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2021年09月04日
vibration in bathrobe
太腿に伝わる振動。
やむ気配がない。
微睡みの中で、ハッとする。
内腿は、まだ振動している。
心地よさを感じて、漸く、瞼が持ち上がる。
気付くと、バスローブ姿で、ソファに横になっている。
シャワーの後、髪を乾かして、そのままリヴィングのソファで寝てしまったらしい。
バスローブのポケットから、振動する携帯を取り出す。
画面を確認すると、彼女の事務所の番号。
携帯の番号は、彼女と秘書たちしか知らない。
彼女は、まだ議会中のはず、こんな時間になに?
レンタカーを取りにいって、買い物をしたことを思い出しながら、急いで電話にでる。
「はい、ワタシです」
「大変です、先生が…」
男性秘書の声、その先が言葉にならない。
「落ち着いて、順に話してください、先生がどうかされたんですか?」
男性秘書が深呼吸する気配。
黙って待つ。
「先生が、攫われました」
「いつ?」
「お昼です、いつものようにいつもの場所で打ち合わせました、その後に…」
また、シドロモドロになりそうになるのを遮る。
「分かりました、すぐそちらに伺います、集められるだけの情報を集めておいてください」
それだけ言って、携帯を切る。
マナーモードを解除しておく。
バスローブ姿のまま、バスルームに入る。
洗面台の蛇口を開けて、冷たい水で顔を洗う。
お昼寝程度の時間しか寝ていないが、目が覚める。
自分の部屋に入って、クローゼットを開ける。
スーツケースを取り出し、ベッドの上て開ける。
着替えの中から紅い小さな塊を一つ、手にしてベッドに抛る。
バスローブのベルトを緩め、両肩から落とす。
自由落下するローブを、腰でキャッチする。
ローブの袖をハンガーに通して、クローゼットの扉のフックに掛ける。
ベッドに振り返る。
視界の隅、姿見に映る裸身。
やむ気配がない。
微睡みの中で、ハッとする。
内腿は、まだ振動している。
心地よさを感じて、漸く、瞼が持ち上がる。
気付くと、バスローブ姿で、ソファに横になっている。
シャワーの後、髪を乾かして、そのままリヴィングのソファで寝てしまったらしい。
バスローブのポケットから、振動する携帯を取り出す。
画面を確認すると、彼女の事務所の番号。
携帯の番号は、彼女と秘書たちしか知らない。
彼女は、まだ議会中のはず、こんな時間になに?
レンタカーを取りにいって、買い物をしたことを思い出しながら、急いで電話にでる。
「はい、ワタシです」
「大変です、先生が…」
男性秘書の声、その先が言葉にならない。
「落ち着いて、順に話してください、先生がどうかされたんですか?」
男性秘書が深呼吸する気配。
黙って待つ。
「先生が、攫われました」
「いつ?」
「お昼です、いつものようにいつもの場所で打ち合わせました、その後に…」
また、シドロモドロになりそうになるのを遮る。
「分かりました、すぐそちらに伺います、集められるだけの情報を集めておいてください」
それだけ言って、携帯を切る。
マナーモードを解除しておく。
バスローブ姿のまま、バスルームに入る。
洗面台の蛇口を開けて、冷たい水で顔を洗う。
お昼寝程度の時間しか寝ていないが、目が覚める。
自分の部屋に入って、クローゼットを開ける。
スーツケースを取り出し、ベッドの上て開ける。
着替えの中から紅い小さな塊を一つ、手にしてベッドに抛る。
バスローブのベルトを緩め、両肩から落とす。
自由落下するローブを、腰でキャッチする。
ローブの袖をハンガーに通して、クローゼットの扉のフックに掛ける。
ベッドに振り返る。
視界の隅、姿見に映る裸身。
2021年09月05日
layering with thong
ベッドの上の紅い塊を二つに割る。
小さい方を手に取る。
指先で広げて、無意識にレース生地の前後を確認している。
小さな生地を膝の前に下ろして、指先で広げる。
片足ずつ通す。
膝から腰まで一気に引き上げ、鼠頚部の小さな布を整える。
ベッドの上のもう一つの紅い塊、手にとって両腕を通す。
