広告

posted by fanblog

2019年01月25日

私の居場所



 断続的に揺れる電車。影が、赤い日を遮って視界を横切っていく。

 その日一日遊び倒した疲れを抱いて、私たちは並んで座っていた。そうしていると、まだまだ小さい私は、貴方の肩ぐらいまでしかない。足も、床につけることができず、ぷらぷらと浮いてしまう。

 貴方はその長い足を、簡単につけてしまうのに。軽く組んでも、それは変わらないのに。そんな妙な組み合わせの私たちを気にする人は、周りにほとんどいないようだった。

 向かい合わせに長く広がった座席にも、私たちのほかに座っている人はいない。誰の目も、今だけは気にすることがない。本当はいつもそうでありたいと思う。いつも、胸を張って貴方の隣を歩きたいと。

 でも、貴方は。迷惑だと思うから。貴方が、悪く思われるのはいやだから。だから、少しつらい。

 でもね、この気持ちだけは本当だよ。こんなに小さな私だけど。こんなに拙い気持ちだけと。

 貴方を愛している。

 貴方は笑う。いつも、わかっているよと頭を撫でる。とても優しい笑みだと思う。でも、本当はどうなのかわからない。私はまだ幼いから、貴方のことをわかってあげられない。無理を、していないだろうか。その微笑を、私は曇らせていないだろうか。いつも不安になる。

 私は体が弱くて、あまり外に行けないから。貴方は退屈していないだろうか。いつも会いに来るのは貴方。仕方ないよと、優しい貴方。でも、私だって貴方に会いに行きたい。仕事の帰りを待ち伏せして、お疲れさまと言ってあげたい。

 少し見上げる。夕暮れに映える貴方の寝顔。とても安らかで、なんだか少し幼く見える。

 とても、疲れたんだね。私と違って、貴方はいつも忙しいから。それでも、私との時間を作ってくれる。無理をしてでも、少しでも私のそばにいてくれる。

 大好きだよ。

 今月は、今までよりずっと調子がいいの。今日海に言っても、ぜんぜん倒れなかったでしょう。本当は泳ぎたかったけど。本当は、この下に水着も着ていったんだよ。貴方に、見せたかった。でも、泳ぐのはだめだから。泳がないのに、水着になるのは恥ずかしい気がしたから。勇気がないな。意気地なし。白のワンピを誉めてくれたのは嬉しかったけど。

 でも、いいよね。また次があるから。明日は清流を見に行くの。あさっては貴方の車でドライブに。その次は映画。それから遊園地。動物園。水族館・・・・・・。

 瞼が下りてくる。

 私も眠くなってきたな。降りる駅まではまだ時間があるみたい。ふと目に入る、貴方の肩。

 ちょっとだけ、いいよね。

 体を寄せる。そして、頭を、貴方の肩に。なんだか、とても安心する。

 貴方の寝息。

 貴方の、吐息。

 今日は、楽しかったね・・・・・・。





だんご公式サイトで、ちょっとした時間に楽しめる雑学やショートストーリーを執筆投稿しています。
雑学は、「甘い物はさらに疲れの原因になる」、「太陽は燃えていない」、「美文字が書ける裏ワザ」など、興味深いものばかり掲載しています。
もしよろしかったらご覧ください猫
こちらからご覧になれます


【このカテゴリーの最新記事】
posted by ラキ at 22:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 恋愛
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
http://fanblogs.jp/tb/8503459
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
ファン
最新コメント
カテゴリーアーカイブ





にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。