<個人的な評価:10点中7点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
日本の映画やドラマは、ほぼ観ないけど、こういう非現実的な学園ゴシックな雰囲気が漂うサスペンスものは、たまに観たくなる。前に観た作品『Re:Mind』と似ている。『Re:Mind』も面白かった。
私は日本の学校に通った事がないから、実際にこんなお嬢様学園があるのかどうかは知らない。日本にもアメリカやイギリスのようにお嬢様学園があるのは、知っているが、内部は知らないし笑。本当に、「ごきげんよう」とか、こんな喋り方をするのかも不明。だからこそ面白い舞台。
私も、私立とはいえ、ずっと共学のインターナショナルスクールで育ったので、この映画に出ている学園は、まるで漫画の世界のような異世界の雰囲気だ。
サスペンスミステリーもあるけど、こういう風に、舞台が独特だと、なおさら面白くなる。
さて、今作は、ミッション系の女子高である聖母女子高等学院を舞台に、同校の女子生徒で生徒たちの憧れの存在であった白石いつみの不可解な死を巡って疑いの目を向けられた文学サークルのメンバー5人がが朗読で各々犯人と思う人物を告発する物語だ。
犯人は誰なのか?そもそも他殺なのか?自殺なのか?事故なのかも不明。
5人からみた、白石いつみは、どんな人物だったのか。
5人の別々の視点で語られていく....
一つ、大事なのは...
5人が書いている小説は、どこからがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか。
そこがわからないという事。
つまり、5人全員が、『信頼できない語り手』なのだ。
サスペンスの手方としては、面白い切り方だ。
さて、それぞれが語るストーリーを観てみよう。
その前に、白石いつみの紹介。
白井いつみ:故人。聖母女子高等学院3年生。聖母女子高等学院の経営者の娘で、文学サークルの会長を務めていた。カリスマ性と完璧な美貌を持ち、その上、慈愛精神もある一見、非の打ち所がないがないような人物で、他の生徒たちから憧れられる存在だった。ある日、スズランの花を持ってテラスから花壇に転落死した姿が発見される。
それぞれが語る、「白石いつみ」のストーリーを観てみよう。
ちなみに、私は、生徒一人一人のストーリーを、一つ一つ視聴したあとに、それぞれの感想を書いているので、先の展開はわからない。真相も、この文章を書いている段階では、まだわからない。
(1)
二谷美礼
聖母女子高等学院1年生。実家は貧乏だが奨学金により聖母女子高等学院に入学した。
いつみの勧めでいつみの妹の家庭教師のアルバイトをしていた。定例会では、高岡志夜を犯人として告発。
二谷美礼 → (犯人はお前だ) → 高岡志夜
小説「太陽のような人」
白石いつみが、本当に非の打ちどころがないような慈愛にあふれた人物として描かれている。
二谷美礼は、先輩である白石いつみに、本当に憧れていたのであろう。貧乏な二谷美玲を誰もイジメる事がなく、それどころか、みんな優しく接していた。さすがお嬢様たちだな〜と、白石いつみも、他の生徒たちも、第一印象はとても良かった。特に、白石いつみは、貧乏な二谷に、家庭教師の仕事を紹介したりと、高額なバイト代を払ったりと、面倒見が良かった。白石いつみは、とても家族想いにもみえたが...