前屈みになって、カップを胸の位置に合わせる。
前屈みのまま、後ろ手に背中のフックを留める。
サイドとアンダーを微調整して、上体を起こす。
紅い上下だけで胸を張るワタシ。
ベッドの上のスーツケースに手を伸ばす。
荷物を探って、薄いパッケージを一つ取り出す。
手早くそれを開封する。
手触りのいい生地。
真新しいパンティストッキングを手にしている。
止むを得ず、この時期だけ重ね穿きしている。
両脚部を丸めると、注意して片足ずつ通す。
踝から膝まであげると、反対の足を同じように通す。
膝から引っ張るようにしながらお尻を覆うと、腰の上、お臍のあたりまで引き上げる。
両手指先を、腰からストッキングの内側に滑らせる。
押さえつけられた、紅いthongのレース生地を微調整する。
紅い上下にストッキングの格好で、クリーニングの袋を破く。
替えのシャツブラウスを、紅いbraだけの上半身に羽織る。
襟から二つ、ボタンを空けて、残りを一つずつ留める。
クローゼットのスーツ袋から、替えのタイトスカートを取り出す。
ストッキングの脚を、片足ずつ通す。
タイトなスカートを腰まで上げて、深めのスリットの位置を、左太腿やや内側に合わせる。
後ろに手をまわして、腰のフックを留める。
左手でスカートのお尻を押さえて、右手でファスナーをあげる。
ベルトを手にして、タイトスカートの腰に通す。
フィットするスカートでも、必ずベルトは締める。
身に着けるもの全てが、武器になるから。
クローゼットのハンガーから、上着をとって羽織る。
ボタンは留めずに、そのままバスルームに向かう。
大きな鏡の化粧台の前に立つ。
化粧ポーチを開けて、下地を整える。
毅然としたアイメイクを薄く施す。
軽くチークを入れる。
最後にルージュを引いて、グロスを塗る。
精悍なボディガードの出来上がり。
小さい方を手に取る。
指先で広げて、無意識にレース生地の前後を確認している。
小さな生地を膝の前に下ろして、指先で広げる。
片足ずつ通す。
膝から腰まで一気に引き上げ、鼠頚部の小さな布を整える。
ベッドの上のもう一つの紅い塊、手にとって両腕を通す。
前屈みになって、カップを胸の位置に合わせる。
前屈みのまま、後ろ手に背中のフックを留める。
サイドとアンダーを微調整して、上体を起こす。
紅い上下だけで胸を張るワタシ。
ベッドの上のスーツケースに手を伸ばす。
荷物を探って、薄いパッケージを一つ取り出す。
手早くそれを開封する。
手触りのいい生地。
真新しいパンティストッキングを手にしている。
止むを得ず、この時期だけ重ね穿きしている。
両脚部を丸めると、注意して片足ずつ通す。
踝から膝まであげると、反対の足を同じように通す。
膝から引っ張るようにしながらお尻を覆うと、腰の上、お臍のあたりまで引き上げる。
両手指先を、腰からストッキングの内側に滑らせる。
押さえつけられた、紅いthongのレース生地を微調整する。
紅い上下にストッキングの格好で、クリーニングの袋を破く。
替えのシャツブラウスを、紅いbraだけの上半身に羽織る。
襟から二つ、ボタンを空けて、残りを一つずつ留める。
クローゼットのスーツ袋から、替えのタイトスカートを取り出す。
ストッキングの脚を、片足ずつ通す。
タイトなスカートを腰まで上げて、深めのスリットの位置を、左太腿やや内側に合わせる。
後ろに手をまわして、腰のフックを留める。
左手でスカートのお尻を押さえて、右手でファスナーをあげる。
ベルトを手にして、タイトスカートの腰に通す。
フィットするスカートでも、必ずベルトは締める。
身に着けるもの全てが、武器になるから。
クローゼットのハンガーから、上着をとって羽織る。
ボタンは留めずに、そのままバスルームに向かう。
大きな鏡の化粧台の前に立つ。
化粧ポーチを開けて、下地を整える。
毅然としたアイメイクを薄く施す。
軽くチークを入れる。
最後にルージュを引いて、グロスを塗る。
精悍なボディガードの出来上がり。
2021年09月06日
timing on call
上着の前のボタンを留める。
鏡の中の女に気合が入る。
バスルームを出て部屋に戻る。
