令和2年度 2級建築施工管理技術検定試験(後期)
学科試験問題 [ No. 18 ]〜[ No. 32 ] 解答・解説※問題番号[ No. 18 ]〜[ No. 32 ]までの
15問題のうちから、12問題を選択し、解答してください。
[ No. 18 ]
墨出しに関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.平面上の位置を示すために床面に付ける墨を、地墨という。
2.垂直を示すために壁面に付ける墨を、たて墨という。
3.基準墨から一定の距離をおいて平行に付ける墨を、逃げ墨という。
4.逃げ墨をもとにして型枠などの位置に付ける墨を、親墨という。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
墨とは、部材に付ける基準となる線をいう。地墨とは、平面上の位置を示すがめに床面につける墨をいう。
2.◯
たて墨とは、垂直を示すために壁面に付ける墨をいう。
3.◯
逃げ墨とは、基準墨から一定の距離をおいて平行に付ける墨をいう。
4.×
親墨とは、基準になる墨をいう。逃げ墨をもとにして型枠などの位置に付ける墨は、型枠墨と言われている。
[ No. 19 ]
地業工事に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.砂利地業で用いる砕石は、硬質なものとする。
2.砂利地業で用いる砂利は、砂が混じったものよりも粒径の揃ったものとする。
3.捨てコンクリートは、墨出しをしやすくするため、表面を平坦にする。
4.捨てコンクリートは、床付け地盤が堅固で良質な場合、地盤上に直接打ち込むことができる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
地業とは、基礎を支えるために地盤に対して設ける砕石、砂、砂利などを施工する部分をいう。砂利地業で用いる砕石は、変形しにくく硬質なものが適当である。
2.×
砂利地業で用いる砂利は、砂が混じった粒径の揃っていないものとする。
3.◯
地業で施されるコンクリートを捨てコンクリートという。捨てコンクリートは、墨出しをしやすくするため、表面が平坦にし、かつ、基準からのレベルが間違いのないように施工する。
4.◯
地盤が堅固で良質な場合は、捨てコンクリートは、割栗や砂利を介さずに、直接、地盤上に打設することができる。
[ No. 20 ]
鉄筋の継手及び定着に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.耐圧スラブが付く基礎梁主筋の継手の位置は、上端筋、下端筋ともスパンの中央部とする。
2.一般階の大梁の下端筋を柱内に折り曲げて定着する場合は、原則として曲げ上げる。
3.鉄筋の重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度の相違により異なる場合がある。
4.フック付き定着とする場合の定着の長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とする。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
鉄筋の継手は、部材に生じる曲げ応力の圧縮側に設ける。したがって、下からの地盤反力を受ける基礎梁主筋の継手の位置は、上端筋はスパンの両眼部、下端筋はスパンの中央部とする。
2.◯
一般階の大梁の下端筋を柱内に折り曲げて定着する場合は、原則として曲げ上げとする。
3.◯
鉄筋の重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度の違いにより異なる場合がある。(公共建築工事標準仕様書)
4.◯
フック付き定着とする場合の定着の長さは、定着起点からフックの折曲げ開始点までの距離とし、フックの折曲げ開始点から末端までの長さは含まない。
[ No. 21 ]
型枠支保工に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.パイプサポートに設ける水平つなぎは、番線を用いて緊結する。
2.上下階の支柱は、できるだけ平面上の同一位置になるように設置する。
3.梁下の支柱は、コンクリートの圧縮強度が設計基準強度以上で、かつ、所要の安全性が確認されれば取り外すことができる。
4.スラブ下の支柱は、コンクリートの圧縮強度によらない場合、存置期間中の平均気温から存置日数を決定する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
パイプサポートに水平つなぎを設ける場合、緊結金具(クランプ)を用いて緊結する。
2.◯
型枠の上下階の支柱は、できるだけ平面上の同一位置になるように設置する。
3.◯
