2018年08月02日
米国「制裁」、北朝鮮「緩和」…両国に挟まれた韓国
ポンペオ米国務長官が北朝鮮の面前に強力な制裁を突きつけると予告した。シンガポールで開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議でだ。
米国務省の当局者は先月31日(現地時間)、ポンペオ長官のシンガポール訪問(3−4日)について「北朝鮮も参加するASEAN地域安保フォーラム(ARF)は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が約束した最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)達成という目標を強調するための良い機会」と述べた。続いて「(ARF)会議場の27カ国はすべて国連加盟国であり、北朝鮮もその会議場の中にいるだろう。この席はすべての国連加盟国が制裁と国連安全保障理事会決議を遵守すべきだという点を改めて確認する良い機会になる」と強調した。
4日に開催されるARFには南・北・米・中・日・ロの北核6カ国協議当事国の外相がそろって出席する。北朝鮮が出席する唯一の域内安全保障協議体だ。国務省の当局者がARFを特定して制裁に言及したのは、李容浩(イ・ヨンホ)北朝鮮外相がいる席でこれを公論化し、北朝鮮に圧力を加えるという予告だ。李外相は3日午前にシンガポールに入国する。
この当局者は「安保理が禁止する船舶間積み替えで北朝鮮が(海上で)精油製品を調達する行為を憂慮する。ポンペオ長官はシンガポールで開催される外相会議を国連決議履行義務を想起させる機会にする計画」と説明した。米国は「積み替え」による対北朝鮮制裁違反に中国とロシアの企業および船舶が関与したと指定してきた。最近は北朝鮮産石炭がロシア産となって韓国に搬入されたことが明らかになり、韓国政府も難しい立場に直面する可能性がある。このように米国が対北朝鮮制裁履行を非核化交渉力を高める攻撃的な手段として使う意図を隠さず、制裁問題がARFの最大の争点に浮上する見込みだ。
北朝鮮は露骨に制裁緩和を求めている。北朝鮮労働党機関紙の労働新聞は先月31日、韓国が国際社会の目を気にしているため経済協力が進まないと批判した。また、開城(ケソン)工業団地の再稼働、金剛山(クムガンサン)観光の再開に言及し、「新しい思考と観点を持って南北関係に取り組むべき時」と要求した。
北朝鮮が開城工業団地と金剛山を取り上げたのには理由がある。これは国連安保理の制裁でなく韓国政府の独自制裁であるからだ。安保理の制裁緩和が進まないため韓国の独自制裁から崩そうとしているという解釈が出ている。
しかし独自制裁とはいえ、開城工業団地と金剛山観光を韓国政府が単独で再開させるのは容易でない。対北朝鮮現金・現物流入を遮断した安保理制裁と衝突するからだ。米国は北朝鮮の要求を一蹴した。米国務省はボイス・オブ・アメリカ(VOA)放送に「国務省は、安定を阻害する挑発的な北朝鮮の行動に対抗して開城工業団地を閉鎖した2016年の決定を支持する」と明らかにした。
韓国政府の悩みもここにある。政府は完全な非核化まで制裁を維持すべきという立場だが、板門店(パンムンジョム)宣言の後続措置を履行するためには事案別に制裁の免除を受けなければいけない。確実な制裁履行を望む米国・日本と制裁緩和を要求する北朝鮮・中国・ロシアが対立する中、韓国の態度によって3対3の構図にも、2対4の構図にもなる状況だ。
こうした状況で韓国統一部が1日、開城工業団地をめぐり米国務省と温度の差を表した。統一部のイ・ユジン副報道官は1日の定例記者会見で、「開城工業団地は可能なら早期に再開されるべきという立場だが、対北制裁の枠の中で問題を解決していくことが重要だと認識している」と明らかにした。対北朝鮮制裁の枠を遵守するという従来の立場を知らせながらも、政府が追求する方向は開城工業団地の「迅速な再開」であることを示唆したことで、開城閉鎖を支持する米国務省の原則論とは語調が異なる。このため開城工業団地、金剛山観光をめぐり「光が漏れる隙間もない連携」を強調してきた韓米両国がそれぞれの内心を表す出発点に立ったのではという見方も出てきている。
ソ・ジョンゴン慶煕大政治外交学科教授は「制裁緩和は米国内で深刻な問題であり、トランプ大統領が『北朝鮮の非核化措置の前に制裁解除はない』と明確にしているため、議会や世論がトランプ大統領の対北政策を支持している」とし「米国が先に制裁を緩和し、後に北が相応の行動をするというのは想像しにくい」と分析した。
