本棚に返しに来た
そいつは全ての玄関にいそうだが
全ての建物に本棚があるとも限らない
もしそいつを疑うようであれば自分を疑うことと同義になるのでやめておく
本棚から本を一冊抜き去り
明日の一片の想いに馳せたり
途方のない大地へ出掛けたりしている
そんな中一人だけ本を返しに来ているやつがいる
いつの間にか顔馴染みになっていて気づかなかったが
一文字一文字 一声一声しっかり刻まれていた
僕の家の本棚に返しに来たんだね
それなのに僕は笑いこけてしまっていて
初見のあなたを見過ごしてしまった
王宮の間でハープを弾いてる人がいる
明らかにこれは作り話だけど窓辺から入り込む涼しい風と同じなので
このままにしておく
懐かしい色の風が吹く
窓を閉めて話を作っているこの部屋までは届かない
このままがいい
完全に密閉されてる部屋
王宮の間でハープを弾いてる
さりげなさすぎて言葉が出なかった
けどこのままがいいんだろう 涼しい風が吹くから
そっとしておこう
たぶん俺んちだけど
金を町中にばらまくやつがいる
昔は金を破り捨てていたが今では想いを馳せながら捨てている
大事なことを再び思い出し
金をちりぢりに破り
それを上空から降らす男がいる
昔よりもさらに行いは酷くなったが
金は一向に貯まらない
この降りしきる雨を
今一度全身全霊で受け止めてみようと思う
毎日給料日の人がいる
しかも通帳記入を全くしないので
たまに一時間ごとに給料が振り込まれていると錯覚する
稀に貯金計画を立てようとするが
急に給料日を前にすると
雲のように浮かれ上がって
いつもある空で爆散する
毎日祝日の国がある
国民は毎日歌を歌い桜吹雪が台風とはまた違った熾烈さで襲いかかってくる
実際はもっと違って
桜の木の本数や桜の散った花びらの枚数
それらを統計して向かうべき方向に向かおう
ちょうど人間のおへそ辺りにある
オーストラリアのすぐ近く
淡いピンクの海がある
春の日を参考に少しずつ夏に近づく
こちらから春に近づく
どうかそんなことはできないだろうか
いつも緑がある
質問内容を考えているように
水と緑は永縁だから大丈夫
いつも水を飲んでいる
そこから広がる緑の大地はずっしりと進行する
そこから生まれる多原色はあなたに問い訪ねる