梁下の型枠の支柱は、コンクリートの圧縮強度が設計基準強度以上であり、かつ、構造計算により安全であることが確認されれば取り外すことができる。(公共建築工事標準仕様書)
4.◯
スラブ下の型枠の支柱は、コンクリートの圧縮強度によらない場合は、存置期間中の平均気温により、存置期間を決定する。(公共建築工事標準仕様書)
[ No. 22 ]
コンクリートの調合に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.耐久性を確保するためには、水セメント比は小さいほうがよい。
2.スランプの大きいコンクリートでは、細骨材率が小さすぎると分離しやすくなる。
3.スランプは、工場出荷時における値を指定する。
4.AE減水剤を用いると、所定のスランプを得るのに必要な単位水量を減らすことができる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
水セメント比とは、フレッシュコンクリート中のセメントに対する水の重量比をいう。水セメント比は、耐久性を確保するためには、できるだけ小さいほうがよい。
2.◯
スランプとは、スランプ試験により求められる値で、フレッシュコンクリートの流動性を示す指標である。細骨材率とは、フレッシュコンクリート中の骨材(砂利と砂)に対する細骨材(砂)の容積比をいう。スランプの大きいコンクリートにおいて細骨材率が小さいと、フレッシュコンクリート中の材料が分離しやすくなる。
3.×
スランプは、荷卸し時点における値を指定する。
4.◯
AE減水剤とは、フレッシュコンクリートに混ぜあわされる混和剤の一つで、所定のスランプを得るのに必要な単位水量を低減することができる。なお、単位水量とは、単位体積のフレッシュコンクリート中に含まれる水の質量である。
[ No. 23 ]
鉄骨の加工に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.ひずみの矯正を常温加圧で行う場合は、ローラー又はプレスを使用する。
2.溶融亜鉛めっき高力ボルトの孔径は、同じ呼び径の高力ボルトの孔径よりも大きくする。
3.柱の十字形鉄骨に設ける梁主筋の貫通孔は、耐力低下の大きいフランジを避けて、ウェブに設ける。
4.開先の加工は、自動ガス切断、機械加工等により行う。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
常温加圧で行うひずみの矯正を場は、ローラー又はプレスを用いて行う。
2.×
溶融亜鉛めっき高力ボルトのめっき前の孔径は、高力ボルトによる。(公共建築工事標準仕様書)溶融亜鉛めっき高力ボルトのめっき前の孔径は、同じ呼び径の高力ボルトの孔径と同一である。
3.◯
鉄骨鉄筋コンクリート造の柱の十字形鉄骨に設ける梁主筋の貫通孔は、十字形鉄骨のフランジを避けて、ウェブに設ける。
4.◯
開先とは、溶接部材間に生じる溝をいい、開先の加工とは、溶接性能を高めるために開先の形状を加工することをいう。鉄骨の開先加工は、自動ガス切断、機械加工等により行う。
[ No. 24 ]
在来軸組構法における木工事に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.土台の継手は腰掛けあり継ぎとし、継手付近の下木をアンカーボルトで締め付けた。
2.隅通し柱の仕口は土台へ扇ほぞ差しとし、ホールダウン金物を用いてボルトで締め付けた。
3.建入れ直し完了後、接合金物や火打材を固定し、本筋かいを取り付けた。
4.垂木の継手は母屋の上でそぎ継ぎとし、釘で取り付けた。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
土台の継手は、腰掛けかま継ぎとし、上木となる方をアンカーボルトで締め付ける。
2.◯
通し柱とは、2階以上の木造建物で土台から軒桁まで1本の材で通した柱のことである。隅柱は特に引き抜き力が作用するので、土台へ扇ほぞ差しとし、ホールダウン金物当てボルトで締めとする。
3.◯
建入れ直し後に、接合金物や火打材を固定し、本筋かいを取り付ける。
4.◯
垂木の継手は、母屋の上でそぎ継ぎとし、釘打ちとする。
[ No. 25 ]
シーリング工事に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.マスキングテープは、シーリング材のへら仕上げ終了後、直ちに取り除いた。
2.コンクリートの目地等のノンワーキングジョイントは、シーリング材の充填深さの最小値を10mmとした。
3.裏面に粘着剤が付いているバックアップ材は、目地幅より1〜2mm小さい幅のものを使用した。
4.異種シーリング材を打ち継ぐため、先打ちシーリング材が硬化しないうちに、後打ちシーリング材を施工した。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
マスキングテープは、シーリング材のへら仕上げ終了後、シーリング材が硬化する前に、直ちに取り除く。