クローゼットからバックを取り出し、肩にかける。
姿見に踵を返して、玄関に向かう。
佇む紅いピンヒールに、足を滑り込ませる。
脹脛からお尻までの筋肉が目覚め、身体の芯から力が漲る気がする。
部屋を出て、エレヴェータに乗る。
地下の駐車場までおりる。
来客スペースのレンタカー。
乗り込んでエンジンをかける、二度ふかす。
勢いのまま、地上に飛びだす。
気持ちと裏腹に、物憂げな午後の車列に滑り込む。
ノラリクラリと走る車列、縫うようにして走る。
後ろでクラクションが遠ざかる。
記録になりそうな短時間で、彼女の事務所にたどり着く。
車をとめたときに、懐かしいメロディ。
携帯を取り出す。
画面表示を見なくてもわかる、bishop。
「はい、ワタシです」
こんな時にと思いながらも、反面、タイミング良すぎ、とも思う。
「もう聞いているかな」
「なにを?」
「我々は動けないが、協力はしよう、情報がある」
「どういうこと?」
それには取り合わずに、一方的に話し続ける。
「C団体のビルの近く、解体予定のビル、地図を送る」
「なにを隠してるの?」
「手強い相手だ、気をつけろ」
携帯が切れる。
メールの着信を知らせるメッセージが流れる。
メッセージを開く。
写真と地図のgif画像で、場所を確認する。
そんなに遠くない。
いずれにしても、救出は夜になる。
車を降りて、事務所のあるビルに入る。
事務所の扉の前、インタホンのボタンを押す。
「どちらさま…ですか」
どことなく不安げな秘書の声。
「ワタシです」
言い終わらぬうちに、扉が開く。
秘書が、素早くワタシを招じ入れる。
鏡の中の女に気合が入る。
バスルームを出て部屋に戻る。
クローゼットからバックを取り出し、肩にかける。
姿見に踵を返して、玄関に向かう。
佇む紅いピンヒールに、足を滑り込ませる。
脹脛からお尻までの筋肉が目覚め、身体の芯から力が漲る気がする。
部屋を出て、エレヴェータに乗る。
地下の駐車場までおりる。
来客スペースのレンタカー。
乗り込んでエンジンをかける、二度ふかす。
勢いのまま、地上に飛びだす。
気持ちと裏腹に、物憂げな午後の車列に滑り込む。
ノラリクラリと走る車列、縫うようにして走る。
後ろでクラクションが遠ざかる。
記録になりそうな短時間で、彼女の事務所にたどり着く。
車をとめたときに、懐かしいメロディ。
携帯を取り出す。
画面表示を見なくてもわかる、bishop。
「はい、ワタシです」
こんな時にと思いながらも、反面、タイミング良すぎ、とも思う。
「もう聞いているかな」
「なにを?」
「我々は動けないが、協力はしよう、情報がある」
「どういうこと?」
それには取り合わずに、一方的に話し続ける。
「C団体のビルの近く、解体予定のビル、地図を送る」
「なにを隠してるの?」
「手強い相手だ、気をつけろ」
携帯が切れる。
メールの着信を知らせるメッセージが流れる。
メッセージを開く。
写真と地図のgif画像で、場所を確認する。
そんなに遠くない。
いずれにしても、救出は夜になる。
車を降りて、事務所のあるビルに入る。
事務所の扉の前、インタホンのボタンを押す。
「どちらさま…ですか」
どことなく不安げな秘書の声。
「ワタシです」
言い終わらぬうちに、扉が開く。
秘書が、素早くワタシを招じ入れる。
2021年09月07日
man in the rear view
応接セットのソファに腰をおろす。
秘書に言う。
「順を追って説明してください」
「はい」
こたえて、男性秘書が説明しはじめる。
状況は、いつもの昼の打ち合わせの後、彼女が食事に向かう。
指示内容をいくつか確認して、いつも食事の後にもう一度打ち合わせて、彼女を見送る。
ところが、彼女がいつまで経っても、食事から戻ってこない。
訝しく思って、いつものレストランに尋ねたところ、今日は見えてないと言われる。
慌てて、ホテルのあちこちを探し回ったが、見当たらないし、見かけた話もない。
やむなく、ロビーに伝言を残して、事務所に戻って議会の中継にかじりつく。
彼女の席が、空席になっているのが映し出される。
慌てているところに、電話がかかる。
