2020年04月13日
仕事をしていてツライことB
コロナの影響で、テレワークとか在宅勤務とかが
流行っているらしい。
流行ってる、って言い方はヘンなのかもしれないけど。
私はずっと以前から、在宅勤務だ。
漫画家なんだから、当たり前なんだけど…
ネームとか、プロットを考えるときは絶対外出する。
カフェとか街をブラブラしながら考えると
いい。いいっていうか、それしかできない。
在宅勤務…なのは、その後。
ひたすら下絵を描いて、ペン入れて、仕上げ。
これらは、ただひたすら時間がかかるので
誰にも会わずにもくもくと、やる。
海外ドラマ観ながら。
在宅じゃあできねーよ!という方はここがポイントなのかもしれない。
考えなきゃいけないときは、カフェ行って
(今はスタバ閉まってるけど)
ひたすら作業のときは、海外ドラマ(海外じゃなくてもいいけどさ)を
観ながらやればよい。
「ドラマなんか見ながら集中できるのか」と
言ってくる人がいれば無視すればよい。
で、ところで「仕事をしていてツライこと」とは
在宅勤務とか、そういうことじゃなくて、
やっぱり最近、ひしひしと
辛い…とか危機感が湧いてくるようになった。
(中年の危機かしら?それとも更年期障害?)
仕事をくれる出版社、編集者さんには
めっちゃ感謝してる。
仕事ほしい!ギブミー!
で、今、まとまったページ数の仕事をもらえて
3カ月ほどかけてネームを作って
原稿をやっているのだけど。
ネームは一生懸命、やった。
「年数だけはベテランの漫画家の意地!本気で描いたやつ」
であって、編集者さんにも絶賛された。
自分でも…おもしろい、と思う。
今流行りのセックスレス問題に加え、不倫、浮気、百合の要素もいれた
新感覚セックスレスもの!だと思っている。
ラストも満足いくものになった。
でも、やっぱり、原稿をしていて
ものすごく不安になる。
だって、過去にもネームでは絶賛されたけど
実際、ダウンロード数がイマイチで
「おもったより売れませんでしたねー」と
結局言われちゃうことが、よくあるのだ。
つーか、いつもだ。
3冊出した単行本だって
「愛しのKANSAN男子」も「ドキドキ☆ミダラなシェアルーム」も
「小悪魔switch」も。
全部、おもしろい。
編集者さんに「これはイケる!」と言われ
出してもらった自信作ばかり。
でも、たいして売れなかったので、
どこの出版社でも蒼乃シュウは「ポイッ」と
捨てられちゃった。
編集者が絶賛するものと、読者が求めるものは違う…
その溝をどう埋めてよいのやら。
そして現在よーく考えてみた。
もしかして編集者が絶賛するものは
結局、売れないものなのではないか…?と。
漫画家は、まず、ネームで編集者にOKをもらわなければいけない。
そうしなければ原稿にかかれない。
原稿にできなければ原稿料はもらえない。
だからまず第一関門である「編集者」という壁を
突破しなければいけない。
そういう、この業界では「普通」のことが、
もはや、現在では通用しないのでは?とおもった。
でね、私がちらりと考えた極論は…
編集者が「それはダメ!」と言うものの方が
売れるのではないか?
ということ。
いや、別に編集者が反対すりゃいいのか、っていうのは
また違うんだけど。
そういえば…
あの「ベルばら」の池田理代子先生だって、
はじめは、ベルばらは反対されたのだ。
でも、反対を押し切って連載をスタートされると
大ヒット。
そういうエピソードはよく聞く。
「はじめは反対されたけど…」というやつ。
もちろん「ほうら、やっぱり、言ったでしょ」というケースも
あるに決まってる。
でも…。
ここで大事なのは、作者自身が「どうしてもこれを描きたい」という
強い意志なのだと思う。
場合によっちゃー、編集者と戦うくらいの強さがいる、のだ。
いい子ちゃんではいけないのだ。
そもそも作家なんて生き方は普通じゃないのだ。
対する編集者は会社員。
いい大学を出たいい子ちゃんだ。
大手出版社の編集者は、「自分の(会社の)思い通りに書いてくれる作家がほしい」は、
本心だと思う。
そんなこと言われて喜んでる作家は作家ではない。ただの「下請け」ではないか。
仕事はもちろん、キチンとやる。締め切りは守る。
それは当たり前。
でも…
プロットのときから何度も「打ち合わせ」と称して
向こうのいいように変更させられ…
ネームでも
「これじゃあ読者に反感かうかも」という理由で
手直しさせられ…
それはもはや「推敲」とはいわない。
本当に、魂で描きたい…
本当に、私が「いい」という漫画を描きたい。
それは贅沢なのか?
それは甘いのか?
そんなんじゃ「食ってけない」のか?
直されて私らしさが半減したネームを原稿にしながら
悲しくなる。
私の、本当に私が描いた、という漫画で
生きていきたい…とおもう。
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