2.◯
ワーキングジョイントとは挙動が大きな継ぎ目、ノンワーキングジョイントとは挙動がほとんどない継ぎ目のことをいう。コンクリートの目地等はノンワーキングジョイントであり、シーリング材の目地寸法は、幅・深さとも10mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書)
3.◯
裏面に粘着剤が付いているバックアップ材は、目地幅より1mm程度小さいもの、接着剤が付いていないものは、目地幅より 2mm程度大きいものを使用する。
4.×
やむを得ず異種シーリング材を打ち継ぐ場合、先打ちシーリング材が十分に硬化した後に、後打ちシーリング材を施工する。
[ No. 26 ]
セメントモルタルによる床タイル圧着張りに関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.タイルの張付けモルタルは、塗り付ける厚さを5〜7mmとし、1度に塗り付けた。
2.タイルの張付けモルタルは、1回に塗り付ける面積をタイル工1人当たり2m2以下とした。
3.タイルの張付け面積が小さかったため、下地となる敷きモルタルは貧調合とした。
4.タイルの張付けは、目地部分に張付けモルタルが盛り上がるまで、木づちでたたき押さえた。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
床タイルの圧着張りでは、張付けモルタル厚は3〜7mm程度とし、張付けるモルタルは必ず二度塗りとする。(公共建築工事標準仕様書)
2.◯
タイルの張付けモルタルの1回当たりの塗付け面積は、タイル工1人当たり2m2以下とする。(公共建築工事標準仕様書)
3.◯
トイレ、浴室等、張付け面積が小さい場合、敷きモルタルの調合はセメント量を少なくした貧調合とする。
4.◯
タイルの張付けは、目地の部分に張付けモルタルが盛り上がるまで、タイルを木づちでたたき押さる。
[ No. 27 ]
硬質塩化ビニル雨どいの工事に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.たてどいの継手は、専用の部品により接着剤を用いて取り付けた。
2.たてどいの受け金物は、900mm間隔で通りよく取り付けた。
3.軒どいの両端は、集水器に接着剤を用いて堅固に取り付けた。
4.軒どいの受け金物は、所定の流れ勾配をとり、600mm間隔で取り付けた。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
硬質塩化ビニル雨どいのたてどい継手は、専用の部品を使用して、接着剤を用いて固定する。
2.◯
硬質塩化ビニル雨どいのたてどいの受け金物は、1.2m以下の取付け間隔とする。
3.×
とい1本の長さは10m以内とし、伸縮はあんこう又は集水器部分で吸収するか、製造所の指定する長さ、方法で吸収する。塩化ビニル製品は熱によって、伸縮するため、両端を接着剤で固定すると熱膨張・収縮を吸収できずに、といが曲がるなどしてしまう。
4.◯
硬質塩化ビニル雨どいの軒どいの受け金物は、所定の勾配を確保して、1.0m以下の取付け間隔とする。(公共建築工事標準仕様書)
[ No. 28 ]
セルフレベリング材塗りに関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.セルフレベリング材塗りは、下地となるコンクリートの打込み後、1か月経過したのちに行った。
2.セルフレベリング材の流し込みは、吸水調整材塗布後、直ちに行った。
3.セルフレベリング材の流し込み作業中は、できる限り通風を避けるよう窓や開口部をふさいだ。
4.セルフレべリング材の流し込み後の乾燥養生期間は、外気温が低い冬季であったため、14日間とした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
セルフレベリングとは、硬化前の塗材の流動性を利用して、水平で平滑な床面を施工することをいう。セルフレベリングの流し込みに先立ち、下地となるコンクリートの乾燥期間は、一般に、打込み後 1か月以上確保する。
2.×
セルフレベリング材の流し込みは、吸水調整材を塗布した後、吸水調整材を十分乾燥させてから行う。
3.◯
セルフレベリング材塗り後、硬化するまでは、窓や開口部をふさぎ、硬化後は自然乾燥状態とする。
4.◯
セルフレべリング材塗り後の養生期間は、7日以上、低温の場合は14日以上とする。(公共建築工事標準仕様書)
[ No. 29 ]
外部に面するサッシのガラス工事に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.熱線反射ガラスは、反射膜コーティング面を室内側とした。
2.建具下辺のガラス溝内に置くセッティングブロックは、ガラス1枚につき2箇所設置した。