先生を預かっていると。騒がずに待っていれば、明日の夕方には無事に戻ると。警察に知らせたり、下手に騒ぐと保証はないと。
ワタシは黙って肯き続ける。
話しているうちに興奮している秘書。
落ち着かせるように静かに言う。
「分かりました、あなた達は、明日の準備を進めてください」
「大丈夫でしょうか?」
「ワタシが、必ず連れ戻します、今夜か、遅くとも明日の朝までには」
扉に向かいかけて、もう一度、二人に声をかける。
「携帯と、ここの電話は、繋がるようにしておいてください」
事務所を出ると、そのまま車に乗り込む。
エンジンをかける、二度ふかして発進する。
頭に入れた地図を思い浮かべて、ハンドルをきる。
目的のビルが近づいてくる。
ビルの周りを、しばらく走りながら、手ごろな駐車スペースを探す。
通りを挟んで少し離れたコインパーキングに、車を滑り込ませる。
シートを少し倒して、リアヴューの角度を合わせる。
ビルの出入り口が、リアヴューに映る。
近くに、例の政治屋に関連する団体のビルがある。
目当ての建物は、解体に向けたビルということで、人気はないが、いきなり乗り込むのも不用心過ぎる。
それに、目下のところ、彼女に危害は加えられないはず。
車の中で、しばらく様子を伺うことにする。
と、人影が出てくる。
サングラスに黒いスーツの男が、携帯で話しながら、ビルから離れていく。
見間違いようはない。
今朝、彼女の事務所に来ていた、あの細身の男、リアヴューから消える。
注意して、車の窓から通りを覗く。
男が、路上駐車の車に乗り込む。
車が走り去る。
秘書に言う。
「順を追って説明してください」
「はい」
こたえて、男性秘書が説明しはじめる。
状況は、いつもの昼の打ち合わせの後、彼女が食事に向かう。
指示内容をいくつか確認して、いつも食事の後にもう一度打ち合わせて、彼女を見送る。
ところが、彼女がいつまで経っても、食事から戻ってこない。
訝しく思って、いつものレストランに尋ねたところ、今日は見えてないと言われる。
慌てて、ホテルのあちこちを探し回ったが、見当たらないし、見かけた話もない。
やむなく、ロビーに伝言を残して、事務所に戻って議会の中継にかじりつく。
彼女の席が、空席になっているのが映し出される。
慌てているところに、電話がかかる。
先生を預かっていると。騒がずに待っていれば、明日の夕方には無事に戻ると。警察に知らせたり、下手に騒ぐと保証はないと。
ワタシは黙って肯き続ける。
話しているうちに興奮している秘書。
落ち着かせるように静かに言う。
「分かりました、あなた達は、明日の準備を進めてください」
「大丈夫でしょうか?」
「ワタシが、必ず連れ戻します、今夜か、遅くとも明日の朝までには」
扉に向かいかけて、もう一度、二人に声をかける。
「携帯と、ここの電話は、繋がるようにしておいてください」
事務所を出ると、そのまま車に乗り込む。
エンジンをかける、二度ふかして発進する。
頭に入れた地図を思い浮かべて、ハンドルをきる。
目的のビルが近づいてくる。
ビルの周りを、しばらく走りながら、手ごろな駐車スペースを探す。
通りを挟んで少し離れたコインパーキングに、車を滑り込ませる。
シートを少し倒して、リアヴューの角度を合わせる。
ビルの出入り口が、リアヴューに映る。
近くに、例の政治屋に関連する団体のビルがある。
目当ての建物は、解体に向けたビルということで、人気はないが、いきなり乗り込むのも不用心過ぎる。
それに、目下のところ、彼女に危害は加えられないはず。
車の中で、しばらく様子を伺うことにする。
と、人影が出てくる。
サングラスに黒いスーツの男が、携帯で話しながら、ビルから離れていく。
見間違いようはない。
今朝、彼女の事務所に来ていた、あの細身の男、リアヴューから消える。
注意して、車の窓から通りを覗く。
男が、路上駐車の車に乗り込む。
車が走り去る。
2021年09月08日
double bottom
リアヴューに別の人影。
中肉中背の男が、ビルから出て、細身の男と反対の方に歩いていく。
リアヴューから見切れると、窓から通りを覗く。
男が、少し離れたコンビニに入っていく。
