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2017年12月14日

伊方原発、「立地不適」と問題視=運転停止は期間限定―広島高裁決定


広島高裁が13日、昨年8月に再稼働した四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町、定期検査で停止中)の運転差し止めを命じた。

 西に位置する九州の阿蘇カルデラ(熊本県)が大規模に噴火した場合の影響を重視し、伊方原発の立地を「不適」と指摘する踏み込んだ内容となった。火山や立地を問題視して、原発の運転差し止めを命じた仮処分決定は初とみられ、司法や原子力業界、火山学者らの間で議論が活発化しそうだ。

 高裁決定は、伊方原発から約130キロ離れた阿蘇カルデラに着目。原発の運用期間中の火山活動や噴火規模は推定できないため、最大規模の噴火を想定する必要性に言及した。

 約9万年前の巨大噴火と同規模の噴火が発生した場合、四国電の調査やシミュレーション結果からは、伊方原発敷地内に火砕流が到達する可能性を「十分低いと評価できない」と判断した上で、「伊方原発の立地は不適で、認められない」と切り込んだ。

 さらに、最大規模の噴火でなくても、四国電の火山灰などの噴出量の想定が小さ過ぎると指摘。再稼働に必要な審査で、新規制基準に適合すると認めた原子力規制委員会の判断を「不合理」と批判した。

 高裁決定の考え方が定着すれば、影響は伊方原発にとどまらない。阿蘇カルデラと陸続きの九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)や玄海原発(佐賀県玄海町)にも波及する可能性がある。

 一方で、広島高裁は「仮処分は証拠調べの手続きに制約がある」として、停止期間を来年9月末までに限定。地震想定の甘さや、重大事故対策が不十分といった住民側の主張を認めず、火山対策以外は規制委の判断を「合理的」とした。

 巨大噴火は、日本列島では約1万年に1回のペースで発生してきたとされる。大規模な火砕流が原発を襲えば、原子炉の冷却機能が維持できず、重大事故に至る恐れが指摘されていた。

 ただ規制委は、これまでの巨大噴火の発生間隔などから、原発の運用が続く今後数十年間は起きないとの考え。伊方原発の敷地には、過去に阿蘇カルデラの火砕流が到達した痕跡もないとの立場だ。伊方3号機の審査で認めた降灰量などの想定も「十分余裕を持っている」とするが、火山学者の見方とは距離がありそうだ。

 日本火山学会は2014年、火山の噴火予測では「限界、曖昧さの理解が不可欠」などとする提言をまとめた。確定的な発生時期や規模の予測は困難として、規制委に対し「このような噴火予測の特性を十分考慮し、慎重に検討すべきだ」と訴えていた。 

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