実際は父親と問題があったのだろうか?と思うような吃驚する場面も。2週間、肺炎で休んだけど、これの真相は?二谷美礼は、小説の中では語ってなかったが、私の予想では、白石いつみは、妊娠中絶させられたんじゃないの?と思う。しかし、白石いつみのような、真面目な優等生が、妊娠?裏の顔があるのだろう。
アルコール入りのお菓子も食べてなかったし、おそらく妊娠をしているのだろう。
休みから戻ってきた白石は、父親を責めるどころか、父親は誘惑されている!と、とんでもない事を言い出した。どうやら、白石が言うには、高岡志夜が、自分の父親と関係を持っているというのだ。確かに、二谷の回想の中でも、二人は親しそうだったが....真相は。
このストーリーも、どこからがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか。
言うまでもなく、全部、二谷美礼の視点であるし、彼女も、また信頼できない語りてである。
(2)
小南 あかね
聖母女子高等学院2年生。料亭「こみなみ」の娘であるが、本人は洋食やスイーツ作りに興味を持っている。
文学サークルでもお菓子作りに余念がない。定例会では、二谷美礼を犯人として告発する。
小南 あかね → (犯人はお前だ) → 二谷美礼
小説「マカロナージュ」
この小説の中でも、小南あかねの目に映る白石いつみは、優しく慈悲深い人だった。
それはそうと、白石いつみのサイコパス疑惑が出てきた。あっちこっちに、人の悪口を吹き込み、まわりをコントロールしているサイコパスかも。二谷美礼の事を泥棒と陰口いったり、古賀園子の事を自分の父を誘惑していると言ったり。もしかして、泥棒も誘惑も本当の事かもしれない。しかし、どれも嘘かもしれない。白石いつみの口から出る言葉も、信用できないのだ。
唯一、矛盾してない点は、ある日、白石いつみが、長期休んでて、戻ってきたら暗くなったという事。
まあ、たぶん、あの教師と白石いつみは、デキてたんだろうな〜と予想。それで妊娠して中絶したとかじゃないの?というと、あの教師も容疑者?それとも自殺?そして、一体だれが嘘をついているのか?白石いつみは、嘘つきのサイコパス女?まわりをコントロールしている雰囲気があるんだよね。
アメリカの高校でいう、Queen Bee なんだけど、美人で金持ちなのは鉄板要素として、洋画では、堂々とグループをコントロールしているボスキャラとして描かれている場合が多いけど、白石いつみの場合は、影でコソコソとメンタル的にコントロールする、さらに狡猾なパターンかな。どっちにしろ、みんなをメンタル的に支配して、自分に好意を向けさせている。
もちろん、この段かいでは、白石いつみは、潔白の可能性もあるので、なんともいえない。他の人の話も聞かないとね。
とはいいつつ、どのストーリーも、どこからがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか不明。
だから、矛盾点をみつけるより、共通点を見つけた方が真相にたどり着けるかも。
(3)
ディアナ・デチェヴァ
ブルガリアからの留学生。いつみが一年生の頃、ブルガリアに短期留学していた時にいつみと知り合い、好意を抱く。双子の妹がいるが足を怪我しているので、代わりに、ディアナが、日本に留学にきた。
定例会では、小南あかねがいつみを憎んでいたと告発する。
ディアナ・デチェヴァ → (犯人はお前だ) → 小南 あかね
小説「女神の祈り」
白石いつみより、このディアナって子の方が、顔が何倍も可愛いけどな。小顔で目が大きいし。留学生なんだね。ブルガリアで初めて、白石いつみと出会ったらしいね。その時にも引率の男性教師がいた。やっぱり、その男性教師と白石いつみは、デキていると思うな。それと死がどう関係するかわからないけど。ちなみに、このストーリーの中で、小南 あかねが、白石いつみに毒を盛ってた可能性も出てきたー!
2週間、学校を肺炎という名目で休んだのは、妊娠中絶(←ただの私の予想)ではなく、毒で本当に肺炎になった可能性もあるのかな?うーん。でも毒はないと思うけどなー。ディアナも信頼できない語り手だし。
(4)
高岡志夜
聖母女子高等学院2年生。フランスからの帰国子女。小説家の才能がある。定例会では、ディアナ・デチェヴァが魔力を使っていつみを死に至らしめたと告発する小説。
高岡志夜 → (犯人はお前だ) → ディアナ・デチェヴァ
小説「紅い花」
ホラー小説!!4人の中では、一番ゴシックホラー。このストーリーに出てたディアナが怖い。高岡志夜は、ディアナを女吸血鬼と思い込んで、魔力で白石いつみを殺害したと思っている。二谷美礼の小説では、白石いつみが言うには、高岡志夜は、自分の父親を誘惑してたらしい。しかし、このストーリーの中では、高岡志夜は、白石いつみの父親にはよくしてもらってたが、何か不浄な関係がある事は一切明かしていない。誰が本当の事を言っているのか?どこからがノンフィクションなのか?もちろん、高岡志夜も信用できない語り手。
けど、白石いつみが、聖堂にはいけない!と言ってたのは本当だと思うな。これは呪いでも何でもなく、単に白石いつみが、クリスチャンで、妊娠中絶したから、罪の意識に苛まれているだけだろう。やはり妊娠中絶した疑惑が濃くなってきた。予想では、相手は、あの引率の教師。高岡志夜&白石いつみの父親の関係だが、もしかして愛人ではなく、娘なのでは?つまり、高岡志夜&白石いつみは、姉妹の可能性もあると思う。
ここまで、4人のストーリーを聞いた。どれもこれも、フィクション&ノンフィクションが混ざっているのだろう。
残るは、副会長の澄川 小百合だが、彼女も何か書いたのだろうか...