ほどなく、男が買い物袋をさげて、コンビニから出てくる。
そのままビルに戻る方向に歩く。
倒したシートに、背中を押し付けて待つ。
男がリアヴューに入ってくる。
リアビューの中で、袋をさげたまま、ビルに入っていく。
最低でも二人、細身の男が加わると三人。
できれば、細身の男がいない隙を狙いたい。
シートを起こして、エンジンをかけると、二度ふかして駐車場をでる。
夕方のラッシュ前、まだ緩やかな車列に滑り込む。
車を彼女のマンションに向ける。
駐車場の来客スペースにとめると、真っ直ぐ彼女の部屋に向かう。
合鍵を使って部屋に入る。
自分の部屋に入ると、クローゼットを開ける。
スーツケースを取り出し、ベッドの上に載せる。
スーツケースを開けて、徐にひっくり返す。
中身がベッドにぶちまかれる。
いくつかの下着、未開封のパンティストッキング、詰め物のバスタオルが、ベッドに散乱する。
散らばる着替えには目もくれず、空のスーツケースを引き寄せる。
スーツケースの底の端、マジックテープを剝がす。
簡単な作りの二重底。
隠すためというより、区別しておきたいものを入れるスペース。
二重底を外して、ファスナーを開ける。
ペンより少し大きい、棒状のものを取り出すと、ファスナーを閉める。
散乱した下着類を抱えるようにして、スーツケースに抛り込む。
こんもり山となった中身を、押さえ込むようにスーツケースを閉める。
スーツケースをクローゼットに戻す。
ベッドの上には棒状の物体。
指し棒でも持つように、左手に握る。
立ったまま、左手を素早く振る。
棒状のそれが倍以上の長さに伸びる。
特殊なブラックジャック、仕掛けもある。
左手で、軽く空を切り、感触を確認する。
右の掌に先端をあてて、元の長さに縮める。
上着の腰を捲くると、左手で、細いベルトに水平よりやや斜めに差し込む。
上着を戻すと、そのまま玄関に向かう。
ピンヒールに足を滑らせ、バックルをとめて身体を起こす。
身体の芯から力を感じる。
中肉中背の男が、ビルから出て、細身の男と反対の方に歩いていく。
リアヴューから見切れると、窓から通りを覗く。
男が、少し離れたコンビニに入っていく。
ほどなく、男が買い物袋をさげて、コンビニから出てくる。
そのままビルに戻る方向に歩く。
倒したシートに、背中を押し付けて待つ。
男がリアヴューに入ってくる。
リアビューの中で、袋をさげたまま、ビルに入っていく。
最低でも二人、細身の男が加わると三人。
できれば、細身の男がいない隙を狙いたい。
シートを起こして、エンジンをかけると、二度ふかして駐車場をでる。
夕方のラッシュ前、まだ緩やかな車列に滑り込む。
車を彼女のマンションに向ける。
駐車場の来客スペースにとめると、真っ直ぐ彼女の部屋に向かう。
合鍵を使って部屋に入る。
自分の部屋に入ると、クローゼットを開ける。
スーツケースを取り出し、ベッドの上に載せる。
スーツケースを開けて、徐にひっくり返す。
中身がベッドにぶちまかれる。
いくつかの下着、未開封のパンティストッキング、詰め物のバスタオルが、ベッドに散乱する。
散らばる着替えには目もくれず、空のスーツケースを引き寄せる。
スーツケースの底の端、マジックテープを剝がす。
簡単な作りの二重底。
隠すためというより、区別しておきたいものを入れるスペース。
二重底を外して、ファスナーを開ける。
ペンより少し大きい、棒状のものを取り出すと、ファスナーを閉める。
散乱した下着類を抱えるようにして、スーツケースに抛り込む。
こんもり山となった中身を、押さえ込むようにスーツケースを閉める。
スーツケースをクローゼットに戻す。
ベッドの上には棒状の物体。
指し棒でも持つように、左手に握る。
立ったまま、左手を素早く振る。
棒状のそれが倍以上の長さに伸びる。
特殊なブラックジャック、仕掛けもある。
左手で、軽く空を切り、感触を確認する。
右の掌に先端をあてて、元の長さに縮める。
上着の腰を捲くると、左手で、細いベルトに水平よりやや斜めに差し込む。
上着を戻すと、そのまま玄関に向かう。
ピンヒールに足を滑らせ、バックルをとめて身体を起こす。
身体の芯から力を感じる。