南・北・米の外相が同じ場所に集まるだけに終戦宣言問題もARFで扱われる可能性がある。しかしここで米国と南北の立場がまた分かれる。南北は早期終戦宣言を望むが、米国は北朝鮮の非核化措置が優先という立場だ。
これに関連し、朝日新聞は1日、徐薫(ソ・フン)国家情報院長が先週の訪米当時、米国側に9月の国連総会などの機会を活用して関係国首脳が終戦宣言を採択することを提案したと伝えた。しかし米国側は北朝鮮が非核化リストや時刻表を提示しなければ難しいという立場を見せたという。同紙によると、米国側は南北経済協力についても北朝鮮が具体的な非核化措置を取らない限り例外として扱いにくいという立場を明らかにした。
今回のARFでは、昨年の議長声明に初めて盛り込まれた北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)表現がそのまま維持されるかどうかも関心事だ。CVIDに強い拒否感を見せる北朝鮮は削除を望んでいて、韓国もCVIDの代わりに板門店宣言に明示された「完全な非核化」という表現が入ることを望んでいるという。
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米国務省の当局者は先月31日(現地時間)、ポンペオ長官のシンガポール訪問(3−4日)について「北朝鮮も参加するASEAN地域安保フォーラム(ARF)は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が約束した最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)達成という目標を強調するための良い機会」と述べた。続いて「(ARF)会議場の27カ国はすべて国連加盟国であり、北朝鮮もその会議場の中にいるだろう。この席はすべての国連加盟国が制裁と国連安全保障理事会決議を遵守すべきだという点を改めて確認する良い機会になる」と強調した。
4日に開催されるARFには南・北・米・中・日・ロの北核6カ国協議当事国の外相がそろって出席する。北朝鮮が出席する唯一の域内安全保障協議体だ。国務省の当局者がARFを特定して制裁に言及したのは、李容浩(イ・ヨンホ)北朝鮮外相がいる席でこれを公論化し、北朝鮮に圧力を加えるという予告だ。李外相は3日午前にシンガポールに入国する。
この当局者は「安保理が禁止する船舶間積み替えで北朝鮮が(海上で)精油製品を調達する行為を憂慮する。ポンペオ長官はシンガポールで開催される外相会議を国連決議履行義務を想起させる機会にする計画」と説明した。米国は「積み替え」による対北朝鮮制裁違反に中国とロシアの企業および船舶が関与したと指定してきた。最近は北朝鮮産石炭がロシア産となって韓国に搬入されたことが明らかになり、韓国政府も難しい立場に直面する可能性がある。このように米国が対北朝鮮制裁履行を非核化交渉力を高める攻撃的な手段として使う意図を隠さず、制裁問題がARFの最大の争点に浮上する見込みだ。
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南・北・米の外相が同じ場所に集まるだけに終戦宣言問題もARFで扱われる可能性がある。しかしここで米国と南北の立場がまた分かれる。南北は早期終戦宣言を望むが、米国は北朝鮮の非核化措置が優先という立場だ。
これに関連し、朝日新聞は1日、徐薫(ソ・フン)国家情報院長が先週の訪米当時、米国側に9月の国連総会などの機会を活用して関係国首脳が終戦宣言を採択することを提案したと伝えた。しかし米国側は北朝鮮が非核化リストや時刻表を提示しなければ難しいという立場を見せたという。同紙によると、米国側は南北経済協力についても北朝鮮が具体的な非核化措置を取らない限り例外として扱いにくいという立場を明らかにした。
今回のARFでは、昨年の議長声明に初めて盛り込まれた北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)表現がそのまま維持されるかどうかも関心事だ。CVIDに強い拒否感を見せる北朝鮮は削除を望んでいて、韓国もCVIDの代わりに板門店宣言に明示された「完全な非核化」という表現が入ることを望んでいるという。
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