供するFXの場合、手数料・スプレッド・スワップポイントなど、各会社によってその内容が異なりますが、くりっく365は、安心・透明・信頼をモットーとする金融商品取引所を通して売買をおこなうことで、公正な取引を実現しています。

「くりっく株365」は2010年11月にスタートした取引所CFD(株価指数証拠金取引)です。2017年5月現在、日経225、NYダウ、FTSE100、DAXの4指数が取引可能です。最大の特徴は、配当相当額と金利相当額の受払いがあることです。
2016年の配当および金利相当額の受払い実績では、買いポジション1枚あたり31,615円でした。
日経225先物取引や日経225連動型上場投資信託とは違った魅力がくりっく株365にはあります。


2018年08月02日

米雇用統計の反応分析用最新更新データ

米雇用統計の分析記事はこちらになります。

過去の反応程度は、次の通りです。

1807米国雇用指標111.png

以前からの反応程度の推移は次の通りです。

1807米国雇用指標120.png

事後差異判別式の解(横軸)に対する直後1分足値幅(縦軸)の分布は下図の通りです。

1807米国雇用指標250.png

直後11分足値幅(横軸)に対する直後11分足値幅(縦軸)の分布は下図の通りです。

1807米国雇用指標260.png

回数を見てみましょう。
指標一致性分析と反応一致性分析の結果を下図に示します。

1807米国雇用指標310.png

1807米国雇用指標320.png

そして最後に、反応性分析の結果を示します。

1807米国雇用指標330.png

以上







2018年07月26日

米四半期GDPの反応分析用最新更新データ

判別式

事前差異は、1✕GDP事前差異+2✕コアPCE事前差異、という判別式(プラスが陽線、マイナスが陰線)を用います。
事後差異は、2✕GDP事後差異+1✕デフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、という判別式を用います。
実態差異は、ー2✕GDP実態差異ー1✕デフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、という判別式を用います。

反応概要
1807米国GDP速報値130.png

1807米国GDP速報値140.png

反応程度

1807米国GDP速報値110.png

1807米国GDP速報値120.png

予兆分析

1807米国GDP速報値310.png

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伸長性分析

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2018年06月12日

米国金融政策(市場予想通り利上げ時)発表前後のUSDJPY反応分析(2018年改訂版)

どの国の中銀であれ、金融政策発表前後の反応は、「市場予想通り利上げ」の場合とその他の場合とで、反応が全く異なります。

この分析の調査範囲は、2015年以降に「市場予想通り利上げ」が行われた6回の事例を取り上げています。事例数が少ないため、一貫した傾向があるように見えても、それが今後も通用する傾向か否かはわからない、というのが正直なところです。

ーーー$€¥ーーー

米国が政策金利を変更すると、影響は世界に及びます。

日欧のように自国金利が安くても経済基盤に信頼のおける国では、生保や年金機構に代表される長期投資プレーヤーが一定の米国債購入に動くはずです。だってそうでしょう。もし運用期間中の平均年利が2.5%ならば、30年後の受け取り額は2.1倍(税引前)です。

けれども、途上国のように将来を見据えて社会インフラを整備中の国は困ります。
国内資金が乏しいからこそ、高金利で海外資金を集めていたのです。それなのに、米国債のように信用度が高い債券が高金利になって安全に運用できるなら、誰もリスクの大きな途上国の債券を買いません。それどころか、既に投資してくれいた人たちさえも、資金を引きあげてしまいます。

その穴を埋めるためには、更に高金利にせざるを得なくなります。けれども、例えば高い金利で鉄道を敷設すれば、その返済のために運賃や運営費が高くならざるを得ません。それに、自国が高金利なら国内で資金を実業に投資する企業が育ちません。鉄道だけでなく、道路でも通信でも学校でも病院でも同じことです。
そんな国の通貨価値は下がって当然で、それが事態をなお一層悪化させることでしょう。

FRB(FOMC)がインフレを予防しつつ雇用の最大化を図るのは法的責務として当然のことにせよ、それは現政権の相対的アメリカファーストの政策目標とも合致している訳です。
なんてこったい、と言ってる国は世界中に多くあることでしょう。

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最近の米国政策金利の推移を下図に示します。

1806FOMC210.png

この間、6回の利上げが行われています。
2015年12月、
2016年12月、
2017年3月、
2017年6月、
2017年12月、
2018年3月、
です。そして、2018年は3回か4回の利上げが行われると、市場は予想しています。
毎回0.25%の利上げなら、2018年末には2.25%〜2.5%に達していることになります。2019年以降も利上げ継続をFRB幹部がアナウンスしている以上、最終的に3〜4%まで利上げが継続される、と見込まれています。

またこの間、利上げは全て市場予想通りに行われました。FRBは米国の利上げが世界経済に与える影響を知っており、予め市場が金融政策変更の影響を折り込めるように配慮します。確か、2017年3月の利上げでは、市場の見立てが利上げと見送りとに二分されていました。すると、わざわざFRB議長が市場に利上げを折込んでおくような発言をしたぐらいです。
米国金融政策は、市場との対話を十分に行い不意打ちによる混乱を嫌う、という特徴があります。

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今回6月のFOMCでは利上げが予想されています。前回(5月3日)FOMC議事要旨は次の通りです。

