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2018年08月04日

【萬物相】終戦宣言と韓国の安全保障

2003年8月、北朝鮮の外務次官がモスクワにあるロシア外務省資料室を訪問した。1939年に締結された独ソ不可侵条約の複写本をしばらく見て、「単なる宣言ではない、きちんとした条約でも何の保証にもならない」と言ったという。ヒトラーは同条約から1カ月後に第二次世界大戦を始め、1941年にはソ連に突然侵攻したという歴史を思い出したのだ。彼が出した結論は「だから(体制を)保証するという米国の言葉をどう信じろというのか」だった。

 北朝鮮の政権は、金日成(キム・イルソン)主席が1953年7月に白い軍服を着て韓国戦争(朝鮮戦争)休戦協定文に署名する写真を「戦争勝利場面」だとして宣伝している。そして、7月27日の休戦協定日を「戦勝節」として記念している。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が米国と終戦を宣言し、宣言文に署名すれば、米国の「完全降伏場面」として宣伝するだろう。今年の9月9日は北朝鮮の政権樹立70周年でもある。北朝鮮は、単なる政治宣言によって体制が保証されるわけではないことをよく知っているのに、なぜこれほどまでに終戦宣言にこだわるのだろうか。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権も2007年に終戦宣言を推進した際、過去の事例を調べた。1956年に日本とソ連が関係正常化を宣言した日ソ共同宣言や、78年に米国の仲裁によりイスラエルとエジプトが結んだキャンプ・デービッド合意などが調査対象だった。しかし、「勝利した」という北朝鮮とは違って日本は敗戦国だったし、キャンプ・デービッド合意は翌年、平和条約へとつながったものの、イスラエルを取り巻く中東情勢は今も「火薬庫」状態だ。終戦宣言を平和協定と切り離して推進した事例自体がほとんどなかった。このため、盧武鉉政権内では「まず終戦宣言をしよう」という意見と、「政治・軍事・法的条件を先に整えるべきだ」という熱い論争が繰り広げられたという。

現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権からはこのところ、「まず終戦宣言をしよう」という声ばかり聞こえてくる。大統領府は31日も「4者(南北と米国・中国)による終戦宣言を排除しない」と述べた。北朝鮮は連日、宣伝機関などを通じて「終戦宣言」を催促している。「北朝鮮が望む通り終戦宣言をしてやれば、北朝鮮の非核化をけん引できる」というのが韓国政府の説明だ。

 文化体育観光部(省に相当)が同日発表した対北朝鮮政策に関する世論調査では、国民の63.8%が「北朝鮮の非核化」が先だと回答、「平和協定」は38%だった。北朝鮮は結局核を放棄しないだろうと考えている国民の方が多いのだ。仮に終戦宣言が実現しても、北朝鮮は非核化を先送りし、「戦争は終わったから国連軍司令部を解散し、北方限界線(NLL)もなくせ」と言ってくる可能性もある。在韓米軍撤退も要求するかもしれない。韓国政府は「まずは信じてみよう」という姿勢だ。国の安全保障がこれでいいのかという気持ちになる。

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