そもそも、彼女が一番怪しいんだが...
(5)
澄川 小百合
聖母女子高等学院3年生。文学サークルの副会長だったが、いつみの死後に会長を引き継いだ。
いつみの死の真相を明らかにするため、一学期最後の文学サークルの定例会で「前会長・白石いつみの死」をテーマに設定する。
実際は、澄川 小百合が書いた小説ではなく、白石いつみが書いたとされるものが用意されてた.......
小説「死者のつぶやき」
予想通り、この小説の中では、白石いつみ&教師の情事と妊娠と中絶の事が書かれていた。
ここらへん予想通り。そして、白石いつみは、やはりサイコパスの狂女だった。
高校生以前に、こんなサイコパスが母親とか、かなり怖いから、母親にならずに死んでくれて良かったわ。
とにかく、白石いつみは、サイコパスのナルシスト。
自分が主人公の自分の物語に酔っていて、そのための脇役を選んでただけ。
教師も、彼女のロマンチックな物語の役どころなのだろう。
さて、脇役を選ぶために、白石いつみは、みんなそれぞれの弱みを握っていた。
人の弱みを握る事で、人をコントロールする。それが彼女のやり方だ。
@ 二谷美礼 → 老人相手に援助交際
A 小南 あかね → 自宅の放火犯
B 高岡志夜 → 小説の盗撮
C ディアナ・デチェヴァ → 双子の姉を突き落とした犯人
これが、それぞれの弱みで罪だ。
それを握った白石いつみは、みんなをコントロールして女王に君臨した。
けど、自業自得な事がおきてしまう。
やはり、こういうのは、いつかは復讐される。
4人は結託して、教師との情事を父親にバラして、結果的に白石いつみは、父親に中絶させられた。
まあ、しょうがないだろう。サイコパス女が、高校生の分際で、母親になったら、それこそホラーだし。
正直、私からすれば、4人のそれぞれの罪より、白石いつみの方が罪深い女なんだけど。
だって、4人の罪は、それぞれ人間らしい過ち。
貧困、嫉妬、有名になりたい、好きな人に会いたい...
やった事は罪深いが、それぞれ人間らしい動機があった。
それに、みんな、罪を認識している。
けど、白石いつみの場合は、教師との情事はともかく、自分の物語を作って自分が主人公になって、他人の弱みを握り、他人を操りたいというものだ。まさにナルシストなサイコパスが考える事ではないだろうか。
すずらんは、生まれてこれなかった子供への名前というけど、皮肉な事にも、そのすずらんの毒で死んでしまった白石いつみ。
そう、白石いつみは、確かにサイコパスだった。
けど、彼女一人ではなかったのだ。
彼女の裏にいるマスターマインド。
親友で幼馴染の澄川 小百合こそが、真のサイコパスで、最終的に、白石いつみを殺害した上に、バラバラにして、闇鍋にした、ヤバい奴だ。
澄川 小百合が、一番あやしいなー、どんでん返しがくるなー、とは思ってたが、予想以上に、サイコパスな斜め上の展開できた。
そして完全犯罪で終幕。
個人的に、物語のスタイルとしては結構面白いサスペンスミステリーだと思う。
ただ展開が予想できた事かな。
澄川小百合が予想以上に、ヤバい奴だったけど。まさかバラバラにするなんてね。
闇鍋の時点で、気づくべきだったか...
前に観たドラマ、『Re:Mind』と似ている。
ただ、私は、『Re:Mind』の方が好きだったな。
今作『暗黒少女』は、登場人物の誰にも共感ができなかった。
共感もできず同情もできなかった。ストーリーの構成は良いけどね。