  • 現状について、@ 雇用の伸びが堅調、失業率は低いまま、A 家計支出の伸びは昨年10-12月期に比べて緩やかになったものの、 企業の設備投資は引き続き堅調に伸長、B インフレ率・コアインフレ率はともに+2%に近づき、将来のインフレ率を示唆する指標が急変する兆しはない、との認識が示されました。
  • 今後について、@ 金融政策の運営姿勢の更なる緩やかな調整によって、経済活動が中期的に緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況は力強さを維持、A インフレ率は中期的に目標の+2%近辺で推移すると予想、B 経済見通しが上下にブレる可能性は概ね均衡、と見込まれていました。
  • 金融政策について、@ 雇用と物価の状況はFF金利の一段の緩やかな引上が正当化されるとの方針を示し、Aその 一方、当面のFF金利が長期的に到達すると見込まれる水準を下回って推移する可能性を指摘、B 但し、雇用と物価の状況次第で、FF金利の誘導目標を変更することを申し添えています。

わかりにくい点も多いものの、「雇用と物価の状況はFF金利の一段の緩やかな引上が正当化される」という部分がポイントです。

市場では今回の利上げを見こしており、今回発表を直前に控えた現時点では、焦点が今年の利上げがあと1回か2回かに絞られつつあります。

ーーー$€¥ーーー

まずは大きく捉えましょう。
下図は、FOMC政策金利発表の前日から4週後までの窓無し始値基準ローソク足です。基準はFOMC政策金利発表翌週の始値で、左から2つ目のローソク足です。

1806FOMC410.png

既に米金利が高いためか、以前とは違って翌週からは陽線で反応することが多いようです。

次に視点をもっと拡大してみましょう。基準はFOMC政策金利発表時の始値で、左から3つ目のローソク足です。

1806FOMC420.png

反応は徐々に小さくなっているように見えます。

更に視点をもっと拡大してみます。いつもの直前10-1分足〜直後11分足の図です。

1806FOMC430.png

以上

ーーー注記ーーー

ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上

2018年06月01日

盛り上がらない

本日は米国雇用統計ですが、いまひとつ盛り上がりに欠いています。最近の傾向では反応が小さく、今回も雇用や給与が伸びても、後に繋がる話がないのだから仕方ありません。6月FOMC利上げに関わる話に変化を与える結果でなければ、せいぜい20pipsぐらいでしょうか。

2015年以降の直後1分足・直後11分足の跳幅・値幅を下図に示しておきます。

1805米国雇用指標120.png

以上

2018年05月14日

2018年5月15日21:30予定ー米国実態指標「2018年4月集計分小売売上高」(事前投稿)

T.事前投稿

ブログの日時は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.事後検証」のタイトル行付近に記載しています。

ーーー$€¥ーーー

今回は同時刻にNY連銀製造業景況指数が発表されます。がしかし、そんなことはとりあえず気にしないことにしましょう。
過去の傾向から言えば、反応方向への影響力は、小売売上高>NY連銀製造業景況指数、の関係があります。小売売上高の指標結果がほとんど市場予想と同じで、且つ、NY連銀指数がかなり大きく予想からブレない限り、基本方針はそれで構いません。

本指標の反応分析は「米国実態指標小売売上高発表前後のUSDJPY反応分析」に詳述しています。以下に記す今回の取引方針は、この分析結果に基づきます。

そこで述べた通り、本指標には

  • 前月比とコア前月比の発表結果と市場予想の大小関係が一致しなかったことは過去3回(頻度9%)しかなく(一方の大小関係がなかったときを除く)、前月比とコア前月比の判りやすい方を分析すればよい
  • 反応程度は発表直後1分足跳幅の過去平均が26pipsと大きく、発表時刻を跨ぐポジション取得は慎重にした方が良い
  • 反応方向は、指標発表前が市場予想の良し悪しと関係なく、指標発表後は1分を過ぎても暫く指標結果の良し悪しに素直に伸びる

という特徴があります。

今回発表の要点は下表の通りです。

1804米国小売510.png

まず、直前10-1分足について、です。
事前差異判別式は、1✕前月比事前差異−1✕コア前月比事前差異、です。この判別式の解の符号と、直前10-1分足の方向一致率は67%です。コア前月比の係数がマイナスになっていることにご注意ください。
直前10-1分足の過去平均跳幅は5pips、同値幅は3pipsです。今回の事前差異はマイナスなので、ショートで2・3pipsをこの期間に狙います

次に、直前1分足です。
直前1分足は過去の陰線率が83%と、偏りがあります。但し、2017年7月集計分以降は、陰線だったことが1回しかなく、陰線だったことが5回です。過去の全体的な傾向と直近の傾向は相反しています。
この期間は取引を諦めます。

そして、指標発表前後です。
直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsしかないものの、その跳幅がその2倍の10pips以上だったことが過去3回あります(頻度9%)。その3回の直後1分足の方向は、直前10-1分足の値幅方向と全て一致しています。事例数こそまだ少ないものの、アテにしています。
すなわち、もし直前10-1分足が10pips以上跳ねたら、指標発表直前に直前10-1分足値幅方向にポジションをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。

指標発表直後は、次の方針で臨みます。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。その83%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは100%です。このことは、直後1分足と直後11分足とが反転した場合も含めた全ての場合において、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが83%ということです。
指標発表後の反応が暫く伸び続けるのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃開始です。

指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは60%です。この数字から、早期追撃開始で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いでしょう。
再追撃を繰り返しても良い数字ですから、その場合は短期利確の繰り返しで行う方が良いでしょう。
以上

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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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