投資でやってはいけないこと
このように格言のようなコメントが残されているということは、
きっと大きな失敗があったのだろう。
損失の額は半端ではない。
そして、人はまた、別のタイミングで
同じような失態をしてしまう。
だから、格言が生きてくる。
損失を出さずに済むように考案された手仕舞いがひとつあるにはあるが、
損切りは早く、利食いは遅くというトレードの黄金律に完全に反するため、
実際には大きな損失を出し、得られる利益は少ない。
それはどんなものかというと、
大きなサイズでポジションを建て、徐々に手仕舞いしていくというものだ。
例えば、最初に300株買い、
300株すべてがブレイクイーブンになったら 100株売り、
次に500ドルの利益が出たらもう 100株売り、
残りの100株は大きな利益が出たときのために残しておく 。
短期トレーダーはこの種の戦略をよく使う。
利益を「確保jできているので直感的にはよさそうに思えるが、
実際に調べてみると
きわめて危険なトレーデイングであることがすぐに分かるはずだ。
このトレーデイングで実際にやっていることは、
トレーデイングの黄金律とまったく逆のことである。
つまり、最大損失を被るときに
複数のポジションが建っているわけである 。
先の例で見てみると、300株のすべてで損をすることになる。
さらに、最大利益が出たときには
最小サイズ(この例では100株)のポジションしか残っていない。
自分が正しいと思い込んで、疑わないような人には
完壁な方法かもしれないが、
利益を最適化できないばかりか、利益が得られる保証すらない。
この手法が危険だと言った理由がお分かりいただけただろうか。
お分かりにならない人は、実際に計算してみるとよい。
最大損失か最大利益のいずれかしか取らないと仮定して、
あなたの過去のトレード結果と、
このトレーデイング手法でやった場合の結果を比べてみた場合、
相当な違いがあるのが分かるはずだ。
私はクライアントに実際にこの計算をやらせてみたことがある。
途中で手仕舞いせずに持ち続けたほうが
はるかに大きな利益が出ることに彼らは一様に驚いた。
出所 FXdeリッチ
◆著者 バン・K・タープ博士(Van K. Tharp)
国際的に知られたコンサルタントおよびトレーディングコーチで、
バン・タープ・インスティチュートの創設者兼社長でもある。
これまでにトレーディングや投資関連の数々のベストセラーを世に送り出してきた。
講演者としても引っ張りだこで、世界中の大手銀行や
トレーディング会社向けのセミナーや通信講座も開設している。
また『フォーブス』『バロンズ・マーケット・ウィーク』
『インベスターズ・ビジネス・デイリー』などに多くの記事を寄稿している。
著書は『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門』、
『魔術師たちの投資術』(パンローリング)、
『ファイナンシャル・フリーダム・スルー・エレクトロニック・デイ・トレーディング』
などがあるほか、
DVDに『魔術師たちの心理学セミナー』(パンローリング)がある。