2017年12月03日
400回目を数えるソウルの中国大使館前水曜集会
世界を旅しながら月収1000万円稼ぐ女性起業家 七海 志歩
2013年に中国吉林省で中国の国境警備隊員から聞いた話だ。彼は「脱北者の名前は全員が『和竜』だ」とけらけら笑った。中国語が分からない脱北者は国境警備隊員に捕まると「どこへ行くのか」と質問されたと思い込み、誰もが延辺にある朝鮮族自治州の国境都市「和竜」と答えるからだ。警備隊員が「名前は何か」と尋ねてもやはり「和竜」という言葉を繰り返すという。咸鏡北道の対岸にある中国の和竜周辺は国境を流れる豆満江の河幅も狭く、脱北ルートとしてよく利用されている。吉林省に住む朝鮮族のある脱北ブローカーによると、中国公安(警察)には賄賂を握らせているので、普段は脱北者に対してそれほど厳しい取り締まりはしないという。ただし上から取り締まりの指示が来れば、公安はブローカーたちに「今かくまっている脱北者を何人か差し出せ」と言ってくるのだが、その時は公安に脱北者を引き渡すしかないようだ。
故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代は脱北者が北朝鮮に強制送還されても、命だけは助かることもあった。しかし今の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の時代になると状況は変わった。北朝鮮は刑法を改正し「違法越境罪」―いわゆる脱北の量刑をこれまでの労働鍛錬刑1年から5年へと厳しくした。それだけではない。脱北者は全員が韓国を目指していると見なし「祖国反逆罪」も適用されるため、そうなれば最高で死刑だ。このような厳しい処罰を恐れたのだろう。今年7月に脱北し中国で捕らえられた家族5人全員が毒を飲んで自殺したとのニュースが先日報じられた。
国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチによると、今年7−8月に中国で逮捕された脱北者の数は少なくとも41人に上るという。韓半島(朝鮮半島)での緊張の高まりを受け、北朝鮮に隣接する地域ではどこも脱北者の取り締まりに力を入れているようだ。また北朝鮮に対する制裁が強化されると脱北者も当然増えるだろうが、それでも中国は「脱北者は難民ではなく違法越境者であるため、北朝鮮に送り返す」との立場をこれまで通り繰り返している。
ソウル市内の中国大使館前では29日、脱北者と彼らを支援する宗教関係者など20人以上が集まり、中国に対して脱北者の強制送還に抗議する集会を行った。彼らが手にしていたプラカードには「中国政府は脱北者の強制送還を中断せよ」と書かれていた。この集会は2008年9月3日に初めて行われ、今回がちょうど400回目だそうだ。水曜集会と言えばソウルの日本大使館前で行われている慰安婦関連の集会が広く知られているが、こちらはもう一つの水曜集会となっているわけだ。この水曜集会は今この瞬間も危険にひんした生命を助けることが目的だ。
この日、英国のBBC放送は「4歳の幼い子供を含む脱北者10人が北朝鮮に強制送還された」と報じた。この子の父親は水曜集会で「強制北送は殺人行為」と泣きながら訴えた。近く中国を訪問する予定の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は中国の習近平・国家主席に脱北者の強制送還中止だけはぜひ訴えてほしい。たとえ北朝鮮と中国が嫌いでも、人を生かすことだけはやらないわけにはいかないだろう。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/12/01/2017120101712.html
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