3.グレイジングチャンネルの継目の位置は、ガラスの下辺中央部とした。
4.厚さ8mmの単板ガラスの留付けは、不定形シーリング材構法とした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
熱線反射ガラスは、ガラス片面に金属の反射薄膜を付けたもので、まぶしさや冷房負荷の低減効果がある。反射膜面は、反射膜の耐久性上室内側が望ましい。また、高遮蔽熱反射ガラスの反射膜は、室内側に限定されている。
2.◯
セッテイングブロックは、ガラス1枚につき2箇所設置する。
3.×
グレイジングチャンネルとは、ガラスを建具にはめ込む際に周囲に巻き付けるゴム状の部材をいう。グレイジングチャネルの継目の位置は、ガラスの上辺中央部になるようにする。
4.◯
外部に面する厚さ 8mm以上の単板ガラスの留付けは、不定形シーリング材構法とする。
[ No. 30 ]
塗装工事に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.上塗りに用いる塗料が少量だったため、同一製造所の同種塗料を用いて現場調色とした。
2.合成樹脂エマルションペイント塗りにおいて、天井面等の見上げ部分では研磨紙ずりを省略した。
3.木部のクリヤラッカー塗りの下塗りに、ウッドシーラーを用いた。
4.高粘度、高濃度の塗料による厚膜塗装は、エアレススプレーではなくエアスプレーにより吹き付けた。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
上塗りに用いる塗料は、原則として、製造所において指定された色及びつやに調色する。ただし、少量の場合は、同一製造所の塗料を用いて現場調色とすることができる。(公共建築工事標準仕様書)
2.◯
合成樹脂エマルションペイント塗りにおいて、天井面等の見上げ部分は、研磨紙ずりを省略する。(公共建築工事標準仕様書)
3.◯
木部のクリヤラッカー塗りの下塗りには、ウッドシーラーを用いる。(公共建築工事標準仕様書)
4.×
エアレススプレーによる吹付け塗りは、塗料自体に直接圧力を加え、ノズルチップから霧化して吹き付ける物であり、高粘度、高濃度の塗料による厚膜塗装に適している。
[ No. 31 ]
ビニル床シート張りにおける熱溶接工法に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。
1.床シートの幅木部への巻上げは、シートをニトリルゴム系接着剤により張り付けた。
2.継目の溝はV字形とし、シート厚さの2/3程度まで溝切りした。
3.溶接部のシートの溝部分と溶接棒は、250〜300℃の熱風で加熱溶融した。
4.溶接完了後、溶接部が完全に冷却したのち、余盛りを削り取り平滑にした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ニトリルゴム系接着剤は、ゴム系ではあるが、硬い皮膜が得られ、可塑剤の移行を受けにくいので、軟質のビニル系床材(特にビニル系床シートや軟質塩化ビニル幅木、単層及び複層ビニル床タイル)に使用する。
2.◯
溝は、V字形又はU字形とし、均一な幅に床シート厚さの2/3程度まで溝切りする。(公共建築工事標準仕様書)
3.×
熱溶接機を用いて、溶接部を材料温度 160〜200℃の温度で、床シートと溶接棒を同時に溶接する。(建築工事監理指針)
4.◯
熱溶接工法における溶接継目の余盛りは、溶接部が完全に冷却した後、削りとって平滑にする。
[ No. 32 ]
内装改修工事における既存床仕上げ材の除去に関する記述として、
最も不適当なものはどれか。ただし、除去する資材は、アスベストを含まないものとする。
1.コンクリート下地の合成樹脂塗床材は、ブラスト機械を用いてコンクリート表面とともに削り取った。
2.モルタル下地面に残ったビニル床タイルの接着剤は、ディスクサンダーを用いて除去した。
3.モルタル下地の磁器質床タイルの張替え部は、はつりのみを用いて手作業で存置部分と縁切りをした。
4.根太張り工法の単層フローリングボードは、丸のこを用いて適切な寸法に切断し、根太下地を損傷しないように除去した。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
合成樹脂塗床材の除去は、ブラスト機械をよりコンクリート表面を3mm程度の深さまで削りとる。(公共建築改修工事標準仕様書)
2.◯
下地面に残ったビニル床タイルの接着剤は、アスベストを含んでいない場合、ディスクサンダーを用いて除去できる。(公共建築改修工事標準仕様書)
3.×
磁器質床タイルの張替え部分の撤去は、撤去部分をダイヤモンドカッター等を用いて縁切りし、はつり器具等を用いて撤去する。(公共建築改修工事標準仕様書)
4.◯
乾式工法のフローリング張り床材の撤去は、丸のこを用いて適切な寸法に切断し、ケレン棒によりはがし取る。(公共建築改修工事標準仕様書)